少数側が多数側に挑まれたとき、最優先すべきは正面から公平に戦わないことだ。兵力差が大きいほど、普通にぶつかれば少数側が消耗して敗れる。
歴史上の基本原則は次のようになる。
- 戦闘目的を限定する
敵を全滅させようとせず、「一定時間持ちこたえる」「味方を逃がす」「拠点まで撤退する」など、達成可能な目的に変える。 - 退路を確保する
勝てない戦いから離脱できる道を先に用意する。包囲される前に撤退することは、敗北ではなく兵力を残すための判断になる。 - 狭い場所を利用する
広い平地では多数側が包囲や同時攻撃を行える。門、橋、坂道、谷、街路など、敵が一度に多く進めない場所なら、兵力差を小さくできる。 - 兵力を分散させない
少数兵を各所へ薄く配置すると、どこも突破される。重要な一点へ集中し、その場所だけでは一時的に優勢になるようにする。 - 時間と情報を味方につける
援軍が来るまで耐える、敵の疲労や補給不足を待つ、敵の動きを早く知るなど、戦闘そのもの以外の条件を利用する。 - 敵の目的を妨げる
多数の敵を倒す必要はない。敵の進軍を遅らせたり、指揮を混乱させたり、目的地への到達を阻んだりすれば、少数側の任務は成功することがある。 - 降伏や交渉も選択肢に入れる
勝つ可能性がなく、戦闘継続によって兵士や住民が無意味に死亡する場合、降伏や退去交渉は合理的な判断になる。
要するに、少数側が考えるべきことは、
多数を倒す方法ではなく、多数が持つ兵力を十分に使えなくする方法
である。
ただし、退路を失って完全に包囲された場合は、「全方向を守る」のではなく、突破可能性のある一点へ兵力を集中して脱出を試みる、あるいは早期に降伏条件を探るのが現実的となる。歴史上、少数軍が勝った例もあるが、多くは地形、奇襲、敵側の分裂、補給問題など、単純な勇敢さ以外の条件が重なっている。