峯村部材店主

故事成語一覧149語|意味・読み方・由来・例文

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中国古典や歴史上の逸話、日本の歴史・文学、西洋古典・聖書・寓話などに由来する言葉のうち、高校卒業程度までの一般教養として覚えておきたい故事成語149語を五十音順にまとめています。

「矛盾」「完璧」「杞憂」「推敲」のように日常でも使われる言葉から、「塞翁が馬」「泣いて馬謖を斬る」「アキレス腱」「パンドラの箱」のように、由来となった故事や典拠を知ることで意味が理解しやすくなる表現を中心に選びました。

それぞれの故事成語について、読み方・意味・由来や典拠・現代日本語での例文を掲載しています。読み方は故事成語の直下に併記し、一覧性を高めています。

故事成語は中国由来の言葉だけではありません。この学習帳では、日本の歴史や文学、西洋古典、ギリシャ神話、聖書、寓話などから日本語に定着した表現も取り上げています。

また、「破天荒」「豹変」「鳴かず飛ばず」のように、現在一般に使われている意味と本来の意味に違いがある言葉については、その違いも分かるよう由来欄で説明しています。

五十音から故事成語を探す

あ行か行さ行た行な行は行ま行や行ら行

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故事成語には、具体的な歴史上の出来事や逸話から生まれたものだけでなく、古典の一句、宗教上の譬喩、文学作品や寓話から日本語に定着した表現もあります。由来には異説や後世の伝承を含む場合があるため、そのような語は断定を避けて説明しています。

あ行の故事成語20語

故事成語・読み方意味由来・典拠例文
青い鳥
(あおいとり)
幸福や希望。また、幸福は意外に身近なところにあるというたとえ。メーテルリンクの童話劇『青い鳥』で、チルチルとミチルが幸福の象徴である青い鳥を探し回り、最後に身近な場所で見つける物語から。理想ばかり追い求めていたが、家族と過ごす時間こそ自分の青い鳥だったと気づいた。
アキレス腱
(あきれすけん)
強いものが持つ、ただ一つの弱点や急所。ギリシャ神話の英雄アキレウスは、母によって冥界の川に浸され不死身になったが、その際につかまれていた踵だけが弱点として残ったという伝説から。高い技術力を持つ会社だが、資金力の弱さがアキレス腱になっている。
阿漕
(あこぎ)
欲深く、義理人情を欠いたあくどいやり方をすること。禁漁地だった伊勢の阿漕ヶ浦で、漁師がたびたび密漁をして捕らえられたという伝説に由来する。困っている人から法外な手数料を取るとは、ずいぶん阿漕な商売だ。
圧巻
(あっかん)
全体の中で最も優れている部分。中国の科挙で、合格者の答案のうち最も優れたものを他の答案の上に置いたことから。「巻」は答案を指し、それを上から「圧する」ことから圧巻と呼ばれた。展示会の圧巻は、会場中央に置かれた巨大な屏風絵だった。
アリアドネの糸
(ありあどねのいと)
難しい問題を解決するための手掛かりや道しるべ。ギリシャ神話で、迷宮に入ったテセウスに王女アリアドネが糸玉を渡し、その糸をたどって迷宮から脱出できるようにした故事から。膨大な資料の中で見つけた一通の手紙が、事件を解くアリアドネの糸となった。
暗中模索
(あんちゅうもさく)
手掛かりがない中で、いろいろ試しながら解決方法を探すこと。『隋唐嘉話』に見える表現。人の顔を覚えるのが苦手な許敬宗が、優れた人物なら暗闇の中で手探りしてでも分かる、という趣旨のことを述べた故事に結び付く。新規事業はまだ暗中模索の段階だが、少しずつ方向性が見えてきた。
いざ鎌倉
(いざかまくら)
一大事が起き、いよいよ行動しなければならない時。鎌倉幕府に一大事があれば御家人が鎌倉へ駆け付けたことを背景とし、謡曲『鉢木』で佐野源左衛門が、鎌倉に大事があれば真っ先に参上すると語る場面に結び付く。普段から資料を整理し、いざ鎌倉という時にすぐ対応できるようにしている。
一衣帯水
(いちいたいすい)
細い川や海を隔てただけの、非常に近い関係にあること。『南史』で、隋の文帝が陳について、細い帯のような水を隔てただけの隣国であるという趣旨を述べた故事から。日本と韓国は海を隔てた一衣帯水の隣国である。
一字千金
(いちじせんきん)
一字にも非常に大きな価値があるほど、優れた文章や言葉。『史記』「呂不韋列伝」の故事。秦の呂不韋が編纂した『呂氏春秋』を咸陽の市門に掲げ、一字でも添削できる者には千金を与えるとしたことから。長年研究を続けた先生の助言には、一字千金の重みがあった。
一網打尽
(いちもうだじん)
関係する者を一度に残らず捕らえたり処理したりすること。『宋史』范純仁伝に由来。一度網を打って魚をすべて捕ることから、一味をまとめて捕らえる意味になった。警察は長期の捜査の末、詐欺グループを一網打尽にした。
一刻千金
(いっこくせんきん)
わずかな時間でも非常に価値があり、惜しいこと。蘇軾の詩「春夜」の「春宵一刻値千金」に由来する。春の夜のひとときは千金にも値するほどすばらしい、という意味から広がった。久しぶりに会った友人との一刻千金の時間を、心ゆくまで楽しんだ。
一炊の夢
(いっすいのゆめ)
人生の栄華や富貴が、はかなくむなしいことのたとえ。唐の沈既済『枕中記』に由来。盧生が夢の中で長い栄華の人生を送ったが、目覚めると宿で炊いていた飯さえまだ出来ていなかったという物語。「邯鄲の夢」ともいう。地位も財産も永遠ではないと思えば、人生の栄華も一炊の夢なのかもしれない。
井の中の蛙大海を知らず
(いのなかのかわずたいかいをしらず)
狭い世界だけを知り、広い世界があることに気づかないことのたとえ。『荘子』「秋水」にある、井戸の蛙が自分の世界を誇ったところ、海に住む亀から大海の広さを聞かされ驚いた話などに由来する。自分の業界だけを基準に考えていては、井の中の蛙大海を知らずになってしまう。
烏合の衆
(うごうのしゅう)
統一や規律がなく、ただ集まっているだけの人々。『後漢書』などで、組織も統率もない集団を、まとまりなく集まるカラスの群れにたとえて「烏合の衆」と呼んだことから。人数だけ集めても、指揮系統がなければ烏合の衆にすぎない。
燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや
(えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや)
小人物には、大人物の大きな志を理解できないということ。『史記』陳渉世家に由来。若い陳渉が大きな志を笑われ、ツバメやスズメのような小鳥に、大きな鳥である鴻鵠の志が分かるものか、と語った故事から。周囲に無謀だと笑われても、彼は「燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや」と自分の計画を貫いた。
大岡裁き
(おおおかさばき)
公正で、人情味もある巧みな裁定。江戸時代の名奉行・大岡忠相を主人公とする「大岡政談」の名裁判から。三方一両損など有名な話があるが、実際の大岡忠相とは関係しない説話も多い。両者が納得できる解決案を示した部長の判断は、まるで大岡裁きだった。
狼少年
(おおかみしょうねん)
嘘や誤った警告を繰り返したため、本当のことを言っても信用されなくなった人。イソップ寓話「羊飼いの少年と狼」に由来。少年が何度も「狼が来た」と嘘をついたため、本当に狼が現れた時には誰にも信じてもらえなかった。根拠のない危機説を何度も唱えていると、本当に危険な時にも狼少年として扱われかねない。
驕る平家は久しからず
(おごるへいけはひさしからず)
権力や成功を誇って傲慢になった者は、長く栄えることができないということ。『平家物語』冒頭の「驕れる人も久しからず」と、栄華を極めた平家がやがて滅亡した物語を踏まえて定着した言い回し。市場を独占したからと努力を怠れば、驕る平家は久しからずとなりかねない。
小田原評定
(おだわらひょうじょう)
長々と話し合うばかりで、いつまでたっても結論が出ないこと。1590年の豊臣秀吉による小田原攻めを背景に、北条方で籠城・出撃・和平などの方針がなかなかまとまらなかったとされることから生まれた表現。成立事情には別説もある。会議を三時間続けても担当者さえ決まらず、完全な小田原評定になっていた。
温故知新
(おんこちしん)
昔の事柄や先人の知恵を学び、そこから新しい知識や道理を見いだすこと。『論語』「為政」の孔子の言葉「故きを温ねて新しきを知る」に由来する。古典や過去を学ぶことで、新しい問題への理解を深めるという教え。過去の失敗例を丁寧に調べ、新製品の開発に生かす姿勢はまさに温故知新だ。

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か行の故事成語40語

故事成語・読み方意味由来・典拠例文
隗より始めよ
(かいよりはじめよ)
大きなことを始めるには、まず身近なところから着手せよ。また、言い出した者がまず実行せよということ。『戦国策』の故事。燕の昭王が賢者を集める方法を郭隗に尋ねると、郭隗は「まず自分のような者を厚遇すれば、より優れた人物も集まる」と答えた。職場の節電を提案した以上、隗より始めよで、まず自分の部署から実行することにした。
カエサルの物はカエサルに
(かえさるのものはかえさるに)
物事は本来あるべきところに帰すべきだということ。また、信仰上の務めと社会的義務は別に果たすべきだということ。『新約聖書』「マタイによる福音書」。税について問われたイエスが、貨幣にカエサルの肖像があることを示し、「カエサルの物はカエサルに、神の物は神に」と答えた。個人的な好みと会社の判断は分け、カエサルの物はカエサルにという姿勢で考えたい。
臥薪嘗胆
(がしんしょうたん)
目的を果たすため、長い間苦労や屈辱に耐えて努力すること。春秋時代の呉と越の争いにまつわる故事。後世、呉王夫差が薪の上に寝て父の仇を忘れず、越王勾践が苦い胆をなめて敗北の恥を忘れなかったという形で語り継がれた。前回の失敗を忘れず、臥薪嘗胆の思いで資格試験の勉強を続けた。
苛政は虎よりも猛し
(かせいはとらよりもたけし)
民衆を苦しめる悪政は、虎よりも恐ろしいということ。『礼記』「檀弓下」。孔子が、家族を次々と虎に殺されてもその土地を離れない女性に理由を尋ねると、「ここには苛酷な政治がないから」と答えた故事から。苛政は虎よりも猛しという言葉は、権力のあり方を考えるうえで今も重い。
火中の栗を拾う
(かちゅうのくりをひろう)
自分の利益にならないのに、他人のために危険を冒すこと。ヨーロッパの「猿と猫」の寓話に由来する。猿が猫をそそのかして火の中の栗を取らせ、自分だけ利益を得た話から。当事者でもないのに責任だけ負うのは、火中の栗を拾うようなものだ。
刮目して見る
(かつもくしてみる)
相手の成長や変化に注意して、改めてよく見ること。『三国志』呉書・呂蒙伝の注に引かれる故事。学問に励んで見違えるほど成長した呂蒙が、「士は別れて三日ならば刮目して相待すべし」と語った。入社当時とは見違えるほど成長した彼を、刮目して見るべきだ。
鼎の軽重を問う
(かなえのけいちょうをとう)
権威や地位を軽んじ、その実力や価値を疑うこと。また、その地位を奪おうとすること。『春秋左氏伝』。楚の荘王が、周王室の権威を象徴する九鼎の大きさや重さを尋ねたことは、天下を狙う野心を示す行為だった。対応を誤れば、経営陣の鼎の軽重を問われる事態になりかねない。
画餅
(がべい)
実際には役に立たないもの。実現しない計画のたとえ。『三国志』魏書・盧毓伝に、評判だけで人を選ぶことを戒め、「名声は地面に描いた餅のようなもので食べられない」とする言葉がある。資金の裏付けがなければ、どれほど立派な事業計画も画餅に終わる。
画竜点睛
(がりょうてんせい)
物事を完成させるための、最も重要な最後の仕上げ。南朝梁の画家・張僧繇が竜の絵に瞳を描き入れると、竜が壁を破って天へ昇ったという故事から。最後に分かりやすい結論を加えれば、この報告書も画竜点睛となるだろう。
韓信の股くぐり
(かんしんのまたくぐり)
大きな目的のため、一時的な屈辱を耐え忍ぶこと。『史記』淮陰侯列伝。若い韓信が町の男に辱められ、争わずに相手の股の下をくぐった故事から。後に韓信は大将軍となった。今は韓信の股くぐりと思って批判に耐え、実力をつけることに専念しよう。
汗馬の労
(かんばのろう)
目的のために各方面を駆け回って尽力する苦労。また、戦場で立てた功績。『史記』蕭相国世家に見える表現。馬に汗をかかせるほど戦場を駆け回った功績を指し、後に広く奔走の苦労を表すようになった。交渉成立まで汗馬の労を取ってくれた担当者には、心から感謝している。
完璧
(かんぺき)
欠点や不足がなく、完全であること。『史記』藺相如列伝。趙の藺相如が名玉「和氏の璧」を秦へ持参したが、約束が守られないと見抜き、璧を傷つけず趙へ持ち帰った故事から。準備は完璧だと思っていたが、最後に一つ確認漏れが見つかった。
管鮑の交わり
(かんぽうのまじわり)
利害を超えて互いを深く理解し合う、非常に親しい友情。『史記』管晏列伝。管仲の事情や人柄を鮑叔牙が常に理解し、管仲が「私を生んだのは父母だが、私を知るのは鮑叔だ」と感謝した故事から。二人は若い頃から互いを支え続け、まさに管鮑の交わりと呼べる仲だ。
奇貨居くべし
(きかおくべし)
得難い好機なので、逃さず利用すべきだということ。『史記』呂不韋列伝。商人の呂不韋が、趙で人質となっていた秦の王子・子楚を見て、「これは珍しい商品だから手元に置く価値がある」と考えた故事から。新技術がまだ注目されていない今こそ、奇貨居くべしと考えて投資した。
疑心暗鬼
(ぎしんあんき)
疑う心を持つと、何でもないことまで怪しく、恐ろしく感じること。「疑心暗鬼を生ず」の略。中国の古いことわざで、疑う気持ちがあると、暗闇に存在しない鬼まで見えるように感じるという意味。宋代の『夷堅志』にも、このことわざを説明する逸話が見える。一度情報漏えいを疑い始めると、社員同士が疑心暗鬼に陥ってしまった。
北風と太陽
(きたかぜとたいよう)
力ずくよりも、穏やかな働きかけの方が人を動かすことがあるという教訓。イソップ寓話。旅人の服を脱がせる競争で、北風が強く吹くほど旅人は服を押さえたが、太陽が暖かく照らすと自ら服を脱いだ。部下を動かすには命令ばかりでなく、北風と太陽の教訓も必要だ。
杞憂
(きゆう)
必要のないことをあれこれ心配すること。取り越し苦労。『列子』「天瑞」。杞の国の人が、天が落ち、地が崩れるのではないかと心配して眠れないほど悩んだ故事から。システム障害を心配していたが、十分な対策があり、結局は杞憂に終わった。
牛耳を執る
(ぎゅうじをとる)
団体や集団の中心となり、主導権を握ること。古代中国で諸侯が盟約を結ぶ際、盟主が牛の耳を裂いて血を取り、誓約の儀式を主宰したことに由来する。新しい業界団体では、創業者の一人が早くも牛耳を執っている。
漁夫の利
(ぎょふのり)
二者が争っている間に、第三者が利益を得ること。『戦国策』燕策。シギとハマグリが争って互いに動けなくなったところを、通りかかった漁師が両方とも捕らえたという寓話から。二社が値下げ競争を続けた結果、別の会社が漁夫の利を得た。
禁断の果実
(きんだんのかじつ)
禁じられているからこそ、かえって魅力的に感じられるもの。『旧約聖書』「創世記」。アダムとイブが食べることを禁じられていた「善悪を知る木」の実を食べた物語から。聖書本文ではリンゴとはされていない。見てはいけないと言われると、かえってその資料が禁断の果実のように気になった。
金の卵を産むガチョウ
(きんのたまごをうむがちょう)
継続して大きな利益をもたらしてくれるもの。イソップ寓話。毎日金の卵を産むガチョウを持つ男が、腹の中の金を一度に得ようとして殺してしまい、すべてを失った話から。短期的な利益を求めすぎて、金の卵を産むガチョウを失ってはいけない。
苦肉の策
(くにくのさく)
苦しまぎれに考え出した手段。本来は、敵を欺くために自分や味方まで苦しめて行う策略。『三国志演義』の赤壁の戦いで有名になった「苦肉の計」から。周瑜が味方の黄蓋を打ち据え、黄蓋が曹操へ寝返ったように見せかけて敵陣へ近づき、火攻めを成功させたという物語に由来する。人手不足を補うため、営業時間を短縮するという苦肉の策を取った。
群盲象を評す
(ぐんもうぞうをひょうす)
一部分だけを見て、全体を理解したつもりになることのたとえ。仏典などに伝わる寓話。目の見えない人々が象の別々の部分に触れ、それぞれ自分が触った部分だけから象全体を判断した話から。一部の数字だけで会社全体を評価するのは、群盲象を評すに等しい。
敬遠
(けいえん)
表面では敬うようにしながら、実際には関わらないよう避けること。『論語』「雍也」の「鬼神は敬して之を遠ざく」に由来。本来は鬼神を尊重しつつ軽々しく近づかない意味だったが、後に「避ける」の意味が強くなった。手続きが複雑すぎるため、この制度は利用者から敬遠されている。
鶏口となるも牛後となるなかれ
(けいこうとなるもぎゅうごとなるなかれ)
大きな組織の末端になるより、小さくてもその長となる方がよいということ。『戦国策』。蘇秦が韓王に、大国秦へ従属せず小国でも独立を守るべきだと説いた際の言葉から。大企業の一員になるより起業を選んだ彼は、鶏口となるも牛後となるなかれを実践した。
傾国
(けいこく)
国を傾けるほどの絶世の美女。『漢書』外戚伝に伝わる歌の「一たび顧みれば人の城を傾け、再び顧みれば人の国を傾く」に由来し、非常に美しい女性を表すようになった。物語では、彼女は王さえ心を奪われる傾国の美女として描かれている。
蛍雪の功
(けいせつのこう)
苦労して勉学に励んだ成果。車胤が蛍の光で、孫康が雪明かりで読書したという二つの苦学の故事を合わせた表現。『蒙求』などを通じて広まった。長年の蛍雪の功が実り、ついに希望していた資格を取得した。
鶏鳴狗盗
(けいめいくとう)
つまらない技能や人物でも、時には役に立つこと。また、こそ泥のような小人物。『史記』孟嘗君列伝。孟嘗君が秦から逃れる際、犬のまねをする者が宝物を盗み、鶏の鳴きまねをする者が函谷関の門を開かせた故事から。一見役に立たない特技でも、鶏鳴狗盗のように思わぬ場面で力を発揮することがある。
逆鱗に触れる
(げきりんにふれる)
君主や上司など、目上の人を激しく怒らせること。『韓非子』「説難」。竜の喉の下には逆向きの鱗があり、そこに触れると竜が激怒して人を殺すというたとえから。報告を隠していたことが発覚し、社長の逆鱗に触れた。
乾坤一擲
(けんこんいってき)
運命をかけて、一か八かの大勝負をすること。唐の韓愈の詩「鴻溝を過ぐ」にある「一擲乾坤を賭す」に由来する。項羽と劉邦の戦いを題材に、天下をかけた一度の大勝負を表した。資金の大半を新事業に投じる、乾坤一擲の決断を下した。
捲土重来
(けんどちょうらい)
一度敗れた者が、勢いを取り戻して再び挑戦すること。唐の杜牧が項羽を詠んだ「烏江亭に題す」の詩に由来。「江東には優れた人材が多いのだから、再起すれば結果は分からなかった」と詠んだ。前回は選挙に敗れたが、四年後の捲土重来を期して活動を続けている。
紅一点
(こういってん)
多くの同じようなものの中で、一つだけ目立つもの。特に、多数の男性の中にいる一人の女性。「万緑叢中紅一点」という詩句に由来。一面の緑の中に赤いザクロの花が一輪咲く情景から。ただし王安石作とする伝承には異説がある。男性ばかりの研究チームで、彼女は紅一点として活躍している。
後塵を拝する
(こうじんをはいする)
他人に先を越され、後れを取ること。また、優れた人物の後についていくこと。『晋書』石崇伝・潘岳伝。二人が権力者・賈謐の馬車が立てる土ぼこりにまで頭を下げてへつらった故事から。後に「他人の後れを取る」の意味へ広がった。新製品の開発競争では、海外企業の後塵を拝する結果となった。
口蜜腹剣
(こうみつふくけん)
口では親切そうなことを言いながら、内心では悪意を抱いていること。唐の宰相・李林甫が、表面では人をほめながら陰では陥れたため、「口に蜜あり、腹に剣あり」と評されたことに由来する。耳ざわりのよい話ばかりする人物ほど、口蜜腹剣ではないか注意が必要だ。
呉越同舟
(ごえつどうしゅう)
仲の悪い者同士が同じ場所で行動を共にすること。また、共通の危機には協力すること。『孫子』「九地」。敵対する呉と越の人々でも同じ舟で暴風に遭えば、左右の手のように助け合うというたとえから。長年の競合二社が、業界全体の危機を前に呉越同舟で共同事業を始めた。
虎穴に入らずんば虎子を得ず
(こけつにいらずんばこじをえず)
大きな成果を得るには、時には危険を冒す必要があるということ。『後漢書』班超伝。西域へ派遣された班超が敵の使節を急襲する際、仲間を奮い立たせるために語った言葉から。海外市場への進出には不安もあるが、虎穴に入らずんば虎子を得ずだ。
五十歩百歩
(ごじっぽひゃっぽ)
少し程度が違うだけで、本質的には同じであること。『孟子』梁恵王上。戦場から百歩逃げた兵を、五十歩逃げた兵が笑うというたとえで、梁の恵王の政治も他国と大差ないことを孟子が諭した。一日遅れと二日遅れを責め合っても、締め切りを過ぎた点では五十歩百歩だ。
胡蝶の夢
(こちょうのゆめ)
夢と現実の区別がつかないこと。また、人生のはかなさのたとえ。『荘子』「斉物論」。荘子が蝶になった夢を見て目覚め、自分が蝶の夢を見たのか、蝶が自分になる夢を見ているのか分からないと考えた故事から。あまりに非現実的な一日で、帰宅してからも胡蝶の夢のような気分だった。
ゴルディアスの結び目
(ごるでぃあすのむすびめ)
極めて難しい問題。また、それを大胆な方法で一気に解決することのたとえ。古代フリギアの都ゴルディオンにあった、誰にも解けない複雑な結び目を、アレクサンドロス大王が剣で断ち切ったという伝説から。複雑化した制度を全面廃止する案は、ゴルディアスの結び目を断つような解決策だった。
コロンブスの卵
(ころんぶすのたまご)
結果を見れば簡単に思えても、最初に発想し実行することは難しいということ。コロンブスが「卵を立ててみよ」と言い、誰もできない中で卵の端を少しつぶして立てたと伝えられる逸話から。ただし、コロンブス本人の実話として確実なものではなく、後世の伝承として扱うのが適切。完成した仕組みだけ見れば単純だが、この発想こそコロンブスの卵だった。

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さ行の故事成語24語

故事成語・読み方意味由来・典拠例文
塞翁が馬
(さいおうがうま)
人生の幸不幸は予測できず、幸運が不運に、不運が幸運に変わることもあるということ。『淮南子』「人間訓」。辺境の老人の馬が逃げた後に名馬を連れて戻り、息子がその馬から落ちてけがをしたため、のちの戦争で徴兵を免れたという一連の故事から。転勤を残念がっていたが、そこで今の妻と出会ったのだから、人生は塞翁が馬だ。
賽は投げられた
(さいはなげられた)
重大な決断を下し、もう後戻りできない状態になったこと。紀元前49年、カエサルが軍を率いてルビコン川を渡り、内戦へ踏み込む際に発したと伝えられる言葉。スエトニウス『ローマ皇帝伝』に伝わる。契約書に署名した以上、賽は投げられた。あとは計画を成功させるだけだ。
砂上の楼閣
(さじょうのろうかく)
基礎が弱く、見かけは立派でも長く維持できないもの。また、実現性の乏しい計画。『新約聖書』「マタイによる福音書」7章。イエスが、自分の教えを実行しない者を、砂の上に家を建てて嵐で倒される愚かな人にたとえた話から。十分な資金計画のない事業構想では、砂上の楼閣になりかねない。
三顧の礼
(さんこのれい)
地位の高い人が、優れた人物を迎えるために何度も訪ね、礼を尽くすこと。劉備が諸葛亮を迎えるため、その庵を三度訪ねた故事に由来する。諸葛亮自身の「前出師表」にも劉備が三度訪ねたことが記されている。社長は三顧の礼を尽くして、海外で活躍していた技術者を招いた。
鹿を指して馬となす
(しかをさしてうまとなす)
権力によって、明らかに間違っていることを正しいと言い張り、無理を押し通すこと。『史記』「秦始皇本紀」。秦の趙高が皇帝に鹿を献じて「馬です」と言い、周囲の臣下が自分に従うかどうかを試した故事から。数字の誤りを知りながら正しいと言い張るのは、鹿を指して馬となすようなものだ。
ジキルとハイド
(じきるとはいど)
一人の人間が、正反対ともいえる二つの性格や顔を持つことのたとえ。R・L・スティーブンソンの1886年の小説『ジキル博士とハイド氏』に由来。人格者ジキル博士が薬によって凶悪なハイド氏へ変身する物語から、二面性の強い人物を表すようになった。職場では温厚なのに家庭では横暴だというなら、まるでジキルとハイドだ。
獅子身中の虫
(しししんちゅうのむし)
組織や仲間の内部にいながら、その組織に害を与える者。『梵網経』『仁王経』などに見える、獅子の体内にいる虫が獅子自身の肉を食うという譬喩から。本来は仏教内部から仏法を害する者を指した。機密情報を競合会社へ流していた社員は、まさに獅子身中の虫だった。
死せる孔明、生ける仲達を走らす
(しせるこうめい、いけるちゅうたつをはしらす)
優れた人物は、死後もその威名によって人を恐れさせるということ。『三国志』諸葛亮伝の注に引く『漢晋春秋』の逸話。諸葛亮の死後、退却する蜀軍を司馬懿(仲達)が追おうとしたが、蜀軍が反撃の構えを見せたため警戒して退いたことから。創業者が亡くなって何年たっても競合会社がその戦略を警戒する様子は、死せる孔明、生ける仲達を走らすというものだ。
四面楚歌
(しめんそか)
周囲がすべて敵や反対者となり、助けのない孤立状態に陥ること。『史記』「項羽本紀」。垓下で漢軍に包囲された項羽が、四方から故郷の楚の歌を聞き、楚の人々まで漢に降ったのかと絶望した故事から。不祥事への対応を誤り、社内外から批判を受けて経営陣は四面楚歌となった。
出藍の誉れ
(しゅつらんのほまれ)
弟子が努力によって師匠よりも優れること。また、そのような評価。『荀子』「勧学」の「青は藍より取りて藍より青し」に由来。青色の染料は藍から作られるが、原料の藍より青くなることを学問・成長にたとえた。教え子が世界的な研究者になり、恩師も出藍の誉れだと喜んでいる。
守株
(しゅしゅ)
昔のやり方や一度の成功に固執し、状況の変化に対応できないこと。『韓非子』「五蠹」。宋の農夫が、兎が偶然切り株にぶつかって死んだのを見て、再び兎が来ることを期待して仕事をせず切り株を見張り続けた故事から。過去に成功した方法だけに頼る守株の姿勢では、市場の変化についていけない。
食指が動く
(しょくしがうごく)
食欲が起こること。転じて、何かを欲しい、手に入れたいという気持ちが起こること。『春秋左氏伝』宣公四年。鄭の公子宋は、人差し指が動くと珍味にありつける前兆だと言い、実際に珍しい料理が出されたという故事から。条件のよい物件ではあるが、この価格ではなかなか食指が動かない。
助長
(じょちょう)
ある傾向をさらに強めること。本来は、余計な手助けをしてかえって害を与えること。『孟子』「公孫丑上」。宋の男が苗の成長を早めようとして一本ずつ引っ張り上げ、すべて枯らしてしまった故事から。現在は悪い傾向を促進する意味で使われることが多い。根拠のない情報を拡散する行為は、社会の不安を助長する。
白河夜船
(しらかわよふね)
実際には知らないのに知ったふりをすること。また、ぐっすり眠り込んで何も知らないこと。京都へ行ったと称する人物が「白河」のことを尋ねられ、地名とは知らず川の名だと思って「夜船で通ったので知らない」と答え、嘘がばれたという話に由来する。一説には、白河を船の通れない谷川の名とする説明もある。深夜の騒ぎにも気づかず、私は白河夜船で眠っていた。
水魚の交わり
(すいぎょのまじわり)
水と魚のように、切り離すことのできないほど親密な関係。『三国志』蜀書・諸葛亮伝。劉備が諸葛亮との関係を「魚に水があるようなものだ」と語り、古参の家臣たちに理解を求めた故事から。二人は創業以来苦楽を共にしてきた、水魚の交わりともいうべき仲だ。
推敲
(すいこう)
詩や文章の字句・表現を何度も考え直し、よりよいものに練り上げること。『唐詩紀事』に伝わる賈島の逸話。詩句を「僧は月下の門を推す」とするか「敲く」とするか迷っていたところ、韓愈が「敲く」を勧めたことから、「推」「敲」の二字を取った。公開前に文章を何度も推敲し、余分な表現を削った。
杜撰
(ずさん)
誤りや手抜かりが多く、いい加減であること。『野客叢書』には、宋代の杜黙が作る詩には定形詩の規則に合わないものが多かったため、規則外れのものを「杜撰」と呼ぶようになったとある。ただし、「杜」の由来については別説もある。在庫数さえ確認していないとは、あまりに杜撰な管理だ。
酸っぱい葡萄
(すっぱいぶどう)
手に入らなかったものを「もともと価値がなかった」と考えて、自分の失敗を正当化すること。イソップ寓話「狐と葡萄」。高い場所の葡萄を取れなかった狐が、立ち去る際に「あれは酸っぱいに違いない」と自分を納得させた話から。採用されなかった会社を急に悪く言い始めるのは、酸っぱい葡萄ではないだろうか。
青天の霹靂
(せいてんのへきれき)
まったく予想していなかった重大な出来事や、突然受ける大きな衝撃。南宋の陸游の詩「九月四日鶏未鳴起作」の表現に由来する。晴れた青空に突然雷が鳴るという意から、突然の大事件を表すようになった。なお「晴天の霹靂」は標準的な表記ではない。突然の事業撤退の発表は、社員にとって青天の霹靂だった。
狭き門
(せまきもん)
入学・就職などで、競争が激しく突破するのが非常に難しいところ。『新約聖書』「マタイによる福音書」7章などの「狭き門より入れ」に由来。本来は、救いへ至る道は容易ではないというキリスト教上の教え。そこから日本語では「難関」の意味でも使われるようになった。応募者が数百人もいるこの研究職は、かなりの狭き門だ。
折檻
(せっかん)
厳しく叱ったり懲らしめたりすること。『漢書』「朱雲伝」。朱雲が皇帝に激しく諫言し、連れ出されそうになって宮殿の欄檻にしがみついたところ、それが折れたという故事から。本来は君主を強く諫める意味だった。子どもを折檻して言うことを聞かせるような教育は認められない。
先鞭をつける
(せんべんをつける)
他の人より先に、ある分野や事業に着手すること。『晋書』「劉琨伝」。劉琨が、祖逖に自分より先に馬へ鞭を当てて戦いへ出られることを恐れていた、と手紙に書いた故事から。この会社は国内企業として早くから再生可能エネルギー事業に先鞭をつけた。
糟糠の妻
(そうこうのつま)
貧しい時代から苦労を共にしてきた妻。『後漢書』「宋弘伝」。光武帝が宋弘に妻を替える気はないかと持ちかけたところ、宋弘は「糟糠の妻は堂より下さず」と答え、貧しい時から連れ添った妻を見捨てなかった故事から。成功してからも、彼は若い頃から支えてくれた糟糠の妻への感謝を忘れなかった。
ソロモンの裁き
(そろもんのさばき)
深い知恵によって、難しい争いを巧みに解決すること。また、そのような名裁定。『旧約聖書』「列王記上」3章。二人の女性が一人の赤ん坊を自分の子だと主張した際、ソロモン王が子を二つに分けるよう命じ、本当の母親が子の命を優先したことで母を見抜いた故事から。双方が納得できる案を示した仲裁役の判断は、まさにソロモンの裁きだった。

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た行の故事成語23語

故事成語・読み方意味由来・典拠例文
大器晩成
(たいきばんせい)
大人物は才能を発揮するまでに時間がかかるということ。『老子』41章の「大器は晩成す」に由来。大きな器は簡単には完成しないことを、大人物の成長にたとえた。若い頃に目立たなくても、大器晩成ということもあるので長い目で見たい。
醍醐味
(だいごみ)
物事の本当のおもしろさや、最も深い味わい。仏教で、乳を精製して「乳・酪・生酥・熟酥・醍醐」の五段階に分け、その最上とされた「醍醐」を最高の教えや涅槃にたとえたことから。そこから、物事の最も深い味わいや本当のおもしろさを表すようになった。難しい資料を読み解き、歴史の謎がつながる瞬間こそ研究の醍醐味だ。
他山の石
(たざんのいし)
他人の誤った言行や自分とは異なる事例も、自分を磨くための参考になるということ。『詩経』「小雅・鶴鳴」の「他山の石、以て玉を攻むべし」に由来。他の山の粗い石でも、自分の玉を磨く砥石にはできるという意味。競合会社の失敗を笑うのではなく、他山の石として自社の改善に生かしたい。
蛇足
(だそく)
あっても役に立たない余計なもの。付け加えたため、かえって悪くなるもの。『戦国策』の故事。蛇の絵を早く描き終えた男が余裕を見せて足まで描き加えたため、勝負に負けて酒を逃した話から。説明は十分なので、最後の一文を加えるとかえって蛇足になるだろう。
ダモクレスの剣
(だもくれすのつるぎ)
華やかな地位や幸福の陰に、常につきまとう大きな危険。シラクサの僭主ディオニュシオスが、権力者の幸福をうらやむ廷臣ダモクレスを豪華な席に座らせ、その頭上に細い糸で剣をつるしたという古典古代の逸話から。巨額の借金を抱えた急成長は、会社にとってダモクレスの剣となっている。
断腸の思い
(だんちょうのおもい)
はらわたがちぎれるほど、非常につらく悲しい思い。『世説新語』の故事。桓温の一行が子猿を捕らえると、母猿が長い距離を追い続け、船に飛び移って死んだ。その腹を見ると腸が断ち切れていたという話から。長年続けてきた店を閉めるのは、断腸の思いだった。
知音
(ちいん)
自分の心や才能を本当に理解してくれる親友。『列子』『呂氏春秋』などに伝わる伯牙と鍾子期の故事。鍾子期だけが伯牙の琴を深く理解し、彼の死後、伯牙は理解者を失ったとして琴を弾かなくなった。自分の研究を若い頃から理解してくれた彼は、まさに年来の知音だ。
竹馬の友
(ちくばのとも)
幼い頃から親しくしている友人。幼なじみ。『晋書』殷浩伝の故事。桓温が、幼い頃に自分が捨てた竹の馬を殷浩が使っていたと語ったことに由来する。現在は幼なじみの意味で定着した。彼とは小学校に入る前から付き合いのある竹馬の友だ。
地の塩
(ちのしお)
社会の腐敗を防ぎ、人々の模範となる人物のたとえ。『新約聖書』「マタイによる福音書」のイエスの言葉「あなたがたは地の塩である」に由来。塩が腐敗を防ぐことから、社会を支える人の比喩となった。地域医療に生涯をささげた医師は、まさに地の塩と呼ぶべき人物だった。
朝三暮四
(ちょうさんぼし)
目先の違いに惑わされ、実質が同じだと気づかないこと。また、言葉巧みに人をだますこと。『荘子』「斉物論」などの故事。猿に木の実を朝三つ夕方四つ与えると言うと怒ったが、朝四つ夕方三つにすると喜んだ。合計は同じ七つだった。手数料を別の名目に付け替えただけなら、利用者にとっては朝三暮四にすぎない。
太公望
(たいこうぼう)
釣りをする人、特に釣り好きの人。古代中国の呂尚の故事に由来する。渭水で釣りをしていた呂尚を周の文王が見いだし、祖先の太公が待ち望んでいた賢人だとして「太公望」と呼んだと伝えられる。その釣りの故事から、日本では釣り好きの人を「太公望」と呼ぶようになった。休日になると海へ出かける父は、筋金入りの太公望だ。
敵に塩を送る
(てきにしおをおくる)
敵や競争相手が苦境にある時、その弱みにつけ込まず助けること。戦国時代、塩不足に苦しむ武田信玄の領国に対し、敵対していた上杉謙信が塩を送ったという伝承に由来する。競合企業が災害で困っている時に資材を提供したのは、まさに敵に塩を送る行為だった。
敵は本能寺にあり
(てきはほんのうじにあり)
表向きの目的とは別のところに、本当の狙いがあること。1582年の本能寺の変で、明智光秀が羽柴秀吉の援軍として備中へ向かう途中、進路を変えて京都の本能寺にいた織田信長を襲ったことに由来する。「吾が敵は本能寺に在り」という言葉は頼山陽『日本外史』に登場し、幕末から明治期に広く知られるようになった。彼が会議に参加した本当の目的は人材の引き抜きで、敵は本能寺にありだったようだ。
天上天下唯我独尊
(てんじょうてんげゆいがどくそん)
この世界で自分ほど尊いものはない、という言葉。転じて、自分だけが偉いとうぬぼれる態度を表すこともある。釈迦の誕生にまつわる仏教伝説に由来する。釈迦は生まれると七歩歩き、天と地を指して「天上天下唯我独尊」と唱えたとされる。後世には独善的な態度を表す意味にも使われる一方、人間一人一人の尊厳を示す言葉とする解釈もある。彼は周囲の助言をまったく聞かず、天上天下唯我独尊といった態度を取っている。
天知る地知る我知る人知る
(てんしるちしるわれしるひとしる)
誰にも知られないと思ってした悪事でも、必ず知る者がいて隠し通せないということ。『後漢書』楊震伝。夜に賄賂を持ってきた王密が「誰も知りません」と言うと、楊震は天・神・自分・相手が知っていると答えて拒絶した。日本では「天知る地知る我知る人知る」の形で広まった。誰にも見つからないと思って数字をごまかしても、天知る地知る我知る人知るだ。
天王山
(てんのうざん)
勝敗や運命を決める重大な局面。1582年、羽柴秀吉と明智光秀が戦った山崎の戦いを背景に、付近の天王山が勝敗を左右する重要地点とされたことから、「勝負の分かれ目」を意味するようになった。今週の首位チームとの三連戦が、優勝争いの天王山になる。
桃源郷
(とうげんきょう)
世俗を離れた平和な理想郷。別天地。陶淵明『桃花源記』に由来。漁師が桃の林の奥で、戦乱を避けた人々の子孫が平和に暮らす別世界へ迷い込む物語から。山奥の静かな村は、都会の喧騒を忘れさせる桃源郷のようだった。
登竜門
(とうりゅうもん)
立身出世や成功につながる重要な関門。黄河の急流「竜門」を登り切った鯉は竜になるという伝承と、『後漢書』李膺伝に由来。李膺に認められることが名声を得る関門とされた。このコンクールは、若手音楽家にとって国際舞台への登竜門となっている。
蟷螂の斧
(とうろうのおの)
自分の力を考えず、強大な相手に立ち向かうことのたとえ。『荘子』などに見える、カマキリが前脚を振り上げて車に立ち向かおうとした話に由来する。小さな力で強敵に向かう無謀さを表す。巨大企業を相手に一人で訴訟を起こすのは、蟷螂の斧かもしれないが、彼は退かなかった。
怒髪天を衝く
(どはつてんをつく)
髪が逆立つほど激しく怒ること。『史記』藺相如列伝。秦王が約束を守る気がないと悟った藺相如が激怒し、その髪が冠を突き上げるほどだったという描写に由来する。長年信頼していた部下の不正を知り、社長は怒髪天を衝く勢いで怒った。
虎の威を借る狐
(とらのいをかるきつね)
権力者の力を後ろ盾にして、自分まで偉いかのように威張る人。『戦国策』楚策の寓話。狐が虎に「獣たちは私を恐れる」と言って一緒に歩かせたところ、獣たちは実際には虎を恐れて逃げたが、虎は狐の力だと思ったという話から。上司の名前を出して部下に威張る姿は、まさに虎の威を借る狐だ。
虎の尾を踏む
(とらのおをふむ)
非常に危険なことをすることのたとえ。『易経』「履卦」の「虎の尾を履む」に由来。猛虎の尾を踏むほど危険な状況を表した。不正を隠そうとして監査資料まで改ざんするのは、虎の尾を踏む行為だ。
トロイの木馬
(とろいのもくば)
味方や無害なものを装って内部に入り込み、内側から相手を害するもの。トロイア戦争の伝説で、ギリシャ軍が兵士を巨大な木馬の中に隠し、トロイア城内へ運び込ませて内部から攻撃した故事に由来する。コンピューターの不正プログラム名にも転用された。無料ソフトを装って社内ネットワークへ侵入するプログラムは、現代のトロイの木馬だ。

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な行の故事成語4語

故事成語・読み方意味由来・典拠例文
泣いて馬謖を斬る
(ないてばしょくをきる)
規律や大義を守るため、私情を捨てて親しい者や大切な者を処分すること。『三国志』蜀書・馬謖伝などに基づく故事。諸葛亮は、命令に背いて街亭の戦いで大敗した愛弟子の馬謖を、軍律を守るため処刑したと伝えられる。長年自分を支えてくれた幹部だったが、不正を見逃すことはできず、社長は泣いて馬謖を斬る決断をした。
鳴かず飛ばず
(なかずとばず)
長い間、目立った活躍や成果がないこと。『史記』楚世家などの故事。楚の荘王は即位後三年間ほとんど政務をせず、家臣から「三年間、飛びも鳴きもしない鳥」にたとえられた。その後、大いに力を発揮したため、もとは力を蓄えて機会を待つ意味を持ったが、現在は「活躍できない」の意味で使われることが多い。デビュー作は話題になったものの、その後しばらくは鳴かず飛ばずの時期が続いた。
猫の首に鈴を付ける
(ねこのくびにすずをつける)
よい案ではあっても、実行するのが危険・困難で、誰も実行役になりたがらないことのたとえ。イソップ寓話に由来。ネズミたちは猫の首に鈴を付ければ接近が分かると喜んだが、「では誰が猫に鈴を付けるのか」と問われると、誰も名乗り出なかった。部長に方針転換を進言すべきだという意見には皆賛成したが、誰が猫の首に鈴を付けるかで話が止まった。
嚢中の錐
(のうちゅうのきり)
優れた才能を持つ人は、大勢の中にいても自然に才能が現れて目立つということ。『史記』平原君列伝。毛遂が使者の一員に自薦した際、平原君は「優れた人物は袋の中の錐のように、その先が自然に外へ現れる」と語った。毛遂は同行を認められ、実際に交渉で大きな働きをした。入社してまだ半年だが、彼女の企画力は嚢中の錐で、すでに社内で注目されている。

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は行の故事成語25語

故事成語・読み方意味由来・典拠例文
背水の陣
(はいすいのじん)
一歩も退けない状況に身を置き、決死の覚悟で物事に取り組むこと。『史記』淮陰侯列伝。韓信が趙軍と戦った際、あえて川を背にして逃げ場のない陣を敷き、兵士を必死に戦わせて勝利した故事から。今回を最後の挑戦と決め、背水の陣で資格試験に臨んだ。
馬脚を現す
(ばきゃくをあらわす)
隠していた本性や悪事が、ふとしたことから明らかになること。元代の中国で盛んだった演劇・元曲に、悪事をした人物が「馬脚」が露見することを恐れる表現が見える。馬の脚を演じる役者がうっかり姿を見せてしまうことから生まれたとされるが、別の禅語から変化したという説もある。経歴について詳しく質問されるうちに、彼はとうとう馬脚を現した。
白眼視
(はくがんし)
冷たい目で見たり、冷淡に扱ったりすること。『晋書』阮籍伝。阮籍は気に入らない俗人には白眼で接し、好ましい人物には青眼を見せたという故事から。当初は突飛な研究だと白眼視されたが、後にその重要性が認められた。
白眉
(はくび)
同種の多くのものの中で、最も優れているものや人。『三国志』蜀書・馬良伝。馬氏の五人兄弟はいずれも優秀だったが、眉に白い毛のある馬良が特に優れていたという故事から。今回発表された作品の中では、この短編が白眉だと思う。
伯楽の一顧
(はくらくのいっこ)
優れた人物に認められ、それをきっかけに世に出ること。『戦国策』燕策。売れない名馬の持ち主が馬の鑑定家・伯楽に振り返って見てもらうと、人々が名馬だと思って値段が十倍になったという故事から。無名だった画家は著名な批評家の伯楽の一顧を得て、一躍注目された。
馬耳東風
(ばじとうふう)
人の忠告や意見を聞き流し、まったく心に留めないこと。唐の李白「答王十二寒夜独酌有懐」の、世人が優れた詩を聞いても、春風が馬の耳を吹き過ぎるように心を動かされないという表現から。何度注意しても彼は馬耳東風で、同じ失敗を繰り返している。
裸の王様
(はだかのおうさま)
周囲が本当のことを言わないため、自分の実情や欠点に気づいていない権力者などのたとえ。アンデルセン童話『裸の王様』に由来。王や家臣たちが「愚か者には見えない服」という嘘を認められず、子どもだけが王は裸だと指摘する物語から。社長に誰も反対意見を言えない会社では、社長が裸の王様になりかねない。
破竹の勢い
(はちくのいきおい)
非常に激しく、止めることのできない勢い。『晋書』杜預伝。呉を攻める西晋軍について、杜預が、竹は最初の数節を割れば後は一気に割れるように、この勢いなら攻め続けるべきだと主張した故事から。新商品は発売直後から破竹の勢いで売り上げを伸ばした。
破天荒
(はてんこう)
今まで誰も成し遂げられなかったことを初めてすること。唐代、荊州から科挙の合格者が出ないため同地が「天荒」と呼ばれていたところ、劉蛻が初めて合格し「天荒を破った」と称された故事から。現在は「豪快で型破り」の意味でも使われるが、本来の意味とは異なる。女性として初めてその職に就いた彼女は、当時としては破天荒の快挙を成し遂げた。
バベルの塔
(ばべるのとう)
人間の思い上がりや、実現の見込みが乏しい壮大な計画のたとえ。『旧約聖書』「創世記」11章。人々が天まで届く塔を築こうとしたため、神が言葉を互いに通じなくし、人々を各地へ散らしたという物語から。日本語では実現不可能な計画の比喩にも使われる。技術も資金もないまま世界最大の施設を造ろうという計画は、バベルの塔になりかねない。
パンとサーカス
(ぱんとさーかす)
食糧や娯楽を与えて人々の関心を政治からそらすこと。また、そのような社会状況。古代ローマの風刺詩人ユウェナリスの言葉に由来。市民が食糧と見世物を与えられて満足し、政治への関心を失った状況を批判した。政治的な問題から目をそらすための人気取り政策なら、現代版のパンとサーカスだ。
パンドラの箱
(ぱんどらのはこ)
開けたり触れたりすると、多くの災いを引き起こしかねないもの。ギリシャ神話で、パンドラが禁じられた容器を開けたため、そこからさまざまな災厄が世に広がったという物語から。「パンドラの箱を開ける」の形でも用いる。過去の不正を徹底調査すれば、思わぬ問題まで出てきてパンドラの箱を開けることになるかもしれない。
羊の皮をかぶった狼
(ひつじのかわをかぶったおおかみ)
見かけは善良そうだが、内心では悪意を持っている人物のたとえ。『新約聖書』「マタイによる福音書」にある、偽預言者は羊の衣を着て近づくが、内側は貪欲な狼であるという警告に由来する。親切そうに近づいて個人情報を聞き出す人物は、羊の皮をかぶった狼かもしれない。
人はパンのみにて生くるにあらず
(ひとはぱんのみにていくるにあらず)
人間には物質的な満足だけでなく、精神的な支えや価値も必要だということ。聖書に由来する言葉。『新約聖書』では、荒野で誘惑を受けたイエスが『旧約聖書』「申命記」の言葉を引用して答える場面に現れる。給料だけで仕事を選ぶのではなく、やりがいも大切だ。人はパンのみにて生くるにあらずである。
髀肉の嘆
(ひにくのたん)
活躍する機会がなく、才能や力を発揮できないことを嘆くこと。『三国志』蜀書の劉備の故事。長く戦場へ出ず馬にも乗らなかったため、太ももに肉がついたのを見て、功績を立てないまま年を取ることを劉備が嘆いた。能力はあるのに重要な仕事を任されず、彼は髀肉の嘆をかこっている。
豹変
(ひょうへん)
態度や考え方が急に大きく変わること。『易経』「革卦」の「君子豹変」に由来。豹の毛並みが鮮やかに変わるように、本来は君子が過ちを改め、よい方向へ明確に変わることを表した。現在は悪い方向への急変にもよく使われる。契約が成立した途端、それまで親切だった担当者の態度が豹変した。
ピュロスの勝利
(ぴゅろすのしょうり)
勝利はしたものの、犠牲が大きすぎて実質的には敗北に近い勝利。紀元前279年、エペイロス王ピュロスがアスクルムでローマ軍に勝利したものの、自軍も大きな損害を受けたことから生まれた表現。裁判には勝ったが、費用と時間を考えるとピュロスの勝利だった。
覆水盆に返らず
(ふくすいぼんにかえらず)
一度起きてしまったことは、元の状態には戻せないということ。『拾遺記』などに伝わる故事では、出世した太公望のもとへ別れた妻が復縁を求めてきた際、太公望が盆の水を地面へこぼし、「この水を元に戻せたら復縁しよう」と示したとされる。同様の話は前漢の朱買臣についても伝わる。本来は別れた夫婦が元には戻れないことを表した。一度インターネットに公開した情報は完全には消せない。覆水盆に返らずだ。
豚に真珠
(ぶたにしんじゅ)
価値の分からない人に貴重なものを与えても、役に立たないということ。『新約聖書』「マタイによる福音書」の「真珠を豚に投げてはならない」という教えに由来する。この貴重な資料も、内容に関心のない人に渡しては豚に真珠になってしまう。
ブルータス、お前もか
(ぶるーたす、おまえもか)
信頼していた親しい人物にまで裏切られた時の嘆き。紀元前44年のカエサル暗殺にまつわる伝承に由来。スエトニウスには別の形の言葉が伝えられ、「ブルータス、お前もか」の形はシェイクスピア『ジュリアス・シーザー』によって広く知られるようになった。長年の盟友まで反対側についたと知り、彼は「ブルータス、お前もか」と言いたい気分だった。
刎頸の交わり
(ふんけいのまじわり)
首をはねられても悔いないほど、生死を共にする固い友情。『史記』廉頗藺相如列伝。藺相如を敵視していた廉頗が、藺相如が国家のため争いを避けていると知って謝罪し、二人が命を預け合うほどの親友になった故事から。若い頃から幾度も苦難を共にした二人は、刎頸の交わりで結ばれていた。
弁慶の立ち往生
(べんけいのたちおうじょう)
進むことも退くこともできず、動きが取れなくなること。『義経記』に描かれた武蔵坊弁慶の最期に由来する。衣川で源義経を守って戦った弁慶は、全身に矢を受けながら立ったまま死んだと伝えられる。この「立ち往生」の伝説から、現在では進退がきかず動けなくなることにもいう。交渉相手の要求と社内規定の板挟みになり、担当者は弁慶の立ち往生となった。
弁慶の泣き所
(べんけいのなきどころ)
強い人にもある弱点。特に、打つと非常に痛い向こうずね。豪勇で知られる弁慶でさえ痛がる弱点、という発想から生まれた表現で、普通は向こうずねを指す。転じて、強者の弱点にもいう。品質では他社を圧倒しているが、価格の高さがこの商品の弁慶の泣き所だ。
判官贔屓
(ほうがんびいき)
不遇な者や弱い立場の者に同情し、味方したくなること。「判官」は源義経の官職名にちなむ呼称。兄・頼朝と対立して悲劇的な最期を迎えた義経への人々の同情から、不遇な者を応援する気持ちを表すようになった。優勝候補より初出場のチームを応援したくなるのは、私の判官贔屓かもしれない。
傍若無人
(ぼうじゃくぶじん)
周囲の人を気にせず、勝手気ままに振る舞うこと。「傍らに人無きが若し」の意。『史記』刺客列伝で、荊軻らが人目も気にせず酒を飲んで歌い騒いだ様子を表した言葉に由来する。公共の場で大声を上げ続ける傍若無人な振る舞いに、周囲は困っていた。

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ま行の故事成語7語

故事成語・読み方意味由来・典拠例文
三日天下
(みっかてんか)
権力や地位を得ても、ごく短期間で失うこと。1582年、明智光秀が本能寺の変で織田信長を倒したものの、わずか13日ほどで羽柴秀吉に敗れたことに由来する。「三日」は文字どおり三日間という意味ではなく、期間の短さを表す。新社長は就任直後に解任され、文字どおり三日天下に終わった。
矛盾
(むじゅん)
二つの事柄のつじつまが合わず、両立しないこと。『韓非子』「難一」。楚の商人が「どんな盾でも突き通す矛」と「どんな矛でも防ぐ盾」を売っていたところ、「その矛でその盾を突いたらどうなる」と問われ、答えられなかった故事から。経費を減らせと言いながら高額な設備を次々に買う方針には矛盾がある。
目から鱗が落ちる
(めからうろこがおちる)
何かをきっかけに、急に真相や物事の本質が分かること。『新約聖書』「使徒言行録」9章。キリスト教徒を迫害していたサウロ(後のパウロ)が一時目を失い、アナニアの訪問を受けると目から鱗のようなものが落ち、再び見えるようになった故事から。専門家の説明を聞いて、なぜ実験が失敗していたのか目から鱗が落ちる思いだった。
目には目を、歯には歯を
(めにはめを、はにははを)
受けた害に対して、同程度の罰や償いを科すという考え方。ハンムラビ法典や『旧約聖書』に見られる同害報復の原則に由来する。単に「復讐せよ」という意味ではなく、報復を受けた被害以上に拡大させないという側面を持つ。「目には目を、歯には歯を」を、際限のない復讐を認める言葉だと理解するのは正確ではない。
孟母三遷の教え
(もうぼさんせんのおしえ)
子どもの教育には、周囲の環境が大切であるという教え。『列女伝』「母儀」。孟子の母は、幼い孟子が墓地の近くでは葬式、市場の近くでは商売のまねをしたため住居を移し、学校の近くで礼儀作法をまねるのを見て、そこを住居に定めたという故事から。子どもの学習環境を考えて転居を決めたという話を聞き、孟母三遷の教えを思い出した。
元の木阿弥
(もとのもくあみ)
一度よくなったものが、再び以前の状態へ戻ってしまうこと。一説に、戦国武将・筒井順昭の死を隠すため、声の似た木阿弥という人物を身代わりにし、後に役目が終わると木阿弥が元の身分へ戻ったという故事からとされる。由来には諸説があるため断定しない。せっかく生活習慣を改善しても、以前の暮らしに戻れば元の木阿弥だ。
求めよ、さらば与えられん
(もとめよ、さらばあたえられん)
自ら積極的に求め、行動することで成果を得られるということ。『新約聖書』「マタイによる福音書」7章の「求めなさい、そうすれば与えられる」に由来。本来は神への祈りと信仰を説く文脈だが、日本では宗教を離れ、積極的に行動することを励ます言葉としても定着した。欲しい情報があるなら遠慮せず問い合わせてみよう。求めよ、さらば与えられんだ。

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や行の故事成語2語

故事成語・読み方意味由来・典拠例文
羊頭狗肉
(ようとうくにく)
見かけや宣伝は立派だが、実際の内容がそれに伴わないこと。「羊の頭を看板に掲げながら、実際には犬の肉を売る」という意味。「羊頭を掲げて狗肉を売る」の略で、『無門関』六則などに見える。中国にはそれ以前から「牛の首を掲げて馬肉を売る」など、よく似た表現もあった。豪華な広告とは裏腹に、実際のサービス内容は羊頭狗肉と言わざるを得なかった。
よきサマリア人
(よきさまりあびと)
困っている人に寄り添い、立場や関係にかかわらず助ける人のたとえ。『新約聖書』「ルカによる福音書」10章でイエスが語ったたとえ話に由来。強盗に襲われた旅人を他の人々が助けずに通り過ぎる中、サマリア人だけが介抱した。見ず知らずの負傷者を救護した彼の行動は、まさによきサマリア人の精神だった。

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ら行の故事成語4語

故事成語・読み方意味由来・典拠例文
李下に冠を正さず
(りかにかんむりをたださず)
悪いことをしていなくても、疑いを招くような行動は避けるべきだという戒め。『文選』所収の「君子行」の「瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず」に由来。スモモの木の下で冠を直そうと手を上げれば、実を盗んでいると疑われかねないことから。取引先から個人的な贈り物を受け取らないのは、李下に冠を正さずという考えからだ。
竜頭蛇尾
(りゅうとうだび)
初めは勢いが盛んだが、終わりになるにつれて振るわなくなること。頭は立派な竜なのに、尾は小さな蛇であるという意味。『碧巌録』第十則に見える表現で、初めは威勢がよかったものの、最後には答えに詰まった修行僧を評する場面にも用いられている。開幕直後は首位だったチームも後半に失速し、竜頭蛇尾のシーズンとなった。
ルビコン川を渡る
(るびこんがわをわたる)
後戻りのできない重大な決断をして、行動に踏み切ること。紀元前49年、カエサルが当時軍を率いて越えることを禁じられていたルビコン川を軍とともに渡り、ポンペイウスとの内戦へ踏み込んだ出来事に由来する。「賽は投げられた」と同じ事件を背景に持つ。安定した会社を辞めて起業を決めた時、彼はついにルビコン川を渡った。
老馬の智
(ろうばのち)
経験を積んだ人には、それだけの優れた知恵があるということ。『韓非子』「説林上」。斉の桓公らが遠征からの帰路で道に迷った際、管仲が「老馬の智を用いるべきだ」と言って老馬を放ち、その後について行くことで帰路を見つけた故事から。「老馬の知」とも書く。新しい技術も重要だが、現場を三十年経験した職人の老馬の智にも耳を傾けたい。

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