峯村部材店主

横文字・外来語一覧402語|意味・使い方・英語の発音

ニュース、討論番組、政治・行政、ビジネス会議、ITなどで使われる横文字・外来語402語を、五十音順にまとめました。各語について、元になった英語などの原語、アメリカ英語・イギリス英語の発音、社会人向けの意味、具体的な使用方法を掲載しています。意味が曖昧な言葉や、日本語で独自の使われ方をする言葉を確認するときにご活用ください。

横文字・外来語402語一覧

横文字・原語・発音 意味 使用方法
アーキテクチャ
architecture
米 /ˈɑːr.kə.tek.tʃɚ/
英 /ˈɑː.kɪ.tek.tʃə/
IT・システム開発で、システムやソフトウェアを構成する要素と、その役割・接続関係・相互作用をどのように組み合わせるかという全体構造や設計上の基本方針。単に個々の機能を並べたものではなく、コンポーネント同士をどう連携させ、システム全体として成立させるかを表す。 「既存システムのアーキテクチャを見直し、将来の機能追加に対応しやすい構成へ変更する」のように使う。IT・システム開発で、システム全体の構造や設計方針について説明するときによく用いられる。
アイデンティティ
identity
米 /aɪˈden.t̬ə.t̬i/
英 /aɪˈden.tə.ti/
自分が何者であるかという自己認識・自己同一性。また、特定の集団・文化・地域などへの帰属意識を指すこともある。英語 identity は、人や物の「身元・正体」「同一性」などさらに広い意味を持つが、日本語の「アイデンティティ」は主に自己認識などの抽象的な意味で使われる。 「地域の歴史や文化は、その土地のアイデンティティを形づくる重要な要素になっている」のように使う。個人・集団・組織などが、自分自身をどのような存在として認識しているか、またその存在を特徴づけるものについて述べる場面でよく用いられる。
アウティング
outing
米 /ˈaʊ.t̬ɪŋ/
英 /ˈaʊ.tɪŋ/
本人の同意なく、その人の性的指向や性自認など、本人が公にしていないセクシュアリティに関する情報を第三者に暴露すること。本人が自ら伝える「カミングアウト」とは異なる。英語 outing には「遠足・小旅行」という別の基本義もあるが、日本語の「アウティング」は主にこのプライバシー侵害に関する意味で使われる。 「本人の同意なく性的指向や性自認を周囲に伝えることは、アウティングに当たる場合がある」のように使う。本人が公表していない性的指向・性自認などの私的な情報を、第三者が本人の同意なく明らかにする行為について用いられる。
アウトカム
outcome
米 /ˈaʊt.kʌm/
英 /ˈaʊt.kʌm/
取り組みや施策などによって最終的に生じた成果・効果・結果。特に政策、医療、事業などで、単に何かを実施・作成したことではなく、それによって実際にどのような変化や効果が生じたかを指す。英語 outcome は一般に「結果」を広く意味するが、日本語の「アウトカム」は成果・効果を評価する文脈で使われることが多い。 「研修の実施回数だけでなく、参加者の能力向上というアウトカムまで確認する必要がある」のように使う。政策・医療・教育・事業評価などで、取り組みを行った結果として対象者や社会に生じた変化・効果について述べる場面でよく用いられる。単なる実施量や成果物を表すアウトプットとは区別される。
アウトソーシング
outsourcing
米 /ˈaʊtˌsɔːr.sɪŋ/
英 /ˈaʊtˌsɔː.sɪŋ/
企業・組織が、業務や機能の一部または全部を外部の企業・専門業者などに委託すること。コスト削減だけでなく、外部の専門知識や技術を活用したり、自社の人員・経営資源を重要な業務へ集中させたりする目的でも行われる。単に海外へ業務を移すことを意味する言葉ではない。 「経理業務の一部を専門会社へアウトソーシングし、社内の負担を減らす」のように使う。企業や組織が、経理・IT運用・物流などの業務の全部または一部を外部の専門会社へ委託する場面でよく用いられる。単発の外注よりも、一定の業務機能を継続的に外部へ任せる文脈で使われることが多い。
アウトプット
output
米 /ˈaʊt.pʊt/
英 /ˈaʊt.pʊt/
仕事や活動によって生み出された成果物・産出物。また、日本のビジネスや学習の場面では、得た知識や考えを文章・発言・制作物などの形で外へ表すことも指す。英語 output は、生産量、機械・コンピューターからの出力などさらに広い意味を持つ。 「会議で話し合うだけで終わらせず、具体的な提案書としてアウトプットする」のように使う。仕事・学習などで、得た知識や考え、作業の結果を文章・資料・発表などの具体的な形として外へ出す場面でよく用いられる。政策・事業評価では、活動によって直接生み出された成果物や実施量を指し、最終的な効果を表すアウトカムとは区別される。
アウトリーチ
outreach
米 /ˈaʊt.riːtʃ/
英 /ˈaʊt.riːtʃ/
支援や情報を必要としているものの、自ら相談窓口などへ来ることが難しい人々に対し、支援する側から積極的に働きかけ、必要なサービスや情報を届けること。福祉、医療、行政、教育などで使われる。英語 outreach は、より広く、地域や対象者のもとへ出向いて情報・サービスを届けたり、関係を築いたりする活動を指す。 「行政から支援を求めに来るのを待つだけでなく、担当者が地域へ出向いてアウトリーチを行う」のように使う。福祉・医療・行政などで、支援や情報を必要としていても自ら相談につながりにくい人へ、支援する側から積極的に接触する場面でよく用いられる。
アカウンタビリティ
accountability
米 /əˌkaʊn.t̬əˈbɪl.ə.t̬i/
英 /əˌkaʊn.təˈbɪl.ə.ti/
自分や組織の判断・行動・結果について責任を負い、その内容や理由を説明・報告し、必要に応じて責任を問われること。「説明責任」と訳されることが多いが、単に説明するだけでなく、結果について責任を引き受けることまで含む。 「公的資金を使う事業では、意思決定の根拠や成果についてアカウンタビリティを果たす必要がある」のように使う。政治・行政・企業経営などで、判断や行動の理由・経緯・結果を関係者へ説明し、その結果について責任を負う場面でよく用いられる。日本語では「説明責任」と訳されることが多い。
アクションアイテム
action item
米 /ˈæk.ʃən ˌaɪ.t̬əm/
英 /ˈæk.ʃən ˌaɪ.təm/
会議や打ち合わせなどで決まった、今後具体的に実行すべき課題・作業。通常は「誰が何をするか」を明確にし、必要に応じて期限も設定する。アジェンダが会議で話し合う事項なのに対し、アクションアイテムは話し合った結果として残る実行事項を指す。 「会議で決まったアクションアイテムについて、担当者と期限を確認しておこう」のように使う。会議・打ち合わせ・プロジェクト管理などで、話し合いの結果として実際に行うべき具体的な作業や対応事項を整理する場面でよく用いられる。担当者や期限とセットで管理されることが多い。
アクションプラン
action plan
米 /ˈæk.ʃən ˌplæn/
英 /ˈæk.ʃən ˌplæn/
目標の達成や問題の解決に向けて、具体的に何をどのように実行するかを整理した計画。複数の行動や担当、期限などを組み合わせた実行計画を指し、個々の具体的な作業であるアクションアイテムより広い概念。 「売上目標を達成するため、担当者と期限を明確にしたアクションプランを作成する」のように使う。企業経営・プロジェクト・行政などで、目標や課題に対して、何を・誰が・いつまでに行うかを具体的な行動計画として整理する場面でよく用いられる。
アクセシビリティ
accessibility
米 /əkˌses.əˈbɪl.ə.t̬i/
英 /əkˌses.əˈbɪl.ə.ti/
製品、サービス、情報、施設などを、障害のある人を含む多様な利用者が利用でき、必要な情報や機能へ到達できるようにする考え方や、その利用しやすさ。IT分野では特に、ウェブサイトやアプリを、視覚・聴覚・身体・認知などにさまざまな特性のある人でも利用できるよう設計することを指す。 「ウェブサイトのアクセシビリティを改善する」「情報のアクセシビリティを確保する」のように使う。ウェブ・アプリ・公共サービス・施設などで、障害の有無などにかかわらず必要な情報や機能を利用できるようにする場面で用いられる。単なる使いやすさだけを指す「ユーザビリティ」とは重なる部分があるが、アクセシビリティは特に利用上の障壁を取り除くことに重点がある。
アクティビスト
activist
米 /ˈæk.tə.vɪst/
英 /ˈæk.tɪ.vɪst/
政治・社会・環境・人権などについて変化を求め、抗議、啓発、キャンペーン、支援活動などに積極的に参加する人。日本語では「活動家」と訳されることが多い。必ずしも過激な行動をする人を意味するわけではなく、特定の社会的・政治的な目的のために継続して行動する人を広く指す。 「環境アクティビストが開発計画の見直しを求めた」「人権アクティビストが差別の問題を訴えている」のように使う。政治、環境、人権、労働、ジェンダーなどの分野で、社会的・政治的な変化を求めて活動する人について用いられる。「アクティビスト」という語だけで、暴力的・過激な人物という意味になるわけではない。
アクティブ運用
active management / active investment management
米 /ˈæk.tɪv ˈmæn.ɪdʒ.mənt/
英 /ˈæk.tɪv ˈmæn.ɪdʒ.mənt/
市場平均や基準となる指数(ベンチマーク)を上回る運用成績を目指し、運用者が銘柄の選択や売買時期、資産配分などを判断して行う投資運用。市場指数への連動を主に目指すパッシブ運用と対比される。積極的に売買回数を増やすこと自体を意味するわけではない。 「市場平均を上回る運用成績を目指して、国内株式をアクティブ運用する」のように使う。投資信託・年金・資産運用などで、運用担当者が銘柄や投資比率を選び、特定の市場指数を上回る成果を目指す運用について用いられる。指数への連動を目指すパッシブ運用とは区別される。
アサーション
assertion
米 /əˈsɝː.ʃən/
英 /əˈsɜː.ʃən/
相手の気持ちや考えを尊重しながら、自分の気持ちや考えも、その場に適した表現で率直に伝えるコミュニケーション方法。自分の意見だけを押し通すことでも、相手に合わせて自分の意見を抑えることでもなく、自分と相手の双方を尊重して意思を伝える考え方である。 「相手の意見を尊重しながら、自分の考えも率直に伝えるアサーションを身につける」のように使う。職場・教育・人間関係などで、自分の意見や感情を適切に表現しながら、相手の立場も尊重するコミュニケーションについて用いられる。単に自己主張を強くすることではない。
アサイン
assign
米 /əˈsaɪn/
英 /əˈsaɪn/
人を特定の業務・役割・プロジェクトなどに割り当てたり、担当者として任命・配置したりすること。また、業務や課題を特定の人に割り当てることもいう。英語 assign は人や仕事だけでなく、座席・数値などを割り当てる場合にも使われるが、日本語の「アサイン」は主にビジネスで人員や業務を割り当てる意味で使われる。 「新しいプロジェクトの責任者として、経験のある社員をアサインする」のように使う。企業・IT・プロジェクト管理などで、人を特定の仕事・役割・案件へ担当者として割り当てる場面でよく用いられる。
アセスメント
assessment
米 /əˈses.mənt/
英 /əˈses.mənt/
対象の状態、状況、ニーズ、課題、危険性などについて情報を集め、評価・分析すること。医療・介護・福祉では本人の心身や生活の状況、必要な支援などを把握して支援計画につなげる作業を指し、人事やリスク管理など他分野でも、判断や対策を行う前の評価・分析という意味で使われる。 「支援を始める前に、本人の生活状況や必要としている支援をアセスメントする」のように使う。医療・介護・福祉・人事・リスク管理などで、対象の状態や課題、必要性、危険性などについて情報を集め、判断や対策の前提となる評価・分析を行う場面でよく用いられる。
アセット
asset
米 /ˈæs.et/
英 /ˈæs.et/
企業や個人が持つ、経済的な価値のある資産。また、ビジネスでは知識・技術・ブランド・人材など、将来の価値や利益を生み出す有用な資源を指すこともある。ITでは、機器・ソフトウェア・データなどを情報資産としてアセットと呼ぶことがある。 「長年蓄積してきた技術やブランドを、会社の重要なアセットとして活用する」のように使う。金融では現金・株式・不動産などの資産、ビジネスでは技術・ブランド・顧客基盤など価値を生み出す強みについて用いられる。IT分野では画像・動画・データなどのデジタル素材を指す場合もある。
アジェンダ
agenda
米 /əˈdʒen.də/
英 /əˈdʒen.də/
会議や打ち合わせで、何について話し合うかをあらかじめ整理した議題・検討事項、またはその一覧。話し合う順序や時間配分などを含むこともある。英語 agenda はさらに、政府・組織・個人などが実現しようとする政策課題・行動方針という意味でも使われる。 「今日の会議では、来年度の予算案を最初のアジェンダとして議論する」のように使う。会議では話し合う議題・議事予定を指し、政治・行政・経営では今後取り組むべき重要課題という意味でも用いられる。単なる日程を表すスケジュールとは区別される。
アジャイル
agile
米 /ˈædʒ.əl/(/ˈædʒ.aɪl/もあり)
英 /ˈædʒ.aɪl/
状況の変化に素早く柔軟に対応すること。特にビジネスやITでは、最初から詳細な計画を固定するのではなく、小さな単位で実行・確認・改善を繰り返しながら進める考え方や手法を指す。英語 agile は一般に「機敏な・素早く動ける」という意味だが、日本語ではアジャイル開発・アジャイル経営などの専門的な用法が強い。 「最初からすべての仕様を固定せず、小さく開発と改善を繰り返すアジャイルな進め方を採用する」のように使う。ソフトウェア開発やプロジェクト管理などで、短い単位で実行・確認・改善を繰り返し、状況の変化へ柔軟に対応する進め方についてよく用いられる。単に速く作ることや、計画を立てずに進めることを意味するわけではない。
アップサイクル
upcycle
米 /ˈʌpˌsaɪ.kəl/
英 /ˈʌpˌsaɪ.kəl/
本来は捨てられる物や不要になった素材を活用し、新たな工夫や加工を加えて、元より価値の高い製品や用途へ生まれ変わらせること。資源として再生する一般的なリサイクルに対し、素材や製品の価値を高めながら再利用することを重視する。 「廃材をアップサイクルして家具を作る」「不要になった衣類をアップサイクルした商品を販売する」のように使う。廃棄される物や不要品を、そのまま再使用するだけでなく、デザインや加工を加えて新しい用途やより高い価値を持つ製品へ変える場合に用いられる。一般的なリサイクルと区別して、素材や製品の価値を高めながら再利用する点を強調するときに使われる。
アップスキリング
upskilling
米 /ʌpˈskɪl.ɪŋ/
英 /ʌpˈskɪl.ɪŋ/
現在の仕事や職務に必要な知識・技能を高めたり、新しい技能を身につけたりして、能力を向上させること。特に、技術や業務環境の変化に対応するため、既存の職務に関連する技能を強化することを指す。別の職務へ移るために新たな技能を身につける「リスキリング」とは区別される。 「データ分析の知識を身につけるため、社員向けのアップスキリング研修を実施する」のように使う。人材育成・企業研修などで、現在の仕事や職種に必要な知識・技能をさらに高める場面でよく用いられる。新しい職務へ対応するため別の技能を身につけるリスキリングとは区別される。
アテンションエコノミー
attention economy
米 /əˈten.ʃən ɪˈkɑː.nə.mi/
英 /əˈten.ʃən ɪˈkɒn.ə.mi/
人が向けられる注意や時間には限りがあると考え、その「注意」を希少な資源として、企業やメディアなどが獲得しようと競争する経済の仕組み。特にSNS、動画配信、ニュース、広告などで、利用者の関心を引きつけ、できるだけ長く維持することが収益につながる状況を指す。 「SNSでは利用者の滞在時間を伸ばし、広告につなげるアテンションエコノミーの仕組みが働いている」のように使う。SNS・動画配信・広告・ニュースなどで、人々の限られた注意や時間を獲得することが経済的価値につながる仕組みについてよく用いられる。
アドバンスケアプランニング
Advance Care Planning
米 /ədˈvæns ker ˈplænɪŋ/
英 /ədˈvɑːns keə ˈplænɪŋ/
将来の「もしものとき」に備えて、自分が大切にしたいことや、どのような医療・ケアを望むかを前もって考え、家族や大切な人、医療・ケアチームなどと繰り返し話し合い、共有していく取り組み。略して「ACP」といい、日本では「人生会議」という愛称でも呼ばれる。 「本人が大切にしたいことや希望する医療・ケアについて、元気なうちから家族や医療・ケアチームと話し合うアドバンスケアプランニングを進める」のように使う。医療・介護などで、将来自分の意思を伝えにくくなる場合に備え、本人が望む医療・ケアや大切にしたいことについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する場面で用いられる。日本では「人生会議」とも呼ばれる。
アドボカシー
advocacy
米 /ˈæd.və.kə.si/
英 /ˈæd.və.kə.si/
特定の考え方・政策・社会的課題などについて支持を表明し、その実現や改善を求めて働きかけること。また、福祉・医療などでは、自分の意思や権利を十分に表明しにくい人に代わって、または本人を支援しながら、その権利や希望が尊重されるよう働きかけることを指す。 「患者団体が制度改善を求めてアドボカシー活動を行う」「子どもの権利を守るためにアドボカシーを進める」のように使う。政策、人権、福祉、医療、環境などで、特定の考え方や課題への支持を広げたり、政策変更を働きかけたり、本人だけでは意思や権利を十分に表明しにくい人を支援したりする活動について用いられる。単なる宣伝ではなく、権利擁護や社会的な働きかけを含むことが多い。
アファーマティブアクション
affirmative action
米 /əˌfɜːrmətɪv ˈækʃn/
英 /əˌfɜːmət ˈækʃn/
過去または現在の差別や制度上・社会上の障壁によって不利な立場に置かれてきた集団について、教育、雇用、昇進などの機会格差を是正するために積極的な措置を講じる考え方や施策。具体的な制度や法的位置づけは国・地域によって異なり、一定人数を機械的に割り当てるクオータ制だけを意味するものではない。 「過去から続く不平等を是正するため、大学入学や採用でアファーマティブアクションを導入すべきか議論されている」のように使う。政治・教育・雇用などで、歴史的・社会的に不利な立場に置かれてきた集団の機会を改善するための積極的な是正措置について用いられる。特定人数を必ず割り当てるクオータ制だけを意味するものではない。
アライアンス
alliance
米 /əˈlaɪəns/
英 /əˈlaɪəns/
共通の目的や利益のために、複数の国・企業・組織などが協力関係を結ぶこと、またはその連携関係。ビジネスでは、企業同士がそれぞれの強みや経営資源を活用するために提携することを指す場合が多い。英語 alliance は、国家間の同盟から企業・団体間の協力関係まで広く使われる。 「両社は海外市場での販売を強化するため、戦略的アライアンスを結んだ」のように使う。企業経営などで、複数の企業・組織が独立性を保ちながら、共同開発・販売・技術協力など共通の目的のために提携する場面でよく用いられる。合併とは異なり、それぞれの組織が独立したまま協力することが基本。
アラインメント
alignment
米 /əˈlaɪn.mənt/
英 /əˈlaɪn.mənt/
複数の方針・目標・活動・認識などの方向性をそろえ、互いに矛盾しないよう整合させること。ビジネスでは、経営戦略と部門目標、組織と個人の目標、関係者間の認識などを共通の目的に向けて一致・調整させる意味で使われる。物理的に位置をそろえるという英語本来の意味もあるが、日本語のビジネス用法では「方向性や目的をそろえる」という意味が中心。 「経営方針と各部門の目標をアラインメントし、組織全体で同じ方向を目指す」のように使う。企業経営・組織運営などで、戦略・目標・認識・活動などの方向性をそろえ、互いに整合させる場面でよく用いられる。単に全員が同じ意見になることではなく、共通の目的に向けて矛盾なく動ける状態を指す。
アルゴリズム
algorithm
米 /ˈæl.ɡə.rɪ.ðəm/
英 /ˈæl.ɡə.rɪ.ðəm/
問題を解いたり、目的の結果を得たりするために、処理の手順や規則を定めたもの。特にITでは、コンピューターがデータを処理したり、検索結果・表示順・推薦内容などを決めたりするための計算手順や処理方法を指す。単なるコンピュータープログラムそのものではなく、プログラムを動かすための考え方や手順を表す言葉である。 「動画配信サービスでは、視聴履歴などをもとにアルゴリズムがおすすめ動画を表示する」のように使う。IT・AI・検索・SNSなどで、ある目的を達成するために情報をどのような順序や条件で処理するかという手順・計算方法について用いられる。AIそのものやプログラムそのものと同じ意味ではない。
アルムナイ
alumni
米 /əˈlʌm.naɪ/
英 /əˈlʌm.naɪ/
学校・組織などの卒業者・出身者。日本の人事分野では特に、企業を退職した元社員や、その元社員とのネットワークを指すことが多く、再雇用や人材交流などに活用される。英語 alumni は本来 alumnus などの複数形で、学校の卒業生・元在籍者などを広く指すが、日本語では「企業の退職者」という意味が強くなっている。 「退職した社員とのつながりを維持するため、アルムナイ向けの交流会を開催する」のように使う。日本の人事・採用分野では、主に会社を退職した元社員やそのネットワークを指し、「アルムナイ採用」「アルムナイネットワーク」などの形で用いられる。英語の alumni は学校の卒業生なども広く指す。
アンコンシャスバイアス
unconscious bias
米 /ʌnˌkɑːn.ʃəs ˈbaɪ.əs/
英 /ʌnˌkɒn.ʃəs ˈbaɪ.əs/
自分では気づかないまま持っている思い込み・偏見・先入観が、人や物事の見方、判断、行動に影響すること。性別、年齢、職業、出身などに関する思い込みが、採用・評価・役割分担などへ影響する場面を含む。 「採用や評価でアンコンシャスバイアスの影響を減らす」「自分のアンコンシャスバイアスに気づく」のように使う。人事、組織運営、ダイバーシティ推進などで、性別・年齢・学歴・職種などに対する無意識の思い込みが判断や人間関係へ影響する場面を説明するときに用いられる。誰にでも起こり得るため、特定の人を非難する言葉としてではなく、思い込みに気づき判断を見直す文脈で使うのが一般的。
アンラーニング
unlearning
米 /ˌʌnˈlɜːrnɪŋ/
英 /ˌʌnˈlɜːnɪŋ/
これまで身につけてきた知識・考え方・仕事の進め方などのうち、現在の状況に合わなくなったものを意識的に見直し、必要に応じて手放したり修正したりして、新しい考え方や方法を取り入れられるようにすること。単に忘れることではなく、既存の前提や習慣を問い直して学び直すことを重視する。 「従来の成功体験をアンラーニングする」「管理職にアンラーニングが求められる」のように使う。事業環境や技術が変化したとき、以前は有効だった知識・習慣・前提をそのまま使い続けず、意識的に見直して新しい方法を学び直す場面で用いられる。単に忘れることではなく、古い前提を手放し、新しい考え方を取り入れやすくすることを指す。
イールドカーブ
yield curve
米 /ˈjiːld kɜːrv/
英 /ˈjiːld kɜːv/
満期までの期間が異なる債券などについて、期間と利回り(金利)の関係を曲線で表したもの。「利回り曲線」ともいう。一般に横軸に満期までの期間、縦軸に利回りをとり、短期から長期までの金利水準がどのようになっているかを示す。 「長期金利が短期金利を下回り、イールドカーブが逆転したことから、景気の先行きを警戒する見方が広がった」のように使う。金融・債券市場で、償還までの期間が異なる債券の利回りを並べ、短期から長期までの金利の関係を示すときに用いられる。右下がりになる状態は「逆イールド」と呼ばれ、景気の先行きを分析する材料として注目されることがある。
イシュー
issue
米 /ˈɪʃuː/
英 /ˈɪʃuː/
検討・議論・解決の対象となっている重要な論点や課題。英語 issue は広く「話題・問題・論点」を意味するが、日本語のビジネス用法では、単なる問題一般ではなく、優先して考えたり答えを出したりすべき論点・課題という意味で使われることが多い。 「このプロジェクトの主要なイシューを整理する」「まず解くべきイシューを特定する」のように使う。会議、企画、コンサルティング、問題解決などで、何について考え、判断し、解決すべきかを明確にするときに用いられる。単なる作業項目や軽微な不具合ではなく、意思決定や成果に影響する重要な論点を指す場合が多い。
イデオロギー
ideology
米 /ˌaɪ.diˈɑː.lə.dʒi/
英 /ˌaɪ.diˈɒl.ə.dʒi/
政治・社会・経済などについての考え方や信念を体系的にまとめたもの。また、個人や集団の判断・行動の基礎となる考え方の体系を指す。英語 ideology は政治思想に限らず、個人・集団・文化などに特徴的な考え方を広く意味するが、日本語の「イデオロギー」は政治・社会思想の文脈で使われることが多い。 「政治的イデオロギーの違いが対立の背景にある」「特定のイデオロギーに基づく政策」のように使う。政治、社会、歴史、思想などで、政党・組織・集団の判断や行動の基礎となる考え方・信念の体系を説明するときに用いられる。日本語では政治思想の文脈が特に多いが、原語では組織や集団を支える信念・原則の体系にも使われる。
イニシアチブ
initiative
米 /ɪˈnɪʃ.ə.t̬ɪv/
英 /ɪˈnɪʃ.ə.tɪv/
物事を自ら率先して始め、主導して進める力・姿勢、または主導権。また、政策・事業などで、特定の目的を達成するために新たに始められた構想・取り組みを指すこともある。英語 initiative も「率先して行動する能力」と「新しい計画・取り組み」の両方の意味を持つため、文脈によって区別する必要がある。 「新しい国際ルールづくりで、日本がイニシアチブを取ることが求められている」のように使う。政治・外交・企業経営などで、他者に先んじて行動し、議論や活動を主導する場面でよく用いられる。また「国際イニシアチブ」のように、新しい取り組み・構想そのものを指す場合もある。
イノベーション
innovation
米 /ˌɪn.əˈveɪ.ʃən/
英 /ˌɪn.əˈveɪ.ʃən/
新しい、または大きく改善した製品・サービス・仕組み・方法などを実際に導入・普及させ、新たな価値や変化を生み出すこと。また、そのような革新。単に新しいアイデアや技術を考え出すだけでなく、それを実用化し、社会や事業で使われるようにすることまで含む。 「新しい技術を導入するだけでなく、それを新たな製品やサービスにつなげてイノベーションを起こす」のように使う。企業経営・技術開発・産業政策などで、新しい技術・製品・サービス・仕組みによって新たな価値や大きな変化を生み出す場面でよく用いられる。単なる発明や新技術の開発だけを意味するものではない。
インカムゲイン
income gain
米 /ˈɪnkʌm ɡeɪn/
英 /ˈɪnkʌm ɡeɪn/
株式・債券などの資産を保有している間に得られる収入。代表的なものに株式の配当、債券や預金の利息、投資信託の分配金などがある。資産そのものの値上がりや売却によって得る「キャピタルゲイン」と区別される。 「値上がり益だけでなく、配当によるインカムゲインを重視して投資先を選ぶ」のように使う。株式・債券・不動産などの資産運用で、資産を保有している間に受け取る配当・利息・賃料などの収益について用いられる。資産を売却して得る値上がり益であるキャピタルゲインとは区別される。
インキュベーション
incubation
米 /ˌɪŋkjuˈbeɪʃn/
英 /ˌɪŋkjuˈbeɪʃn/
起業家や創業間もない企業、新しい事業などが成長・事業化できるように、施設、資金調達、経営相談、販路開拓、技術・人脈などの面から育成・支援すること。英語 incubation は本来、卵を「ふ化させること」や病気の「潜伏」なども意味するが、日本語のビジネスでは主に起業・新事業を育てる支援という意味で使われる。 「自治体と大学が連携し、起業を目指す人を支援するインキュベーション施設を開設した」のように使う。起業支援・スタートアップ・新規事業などで、事業の立ち上げや成長に必要な場所・専門知識・資金調達・人脈などを提供し、企業や事業を育成する場面でよく用いられる。
インクルーシブ教育
inclusive education
米 /ɪnˌkluːsɪv ˌedʒuˈkeɪʃn/
英 /ɪnˌkluːsɪv edʒuˈkeɪʃn/
障害の有無などにかかわらず、すべての人が排除されず、必要な支援を受けながら共に学べるようにする教育の考え方。日本の教育政策では特に、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導や支援を行うことを重視する。 「障害の有無にかかわらず、できる限り共に学べるよう、インクルーシブ教育の環境整備を進める」のように使う。教育政策・学校教育などで、障害のある子供と障害のない子供が共に学ぶ機会を確保しながら、一人一人の教育的ニーズに応じた支援や合理的配慮を行う考え方について用いられる。単に全員を常に同じ教室で学ばせることだけを意味するものではない。
インクルージョン
inclusion
米 /ɪnˈkluːʒn/
英 /ɪnˈkluːʒn/
組織や社会で、性別、年齢、障害、国籍などさまざまな違いを持つ人々が、一員として受け入れられ、活動や意思決定に参加し、それぞれの能力や個性を発揮できる状態。また、そのような状態をつくるための取り組み。英語 inclusion は一般には「含めること・包含」も意味するが、日本語のビジネスでは、ダイバーシティやDEIの文脈で「多様な人を受け入れ、活躍できるようにすること」という意味が強い。 「多様な人材を採用するだけでなく、誰もが意見を出しやすい職場にするため、インクルージョンを進める必要がある」のように使う。企業・人事・社会政策などで、異なる背景や特性を持つ人々を排除せず、参加し、尊重され、能力を発揮できる環境をつくることを指す。単に多様な人が存在することを表すダイバーシティとは区別される。
インサイト
insight
米 /ˈɪn.saɪt/
英 /ˈɪn.saɪt/
物事の本質や背景を深く理解すること、またはそこから得られる洞察・気づき。ビジネスでは、データや観察などから、表面には現れにくい原因・傾向・人の心理やニーズなどを読み解いて得た重要な理解を指す。特にマーケティングでは、顧客・消費者の行動の背景にある動機や欲求についての洞察という意味で使われることが多い。 「顧客へのインタビューを分析し、商品が選ばれない理由について新たなインサイトを得た」のように使う。マーケティング・商品開発・データ分析などで、表面的なデータや発言だけでは分からない、人の行動・ニーズ・問題の背景にある本質的な気づきや理解を指す。単なる情報や分析結果そのものとは区別される。
インシデント
incident
米 /ˈɪn.sɪ.dənt/
英 /ˈɪn.sɪ.dənt/
予期しない出来事や問題事象。特にIT・情報セキュリティでは、情報システムや情報の機密性・完全性・可用性を損なう、またはそのおそれがある事象、セキュリティ方針違反など、対応が必要な出来事を指す。一般英語では、好ましくない出来事や異常な出来事というより広い意味を持つ。 「セキュリティインシデントが発生した」「インシデントの原因を調査する」のように使う。IT運用・情報セキュリティでは、不正アクセス、情報漏えい、マルウェア感染、サービス障害など、対応・復旧が必要な事象をまとめて指す場面でよく用いられる。単なる観測上の「イベント」より、組織への影響や対応の必要性がある事象という意味合いが強い。
インセンティブ
incentive
米 /ɪnˈsen.t̬ɪv/
英 /ɪnˈsen.tɪv/
人に特定の行動を取るよう促す動機づけや誘因。また、そのために与えられる報酬・優遇措置など。ビジネスでは、成果に応じた報酬や賞与などを指すことが多いが、税制優遇や制度上の利益など、行動を促す仕組み全般を指すこともある。 「省エネ設備への投資を促すため、企業に補助金というインセンティブを与える」のように使う。企業経営・人事・経済政策などで、人や企業に特定の行動を取ってもらうための動機づけや誘因を指す。賞与や補助金などの金銭に限らず、昇進・表彰・制度上の優遇などもインセンティブになり得る。
インターフェース
interface
米 /ˈɪn.t̬ɚ.feɪs/
英 /ˈɪn.tə.feɪs/
人とコンピューター、機器同士、ソフトウェア同士など、異なる二つのものが接続し、情報や操作をやり取りするための接点・仕組み。画面や操作方法を指す「ユーザーインターフェース」だけでなく、機器間の接続やソフトウェア同士の連携部分なども含む。 「利用者が迷わず操作できるよう、アプリのインターフェースを分かりやすく設計する」のように使う。IT・機器などで、人と機械、機器同士、ソフトウェア同士が情報や操作をやり取りするための接点・仕組みを指す。画面や操作部分を指すユーザーインターフェースが代表的だが、画面だけを意味する言葉ではない。
インテリジェンス
intelligence
米 /ɪnˈtel.ə.dʒəns/
英 /ɪnˈtel.ɪ.dʒəns/
意思決定や判断に役立てるために、収集した情報を分析・評価して得られた情報や知見。特に外交・安全保障では、各種の情報を集めて分析し、政策判断や対応に活用する情報を指す。ビジネスでは、市場・競合・顧客などに関する情報を分析して経営判断に生かす意味でも使われる。英語 intelligence には、これとは別に「知能・理解力」という基本的な意味もある。 「海外市場への参入を判断するため、各国の政策や競合企業に関するインテリジェンスを収集・分析する」のように使う。安全保障・外交・企業経営などで、さまざまな情報を収集・分析・評価し、意思決定に役立てられる形にした情報を指す。秘密情報だけに限らず、公開情報を分析して得られるものも含まれる。
インデックス
index
米 /ˈɪn.deks/
英 /ˈɪn.deks/
複数の銘柄や資産などの値動きを一定のルールでまとめ、市場・市場区分・投資戦略などの動きを測るための指数。金融では日経平均やS&P 500のような市場指数を指し、指数への連動を目指す投資は「インデックス投資」と呼ばれる。ITでは検索を速くするための索引など別の意味もある。 「市場全体の値動きを示すインデックスに連動する投資信託を購入する」のように使う。金融・投資では、複数の銘柄などから市場や経済の動きを示す指数を指し、「インデックス投資」「インデックスファンド」などの形でよく用いられる。ITでは、データを効率よく検索するための索引や、検索エンジンへの登録という別の意味でも使われる。
インフォームドコンセント
informed consent
米 /ɪnˌfɔːrmd kənˈsent/
英 /ɪnˌfɔːmd kənˈsent/
医療や研究などで、患者・参加者が目的、方法、期待される効果、危険性、代替手段などについて十分な説明を受け、内容を理解したうえで、自らの意思で同意すること。「説明と同意」と訳される。単に同意書へ署名することではなく、必要な情報を得て理解し、自由に判断する過程を重視する。 「治療の目的や効果、副作用、ほかの選択肢について説明を受け、患者本人が納得したうえでインフォームドコンセントを行う」のように使う。医療や臨床研究で、患者・参加者が必要な情報を理解し、質問する機会を得たうえで、強制されずに参加や治療へ同意する過程を指す。署名だけを指す言葉ではなく、同意後でも一定の条件のもとで撤回できる。
インフォデミック
infodemic
米 /ˌɪn.fəˈdem.ɪk/
英 /ˌɪn.fəˈdem.ɪk/
感染症の流行などの際に、正しい情報だけでなく、誤った情報や誤解を招く情報も含めて大量の情報が急速に広がり、人々が信頼できる情報を見つけにくくなる状態。特にインターネットやSNSによって情報が大量・急速に拡散する状況を指す。 「感染症の流行時には、根拠の不確かな情報が大量に拡散するインフォデミックへの対策も重要になる」のように使う。感染症・公衆衛生・SNSなどで、正確な情報や誤情報などが大量かつ急速に広がり、信頼できる情報を見つけて適切に判断することが難しくなる状態を指す。単にフェイクニュースや誤情報そのものを意味する言葉ではない。
インフレ
inflation
米 /ɪnˈfleɪ.ʃən/
英 /ɪnˈfleɪ.ʃən/
物価全体が継続的に上昇し、同じ金額で購入できる商品やサービスが少なくなる状態。貨幣の購買力が低下するため、家計や企業の負担、賃金、金利、金融政策などに影響する。個別の商品が一時的に値上がりするだけの場合とは区別され、物価上昇の速さはインフレ率で表される。 「食品やエネルギーなど幅広い商品の価格が上がり、インフレが家計を圧迫している」のように使う。経済・金融などで、個別の商品だけでなく、物価全体が継続的に上昇していく状態を指す。物価が上がることで同じ金額で買えるものが少なくなり、貨幣の購買力が低下する。単なる一商品の値上げとは区別される。
インフレターゲット
inflation target
米 /ɪnˈfleɪ.ʃən ˈtɑːr.ɡɪt/
英 /ɪnˈfleɪ.ʃən ˈtɑː.ɡɪt/
政府や中央銀行が、望ましい物価上昇率について数値目標を定め、その実現を目指して金融政策を運営する考え方。また、その目標となる物価上昇率を指す。英語では、目標値そのものを inflation target、その目標を掲げて金融政策を行う枠組みを inflation targeting と呼び分ける。 「中央銀行はインフレターゲットを示し、その達成を意識しながら金融政策を運営する」のように使う。金融政策・経済ニュースなどで、中央銀行が目指す物価上昇率の目標を指す。実際のインフレ率とは区別され、物価を毎年その数字へ正確に固定するという意味でも、インフレをできるだけ高くするという意味でもない。
インプット
input
米 /ˈɪn.pʊt/
英 /ˈɪn.pʊt/
外部から取り入れる情報、知識、意見、資源など、またはそれらを取り入れること。ビジネスや学習では、判断・企画・成長の材料となる情報や知識の吸収を指す。ITでは、コンピューターやシステムへ与えるデータ・命令、またはその入力操作を意味する。成果や発信を表す「アウトプット」と対比される。 「新しい企画を考える前に、業界動向や顧客ニーズについて十分にインプットしておこう」のように使う。ビジネス・学習などで、知識や情報を取り入れることを指し、「インプットする」「インプットを得る」などの形でよく用いられる。ITでは、データや命令をコンピューターへ入力するという意味でも使われる。アウトプットと対になる言葉。
ウェルビーイング
well-being
米 /ˌwelˈbiː.ɪŋ/
英 /ˌwelˈbiː.ɪŋ/
個人や社会が、身体的・精神的・社会的に良好で、生活の質、充実感、安心、意味や目的を感じられる状態。単に病気がないことや一時的に気分がよいことだけを指すのではなく、生活・仕事・人間関係・社会環境などを含む幅広い概念として、健康、福祉、教育、企業経営などで用いられる。 「従業員のウェルビーイングを高めるため、働き方や職場環境を見直す」のように使う。健康・福祉・企業経営・教育などで、単に病気がないというだけでなく、身体・心・人間関係・生活などを含めて、その人が良好で充実した状態にあることを指す。単なる一時的な幸福感や、身体的な健康だけを意味する言葉ではない。
エイジズム
ageism
米 /ˈeɪ.dʒɪ.zəm/
英 /ˈeɪ.dʒɪ.zəm/
年齢を理由として、人や集団に固定観念や偏見を持ったり、不公平・不利益な扱いをしたりすること。高齢者に対する差別を指すことが多いが、若者を含むあらゆる年齢層に対して起こり得る。 「採用候補者を年齢だけで判断することは、エイジズムにつながる」のように使う。雇用、医療、広告、日常生活などで、年齢を根拠に能力や性格を決めつけたり、不利益な扱いをしたりする問題を指す。高齢者への偏見を扱う場面が多いが、若年者を含むどの年齢層にも起こり得る。
エクイティ
equity
米 /ˈek.wɪ.t̬i/
英 /ˈek.wɪ.ti/
① 金融・会計では、企業の資産から負債を差し引いた残りに相当する自己資本・株主持分。また、株式やその持分を指すこともある。② 社会政策やDEIでは、人によって置かれた条件や必要な支援が異なることを考慮し、それぞれが公平な機会を得られるようにする「公平性」を指す。文脈によって、この二つの意味を区別する必要がある。 「財務諸表では負債だけでなくエクイティの状況も確認する」のように使う。金融・会計では自己資本、株主持分、株式を指し、「エクイティ投資」のようにも用いられる。一方、社会政策やDEIでは「全員を同じように扱う」ことではなく、異なる事情や障壁を考慮して公平な機会や結果を目指す考え方を指す。どちらの意味か文脈で見分ける必要がある。
エクイティファイナンス
equity finance / equity financing
米 /ˈek.wɪ.t̬i ˈfaɪ.næns/
英 /ˈek.wɪ.ti ˈfaɪ.næns/
企業が株式などを発行して投資家から資金を調達し、自己資本・株主持分を増やす資金調達方法。銀行借入や社債などのデットファイナンスとは異なり、原則として調達した資金そのものに返済期限はないが、新株発行によって既存株主の持分割合が低下することがある。 「新工場の建設資金を確保するため、新株を発行してエクイティファイナンスを行う」のように使う。企業財務・スタートアップなどで、株式の発行などによって資金を調達することを指す。銀行借入や社債などのデットファイナンスとは異なり、通常は借入金のような元本返済義務はないが、新株発行によって既存株主の持分が希薄化する場合がある。
エクスポージャー
exposure
米 /ɪkˈspoʊ.ʒɚ/
英 /ɪkˈspəʊ.ʒər/
特定のリスクや価格変動などの影響を受ける可能性がある資産・取引の金額、残高、比率、または影響の大きさ。金融では、株価・金利・為替・信用などのリスクにどの程度さらされているかを表す。英語 exposure は一般に、人や物が何かにさらされること・影響を受けることなど、さらに広い意味を持つ。 「為替変動による損失を抑えるため、外貨建て資産へのエクスポージャーを減らした」のように使う。金融・投資・リスク管理などで、特定の資産・市場・通貨・企業などの変動やリスクから、どの程度影響を受ける状態にあるかを表す。
エコーチェンバー
echo chamber
米 /ˈekoʊ ˌtʃeɪmbər/
英 /ˈekəʊ ˌtʃeɪmbə/
自分と似た考えを持つ人や、自分の考えに合う情報ばかりに接することで、同じ意見や信念が繰り返し強化され、異なる意見に触れにくくなる状態や情報環境。特にSNSやオンライン上のコミュニティについて使われることが多い。 「SNSで自分と似た意見ばかりを目にしていると、エコーチェンバーによって考えがますます強化されることがある」のように使う。SNS・政治・ニュースなどで、似た意見を持つ人々の間で同じ情報や主張が繰り返され、反対意見に触れにくくなることで、自分たちの考えが正しいという確信が強まりやすくなる状況を指す。フィルターバブルと近いが、エコーチェンバーは特に人々の集団内で同じ意見が反響することに重点がある。
エコシステム
ecosystem
米 /ˈiːkoʊˌsɪstəm/ または /ˈekoʊ-/
英 /ˈiːkəʊˌsɪstəm/ または /ˈekəʊ-/
本来は、生物とその周囲の環境が互いに影響し合って成り立つ「生態系」。ビジネスやITでは、複数の企業・組織・利用者・サービスなどが相互に関係し、協力や競争をしながら価値を生み出す仕組みやネットワークを指す。 「スタートアップを育てるには、企業だけでなく、大学・投資家・行政などが連携するエコシステムづくりが重要だ」のように使う。企業経営・スタートアップ・ITなどで、複数の企業・組織・利用者などが相互に関係しながら、全体として価値を生み出す仕組みを指す。本来は「生態系」という意味で、ビジネスではその相互依存関係をたとえて使われる。
エシカル
ethical
米 /ˈeθ.ɪ.kəl/
英 /ˈeθ.ɪ.kəl/
倫理的・道徳的に望ましいこと。日本語では特に、商品・サービス・消費などについて、人権、労働環境、地域社会、動物、自然環境などに配慮していることを表す場合が多い。「エシカル消費」「エシカルファッション」などの形で使われる。 「環境や生産者の労働条件に配慮したエシカルな商品を選ぶ」のように使う。消費、ファッション、調達、企業活動などで、価格や便利さだけでなく、人権、地域社会、動物福祉、環境への影響も考えて判断する姿勢を表す。「エシカル消費」「エシカル調達」などの形が多いが、何を倫理的とみなすかは文脈や基準を確認する必要がある。
エスカレーション
escalation
米 /ˌeskəˈleɪʃən/
英 /ˌeskəˈleɪʃən/
① 問題や要望を、担当者だけでは処理できないため、より権限や専門性のある上司・部署へ引き上げること。企業、IT運用、カスタマーサポートなどで使われる。② 対立、危機、費用、要求などの程度が一段と高まり、深刻化・拡大すること。業務上の引き上げと、情勢の激化という二つの用法を文脈で区別する。 「担当者だけでは判断できないため、この案件を上司へエスカレーションする」のように使う。企業・IT・カスタマーサポートなどでは、現場だけでは解決・判断できない問題を、より権限のある上司や専門部署へ引き上げることを指す。また政治・外交などでは、対立や緊張がさらに激しくなるという意味でも使われる。
エッセンシャルワーカー
essential worker
米 /ɪˈsen.ʃəl ˈwɝː.kɚ/
英 /ɪˈsen.ʃəl ˈwɜː.kər/
医療、介護、食料供給、物流、交通、小売、治安、清掃、電気・水道など、社会生活に不可欠なサービスや機能を維持するために働く人。特に災害や感染症流行などの非常時にも、社会の基本的な機能を支える必要がある職種について使われる。 「災害や感染症の流行時にも社会生活を維持するため、医療・介護・物流などのエッセンシャルワーカーを支える必要がある」のように使う。医療・介護・物流・交通など、人々の生活や社会機能を維持するために欠かせない仕事に従事する人を指す。医療従事者だけを意味するものではなく、どの職種を含めるかについて世界共通の厳密な定義があるわけでもない。
エネルギーセキュリティ
energy security
米 /ˈenərdʒi sɪˌkjʊrəti/
英 /ˈenədʒi sɪˌkjʊərəti/
社会や経済に必要な石油、天然ガス、電力などのエネルギーを、途絶することなく、信頼できる形で、受け入れ可能な価格で確保できる状態。また、そのための政策や仕組みを指す。供給源・輸送経路の分散、備蓄、電力網の強靱化などを含み、短期的な供給危機への対応と長期的な安定確保の両方に関わる。 「特定の国からの輸入に依存しすぎないよう調達先を分散し、エネルギーセキュリティを強化する必要がある」のように使う。エネルギー政策・外交・安全保障などで、社会や経済に必要な石油・天然ガス・電力などを、供給途絶や急激な価格変動に備えながら安定的に確保できる状態を指す。外国から一切輸入しないことや、単なる設備の安全性だけを意味する言葉ではない。
エネルギーミックス
energy mix
米 /ˈen.ɚ.dʒi mɪks/
英 /ˈen.ə.dʒi mɪks/
石油、石炭、天然ガス、原子力、再生可能エネルギーなど、複数のエネルギー源をどのような割合で組み合わせて供給・利用するかという構成。日本のエネルギー政策では特に、再生可能エネルギー・原子力・火力など、発電方法ごとの割合を示す「電源構成」という意味で使われることが多い。 「安定供給と脱炭素を両立するため、将来のエネルギーミックスをどのようにするか議論する」のように使う。エネルギー政策などで、石油・天然ガス・石炭・原子力・再生可能エネルギーなどを、どのような割合で組み合わせて利用するかという構成を指す。日本では発電方法の割合を表す文脈でよく使われるが、本来は電力だけに限定される言葉ではない。
エビデンス
evidence
米 /ˈev.ɪ.dəns/
英 /ˈev.ɪ.dəns/
判断、主張、施策などが妥当だと考える根拠となる事実、情報、調査結果、研究結果など。医療・政策・ビジネスでは、経験や印象だけでなく、検証可能なデータや研究に基づいて判断するという文脈でよく使われる。英語の evidence は証拠・根拠を広く指し、必ずしも科学論文だけを意味しない。 「この施策に効果があるというエビデンスを示してください」のように使う。医療、行政、教育、ビジネスなどで、判断や説明を支えるデータ・調査・研究結果を指し、「エビデンスに基づく」「エビデンスが乏しい」などの形が多い。単に資料が存在するという意味ではなく、その資料が主張をどの程度支えるかも確認する必要がある。
エンゲージメント
engagement
米 /ɪnˈɡeɪdʒ.mənt/
英 /ɪnˈɡeɪdʒ.mənt/
人や組織、商品・サービスなどに対する積極的な関与や、深いつながり・関係性。ビジネスでは、従業員が組織に貢献しようとする意欲や結びつき、顧客が企業やブランドに継続的に関わる度合いなどを指す。分野によって具体的な意味が異なるため、文脈に応じて読み分ける必要がある。 「従業員のエンゲージメントを高めるため、仕事の目的を共有し、意見を反映できる職場づくりを進める」のように使う。人事・マーケティング・SNSなどで、人や組織、ブランドなどへの主体的・継続的な関わりや結び付きを表す。人事では従業員と組織との関係、SNSでは「いいね」やコメントなどの反応を指すなど、分野によって意味が変わる。
エンデミック
endemic
米 /enˈdem.ɪk/
英 /enˈdem.ɪk/
特定の地域や集団で、ある感染症が継続的に存在し、通常予想される一定の範囲で発生し続けている状態。「地域流行」「風土病的流行」などと表される。感染症がなくなったことや、必ず軽症になったことを意味するものではない。 「この感染症がエンデミックになったとしても、感染者や重症者がゼロになるわけではない」のように使う。感染症・公衆衛生などで、ある病気や病原体が特定の地域・集団の中で継続的に存在し、通常見込まれる水準で発生している状態を指す。感染症がなくなったことや、病気が軽くなったことを意味する言葉ではない。
エンパワーメント
empowerment
米 /ɪmˈpaʊ.ɚ.mənt/
英 /ɪmˈpaʊə.mənt/
個人や集団が、自分に関わることについて主体的に意思決定し、行動できるように、力・能力・自信・権限などを高めること。また、自らの生活や状況をより主体的にコントロールできるようになること。福祉、医療、人権、ジェンダー、組織運営など幅広い分野で使われる。 「現場の社員に一定の決定権を持たせ、主体的に判断できるようエンパワーメントを進める」のように使う。企業・福祉・医療・社会政策などで、人や集団が必要な情報・能力・権限などを得て、自ら判断・選択・行動できるようにすることを指す。単に励ましたり仕事を任せたりするだけではなく、主体的に行動できる条件を整えることが重要になる。
オーナーシップ
ownership
米 /ˈoʊ.nɚ.ʃɪp/
英 /ˈəʊ.nə.ʃɪp/
本来は、物や会社などを所有していること、または所有権を意味する。日本のビジネスでは意味が広がり、仕事や課題を自分自身の責任として捉え、主体的に判断・行動し、結果まで引き受けようとする姿勢を指すことが多い。「当事者意識」「主体性」に近いが、単に意欲が高いことだけでなく、責任を持って完遂する意識を含む。 「各担当者がオーナーシップを持って改善策を実行する」のように使う。組織運営やプロジェクトで、指示を待つだけでなく、自分の課題として判断し、関係者を動かしながら結果に責任を持つ姿勢を表す。株式や資産の文脈では「所有権」という本来の意味になるため、当事者意識の意味と区別する。
オーバーツーリズム
overtourism
米 /ˌoʊ.vɚˈtʊr.ɪ.zəm/
英 /ˌəʊ.vəˈtʊə.rɪ.zəm/
特定の観光地や時間帯に観光客が過度に集中し、混雑、交通障害、騒音、廃棄物、マナー問題、自然・文化資源への負荷などによって、地域住民の生活の質や旅行者の体験、観光地の持続可能性に悪影響が生じる状態。単に観光客数が多いことではなく、地域の受入能力や生活環境との不均衡が問題となる。 「休日に観光客が集中して住民の移動に支障が出るなど、オーバーツーリズムが深刻化している」のように使う。観光政策や地域振興で、観光客の過度な集中が住民生活や観光体験へ及ぼす悪影響を論じる際に用いる。時間・地域の分散、交通管理、予約制、マナー周知などの対策とともに語られることが多い。
オープンイノベーション
open innovation
米 /ˌoʊ.pən ˌɪn.əˈveɪ.ʃən/
英 /ˌəʊ.pən ˌɪn.əˈveɪ.ʃən/
企業・組織が、自前の技術や知識だけに頼らず、他社、スタートアップ、大学など外部の技術・アイデア・人材などを取り入れ、自らの経営資源と組み合わせて、新しい製品・サービス・事業や価値を生み出すこと。また、自社の技術や知識を外部で活用するなど、組織の内外で知識や資源を活用する考え方も含む。 「自社だけで研究開発を完結させず、大学やスタートアップと連携してオープンイノベーションを進める」のように使う。企業経営・研究開発などで、自社内部だけに頼らず、外部企業・大学・研究機関などの技術・知識・アイデアを取り入れたり、自社の技術を外部で活用したりしながら、新しい製品・サービス・事業を生み出す取り組みを指す。単なる外注や、技術をすべて公開することを意味するものではない。
オープンソース
open source
米 /ˌoʊ.pən ˈsɔːrs/
英 /ˌəʊ.pən ˈsɔːs/
ソフトウェアのソースコードを公開し、定められたライセンスの条件のもとで、誰でも利用・改変・再配布できるようにする考え方。また、そのようなライセンスで提供されるソフトウェアを指す。単にソースコードを閲覧できるだけではなく、利用・改変・再配布などが認められていることが重要である。 「開発期間を短縮するため、実績のあるオープンソースのライブラリを利用する」のように使う。ソフトウェア開発で、所定のライセンスにより利用・改変・再配布が認められたソフトウェアや開発方式を指す。無料であることだけを意味せず、商用利用の可否、著作権表示、ソース公開義務など、採用するライセンスの条件を確認する必要がある。
オープンデータ
open data
米 /ˌoʊ.pən ˈdeɪ.t̬ə/
英 /ˌəʊ.pən ˈdeɪ.tə/
国・自治体・企業などが保有するデータを、誰でも利用・加工・再配布などの二次利用ができるルールのもとで、コンピューターでも扱いやすい形式にし、無償で利用できるよう公開したもの。特に行政が公開する統計・地理・施設情報などについて使われることが多い。 「自治体が人口や交通に関する情報をオープンデータとして公開し、民間企業によるサービス開発に活用してもらう」のように使う。行政・研究・ITなどで、国や自治体などが保有するデータを、利用条件を明確にしたうえで、誰もが利用・加工・再利用しやすい形で公開することを指す。単にインターネットで閲覧できるデータや、行政情報をすべて公開することを意味するものではない。
オフショア
offshore
米 /ˌɑːfˈʃɔːr/
英 /ˌɒfˈʃɔːr/
本来は「沖合の」「海上の」を意味し、洋上風力や海底油田などについて使われる。ビジネスでは、業務・生産・開発拠点などを国外へ移すこと、または海外で行うことを指す。金融では、非居住者向けの金融取引や、国外の金融センター・口座・法人などを表す。文脈によって海上、海外委託、国際金融の意味を区別する必要がある。 「システム開発の一部を海外企業へ委託するオフショア開発を導入した」のように使う。IT・製造では海外拠点への業務移転や委託、金融では「オフショア市場」「オフショア口座」、エネルギーでは「オフショア風力」のように用いる。オフショア自体が違法・不正を意味するわけではなく、対象や制度を具体的に示す必要がある。
オフレコ
off the record
米 /ˌɑːf.ðəˈrek.ɔːrd/
英 /ˌɒf.ðəˈrek.ɔːd/
発言や情報を公式記録、報道、公開の対象にしないという条件、またはその条件で行われる発言。報道取材では、情報源と記者の間で、内容を公表しないことなどを事前に合意して扱う。日本語では日常的に「内密に」「ここだけの話」という意味でも使われるが、匿名報道や背景説明と同じとは限らない。 「ここから先はオフレコとして、記事にはしないでください」のように使う。取材、会見、会議などで、発言を公開・引用・公式記録の対象外とする条件を表す。発言後に一方的に宣言すれば成立するとは限らないため、何を公表せず、情報を別の取材に利用できるかなどの条件を事前に当事者間で確認する必要がある。
オブザーバー
observer
米 /əbˈzɝː.vɚ/
英 /əbˈzɜː.vər/
物事や状況を観察・監視する人。会議や国際機関などでは、正式な構成員とは異なる立場で参加し、議論を見守ったり意見を述べたりするものの、議決権などの権限がない、または限定されている参加者を指すことがある。 「この会議には議決権を持たないオブザーバーとして、関係省庁の担当者も参加する」のように使う。会議・委員会・国際機関などで、正式な構成員とは異なる立場から参加し、議論や活動を観察する人を指す。議決権を持たない場合が多いが、発言できるかなど具体的な権限は会議や組織によって異なる。選挙では、手続きの公正性などを確認する「選挙オブザーバー」という用法もある。
オプトアウト
opt out / opt-out
米 /ˈɑːpt.aʊt/
英 /ˈɒpt.aʊt/
サービス・制度・情報提供などについて、参加・利用する状態から、本人が意思表示して参加しない、または利用を停止すること。また、本人が拒否の意思を示さない限り対象に含め、希望者が後から拒否できる仕組みを「オプトアウト方式」という。 「メール配信を希望しない利用者は、設定画面からいつでもオプトアウトできる」のように使う。個人情報・広告・メール配信などで、初めから参加・利用する状態になっており、希望しない人が拒否や停止の意思を示して対象から外れる仕組みを指す。本人が参加を選んで初めて対象となる「オプトイン」とは逆の方式。
オプトイン
opt in / opt-in
米 /ˈɑːpt.ɪn/
英 /ˈɒpt.ɪn/
サービス・制度・情報提供などについて、本人が明示的に参加・利用する意思を示し、対象に加わること。また、本人の同意や申し込みがあった場合にのみ対象とする仕組みを「オプトイン方式」という。 英語 opt in も「活動や制度などに参加することを選ぶ」という意味で、和製英語ではありません。名詞・形容詞では opt-in と表記されます。前の「オプトアウト」との違いが重要です。オプトインは、本人が意思表示するまでは原則として参加・利用しない方式であるのに対し、オプトアウトは、原則として対象に含まれ、本人が拒否することで外れる方式です。
オペレーション
operation
米 /ˌɑː.pəˈreɪ.ʃən/
英 /ˌɒp.ərˈeɪ.ʃən/
組織・事業・システムなどを実際に動かし、日常の業務を遂行・運営すること。また、その業務の流れや実施体制、運用方法を指す。日本語のビジネスでは、戦略や計画に対して、それを現場で実行する実務・業務運営という意味で使われることが多い。 「新しいシステムを導入するだけでなく、現場で安定して運用できるオペレーションを整える必要がある」のように使う。企業・店舗・ITなどで、日常業務を実際に動かすための手順・人員配置・運用方法などを指す。戦略が「何を目指すか」を決めるのに対し、オペレーションは「それを現場でどう実行するか」に重点がある。
オンブズマン
ombudsman(スウェーデン語→英語)
米 /ˈɑːm.bədz.mən/
英 /ˈɒm.bʊdz.mən/
行政機関や企業・組織などへの苦情を受け、公正・中立に調査し、必要に応じ改善・是正を求める人・機関(「行政監察官」など)。 「行政サービスへの苦情をオンブズマンへ申し立て、対応が適切だったか調査を求めた」のように使う。行政、自治体、企業、報道機関などで、利用者や市民から苦情を受け、組織から一定の独立性を保ちながら調査し、改善や是正を促す人・機関を指す。通常は裁判所のように強制的な判決を下す機関ではなく、具体的な権限は制度ごとに異なる。
オンボーディング
onboarding
米 /ɑːnˈbɔːr.dɪŋ/
英 /ɒnˈbɔː.dɪŋ/
新入社員や異動者などが、仕事に必要な知識・技能や組織のルール・文化を身につけ、早く職場に適応して力を発揮できるよう支援する一連の受け入れ・育成プロセス。 「新入社員が早く職場に慣れ、仕事を自立して進められるよう、入社後3か月間のオンボーディングを実施する」のように使う。人事・採用などで、新しく入社・配属した人が、業務知識・社内ルール・人間関係・組織文化などを理解し、職場へ適応して力を発揮できるよう支援する取り組みを指す。単発の入社研修やオリエンテーションだけを意味する言葉ではない。
オンプレミス
on-premises
米 /ˌɑːnˈprem.ɪ.sɪz/
英 /ˌɒnˈprem.ɪ.sɪz/
企業や組織が、サーバーやシステムなどのIT設備を自社の施設・管理環境に設置し、自ら運用・管理する形態。クラウドサービスと対比して使われる。 「機密性の高いデータを扱う基幹システムは、クラウドへ移行せずオンプレミスで運用している」のように使う。IT分野で、企業や組織が自ら管理する設備・環境にサーバーやシステムを構築して運用する方式を指し、クラウドと対比してよく使われる。自社開発という意味ではなく、またオンプレミスだから必ず安全、クラウドだから必ず安全というものでもない。
カーボンオフセット
carbon offset
米 /ˌkɑːr.bən ˈɑːf.set/
英 /ˌkɑː.bən ˈɒf.set/
日常生活や事業活動で、まず温室効果ガスの排出削減に努め、それでも削減しきれない排出量について、他の場所での排出削減・吸収量に相当するクレジットの利用などによって埋め合わせる考え方・取組。 「出張で生じる排出量をできるだけ減らしたうえで、残る排出量を認証済みクレジットでカーボンオフセットする」のように使う。気候変動対策で、自らの排出削減を優先し、それでも避けられない排出を他の場所での削減・吸収に相当するクレジットなどで埋め合わせる取組を指す。クレジットを購入すれば自らの削減努力が不要になるという意味ではない。
カーボンクレジット
carbon credit
米 /ˈkɑːr.bən kred.ɪt/
英 /ˈkɑː.bən kred.ɪt/
省エネルギー、再生可能エネルギー、森林管理などの取組によって実現した温室効果ガスの排出削減量・吸収量を、定められた方法で算定・検証し、取引できる単位として認証したもの。一般に1クレジットは1トンのCO₂相当量を表すが、対象活動、算定方法、追加性、永続性などの基準は制度によって異なる。 「省エネ設備による排出削減量をカーボンクレジットとして認証し、市場で販売する」のように使う。気候政策や企業の脱炭素対応で、認証された排出削減・吸収量を売買・移転・使用する場面に用いる。排出枠と同じ意味で使われる場合もあるが、制度上の性質は異なり得るため、発行制度、対象年度、算定・検証方法、二重計上の防止などを確認する必要がある。
カーボンニュートラル
carbon neutral / carbon neutrality
米 /ˌkɑːr.bən ˈnuː.trəl/
英 /ˌkɑː.bən ˈnjuː.trəl/
温室効果ガスの排出量をできる限り減らし、残る排出量を森林などによる吸収・除去量と均衡させ、全体として実質ゼロにすること。日本の政策ではCO₂だけでなく、メタンなどの温室効果ガス全体を対象とする。 「企業は省エネや再生可能エネルギーの導入を進め、2050年までのカーボンニュートラル実現を目指している」のように使う。気候変動対策などで、温室効果ガスの排出量をできるだけ削減し、それでも残る排出量を吸収・除去などによって埋め合わせ、全体として実質ゼロにする状態や目標を指す。温室効果ガスを一切排出しないという意味ではなく、カーボンオフセットやカーボンクレジットはその実現に利用されることがある。
カーボンフットプリント
carbon footprint
米 /ˌkɑːr.bən ˈfʊt.prɪnt/
英 /ˌkɑː.bən ˈfʊt.prɪnt/
製品やサービスなどについて、原材料の調達、製造、輸送、使用、廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体で排出される温室効果ガスの量を、CO₂換算で表したもの。 「原材料の調達から廃棄までを対象に製品のカーボンフットプリントを算定し、削減余地を調べる」のように使う。製品・サービスのライフサイクル全体で生じる温室効果ガス排出量をCO₂換算で示す際に用いる。算定対象の範囲や使用データによって結果が変わるため、数値を比較するときは対象範囲、算定方法、機能単位などの条件をそろえる必要がある。
カーボンプライシング
carbon pricing
米 /ˈkɑːr.bən ˌpraɪ.sɪŋ/
英 /ˈkɑː.bən ˌpraɪ.sɪŋ/
温室効果ガスの排出に明示的または実質的な価格を付け、排出に伴う社会的費用を経済活動へ反映させる仕組み。排出量に応じて負担を求める炭素税や、排出枠を取引する排出量取引制度などが代表例で、排出削減や低炭素投資を促す価格シグナルとして用いられる。企業が投資判断用に設定する内部炭素価格も含めて論じられることがある。 「温室効果ガスの排出に経済的な負担を持たせるカーボンプライシングを導入し、企業の排出削減を促す」のように使う。気候変動・脱炭素政策などで、温室効果ガスの排出に価格を付け、排出量の多い活動ほど経済的な負担が大きくなるようにする仕組みを指す。代表的な方法には炭素税や排出量取引があり、企業が自社内部で仮想的な炭素価格を設定する「インターナルカーボンプライシング」もある。カーボンクレジットそのものを意味する言葉ではない。
確証バイアス
confirmation bias
米 /ˌkɑːn.fɚˈmeɪ.ʃən ˈbaɪ.əs/
英 /ˌkɒn.fəˈmeɪ.ʃən ˈbaɪ.əs/
自分がすでに持っている考えや予想に合う情報を重視して集めたり信じたりし、反対する情報を軽視・無視しやすくなる認知上の偏り。 「自社に都合のよい調査結果だけを集めると、確証バイアスによって判断を誤るおそれがある」のように使う。調査、採用、投資、政策判断などで、先に持った仮説を支持する情報ばかり重視し、反証する情報を軽く扱う傾向を指す。対策として、反対仮説を立てる、判断基準を先に決める、異なる立場の意見を確認するなどがある。
カスタマーハラスメント
customer harassment
米 /ˈkʌs.tə.mɚ həˈræs.mənt/
英 /ˈkʌs.tə.mə ˈhær.əs.mənt/
顧客や取引先、施設利用者などによる、要求内容や言動の仕方が社会通念上許容される範囲を超え、従業員の就業環境を害する行為。暴言、脅迫、過度な要求、長時間の拘束などが該当し得る。 「長時間の拘束や暴言が続いたため、会社はカスタマーハラスメントとして組織的に対応した」のように使う。顧客等による言動が社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害する場合を指す。正当な苦情や改善要求のすべてが該当するわけではなく、要求内容だけでなく手段・態様、継続時間、業務への影響などを踏まえて判断する。
カニバリゼーション
cannibalization
米 /ˌkæn.ɪ.bəl.ɪˈzeɪ.ʃən/
英 /ˌkæn.ɪ.bəl.aɪˈzeɪ.ʃən/
企業が新しい商品・サービスや店舗などを投入した結果、自社の既存商品・サービス・店舗の売上や需要を奪ってしまうこと。 「低価格の新商品を投入すると、既存商品の売上を奪うカニバリゼーションが起きる可能性がある」のように使う。マーケティング・商品開発などで、自社の新商品・新店舗・新サービスなどが、競合他社ではなく自社の既存商品や事業の顧客・売上を奪ってしまう現象を指す。「カニバリ」と略されることも多い。必ずしも悪い現象とは限らず、新商品への計画的な移行などで意図的に受け入れる場合もある。
キックオフ
kick-off / kickoff(動詞:kick off)
米 /ˈkɪk.ɑːf/
英 /ˈkɪk.ɒf/
プロジェクトや事業、イベントなどを正式に開始すること。また、その開始時に目的、役割、方針、スケジュールなどを関係者で共有する最初の会議を指すこともある。 「来週、関係部署を集めて新システム導入プロジェクトのキックオフミーティングを開く」のように使う。プロジェクトや施策の開始時に、目的、成果物、役割分担、日程、意思決定方法などを関係者で共有する会議を指すことが多い。単なる顔合わせにせず、開始後の認識違いや責任の曖昧さを減らす場として用いられる。
キャッシュ
cache
米 /kæʃ/
英 /kæʃ/
よく使うデータや一度取得したデータを一時的に保存しておき、次に必要になったとき素早く利用できるようにする仕組み、またはその保存領域。Web表示やコンピューター処理を高速化するために使われる。 「ページが更新されない場合は、ブラウザーのキャッシュを削除して再読み込みする」のように使う。Web、アプリ、CPU、データベースなどで、頻繁に使うデータを一時保存して処理や表示を高速化する仕組みを指す。古い内容が残って表示の不一致を起こすこともある。「現金」を意味する cash とは発音が同じだが、ITのキャッシュの原語は cache である。
キャッシュフロー
cash flow
米 /ˈkæʃ ˌfloʊ/
英 /ˈkæʃ ˌfləʊ/
企業や事業、個人における現金および現金同等物の流入と流出、またはその差額。企業のキャッシュフロー計算書では、通常、営業活動、投資活動、財務活動の三つに分けて、一定期間に現金がどのように増減したかを示す。会計上の利益とは異なり、実際の資金の動きを表す。 「売上は伸びているが、売掛金の回収が遅く、営業キャッシュフローが悪化している」のように使う。経営・会計・投資で、事業が現金を生み出しているか、設備投資や借入返済を賄えるかを確認する際に用いる。利益が出ていても入金前で現金が不足する場合があるため、損益とキャッシュフローは分けて見る必要がある。
キャッチアップ
catch up / catch-up
米 /ˌkætʃ ˈʌp/
英 /ˌkætʃ ˈʌp/
遅れている知識・情報・技術などを学んで最新の状況や必要な水準に追いつくこと。また、他社や他国など先行する相手との差を縮めて追いつくこと。 「異動してきたメンバーがプロジェクトの経緯をキャッチアップできるよう、これまでの資料を共有する」のように使う。ビジネスでは不足する知識・情報や遅れている仕事を現在の水準・進捗へ追いつかせる。最新情報の継続把握にも使い、単なる情報収集ではなく遅れ・不足を補う意味が中心。
キャパシティ
capacity
米 /kəˈpæs.ə.t̬i/
英 /kəˈpæs.ə.ti/
人・組織・設備などが、一定の時間や条件の中で処理・対応できる能力や上限。仕事では人員や時間の余力、ITでは処理能力や保存容量などを指す。 「現在の担当者数では新しい案件を受けるキャパシティがない」のように使う。業務では人員・時間・技能を踏まえた対応余力、製造では生産能力、施設では収容力、ITでは処理能力や保存容量を指す。「能力」と「上限」の両方の意味があるため、人数、件数、容量、期間など、何のキャパシティかを具体的に示すと分かりやすい。
キャピタルゲイン
capital gain
米 /ˌkæp.ɪ.t̬əl ˈɡeɪn/
英 /ˌkæp.ɪ.təl ˈɡeɪn/
株式や不動産などの資産を、購入した価格より高く売却したことで得られる値上がり益。配当や利息など、資産を保有している間に得るインカムゲインと区別して使う。 「購入時より株価が上昇したため、株式を売却してキャピタルゲインを得た」のように使う。株式・不動産などの投資で、購入した資産を値上がり後に売却して得る売買差益・値上がり益を指す。保有中に受け取る配当・利息・家賃などの「インカムゲイン」とは区別され、購入価格より安く売却して生じる損失は「キャピタルロス」と呼ばれる。
キャリアオーナーシップ
career ownership
米 /kəˈrɪr ˈoʊ.nɚ.ʃɪp/
英 /kəˈrɪə ˈəʊ.nə.ʃɪp/
自分の職業人生や将来の働き方を会社任せにせず、自分自身で考え、必要な学習や経験、仕事の選択などに主体的に取り組んでキャリアを形成していこうとする考え方。 「社員一人ひとりがキャリアオーナーシップを持ち、自分が身につけたい能力や将来の働き方を主体的に考えることが求められている」のように使う。人事・人材育成などで、自分のキャリアを会社任せにせず、自らの価値観や目標を考え、必要な学習や経験の選択に主体的に関わる姿勢を指す。昇進や転職だけを意味するものではなく、企業側が研修・面談・社内公募などによって社員の主体的なキャリア形成を支援する場合にも使われる。
キャリアパス
career path
米 /kəˈrɪr pæθ/
英 /kəˈrɪə pɑːθ/
職業上の目標に向かって、どのような仕事・役職・経験を経ながら進んでいくかという道筋。企業では、昇進・昇格や職種変更などを含む将来のキャリアのモデルを指すこともある。 「技術職から専門職または管理職へ進む二つのキャリアパスを示す」のように使う。人事・人材育成で、目標とする職務や役割へ進むために必要な経験、能力、資格、異動、昇進などの道筋を表す。昇進だけを意味せず、専門性を深める、別職種へ移る、社外で経験を積むといった複数の経路があり得る。
キャリートレード
carry trade
米 /ˈker.i ˌtreɪd/
英 /ˈkær.i ˌtreɪd/
低金利の通貨で資金を調達し、その資金を高金利の通貨や資産で運用して、主に金利差による収益を狙う投資手法。為替レートの変動によって損失が生じることもある。 「低金利の円を売り、高金利通貨を買う円キャリートレードが拡大した」のように使う。外国為替・金融市場で、低金利通貨を調達・売却し、高金利通貨や高利回り資産へ投資して金利差などを狙う取引を指す。為替が逆方向に動けば金利差を上回る損失が生じる可能性があり、市場不安の高まりで取引が一斉に解消される「巻き戻し」にも注意が必要である。
キャンセルカルチャー
cancel culture
米 /ˈkæn.səl ˌkʌl.tʃɚ/
英 /ˈkæn.səl ˌkʌl.tʃə/
問題があるとみなされた発言や行動をした人物・組織などに対して、特にSNS上で批判が広がり、支持の取りやめ、ボイコット、社会的・職業的な排除などを求める集団的な動きや社会現象。 「著名人の過去の発言をめぐり、出演中止や商品の不買を求める動きが広がったことについて、キャンセルカルチャーではないかという議論が起きた」のように使う。SNS・政治・芸能などで、問題視された発言や行動を理由に、人物・企業・作品などへの支持を取り下げたり、出演・契約・利用の中止を求めたりする社会的な動きを指す。単なる批判や正式な法的責任の追及と同じではない。この言葉自体にも評価が含まれやすく、正当な責任追及と見る立場も、過度な社会的制裁と批判する立場もあるため、文脈に注意して使う。
キュレーション
curation
米 /kjʊˈreɪ.ʃən/
英 /kjʊəˈreɪ.ʃən/
美術館・博物館などで、作品や資料を収集・選定し、意味のある構成に整理して展示・保存すること。デジタル分野では、多数の情報やコンテンツから目的や基準に合うものを選び、分類・編集し、文脈や解説を加えて利用者へ提示することを指す。単なる自動収集や転載ではなく、選択と構成に編集上の判断が伴う。 「専門家が信頼性と重要性を確認し、関連資料をテーマ別にキュレーションする」のように使う。美術館、メディア、EC、学習サービスなどで、対象を選び、整理し、意味付けして見せる行為を表す。「記事をキュレーションする」「商品をキュレーションする」などと使うが、出典表示や著作権を無視した転載を正当化する言葉ではない。
クオータ
quota
米 /ˈkwoʊ.t̬ə/
英 /ˈkwəʊ.tə/
特定の目的のために、あらかじめ割り当てたり、定めたりした数量や人数の枠。販売目標や生産割当、輸入割当、採用枠など、全体の中で一定量を割り当てる制度・基準を指す。 「今月は担当者ごとに新規契約10件のセールスクオータが設定された」のように使う。営業では達成すべき販売量・売上額、貿易では輸入数量の上限、組織や制度では特定の属性に割り当てる人数枠などを指す。文脈によって最低目標、上限、配分枠のいずれにもなり得るため、対象と基準を明示する必要がある。
クオリティオブライフ
quality of life
米 /ˌkwɑː.lə.t̬i əv ˈlaɪf/
英 /ˌkwɒl.ə.ti əv ˈlaɪf/
身体的・精神的な健康だけでなく、人間関係、生活環境、自立、満足感なども含め、その人が自分の生活や人生をどの程度よいものと感じているかを表す「生活の質」。医療・福祉分野ではQOLと略してよく使われる。 「治療によって寿命を延ばすことだけでなく、患者のクオリティオブライフをできるだけ維持することも重要だ」のように使う。医療・介護・福祉などで、身体状態だけでなく、心理面・社会生活・自立度・本人の満足感なども含めた「生活の質」を指し、「QOL」と略されることが多い。寿命の長さや健康状態だけで決まるものではなく、本人がどのような生活を望んでいるかという価値観も重要になる。日常語では「暮らしが快適になった」という比較的広い意味でも使われる。
クッキー
cookie
米 /ˈkʊk.i/
英 /ˈkʊk.i/
Webサイトのサーバーがブラウザーへ送る小さな情報で、ブラウザーが保存し、条件に合う後続の通信でサーバーへ送り返す仕組み。ログイン状態、買い物かご、表示設定など、原則として状態を持たないHTTP通信で継続的な状態を扱うために使われる。利用状況の計測や広告識別に使われる場合もある。 「ログイン状態を維持するため、このサイトではクッキーを使用している」のように使う。Webサービスで、セッション管理、設定保存、アクセス解析、広告配信などに用いられる。クッキー自体がプログラムとして実行されるわけではないが、識別子等を通じて利用者の行動把握に使われることがあるため、保存期間、送信先、利用目的、同意・拒否方法を確認する。
クラウド
cloud / cloud computing
米 /klaʊd/
英 /klaʊd/
ネットワークを通じて、サーバー、ストレージ、ソフトウェアなどのコンピューター資源や機能を、必要に応じて利用できるようにする仕組みやサービス。自社で設備を保有・管理するオンプレミスと対比して使われることが多い。 「社内サーバーで管理していた業務システムをクラウドへ移行し、場所を問わず利用できるようにする」のように使う。IT分野で、サーバー・ストレージ・ソフトウェアなどのIT資源を、自社ですべて保有・管理するのではなく、ネットワークを通じてサービスとして利用する仕組みを指す。オンラインのデータ保存だけでなく、業務ソフト・データベース・計算処理など幅広いサービスを含む。自社管理の環境で運用する「オンプレミス」と対比してよく使われる。
クリックベイト
clickbait
米 /ˈklɪk.beɪt/
英 /ˈklɪk.beɪt/
利用者の興味や好奇心を強く引いてリンクをクリックさせることを目的とした、インターネット上の見出し・画像・記事など。内容を誇張したり、重要な情報を意図的に伏せたりするものが多い。 「記事の内容以上に刺激的な見出しでクリックを誘うクリックベイトには注意が必要だ」のように使う。ニュースサイト・SNS・動画などで、利用者にクリックさせることを優先し、内容を誇張したり重要な情報を意図的に伏せたりした見出し・サムネイルなどを指す。「釣りタイトル」に近い。単に目を引く見出しや人気のある記事すべてを意味するものではなく、クリックを誘う表現と実際の内容とのずれが大きい場合などに批判的な意味で使われる。
クリティカルシンキング
critical thinking
米 /ˌkrɪt̬.ɪ.kəl ˈθɪŋ.kɪŋ/
英 /ˌkrɪt.ɪ.kəl ˈθɪŋ.kɪŋ/
情報や主張を鵜呑みにせず、その前提や根拠を問い直し、証拠に基づいて多面的・論理的・客観的に分析・評価して、妥当な判断を導く思考法。「批判的思考」ともいう。 「提示されたデータをそのまま受け入れるのではなく、根拠や前提を確認するクリティカルシンキングが必要だ」のように使う。ビジネス・教育・研究などで、情報や主張をそのまま信じたり否定したりせず、根拠・前提・論理・情報源・別の可能性などを検討して妥当性を判断する考え方を指す。「批判的思考」と訳されるが、何でも否定するという意味ではない。自分自身の思い込みや確証バイアスも含めて検証することが重要になる。
クローズ
close
米 /kloʊz/
英 /kləʊz/
業務・案件・募集・会議などを終了・完了すること。営業では、商談をまとめて契約や受注を成立させることを指す場合もある。 「顧客との条件交渉がまとまり、この案件は今月中にクローズできる見込みだ」のように使う。営業・プロジェクト管理などで、進行中の商談・案件・問い合わせなどを終了・完了させることを指す。営業では契約・受注まで進める「成約」の意味で使われることが多いが、案件管理では失注や中止を含め単に処理を終了する意味の場合もあるため、「クローズ=必ず成功・受注」とは限らない。
ケアラー
carer(米:caregiver)
米 /ˈker.ɚ/
英 /ˈkeə.rər/
高齢、障害、病気などにより援助を必要とする家族・親族・友人などを、介護・看護・日常生活の世話などによって支える人。日本の福祉分野では、特にこうしたケアを無償で担う身近な人を指すことが多い。 「家族の介護を担うケアラーが孤立しないよう、相談窓口や休息支援を整える」のように使う。福祉、医療、地域政策などで、病気、障害、高齢などにより支援を必要とする家族・友人等を継続的に支える人を指す。未成年が家族の世話を過度に担う場合は「ヤングケアラー」と呼ばれる。専門職だけでなく、無償の家族介護者等を指す用法が多い。
ケイパビリティ
capability
米 /ˌkeɪ.pəˈbɪl.ə.t̬i/
英 /ˌkeɪ.pəˈbɪl.ə.ti/
個人や組織が、ある目的や業務を実行して成果を生み出すことのできる能力。ビジネスでは特に、人材・技術・仕組み・業務プロセスなどを組み合わせて発揮される組織全体の能力や強みを指す。 「新規事業を成功させるには、技術だけでなく、市場分析や商品化まで含めた組織のケイパビリティを高める必要がある」のように使う。経営・組織論などで、人材・技術・業務プロセス・ノウハウなどを組み合わせ、組織としてある仕事や目的を実行できる能力を指す。処理できる量や余力を表す「キャパシティ」とは異なり、「何を実行できるか」に重点がある。また、企業のケイパビリティのうち、競争優位の中核となる特に重要な能力は「コアコンピタンス」と呼ばれる。
コアコンピタンス
core competence(複数形:core competencies)
米 /ˌkɔːr ˈkɑːm.pə.t̬əns/
英 /ˌkɔː ˈkɒm.pɪ.təns/
企業が持つ技術・ノウハウ・組織能力などのうち、顧客に独自の価値を提供し、競合他社にはまねしにくく、複数の事業や市場で競争力の源泉となる中核的な強み。 「他社には簡単にまねできない精密加工技術を、自社のコアコンピタンスとして新規事業にも活用する」のように使う。経営戦略で、企業が持つさまざまな能力のうち、競合他社が容易にはまねできず、顧客価値や競争優位の源泉となる中核的な能力を指す。主力商品や事業そのものではなく、それらを生み出す技術・ノウハウ・組織能力などに重点がある。一般的な組織能力を表す「ケイパビリティ」の中でも、特に重要なものがコアコンピタンスと考えられる。
コミット
commit
米 /kəˈmɪt/
英 /kəˈmɪt/
ビジネスでは、目標、成果、約束などに対して責任を持ち、その達成に向けて資源や労力を投入し、強く関与すること。英語の commit は「約束する」「専念する」「資金等を充てる」などを表す。ITでは、データベースの処理を確定することや、Gitなどで一まとまりの変更を履歴として記録することを指す。 「プロジェクト責任者として、期限内に目標を達成することにコミットする」のように使う。ビジネスでは、特定の目標・成果・約束に対して責任を持ち、達成に向けて強く関与することを指す。単なる参加や努力よりも責任・約束のニュアンスが強いが、未来の結果を絶対に保証するという意味とは限らない。ITでは、Gitなどで変更内容を記録することを「コミットする」と呼ぶ別の用法もある。
コミュニケ
communiqué
米 /kəˈmjuː.nɪ.keɪ/
英 /kəˈmjuː.nɪ.keɪ/
政府、国際会議、組織などが、決定事項、協議結果、共同見解などを公式に発表する文書・声明。日本語では、首脳会議や閣僚会合の終了時に参加国が合意内容をまとめて公表する「共同コミュニケ」の用法が多い。単なる広報資料ではなく、発表主体の公式な立場を示す文書として扱われる。 「首脳会議の閉幕後、参加国は気候変動対策に関する共同コミュニケを発表した」のように使う。外交、国際会議、政府・組織の公式発表で、協議結果や共通認識をまとめた声明を指す。法的拘束力を持つ条約とは異なり、拘束力や政治的な重みは文書の性質・採択方法・表現によって異なる。
コモディティ
commodity
米 /kəˈmɑː.də.t̬i/
英 /kəˈmɒd.ə.ti/
市場で売買される、品質が一定程度標準化され、同種のもの同士を交換しやすい商品。金融・商品市場では、原油・天然ガスなどのエネルギー、金属、穀物などの農産物が代表例で、現物のほか先物等でも取引される。一般のビジネスでは、商品やサービスの差別化が失われ、価格中心で選ばれる状態を表すこともある。 「原油や金などのコモディティ価格が上昇し、企業の原材料費を押し上げた」のように使う。金融・経済では、エネルギー、金属、農産物等の商品やその市場を指し、「コモディティ投資」のようにも用いる。企業戦略では「製品がコモディティ化する」といい、機能差が小さくなって価格競争に陥る意味になるため、商品市場の用法と区別する。
コンセンサス
consensus
米 /kənˈsen.səs/
英 /kənˈsen.səs/
集団の構成員の間で形成された、広く受け入れられる意見・判断、または合意の状態。全員が細部まで完全に同じ意見であることを意味する場合もあるが、実務では、異論を調整したうえで大多数が受け入れ、決定を支持または妨げない状態を指すことも多い。単純な多数決とは異なる。 「関係部署と協議を重ね、新しい運用方針についてコンセンサスを形成する」のように使う。会議、政策、組織運営などで、「コンセンサスを得る」「コンセンサスを形成する」と表現する。全員一致が必要か、反対がなければよいかなど基準は場によって異なるため、合意の範囲、未解決の論点、決定方法を明確にすることが重要である。
コンソーシアム
consortium
米 /kənˈsɔːr.ʃəm/
英 /kənˈsɔː.ti.əm/
複数の企業・大学・研究機関・団体などが、共通の目的や事業のために協力してつくる連合体・共同事業体。参加者が資金・技術・人材・情報などを持ち寄る形が多い。参加組織が合併して一つの組織になるとは限らず、それぞれの独立性を保ったまま連携する場合がある。 「大学と企業がコンソーシアムを組み、次世代電池の共同研究を進める」のように使う。大規模な研究開発、インフラ整備、国際事業など、一つの組織だけでは負担や専門性をまかないにくい事業で用いられる。単なる取引関係より継続的な共同目的を持つことが多いが、法人格、意思決定の方法、参加者の責任範囲はコンソーシアムごとに異なるため、名称だけで組織形態を決めつけないことが重要である。
コンティンジェンシー
contingency
米 /kənˈtɪn.dʒən.si/
英 /kənˈtɪn.dʒən.si/
将来起こるかどうか確定していない出来事や不測の事態。また、そのような事態に備える考え方。ビジネスでは、災害、事故、システム障害、供給停止などを想定した「コンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)」や、予備費を表す語の一部としてよく使われる。 「主要な仕入先が操業できなくなった場合に備え、コンティンジェンシープランを用意する」のように使う。起こり得る事態そのものを指す場合と、その事態への備えを指す場合があるため、文脈を確認する必要がある。単に最悪の事態を列挙するのではなく、発動条件、代替手段、責任者、連絡経路、必要な資金などを事前に定めておくことが実務上重要である。
コンテキスト
context
米 /ˈkɑːn.tekst/
英 /ˈkɒn.tekst/
発言・文章・出来事などの意味を正しく理解するために必要となる、その前後の文脈や背景、状況、前提。ビジネスでは、相手の事情や議論の背景まで含めて「コンテキスト」と呼ぶことがある。 「発言の一部だけで判断せず、前後のコンテキストを確認する」のように使う。文章では前後の記述、会議では議論の経緯や参加者の共通知識、業務では目的や制約条件などがコンテキストに当たる。情報技術では、処理が行われる環境や、その処理に必要な状態・設定などを指すこともある。意味は分野によって広がるが、共通するのは、対象を解釈するための周辺情報という点である。
コンテンツモデレーション
content moderation
米 /ˈkɑːn.tent ˌmɑː.dəˈreɪ.ʃən/
英 /ˈkɒn.tent ˌmɒd.əˈreɪ.ʃən/
SNS・動画共有サービスなどの運営者が、利用者の投稿した文章・画像・動画などを、法律や利用規約、サービスの方針に照らして確認し、表示・拡散・利用を管理すること。違法・有害な内容への対応と、利用者の安全や表現の自由との両立が課題になる。 「SNS運営会社は、違法な投稿や利用規約に反する投稿に対応するため、コンテンツモデレーションを行っている」のように使う。SNS・動画サイトなどで、利用者が投稿した文章・画像・動画などを、法律やサービスのルールに基づいて確認・管理することを指す。対応には削除だけでなく、警告表示・年齢制限・おすすめ表示の制限・アカウント停止なども含まれる。人による判断とAIなどによる自動判定が使われることがあり、利用者の安全と表現の自由をどう両立するかが重要な論点になる。
コンバージョン
conversion
米 /kənˈvɝː.ʒən/(/ʃ/型もあり)
英 /kənˈvɜː.ʃən/(/ʒ/型もあり)
あるものを別の形・用途・性質などに変えること。マーケティングでは、ウェブサイトや広告の利用者が、購入、会員登録、資料請求、問い合わせなど、事前に定めた望ましい行動を完了することを指す。何をコンバージョンとするかは、事業や施策の目的によって異なる。 「商品購入をコンバージョンとして広告の効果を測る」のように使う。マーケティングでは、最終的な購入だけでなく、申込みや問い合わせなどを目標に設定する場合もあるため、対象行動を明示することが重要である。コンバージョンの件数や成立そのものと、その割合を示すコンバージョン率(CVR)は同じではない。また、不動産では建物の用途変更など、分野によって一般的な「転換・変換」の意味でも使われる。
コンプライアンス
compliance
米 /kəmˈplaɪ.əns/
英 /kəmˈplaɪ.əns/
法令、規則、契約、社内規程、社会的な倫理などを守ること。企業・組織では、違反を防ぐための方針、教育、相談・通報制度、監査、是正措置などを含む組織的な取り組みまで指すことが多い。日本語では「法令遵守」と訳されるが、法令だけに限定されない場合がある。 「全社員にコンプライアンス研修を行い、相談窓口も整備する」のように使う。単に違法行為をしないという結果だけでなく、責任者を定め、リスクを把握し、問題を早期に発見・是正できる仕組みや組織文化を整えることが重要である。「コンプライアンス上の問題」と表現するときは、どの法令・規程・倫理基準に関わるのかを具体的に示すと誤解が少ない。
ガイドライン
guideline
米 /ˈɡaɪd.laɪn/
英 /ˈɡaɪd.laɪn/
判断や行動のよりどころとなる、基本的な方針・指針・目安。特定の目的を達成するために、望ましい考え方や手順、注意点などを示す。法律や命令と同じ強制力を持つとは限らず、発行主体、根拠、対象範囲によって位置付けは異なる。 「新しい技術の利用に関するガイドラインを策定し、現場の判断基準を示す」のように使う。行政、業界団体、企業、学会など、さまざまな主体が作成する。具体的な手順を定める場合もあれば、原則や推奨事項だけを示す場合もある。「ガイドラインに沿う」と言うときは、対象者に遵守義務があるのか、推奨にとどまるのか、関連する法令や契約が別にあるのかを確認することが重要である。
ガバナンス
governance
米 /ˈɡʌv.ɚ.nəns/
英 /ˈɡʌv.ə.nəns/
組織や社会を適切な方向へ導き、意思決定を監督し、責任を明確にするための仕組み。企業では、経営者、取締役会、株主、従業員などの関係と、目標設定、権限配分、監督、説明責任のあり方を含む。日本語では「統治」と訳されるが、単なる支配ではなく、健全に運営するための制度や関係全体を指す。 「取締役会の監督機能を強化し、企業ガバナンスを改善する」のように使う。企業だけでなく、行政、大学、国際社会、データ管理など幅広い分野で用いられる。日々の業務を実行するマネジメントに対し、ガバナンスは、誰が方向を決め、誰を監督し、結果について誰が説明責任を負うかという枠組みに重点がある。形式的に規程や会議体を置くだけでなく、実際に機能しているかが重要である。
ギグワーカー
gig worker
米 /ˈɡɪɡ ˌwɝː.kɚ/
英 /ˈɡɪɡ ˌwɜː.kə/
インターネット上のアプリやプラットフォームなどを通じて、単発・短時間の仕事をその都度引き受けて働く人。配達、運送、家事代行、専門業務などさまざまな仕事があり、契約上の立場や実際の働き方によって法的な扱いは異なる。 「フードデリバリーなど、アプリを通じて単発の仕事を受けるギグワーカーが増えている」のように使う。働き方の分野で、企業に長期雇用される形ではなく、配達・送迎などの単発・短期の仕事を案件やタスクごとに引き受けて収入を得る人を指す。フードデリバリーの配達員などが代表例だが、特定の職業名ではない。「フリーランス」と重なる場合もあるが、ギグワーカーは特に短期・単発の仕事を次々に受ける点に重点がある。法的な雇用上の位置付けは、実際の働き方や制度によって異なる。
グリーンインフラ
green infrastructure
米 /ˌɡriːn ˈɪn.frəˌstrʌk.tʃɚ/
英 /ˌɡriːn ˈɪn.frəˌstrʌk.tʃə/
森林、河川、湿地、公園、緑地など、自然環境が持つ多様な機能を社会資本やまちづくりに活用し、防災・減災、生物多様性の保全、気候変動への対応、生活環境の向上など複数の課題を解決しようとする考え方や取組。 「豪雨による浸水被害を減らすため、公園や湿地の保水機能を生かしたグリーンインフラを整備する」のように使う。都市計画・防災・環境政策などで、森林・河川・湿地・公園・緑地などの自然環境が持つ機能を、洪水対策・雨水管理・暑さ対策・生物多様性の保全などの社会課題の解決に活用する考え方や社会基盤を指す。単に緑を増やすことではなく、自然の機能を社会基盤として計画的に生かす点が重要。堤防や下水道などの人工的なインフラと組み合わせて利用することもある。
グリーンウォッシュ
greenwash / greenwashing
米 /ˈɡriːn.wɑːʃ/
英 /ˈɡriːn.wɒʃ/
企業や商品、事業などが、実際以上に環境へ配慮しているように見せること。「環境に優しい」と強調しながら、根拠が不十分であったり、重要な環境負荷を隠したり、部分的な改善を全体の成果のように示したりする環境表示・広報などを指す。「グリーンウォッシング」ともいう。 「具体的な根拠を示さずに『完全に環境に優しい』と宣伝すれば、グリーンウォッシュと批判されるおそれがある」のように使う。環境への取り組みが全くない場合だけでなく、事実の一部を誇張した表示、曖昧な言葉、比較条件の欠落、都合の悪い影響の非開示なども問題になり得る。環境主張を行うときは、対象範囲、算定方法、比較基準、裏付け資料を明確にし、実態より良く見せないことが重要である。
グリーンタクソノミー
green taxonomy
米 /ˌɡriːn tækˈsɑː.nə.mi/
英 /ˌɡriːn tækˈsɒn.ə.mi/
どの経済活動を環境面で持続可能な活動とみなすかを、一定の目的・基準に基づいて分類する仕組み。投資家や企業が共通の基準で環境関連の事業を識別し、資金を振り向けやすくすることや、グリーンウォッシュを防ぐことを目的とする。具体的な基準は国・地域や制度によって異なる。 「金融機関はグリーンタクソノミーを参照し、融資対象の事業が環境基準を満たすか確認する」のように使う。代表例のEUタクソノミーでは、環境目標への実質的な貢献、他の環境目標への重大な害がないこと、最低限の保障措置、技術的な判定基準などが用いられる。活動名が分類表に載っているだけで自動的に『環境に良い』と決まるわけではなく、適用する制度と具体的な判定条件を確認する必要がある。
グリーンボンド
green bond
米 /ˌɡriːn ˈbɑːnd/
英 /ˌɡriːn ˈbɒnd/
再生可能エネルギー、省エネルギー、汚染防止、生物多様性保全など、環境上の効果が見込まれる事業に資金を充てるために発行される債券。一般の債券と同様に元利金の支払義務があるが、調達資金の使途が環境関連事業に限定・特定される点に特徴がある。 「自治体が省エネ公共施設の整備資金を調達するため、グリーンボンドを発行した」のように使う。発行時には、資金使途、対象事業の選定方法、資金管理、実施状況や環境効果の報告などについて透明性が求められる。『グリーン』という名称だけで元本の安全性や高い収益性が保証されるわけではないため、投資判断では発行体の信用リスクと、資金使途・報告内容の双方を確認する必要がある。
グレーゾーン
grey zone(米綴り gray zone)
米 /ˈɡreɪ ˌzoʊn/
英 /ˈɡreɪ ˌzəʊn/
白黒を明確に区別できず、規則上・倫理上・事実上の位置付けや判断が曖昧な領域。法律に違反するか、許容されるか、正常か異常かなどの境界がはっきりしない状況を広く指す。安全保障では、平時と武力紛争の間で、武力攻撃に至らない形で他国へ圧力を加える活動を指すことがある。 「新しいサービスの扱いは現行法で明確に定められておらず、グレーゾーンになっている」のように使う。『違法と確定していないから自由に行ってよい』という意味ではなく、規制の適用、事実関係、判断基準が不明確な状態を表す。法律、職場のルール、安全保障など分野によって何と何の間が曖昧なのかが異なるため、具体的な境界と判断主体を示すことが重要である。
グローバリゼーション
globalization(英綴り globalisation も一般的)
米 /ˌɡloʊ.bəl.əˈzeɪ.ʃən/
英 /ˌɡləʊ.bəl.aɪˈzeɪ.ʃən/
国境を越えた商品・サービス・資本・人・情報・技術などの移動や交流が拡大し、世界の国や地域の経済・社会の結びつきや相互依存が強まっていくこと。「グローバル化」ともいう。 「グローバリゼーションの進展により、企業は世界各地から部品を調達し、複数の国で製品を生産・販売するようになった」のように使う。経済・政治・社会などで、貿易・投資・人・情報・技術などが国境を越えて移動し、世界各地の結び付きや相互依存が強まっていく現象を指す。企業の海外進出だけを意味するものではなく、経済・文化・情報など幅広い分野を含む。また、世界が完全に一体化したり、各国の違いがなくなったりするという意味でもない。
グローバルコモンズ
global commons
米 /ˌɡloʊ.bəl ˈkɑː.mənz/
英 /ˌɡləʊ.bəl ˈkɒm.ənz/
特定の一国だけが所有・支配するものではなく、国際社会全体が共通に利用し、その安定的な利用や保全のために国際的な協力が必要となる領域・資源。「国際公共財」と訳されることがあり、海洋、宇宙などを指し、安全保障分野ではサイバー空間を含めることもある。 「公海や宇宙空間などのグローバルコモンズを安定して利用するためには、国際的なルールと協力が欠かせない」のように使う。国際政治・安全保障・環境などで、特定の一国だけのものではなく、国際社会全体に関係する共有領域・共有資源を指す。代表例として公海・大気・宇宙空間・南極などが挙げられる。誰でも無制限に利用してよいという意味ではなく、多くの国が利用するからこそ、資源の保全や安全な利用のための国際的なルールと協力が必要になる。
グローバルガバナンス
global governance
米 /ˌɡloʊ.bəl ˈɡʌv.ɚ.nəns/
英 /ˌɡləʊ.bəl ˈɡʌv.ə.nəns/
気候変動、感染症、国際金融、海洋、サイバー空間など、一国だけでは解決しにくい地球規模の課題について、国家、国際機関、企業、市民社会などがルールをつくり、協力・調整・監督する仕組みや過程。「世界政府」による一元的な統治ではなく、多様な主体による国境を越えた問題解決を指す。 「気候変動や感染症のように一国だけでは解決できない問題には、各国や国際機関が協力するグローバルガバナンスが必要になる」のように使う。国際政治などで、気候変動・金融・感染症・海洋・サイバー空間など国境を越える問題について、国家・国際機関・企業・市民社会などがルールをつくり、協力・調整・監督する仕組みを指す。世界全体を一つの政府が統治する「世界政府」という意味ではない。誰が意思決定に参加し、負担や責任をどう分担するかという公平性や実効性も重要な論点になる。
グローバルサウス
Global South
米 /ˌɡloʊ.bəl ˈsaʊθ/
英 /ˌɡləʊ.bəl ˈsaʊθ/
文字どおりの南半球ではなく、新興国・途上国などを広く指す政治・外交上の表現。対象範囲が厳密に固定されている語でもありません。 「気候変動や国際金融制度をめぐる議論では、グローバルサウスの国々の意見をどのように反映するかが重要な論点になっている」のように使う。国際政治・経済で、主としてアジア・アフリカ・中南米などの新興国・途上国を幅広く捉える表現。地理的な南半球だけを意味せず、正式な加盟国一覧を持つ国際組織でもないため、どの国を含めるかは文脈によって異なる。また、政治体制・経済規模・外交方針の異なる多様な国々を含むため、「グローバルサウスが一つの共通意見を持っている」と一括して捉えないことが重要。
サーキュラーエコノミー
circular economy
米 /ˌsɝː.kjə.lɚ iˈkɑː.nə.mi/
英 /ˌsɜː.kjə.lər iˈkɒn.ə.mi/
製品・部品・材料などをできるだけ長く高い価値のまま使い続け、資源投入と廃棄物の発生を減らすことを目指す経済の仕組み。「循環経済」ともいう。修理、再使用、再製造、シェアリング、資源回収、製品設計の見直しなどを含み、資源を採取し、製造し、使用後に捨てる一方向型の経済からの転換を目指す。 「使用済み製品を廃棄せず、修理・再利用・再資源化して資源を循環させるサーキュラーエコノミーへの移行を進める」のように使う。環境政策・製造業などで、資源を採取して製品を作り、使用後に捨てる一方向型の経済から転換し、製品・部品・材料をできるだけ長く利用しながら循環させる「循環経済」を指す。単なるリサイクルだけではなく、製品の長寿命化・修理・再使用・再製造・シェアリングなども含む。資源投入と廃棄物をできるだけ減らすことが中心となる。
サイバーセキュリティ
cybersecurity / cyber security
米 /ˌsaɪ.bɚ.sɪˈkjʊr.ə.t̬i/
英 /ˌsaɪ.bə.sɪˈkjʊə.rə.ti/
コンピューター、ネットワーク、情報システム、データなどを、サイバー攻撃や不正アクセス、情報の窃取・改ざん、サービス妨害などの脅威から守り、被害の予防・検知・対応・復旧を行うための対策や仕組み。 「企業へのサイバー攻撃が相次いでいるため、社員教育や多要素認証の導入など、サイバーセキュリティを強化する必要がある」のように使う。企業・行政・ITなどで、コンピューター・ネットワーク・システム・データを、不正アクセス・マルウェア・情報窃取・サービス妨害などのサイバー上の脅威から守るための対策や仕組みを指す。ウイルス対策だけではなく、アクセス管理・ソフトウェア更新・社員教育・バックアップ・監視・事故発生後の復旧なども含む。サイバー攻撃を完全にゼロにすることだけでなく、被害を抑えて早期に復旧できる体制づくりも重要になる。
サイバーテロ
cyberterrorism / cyber terrorism
米 /ˌsaɪ.bɚˈter.ə.rɪ.zəm/
英 /ˌsaɪ.bəˈter.ə.rɪ.zəm/
サイバー攻撃によって重要インフラの基幹システムなどを機能不全に陥れ、社会機能に重大な混乱や被害を生じさせる行為。日本の警察行政では、重要インフラの基幹システムへの電子的攻撃や、電子的攻撃による可能性が高い重大な障害を「サイバーテロ」として扱う。 「電力や交通などの重要インフラを狙った大規模なサイバーテロに備え、官民で防御体制を強化する必要がある」のように使う。安全保障などで、コンピューターやネットワークを利用し、政治的・思想的な目的などから社会に重大な混乱や被害を生じさせ、人々や政府などを威嚇・強要しようとする行為について使われる。すべてのサイバー攻撃やサイバー犯罪を意味するわけではなく、目的・標的・被害の程度などが重要になる。「サイバーテロ」という言葉の厳密な範囲は文脈によって異なるため、個別事件への使用には注意が必要。
サイロ
silo
米 /ˈsaɪ.loʊ/
英 /ˈsaɪ.ləʊ/
本来は穀物などを貯蔵する塔・容器。組織や情報システムの文脈では、部署・部門・システムなどが他と分断され、情報を共有せず、相互理解や協力が進まない状態、またはその閉鎖的な単位を比喩的に指す。「サイロ化」は、そのような分断が生じること。 「部門ごとに顧客情報を別々に管理しているため、データがサイロ化している」のように使う。組織の専門性や権限を分けること自体が直ちに悪いのではなく、必要な情報や目標が共有されず、重複作業、判断の不一致、全体最適の妨げが生じることが問題になる。改善には、共通の目標、部門横断の責任体制、データ連携、連絡経路などを整える必要がある。
サステナビリティ
sustainability
米 /səˌsteɪ.nəˈbɪl.ə.t̬i/
英 /səˌsteɪ.nəˈbɪl.ə.ti/
環境・社会・経済などの面で、活動や仕組みを現在だけでなく将来にわたって持続できること。「持続可能性」と訳される。企業経営では、自然環境への負荷、人権・労働、地域社会、事業の長期的な存続などを総合的に考える概念として使われる。環境問題だけに限られず、SDGsやESGなどと関係するが同義ではない。 「企業には短期的な利益だけでなく、環境や社会への影響も考えながら事業のサステナビリティを高めることが求められている」のように使う。企業経営・環境政策などで、環境・社会・経済といった面から、現在だけでなく将来にわたって活動や仕組みを持続できる状態・「持続可能性」を指す。環境問題だけを意味するのではなく、人権・労働・地域社会・企業の長期的な存続なども含む広い概念。「SDGs」「ESG」「カーボンニュートラル」などと関係するが、それらと同義ではない。
サステナブルファイナンス
sustainable finance
米 /səˈsteɪ.nə.bəl ˈfaɪ.næns/
英 /səˈsteɪ.nə.bəl ˈfaɪ.næns/
環境・社会などの持続可能性を金融の判断に取り入れ、投資や融資などを通じて、持続可能な社会への移行や社会・環境上の課題解決を支える金融の考え方や取組。グリーンファイナンス、トランジションファイナンス、インパクト投資などを含む広い概念。 「脱炭素や地域課題の解決につながる事業へ資金を振り向けるため、金融機関はサステナブルファイナンスへの取り組みを強化している」のように使う。金融・投資などで、収益性やリスクだけでなく、環境・社会などの持続可能性も考慮して投資・融資・資金調達を行う考え方や取り組みを指す。グリーンボンド、ESG投資、トランジションファイナンスなどと関係する広い概念で、単なる寄付や環境分野だけの金融を意味しない。「サステナブル」と表示されていても投資の安全性が保証されるわけではなく、資金使途・目標・実際の効果などを確認することが重要。
サプライチェーン
supply chain
米 /səˈplaɪ ˌtʃeɪn/
英 /səˈplaɪ ˌtʃeɪn/
商品やサービスが提供されるまでの、原材料・部品の調達、製造、在庫管理、物流、販売などが連なる一連の供給の流れや、それに関わる企業・組織のつながり。「供給網」ともいう。 「海外の部品工場が操業を停止したことでサプライチェーンが寸断され、国内工場でも生産に遅れが生じた」のように使う。製造業・物流・企業経営などで、原材料の調達から部品製造・組み立て・物流・販売まで、商品やサービスが顧客へ届くまでにつながる一連の「供給網」を指す。物流だけを意味するのではなく、複数の企業や国にまたがる調達・生産のつながりを含む。災害・戦争・感染症・サイバー攻撃などで一部が止まると全体へ影響が広がるため、調達先の分散や代替手段の確保など、サプライチェーンの強靱化が重要になる。
サミット
summit
米 /ˈsʌm.ɪt/
英 /ˈsʌm.ɪt/
複数の国の首脳が集まり、国際的な重要課題について協議する首脳会議。日本では特にG7などの首脳会議を指して「サミット」と呼ぶことが多い。 「各国首脳はサミットで、経済安全保障や気候変動などの国際課題について意見を交わした」のように使う。国際政治・外交で、大統領や首相など各国の最高レベルの指導者が集まり、重要な国際問題を協議する「首脳会議」を指す。G7サミットなどが代表例だが、特定の一つの会議だけを意味する言葉ではない。すべての国際会議をサミットと呼ぶわけではなく、参加者が首脳級であることが重要。原語 summit には本来「山頂・頂上」という意味もある。
サンドボックス
sandbox
米 /ˈsænd.bɑːks/
英 /ˈsænd.bɒks/
外部への影響を抑えた隔離・制限環境で、プログラムや新しい仕組みなどを安全に試すための環境。ITでは不審なプログラムなどを隔離して実行・検証する仕組みを指し、政策分野では新技術や新事業を限定された条件で実証する「規制のサンドボックス制度」を指すこともある。 「新しい金融サービスを実際の利用環境に近い条件で試すため、規制のサンドボックス制度を活用する」のように使う。ITでは、プログラムなどを周囲から隔離し、問題が起きても影響を広げにくい状態で試すための実験・検証環境を指す。行政・ビジネスでは、新しい技術やサービスを一定の条件・期間・監督の下で実際に試し、規制や制度のあり方を検討する「規制のサンドボックス」という用法もある。自由に何でも行える無規制の場所という意味ではなく、範囲を限定することで安全に試せるようにすることがポイント。
シーレーン
sea lane / sea-lane
米 /ˈsiː ˌleɪn/
英 /ˈsiː ˌleɪn/
船舶が継続的に利用する主要な海上交通路。特に安全保障や経済の分野では、原油・天然ガス、食料、原材料、製品などを海上輸送するために重要な航路を指し、「海上交通路」ともいう。 「日本はエネルギー資源の多くを海上輸送に依存しているため、重要なシーレーンの安全確保は経済安全保障上の課題となる」のように使う。国際政治・安全保障・貿易などで、原油・天然ガス・原材料・製品などを船で運ぶ際に利用される重要な「海上交通路・海上輸送路」を指す。一本の固定された道路のようなものではなく、国際貿易で継続的に利用される重要な海域・航路を表す。海峡などのチョークポイントで紛争や航行障害が起きると、エネルギー供給やサプライチェーンへ影響するため、その安全確保が重要な課題になる。
シナジー
synergy
米 /ˈsɪn.ɚ.dʒi/
英 /ˈsɪn.ə.dʒi/
複数の企業・事業・技術・人材などが協力・結合することで、それぞれが単独で活動する場合の合計を上回る効果や価値が生まれること。「相乗効果」と訳される。企業経営では、売上増加、コスト削減、技術の補完、新商品開発など、合併・提携によって得られる追加的な効果を指すことが多い。 「両社の技術力と販売網を組み合わせることで、大きなシナジーが期待できる」のように使う。企業経営・M&A・業務提携などで、複数の企業・事業・技術・人材などを組み合わせることによって、それぞれを単独で利用するより大きな効果や価値が生まれる「相乗効果」を指す。単に合併・提携しただけでシナジーが生まれるわけではなく、売上増加・コスト削減・新商品開発など、組み合わせによる追加的な効果が実際に生じることがポイント。「シナジーが期待される」は将来予測であり、実現が保証されているという意味ではない。
シビリアンコントロール
civilian control
米 /səˈvɪl.jən kənˈtroʊl/
英 /sɪˈvɪl.jən kənˈtrəʊl/
軍事組織・軍事力を、選挙で選ばれた政治指導者や議会などによる民主的な統制の下に置く原則。「文民統制」と訳され、民主主義国家における軍事に対する政治の優先を意味する。軍事力の使用目的、制度、予算などについて、最終的な政治判断と責任を文民の政治制度が担う。 「軍事組織を民主的に統制するためには、選挙で選ばれた政治指導者が最終的な意思決定を担うシビリアンコントロールが重要となる」のように使う。政治・安全保障で、軍事・防衛組織を文民の政治指導者や議会による民主的な統制の下に置く原則を指し、日本語では「文民統制」と呼ばれる。軍事専門家の意見を無視したり、政治家が現場の細かな作戦まで直接指揮したりすることを意味するのではなく、軍事力をいつ・どのような目的で使うか、予算や制度をどうするかといった最終的な政治判断と責任を民主的な政治制度が担うことがポイント。
シャドーIT
shadow IT
米 /ˌʃæd.oʊ aɪˈtiː/
英 /ˌʃæd.əʊ aɪˈtiː/
企業や組織で、情報システム部門の把握・承認・管理を受けずに、従業員や部門が業務のために利用しているIT機器、ソフトウェア、クラウドサービスなど。情報漏えい、セキュリティ、法令・社内規則への適合などのリスクにつながることがある。 「従業員が会社の承認を受けずに個人向けクラウドへ業務データを保存し、シャドーITとなっていた」のように使う。便利なサービスを現場が迅速に導入した結果として生じることもあり、悪意のある利用だけを指すわけではない。しかし、管理者が利用状況や保存場所を把握できないと、情報漏えい、権限管理、契約終了時のデータ回収、法令遵守などの問題につながる。利用実態を可視化し、リスクを評価した上で、禁止・制限・正式承認などの対応を決めることが重要である。
シンクタンク
think tank
米 /ˈθɪŋk ˌtæŋk/
英 /ˈθɪŋk ˌtæŋk/
政治・経済・社会・安全保障・科学技術などの課題について専門的な調査・研究を行い、その成果をもとに政策提言や情報提供、助言などを行う研究機関・専門家集団。「政策研究機関」「頭脳集団」などと呼ばれることもある。 「民間シンクタンクは人口減少が地域経済に与える影響を分析し、自治体へ政策提言を行った」のように使う。政治・経済・社会などの専門家が調査・研究・分析を行い、政府・自治体・企業などへ政策や戦略に関する提言・情報を提供する研究機関・組織を指す。政府機関とは限らず、民間・大学系・企業系などさまざまな形がある。また、シンクタンクだから政治的に完全に中立とは限らないため、報告書を読む際には組織の立場・資金源・分析方法なども確認することが重要。日本では調査研究とコンサルティングの両方を行う組織をシンクタンクと呼ぶ場合もある。
シングルイシュー
single issue / single-issue
米 /ˌsɪŋ.ɡəl ˈɪʃ.uː/
英 /ˌsɪŋ.ɡəl ˈɪʃ.uː/
多くの政策課題を総合的に扱うのではなく、一つの特定の争点・政策課題に焦点を絞ること。政治では、その一つの争点を中心に支持・投票・政治運動などを行う立場や活動を指す。 「その団体は環境政策というシングルイシューに焦点を絞って活動している」のように使う。政治・選挙・市民運動などで、一つの争点を最優先し、その賛否を基準に候補者や政党を支持したり、運動を展開したりする場合に用いる。課題を分かりやすく訴えられる一方、外交・財政・社会保障など他の政策を含む総合的な判断とは異なる。『一つの争点だけが重要で、他は考慮しない』という批判的な含みで使われる場合もあるため、文脈に注意する。
スキーム
scheme
米 /skiːm/
英 /skiːm/
目的を実現するために、関係者、手順、資金、契約、役割などを組み合わせた計画・仕組み・枠組み。日本のビジネスや行政では、事業の実施方法や取引の構造を中立的に表すことが多い。英語の `scheme` は計画・制度という意味に加え、特に米語では不正・秘密の企てという否定的な意味になることがある。 「自治体と民間企業が費用を分担する事業スキームを設計する」のように使う。単なる予定表ではなく、誰が何を担当し、資金や権利がどう動き、どの手順で目的を達成するかという全体の構造を指すことが多い。「補助金スキーム」「資金調達スキーム」「官民連携スキーム」などと表現する。具体性のないまま『スキームを検討する』とだけ言うと内容が伝わりにくいため、参加者、役割、費用、契約、実施手順などを示すことが重要である。
スキルセット
skill set
米 /ˈskɪl ˌset/
英 /ˈskɪl ˌset/
ある人が仕事や活動で利用できる、複数の知識・技能・能力の組み合わせ。専門技術だけでなく、分析、コミュニケーション、管理、語学などを含む場合がある。単一の技能ではなく、その人が持つ技能のまとまりに重点がある。 「この職種では、データ分析と顧客への説明力を組み合わせたスキルセットが求められる」のように使う。採用、人材育成、配置、キャリア開発などで、職務に必要な能力の組み合わせや、個人が保有する能力の組み合わせを表す。資格の一覧だけを意味するものではなく、知識、実務経験、対人能力などを含めて用いられることがある。評価するときは、抽象的に『高いスキルセット』と言うだけでなく、必要な技能と到達水準を具体化することが重要である。
スクリーニング
screening
米 /ˈskriː.nɪŋ/
英 /ˈskriː.nɪŋ/
多数の人・物・情報などを、一定の基準や簡便な検査によって調べ、詳しい確認や選考の対象を絞り込むこと。「選別」「ふるい分け」などを意味する。医療では、症状のない集団などから病気の可能性やリスクが高い人を見つける検査を指すが、通常は確定診断そのものではない。 「応募書類をスクリーニングし、面接へ進む候補者を選ぶ」のように使う。採用、投資、制裁、医療、研究などで、あらかじめ定めた条件に基づいて対象を調べ、次の段階へ進むものを絞り込むことを指す。医療のスクリーニング検査で陽性となっても病気が確定したとは限らず、追加の検査が必要になる場合がある。何を除外・抽出するのか、使用する基準、誤判定の可能性を明確にすることが重要である。
スケーラビリティ
scalability
米 /ˌskeɪ.ləˈbɪl.ə.t̬i/
英 /ˌskeɪ.ləˈbɪl.ə.ti/
利用者数、処理量、事業規模などが増減したときに、システムや仕組みが性能・効率を大きく損なわず、その変化へ対応できる能力。「拡張性」と訳される。ITでは、機器の性能を高める方法や、複数の機器を追加する方法などによって処理能力を拡張できる性質を指す。 「利用者が10倍に増えても対応できるよう、サービスのスケーラビリティを確保する」のように使う。ITシステムだけでなく、人員や拠点を増やして事業を拡大できるかというビジネスモデルの性質にも使われる。単に現在の処理速度が速いことではなく、需要の増加に応じて容量や処理能力を無理なく拡張できることが要点である。拡張方法、性能上限、費用、運用の複雑さも合わせて評価する必要がある。
スコープ
scope
米 /skoʊp/
英 /skəʊp/
仕事・計画・プロジェクトなどで、対象とする内容・領域・作業の範囲や、その内外を区切る境界。ITでは、変数や名前などが有効・参照可能な範囲を指すこともある。 「今回の調査は国内市場だけをスコープとし、海外市場は対象外とする」のように使う。プロジェクトでは、作成する成果物、実施する作業、対象部署など、何を含み何を含まないかを定める。合意なく作業範囲が少しずつ広がることは「スコープクリープ」と呼ばれ、納期や費用の増加につながる。開始時に境界を明示し、変更が必要な場合は影響を確認して正式に合意することが重要である。
スタートアップ
start-up / startup
米 /ˈstɑːrt.ʌp/
英 /ˈstɑːt.ʌp/
創業して間もない企業のうち、革新的な技術・アイデアや新しいビジネスモデルによって新たな価値を生み出し、短期間で大きな成長を目指す企業。日本では、単なる新設企業よりも、イノベーションと急成長を志向する企業を指すことが多い。 「大学で開発した新技術を事業化するため、研究者らがスタートアップを設立し、ベンチャーキャピタルから資金を調達した」のように使う。ビジネス・投資・経済政策などで、新しい技術やビジネスモデルを使い、短期間で大きな成長を目指す新興企業・事業を指すことが多い。単に設立されたばかりの会社や小規模企業すべてを意味するわけではなく、革新性・成長性・事業を大きく拡張できるスケーラビリティが重視される。資金調達、ベンチャーキャピタル、イノベーション、ピボットなどと一緒に使われることが多い。
スタグフレーション
stagflation
米 /stæɡˈfleɪ.ʃən/
英 /stæɡˈfleɪ.ʃən/
景気や経済成長が停滞しているにもかかわらず、物価上昇が続く状態。`stagnation`(停滞)と `inflation`(インフレーション)を組み合わせた語で、失業率の上昇を伴う場合も多い。景気低迷とインフレへ同時に対応する必要があり、経済政策が難しくなる。 「資源価格の上昇で物価が高騰する一方、生産や雇用が弱まり、スタグフレーションへの懸念が高まった」のように使う。単なる物価高や、一時的な景気後退だけを指すのではなく、経済活動の停滞と継続的なインフレが同時に起きることが要点である。物価上昇を抑える政策は景気をさらに弱め、景気を支える政策は物価を押し上げる可能性があるため、政策対応が難しい状態として説明される。
スチュワードシップ
stewardship
米 /ˈstuː.ɚd.ʃɪp/
英 /ˈstjuː.əd.ʃɪp/
他者から預かった資産・資源・組織などを、受託者として責任を持って管理し、長期的な価値や利益を守ること。金融では、機関投資家が投資先企業を理解し、対話や議決権行使などを通じて企業価値の向上と持続的成長を促し、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任を指す。 「機関投資家は投資先企業との対話を通じて、スチュワードシップ責任を果たす」のように使う。金融・企業統治では、株式を保有するだけでなく、企業の状況を把握し、建設的な対話や議決権行使を行う考え方と結び付く。経営へ直接介入することや、短期的な株価上昇だけを求めることと同じではない。また一般には、環境・文化財・組織などを将来世代や受益者のために責任を持って管理する意味でも使われる。
スティグマ
stigma
米 /ˈstɪɡ.mə/
英 /ˈstɪɡ.mə/
病気、障害、属性、境遇などを理由に、個人や集団に否定的な意味づけや「社会的な烙印」を与え、偏見・差別・排除などにつながること、またはその否定的な社会的評価。精神疾患や感染症などの分野で特によく使われる。 「精神疾患に対する社会的なスティグマが、必要な医療や支援を受けることをためらわせる要因になることがある」のように使う。医療・福祉・社会学などで、病気・障害・貧困・経歴などを理由に、人や集団へ「望ましくない」「劣っている」といった社会的な負の烙印・レッテルが付けられ、それが排除・差別・不利益につながる状態を指す。単なる偏見と完全に同じではなく、否定的な評価が社会的な扱いや本人の行動にまで影響することがポイント。社会からの評価を本人自身が取り込み、自分を否定的に見ることは「セルフスティグマ」と呼ばれる。
ステークホルダー
stakeholder
米 /ˈsteɪkˌhoʊl.dɚ/
英 /ˈsteɪkˌhəʊl.də/
企業・組織などに利害・関心・関与を持つ人や集団。株主だけでなく、従業員、顧客、市民なども含み得る。金銭的利害のある人だけではない。 「事業計画を決める前に、住民や取引先などのステークホルダーと対話する」のように使う。企業では株主、従業員、顧客、取引先、金融機関、地域社会、行政など、事業の意思決定から影響を受ける人や、事業へ影響を与え得る人を含む。すべてのステークホルダーが同じ利害を持つとは限らないため、対象者を具体的に特定し、関心、影響、責任の違いを把握することが重要である。「株主」を意味する `shareholder` より広い概念。
ステルスマーケティング
stealth marketing
米 /ˌstelθ ˈmɑːr.kɪ.t̬ɪŋ/
英 /ˌstelθ ˈmɑː.kɪ.tɪŋ/
企業などによる広告・宣伝であるにもかかわらず、その事実を隠したり分かりにくくしたりして、第三者の自主的な口コミ・評価・投稿のように見せる宣伝手法。「ステマ」と略される。日本では、広告であることを一般消費者が判別することが困難な表示は、景品表示法上の規制対象となる。 「企業から依頼を受けて商品を紹介しているのに広告であることを明らかにしなければ、ステルスマーケティングとして問題になる場合がある」のように使う。広告・SNSなどで、企業などの広告・宣伝であるにもかかわらず、その関係を消費者から分かりにくくし、第三者の自主的な口コミや評価のように見せる宣伝を指す。「ステマ」と略されることが多い。一般利用者が自分で購入した商品を自主的に褒めることや、広告であることが適切に分かるインフルエンサー広告まで、すべてステマになるわけではない。日本では単なるネット用語ではなく、景品表示法上の制度的な文脈でも重要な言葉。
ステレオタイプ
stereotype
米 /ˈster.i.ə.taɪp/
英 /ˈster.i.ə.taɪp/
特定の人々・集団・職業・物事などについて、個々の違いを十分に考慮せず、「こういうものだ」と単純化して固定的に捉えるイメージや考え方。「固定観念」「紋切り型のイメージ」などと訳される。 「『理系の人はコミュニケーションが苦手だ』と一括りに考えるのは、典型的なステレオタイプである」のように使う。社会・教育・ジェンダーなどで、ある職業・世代・性別・国籍などの集団について、「この集団の人はこういうものだ」と個人差を十分に考えず固定化されたイメージを当てはめることを指す。否定的なものだけでなく、「女性は気配りが得意」「高齢者は経験豊富だ」のような一見肯定的な固定観念もステレオタイプになり得る。単なる偏見やスティグマ、差別と完全に同じ意味ではなく、ステレオタイプがそれらの背景になる場合がある。
ストックオプション
stock option
米 /ˈstɑːk ˌɑːp.ʃən/
英 /ˈstɒk ˌɒp.ʃən/
会社が役員・従業員などに付与する、将来の一定期間内に、その会社の株式をあらかじめ定められた価格で購入できる権利。株価が権利行使価格を上回れば利益を得られる可能性があるため、人材の獲得・定着や業績向上へのインセンティブとして利用される。 「成長企業では、社員が将来一定の価格で自社株を取得できるストックオプションを報酬制度の一部として付与することがある」のように使う。企業経営・スタートアップ・人事などで、役員や従業員などに、将来あらかじめ定めた条件・価格で自社株を取得できる権利を与える仕組みを指す。株式そのものを最初から受け取る制度とは異なり、その権利を実際に使って株式を取得することを「行使」という。企業価値が上がれば権利の価値も高まる可能性があるためインセンティブとして利用されるが、将来の利益が保証されるわけではない。なお英語の stock option はより広い意味を持つため、従業員向け制度を明確に表す場合は employee stock option とすると分かりやすい。
ストローマン
straw man
米 /ˌstrɑː ˈmæn/
英 /ˌstrɔː ˈmæn/
議論で、相手の実際の主張を極端・単純・弱い形にゆがめ、その作り替えた主張を反論することで、元の主張まで論破したかのように見せる論法・誤謬。「わら人形論法」ともいう。 「『制度の一部を見直すべきだ』という意見を、『制度をすべて廃止したいのだ』と言い換えて批判するのはストローマンである」のように使う。相手が実際には述べていない極端な主張や、反論しやすい弱い主張を作り、それを攻撃することで元の主張にも答えたように見せる。単なる要約や言い換えがすべてストローマンになるわけではなく、元の主張の重要な条件や程度を失わせているかを確認する必要がある。
スピン
spin
米 /spɪn/
英 /spɪn/
政治・広報・報道などで、ある出来事や情報について、自分や組織に有利な印象を与えるよう、特定の側面を強調したり解釈の仕方を工夫したりして提示すること。事実そのものの虚偽とは限らないが、偏った見せ方や印象操作を含意することがある。 「政府は悪化した経済指標を一時的な調整だと説明したが、野党は都合のよいスピンだと批判した」のように使う。政治家、企業、広報担当者などが、同じ事実の中から有利な面を強調し、不利な面を目立たなくして受け手の印象を方向付ける場合に用いる。必ずしも事実を捏造することではないが、中立的な説明よりも特定の立場に有利な解釈を示す含みがある。何が事実で、どの部分が評価・解釈なのかを分けて確認することが重要である。
スピンオフ
spin-off / spinoff
米 /ˈspɪn.ɑːf/
英 /ˈspɪn.ɒf/
もとの企業・事業・作品・研究などから一部が分離・派生し、独立した会社・事業・作品・成果などとして生まれること、またはその派生したもの。企業では一部門・子会社などを切り離して独立会社にすること、映画・ドラマなどでは既存作品の人物や設定から別作品を生み出すことを指す。 「研究部門をスピンオフして、新技術を事業化する独立会社を設立した」のように使う。企業では部門・子会社を親会社から分離して独立させること、研究では本来の研究から派生した技術や事業、映像作品では既存作品の人物・設定から生まれた別作品などを指す。企業分割の具体的な法的・資本上の方法は一つではないため、『スピンオフ』という名称だけで親会社との資本関係や支配関係がなくなるとは限らない。
スポットワーカー
spot worker
米 /ˌspɑːt ˈwɝː.kɚ/
英 /ˌspɒt ˈwɜː.kə/
短時間・単発の雇用契約に基づく「スポットワーク」で働く人。専用アプリなどを通じて、働きたい日時・場所の求人へ応募し、面接を経ず短時間で就労が決まる形が代表的である。仕事ごとに雇用契約が成立する場合は労働関係法令が適用され、個人事業主として業務を請け負う働き方とは区別される。 「繁忙時間だけスポットワーカーを募集し、店舗の人員を補った」のように使う。飲食、小売、物流、宿泊などで、数時間・一日単位の仕事をその都度引き受ける人を指すことが多い。短期・単発の仕事という点でギグワーカーと重なるが、スポットワーカーは雇用契約の下で働く人を指す用法が中心で、すべてがフリーランスとは限らない。求人へ応募した時点など、いつ労働契約が成立するかによって、事業主による取消しや休業手当の扱いが変わり得るため、条件を確認することが重要である。
スマートグリッド
smart grid
米 /ˈsmɑːrt ˌɡrɪd/
英 /ˈsmɑːt ˌɡrɪd/
情報通信技術を活用して、発電・送配電・電力消費などの情報を把握・制御し、電力の需要と供給を効率的・安定的に調整する次世代の電力網。再生可能エネルギー、蓄電池、スマートメーターなどを活用しやすくする仕組みでもある。 「太陽光発電や蓄電池を大量に導入しても電力の需給を安定させられるよう、スマートグリッドの整備を進める」のように使う。電力・エネルギー分野で、電力網に通信・センサー・デジタル制御などを組み合わせ、発電量・消費量・電力網の状態を把握しながら、電力の需給を効率的・柔軟に調整する仕組みを指す。スマートメーター、蓄電池、太陽光・風力発電、EV、デマンドレスポンスなどと関係が深いが、そのいずれか一つだけを意味する言葉ではない。再生可能エネルギーの大量導入や電力供給の安定化に役立つ一方、通信・制御システムが増えるためサイバーセキュリティやデータ管理も重要になる。
スマートシティ
smart city
米 smart /smɑːrt/ + city /ˈsɪt̬.i/
英 smart /smɑːt/ + city /ˈsɪt.i/
ICT、AI、IoTなどの新技術や官民のデータを活用して、都市・地域が抱える課題を解決し、行政や生活サービスなどを効率化・高度化するとともに、住民などの生活の質を高め、持続可能な地域社会を目指す取組や都市・地域。 「交通データと予約システムを連携させ、高齢者の移動を支援するスマートシティ事業を進める」のように使う。交通、防災、医療、行政、エネルギーなど複数分野で、ICT・AI・IoTや官民データを活用し、地域課題の解決、サービスの高度化、住民の生活の質の向上を図る取り組みを指す。単に街へセンサーや最新機器を設置することではなく、住民中心の目的、データ保護、関係者間の連携、事業の継続性まで含めて設計することが重要である。
セーフスペース
safe space
米 /ˌseɪf ˈspeɪs/
英 /ˌseɪf ˈspeɪs/
差別、偏見、嫌がらせ、脅威などを受ける不安をできるだけ減らし、安心して過ごしたり、自分の経験や考えを話したりできるよう設けられた場所・環境。学校、職場、地域活動、支援活動、オンライン上の場などで用いられる。 「参加者が差別的な言動やハラスメントを恐れずに経験や悩みを話せるよう、相談会をセーフスペースとして運営する」のように使う。教育・福祉・相談活動などで、差別・侮辱・威圧などへの不安をできるだけ減らし、安心して発言・相談・参加できるよう配慮された場所や環境を指す。物理的な部屋だけでなく、集まりやオンラインコミュニティにも使われる。何を言っても許される場所や、異なる意見をすべて排除する場所という意味ではなく、相互尊重や守秘など一定のルールを設けて参加者の安全性を高めることが重要。なお、一切の不快感や対立が起きないことを保証する言葉でもない。
セーフティネット
safety net
米 /ˈseɪf.ti ˌnet/
英 /ˈseɪf.ti ˌnet/
生活保護だけではなく、社会保険・生活困窮者支援などを含む重層的な安全網。 「失業や病気などで生活が不安定になった人を支えるため、社会保険や生活困窮者支援など複数のセーフティネットを整える必要がある」のように使う。社会保障・福祉・雇用政策などで、失業、病気、貧困、災害などによって生活が大きく不安定になったとき、それ以上深刻な状態へ陥ることを防ぐための支援制度や仕組みを「安全網」にたとえた言葉。生活保護だけを意味するのではなく、社会保険や生活困窮者支援など複数の仕組みを含む重層的な概念である。「最後のセーフティネット」という表現は、その中でも最終段階で最低限の生活を支える仕組みを指す文脈で使われる。
セカンドオピニオン
second opinion
米 /ˌsek.ənd əˈpɪn.jən/
英 /ˌsek.ənd əˈpɪn.jən/
患者が診断や治療方法について判断するため、現在の主治医とは別の医師から医学的な意見を聞くこと。主治医の説明に加えて異なる専門的見解を得ることで、選択肢への理解を深め、納得して治療方針を選ぶために利用される。転院や別の医師による治療そのものを意味するわけではない。 「手術以外の治療法も検討するため、専門医のセカンドオピニオンを受けた」のように使う。通常は主治医から検査結果や画像などの資料を受け取り、別の医師がそれを基に診断・治療方針について意見を示す。必ず主治医と異なる結論になるものでも、より優れた答えが保証されるものでもない。得られた意見を主治医と共有し、自分の価値観や生活状況も踏まえて治療方針を検討するための判断材料となる。
セキュリティホール
security hole
米 /sɪˈkjʊr.ə.t̬i hoʊl/
英 /sɪˈkjʊə.rə.ti həʊl/
ソフトウェア、情報システム、ネットワークなどに存在し、攻撃者による不正アクセス、情報漏えい、改ざん、機能停止などに悪用されるおそれのある安全上の弱点。「脆弱性」と呼ばれることが多い。設計・実装の不具合だけでなく、不適切な設定が原因になる場合もある。 「公開サーバーに重大なセキュリティホールが見つかったため、修正プログラムを適用した」のように使う。セキュリティホールが公表されたときは、影響する製品・バージョンを確認し、更新、修正プログラム、設定変更、回避策などを適用する。ウイルスそのものではなく、攻撃に利用され得る弱点を指す。更新プログラムを一度入れれば将来の問題もすべて解消するわけではないため、継続的な情報収集と資産・バージョン管理が必要である。
セクシュアルハラスメント
sexual harassment
米 /ˌsek.ʃu.əl həˈræs.mənt/
英 /ˌsek.ʃu.əl həˈræs.mənt/
相手の意に反する性的な言動によって、不快感や苦痛を与えたり、不利益を受けさせたり、安心して働く・学ぶなどの環境を害したりすること。日本の職場では、性的な言動への対応を理由に労働条件上の不利益を与える場合や、性的な言動によって就業環境を害する場合を指す。「セクハラ」と略される。 「性的な冗談を繰り返して職場環境を悪化させる行為は、セクシュアルハラスメントになり得る」のように使う。性的関係の強要、必要のない身体接触だけでなく、性的な質問・うわさ・からかい、わいせつな画像の掲示なども含まれ得る。上司から部下、男性から女性の場合に限らず、同僚、顧客、同性間などでも起こり得る。職場では相談窓口を設け、事実確認、被害者への配慮、行為者への対応、再発防止を適切に行うことが重要である。
セクター
sector
米 /ˈsek.tɚ/
英 /ˈsek.tə/
経済、産業、社会などを、共通する性質や活動分野によって区分した部門・領域。経済では、製造業、金融、情報通信などの産業分野や、公共部門・民間部門といった区分を指す。金融市場では、企業や銘柄を業種別にまとめた分類として使われることが多い。 「金利上昇の影響を受けやすい金融セクターの動向を分析する」のように使う。経済・投資では、エネルギー、金融、ヘルスケア、情報技術など、企業や産業を一定の基準でまとめた区分を指す。また「公共セクター」「民間セクター」「非営利セクター」のように、活動主体による区分にも使われる。分類基準によって含まれる企業・組織が異なるため、どの統計・指数・制度のセクター分類かを確認する必要がある。
セグメント
segment
米 /ˈseɡ.mənt/
英 /ˈseɡ.mənt/
全体を、共通する特徴・条件などに基づいて分けた部分・区分。マーケティングでは、顧客や市場を年齢、地域、購買行動などで分けた集団を指す。企業会計では、事業・地域などに区分した経営上の単位、ITではネットワークやデータを分割した単位など、分野ごとに対象が異なる。 「顧客を利用目的ごとのセグメントに分け、それぞれに合った商品を提案する」のように使う。マーケティングでは、市場全体を性質や需要の似た顧客群へ分ける「セグメンテーション」と関連する。単に人数を等分するのではなく、施策や分析に役立つ基準で区分することが重要である。「セクター」も分野・部門を表すが、セグメントは一つの全体を分析・管理のために切り分けた部分という意味合いが強い。
セルフメディケーション
self-medication
米 /ˌself.med.əˈkeɪ.ʃən/
英 /ˌself.med.ɪˈkeɪ.ʃən/
自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること。休養や生活習慣の改善、一般用医薬品の適切な利用などが含まれる。医療を一切利用せず自己判断だけで治療することを勧める概念ではなく、症状や状況に応じて医師・薬剤師などへ相談することも重要である。 「軽い頭痛には用法・用量を確認して市販薬を使うなど、適切なセルフメディケーションを心掛ける」のように使う。日頃から健康状態を把握し、軽い不調へ自分で対処する場合に用いる。症状が重い、長引く、繰り返す、薬の副作用や飲み合わせに不安がある場合は、自己判断を続けず専門家へ相談する必要がある。なお「セルフメディケーション税制」は一定の医薬品購入費に関する税制度であり、セルフメディケーションという考え方全体と同じではない。
センセーショナリズム
sensationalism
米 /senˈseɪ.ʃən.əl.ɪ.zəm/
英 /senˈseɪ.ʃən.əl.ɪ.zəm/
新聞、テレビ、ウェブメディアなどが、人々の関心や感情を強く引くために、出来事を過度に刺激的・衝撃的・劇的な形で伝える傾向や手法。事実の重要性や文脈よりも、恐怖、怒り、興奮などを呼び起こす見出し・表現を優先することを批判的に表す。 「事件の一部だけを強調した扇情的な見出しは、センセーショナリズムだと批判された」のように使う。報道内容が注目を集めること自体ではなく、閲覧数や視聴率を得るために、誇張、刺激的な言葉、極端な事例、感情的な映像などを用いて、出来事を実態以上に重大・異常に見せる場合を指す。虚偽報道と同じとは限らないが、重要な背景や全体像が失われ、受け手の判断をゆがめる可能性がある。
センチメント
sentiment
米 /ˈsen.t̬ə.mənt/
英 /ˈsen.tɪ.mənt/
人や集団が抱く感情・感情的な受け止め方、またはある問題や対象に対する意見・見方。特に金融・市場の文脈では、投資家や市場参加者の心理・気分、強気・弱気などの全体的な傾向を指す。英語では個人の感情や意見、感情のこもった考えという意味でも使われるが、日本語のビジネス・経済文脈では市場参加者の心理状態や相場のムードを表す用法が目立つ。 「景気後退への不安から投資家のセンチメントが悪化し、株価が下落した」のように使う。金融では、投資家が市場や特定の資産を楽観的・悲観的に見ている全体的な心理傾向を表す。企業アンケートや市場指標、報道・SNSの文章分析などから測定を試みるが、直接観察できる数値ではなく、測定方法によって結果が異なる。企業の業績や経済の基礎条件を表す「ファンダメンタルズ」とは別の概念だが、相互に影響する。
ソーシャルエンジニアリング
social engineering
米 /ˌsoʊ.ʃəl en.dʒɪˈnɪr.ɪŋ/
英 /ˌsəʊ.ʃəl en.dʒɪˈnɪə.rɪŋ/
人間の心理や行動上の隙を利用して、パスワードなどの重要な情報を聞き出したり、不正な行動を取らせたりする手法。情報セキュリティの分野では、システムそのものの技術的な弱点ではなく、人をだましたり信用させたりして攻撃につなげる方法を指す。なりすまし、フィッシングなどが代表例である。 「攻撃者はシステムへ直接侵入するのではなく、社員を装った電話でパスワードを聞き出すソーシャルエンジニアリングを使った」のように使う。情報セキュリティで、コンピューターの技術的な弱点だけではなく、人間の信頼・焦り・恐怖・好奇心などの心理を利用して、パスワードや機密情報を聞き出したり、不正な送金・ログイン・ファイル操作などをさせたりする手法を指す。フィッシングや、上司・取引先などへのなりすましは代表例だが、電話や対面で行われる場合もあり、オンライン攻撃だけを意味しない。「フィッシング」はソーシャルエンジニアリングの代表的な手法の一つであり、完全な同義語ではない。なお英語の social engineering には、社会政策などによって社会構造や人々の行動を意図的に変えようとする別の意味もあるため、文脈に注意する。
ソーシャルワーカー
social worker
米 /ˈsoʊ.ʃəl ˌwɝː.kɚ/
英 /ˈsəʊ.ʃəl ˌwɜː.kə/
生活上の困難を抱える人・家族・地域の相談を受け、本人の希望や生活環境を踏まえて、問題解決や生活の安定、権利の擁護を支援する専門職。福祉制度、医療機関、行政、地域資源などを調整・連携させる役割も担う。日本の「社会福祉士」など特定の資格名と完全に同じではなく、より広い職業概念として使われる。 「生活費や住居、家族関係など複数の問題を抱えていたため、病院のソーシャルワーカーに相談し、利用できる福祉制度や退院後の支援について一緒に整理した」のように使う。福祉・医療・児童・生活困窮者支援などで、生活上の困難を抱える人の相談を受け、本人の希望や家庭・経済・生活環境などを把握しながら、必要な制度、福祉サービス、医療機関、行政、地域の支援などへつなぐ専門職を指す。単に介護を直接行う人や、制度を紹介するだけの人という意味ではなく、本人の自己決定を尊重しながら関係機関を調整する役割も重要。「ソーシャルワーク」が支援活動・専門領域を表すのに対し、「ソーシャルワーカー」はそれを行う人を表す。日本の「社会福祉士」など具体的な資格名とは完全な同義語ではなく、より広い職業概念として使われる
ソフトパワー
soft power
米 /ˌsɔːft ˈpaʊ.ɚ/
英 /ˌsɒft ˈpaʊə/
軍事力による威圧や経済的な報酬・制裁によって相手を従わせるのではなく、文化、価値観、政策などへの魅力や説得を通じて、他国や人々の行動・選択に影響を与える力。国際政治では、映画・音楽などの文化、政治的価値観、外交政策への信頼や共感などがソフトパワーの源泉になり得る。 「その国は映画や音楽、教育交流などを通じて海外での好感度を高め、ソフトパワーを外交にも生かそうとしている」のように使う。国際政治・外交で、軍事力や経済的圧力によって相手を強制するのではなく、文化、価値観、教育、政策への信頼などの「魅力」によって、他国や人々から自発的な支持・協力を得る力を指す。軍事力・制裁などによる「ハードパワー」と対比される。ただし映画や音楽などの文化そのものが自動的にソフトパワーになるわけではなく、その魅力が相手の認識や行動へ実際に影響することがポイント。また単なる宣伝や知名度とも異なり、発信内容と実際の行動が矛盾すれば信頼を失い、ソフトパワーが低下することもある。
ソフトランディング
soft landing
米 /ˌsɔːft ˈlæn.dɪŋ/
英 /ˌsɒft ˈlæn.dɪŋ/
経済の過熱やインフレを抑えるために政策を引き締めても、景気を深刻な後退や大量失業に陥らせず、安定した成長へ緩やかに移行させること。航空機が衝撃なく着陸する様子にたとえた表現。組織改革や事業終了などを、大きな混乱を避けて穏やかに収束させる一般的な意味でも使われる。 「中央銀行が景気後退を招かずにインフレを抑え、経済をソフトランディングさせられるかが注目されている」のように使う。経済では、金融引締めによって需要と物価上昇を落ち着かせながら、深刻な景気後退や失業の急増を避ける状態を指す。成長率が一時的に低下しないことを意味するわけではない。一般の組織運営では、制度変更、事業撤退、問題の収束などを急激な混乱なしに進める意味にも用いられる。
ソブリン
sovereign
米 /ˈsɑːv.rən/
英 /ˈsɒv.rɪn/
英語では、最高の統治権を持つ君主・主権者、または主権を持つ国家を表す語。日本語の金融・経済分野では、国家・政府に関係するものという意味で用いられ、国が発行する債務を「ソブリン債」、国の信用リスクを「ソブリンリスク」などと呼ぶ。 「財政悪化により、その国のソブリン債の格付けが引き下げられた」のように使う。金融では、中央政府が発行・保証する債券、政府債務、国家の信用力などに関係する語として用いられる。「ソブリンリスク」は、政府が債務を予定どおり返済できない可能性など、国家に関わる信用・政治・制度上のリスクを指す。国債であっても価格変動、金利、為替、債務不履行などのリスクがなくなるわけではない。
ソリューション
solution
米 /səˈluː.ʃən/
英 /səˈluː.ʃən/
問題や課題を解決する方法・解決策。日本のビジネスやITでは、顧客の課題を解決するために、製品、システム、サービス、運用支援などを組み合わせて提供するものを指すことが多い。単体の商品名ではなく、課題に応じた一式の提案・仕組みという意味で使われる。 「在庫管理の課題に対し、システム導入と業務改善を組み合わせたソリューションを提案する」のように使う。IT・コンサルティング・法人営業などで、顧客の課題を分析し、その解決に必要な製品・サービス・運用をまとめた提案を指す。単に商品を言い換えただけではなく、どの課題を、どの方法で、どの程度改善するのかを具体化することが重要である。英語の `solution` には一般的な解決策のほか、化学の「溶液」など別の意味もある。
ジェンダー
gender
米 /ˈdʒen.dɚ/
英 /ˈdʒen.də/
社会や文化の中で形づくられる、性別に関する役割、行動、規範、期待、関係性など。社会・時代によって異なり、変化し得る。生物学的・生理学的特徴を表す `sex` と関連するが同一ではなく、個人が自分の性別をどのように認識するかという「ジェンダーアイデンティティ」とも区別される。 「採用や昇進におけるジェンダーによる不利益をなくすため、制度を見直す」のように使う。社会政策、教育、医療、雇用などで、性別に結び付けられた役割や期待、それによって生じる機会・権力・負担の違いを考える際に用いられる。単に『女性』の言い換えではなく、男性、女性、性の多様性、性別間の関係や社会構造を含む概念である。統計や制度を論じるときは、生物学的性別、戸籍上の性別、自己認識など、どの情報を扱っているかを明確にすることが重要である。
ジェンダーギャップ
gender gap
米 /ˈdʒen.dɚ ˌɡæp/
英 /ˈdʒen.də ˌɡæp/
性別によって生じている格差・差異。特に、賃金、雇用、昇進、教育、政治参加、意思決定への参加などについて、男女の間にどの程度の差があるかを表すときに使う。「賃金のジェンダーギャップ」「政治分野のジェンダーギャップ」のように用いられる。 「管理職に占める女性の割合が低く、意思決定分野のジェンダーギャップが大きい」のように使う。賃金、就業率、教育機会、健康、政治参加、管理職比率など、具体的な分野を示して性別間の差を表す。単に人数が同じかどうかだけでなく、参加、アクセス、権利、報酬、利益などの差を扱う。指標によって対象、計算方法、比較基準が異なるため、順位や数値を示すときは何を測定したものかを確認する必要がある。
ジオポリティクス
geopolitics
米 /ˌdʒiː.oʊˈpɑː.lə.tɪks/
英 /ˌdʒiː.əʊˈpɒl.ə.tɪks/
地理的な条件が、国家の政治・外交・安全保障や国際関係にどのような影響を与えるかを考える「地政学」。国の位置、国境、海洋、地形、資源、人口などと、国家間の力関係や外交政策との結び付きを分析するときに使われる。またニュースやビジネスでは、国家間の対立や地域情勢などをまとめて「地政学的状況」という意味合いで「ジオポリティクス」と表現することもある。 「海上輸送路や周辺国との位置関係を考えると、エネルギー政策をジオポリティクスの視点から検討する必要がある」のように使う。国際政治・外交・安全保障などで、国家の位置、国境、海洋、資源、交通路、周辺国との関係といった地理的条件が国家間の行動や力関係へどのように影響するかを考える視点・分野を指し、日本語では「地政学」と訳される。「地政学リスク」は国際的な対立・紛争・制裁などによって企業活動や金融市場へ悪影響が生じる可能性を指すため、ジオポリティクスそのものとは別。シーレーン、エネルギー安全保障、サプライチェーンなどと深く関係する。ただし地理だけで国家の行動がすべて決まるわけではなく、政治・経済・技術・歴史・同盟関係なども合わせて考える必要がある。
ジョブディスクリプション
job description
米 /ˈdʒɑːb dɪˌskrɪp.ʃən/
英 /ˈdʒɒb dɪˌskrɪp.ʃən/
特定の職務・ポジションについて、担当する仕事、役割、責任・権限、求められる能力や経験などを明確に記した「職務記述書」。日本では特にジョブ型の人事制度と関連して使われ、社員個人を基準に仕事を決めるのではなく、あらかじめそのポジションで担う職務や責任を明確にするために用いられる。 「採用前にジョブディスクリプションを示し、担当業務や責任範囲、必要な経験・スキルを応募者と共有する」のように使う。採用・人事・組織設計などで、特定の職務について、担当する仕事、責任・権限、求められる能力や経験などを文章で明確にしたものを指し、日本語では「職務記述書」と訳されることが多い。「求人票」と内容が重なることはあるが、求人票が募集条件を広く示すのに対し、ジョブディスクリプションはその職務そのものの内容・責任を明確にすることが中心。「業務マニュアル」が仕事の具体的な手順を示すのに対し、ジョブディスクリプションは「何を担当し、何に責任を持つか」を示す。ジョブ型人事でよく使われるが、ジョブディスクリプションが存在するだけで自動的にジョブ型雇用になるわけではない。
ジョブローテーション
job rotation
米 /ˈdʒɑːb roʊˌteɪ.ʃən/
英 /ˈdʒɒb rəʊˌteɪ.ʃən/
従業員を一定期間ごとに異なる職務・部署・担当へ計画的に異動させ、複数の仕事を経験させる人事・人材育成の方法。幅広い知識や技能の習得、適性の把握、将来の管理職・中核人材の育成、組織内の相互理解などを目的として行われる。「営業から企画、企画から人事へ」といった部署間の異動だけでなく、同じ部署内で担当業務を変える場合もある。 「若手社員に営業・企画・管理部門など複数の仕事を経験させるため、数年ごとにジョブローテーションを行っている」のように使う。人事・人材育成で、従業員を複数の部署・職務へ一定期間ずつ計画的に配置し、幅広い経験や組織理解を身につけさせる仕組みを指す。単なる一回の「人事異動」よりも、人材育成・適性把握・将来の管理職育成などの目的を持って複数職務を経験させる意味が強い。幅広い経験を得られる一方、異動が頻繁すぎると専門性を深めにくくなることもある。前語の「ジョブディスクリプション」が一つの職務の内容・責任を明確にするものなのに対し、「ジョブローテーション」は人を複数の職務の間で計画的に動かす仕組み。
ジョブ型
job-based employment
米 /ˈdʒɑːb beɪst ɪmˈplɔɪ.mənt/
英 /ˈdʒɒb beɪst ɪmˈplɔɪ.mənt/
職務の内容や責任などを明確にし、その職務を基準として採用・配置・処遇などを行う雇用・人事管理の考え方。「ジョブ型」は日本で形成・普及した分類表現で、普通の英語借用語ではない。原語相当はjob-based employment。 職務を基準とする人事制度について、「ジョブ型の人事制度を導入する」「ジョブ型へ移行する」のように使う。職務限定正社員、成果主義、ジョブディスクリプションなどと関連するが、それぞれ同義ではない。
ゼロトラスト
zero trust
米 /ˌzɪr.oʊ ˈtrʌst/
英 /ˌzɪə.rəʊ ˈtrʌst/
社内ネットワークだから安全、特定の端末だから信頼できる、といった前提を置かず、利用者・端末・アクセス先などをその都度確認し、必要な範囲だけアクセスを許可する情報セキュリティの考え方。ネットワークの内側と外側を単純に分けて守る従来型の境界防御から、利用者・端末・データ・サービスなど個々の資源を中心に守る考え方へ重点を移す。 「社内からのアクセスも自動的には信用せず、利用者と端末を確認するゼロトラストの仕組みを導入する」のように使う。アクセスのたびに認証・認可を行い、端末の状態、利用者の権限、アクセス先、状況などを確認し、必要最小限の権限だけを与える考え方である。『誰も信用しない』という人間関係上の態度や、特定の一製品を導入することだけを意味しない。多要素認証、端末管理、アクセス制御、監視などを組み合わせて継続的に実装する。
ゼロデイ
zero-day / zero day
米 /ˈzɪr.oʊ deɪ/
英 /ˈzɪə.rəʊ deɪ/
ソフトウェアや機器などに存在する、まだ広く知られていない脆弱性や、それを悪用する攻撃について使われる語。特に「ゼロデイ脆弱性」「ゼロデイ攻撃」の形で使われ、開発元による修正や十分な対策が整う前に脆弱性が悪用される場合、大きな危険につながる。NISTは「ゼロデイ攻撃」を、それまで知られていなかったハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアの脆弱性を悪用する攻撃と定義している。 「修正パッチが提供される前の脆弱性を悪用したゼロデイ攻撃が確認されたため、企業は一時的な緩和策と監視強化を進めた」のように使う。サイバーセキュリティで、ソフトウェアなどの脆弱性について、開発元や利用者側に十分な修正・防御の準備がない段階、またはその弱点を悪用する攻撃に関係する語。「ゼロデイ脆弱性」は弱点そのもの、「ゼロデイ・エクスプロイト」はその弱点を悪用する手法・コード、「ゼロデイ攻撃」はそれを利用した実際の攻撃を表す。単に更新を怠っている既知の脆弱性すべてをゼロデイと呼ぶわけではない。正式なパッチがまだなくても、該当機能の停止やアクセス制限などの緩和策が取られる場合があり、パッチ提供後は迅速な脆弱性管理が重要になる。
ターゲティング
targeting
米 /ˈtɑːr.ɡɪ.tɪŋ/
英 /ˈtɑː.ɡɪ.tɪŋ/
商品・広告・情報などを届ける対象を選び、その対象に合わせて働きかけること。日本語では特にマーケティングや広告の分野で、年齢、地域、興味・関心、購買行動などの条件から対象となる顧客層を絞り込み、広告や販売活動を行うことを指す。「広告のターゲティング」「若年層をターゲティングする」のように使われる。 「過去に商品ページを見た利用者を対象に、広告をターゲティングする」のように使う。マーケティングでは、市場を複数の顧客層へ分けた後、どの層へ商品や広告を届けるかを選ぶことを指す。広告配信では、地域、年齢、検索・閲覧履歴、興味関心などの情報が使われる場合がある。対象を絞れば必ず成果が上がるわけではなく、基準の妥当性、差別的な除外、個人情報・プライバシー、利用者への説明にも配慮が必要である。
タカ派
hawk / hawkish
米 hawk /hɑːk/、hawkish /ˈhɑː.kɪʃ/
英 hawk /hɔːk/、hawkish /ˈhɔː.kɪʃ/
外交・安全保障で、対話や妥協よりも軍事力・制裁などの強硬な対応を重視する立場や人物。「ハト派」の対語。金融・経済では意味が異なり、中央銀行の金融政策について、景気や雇用への影響よりもインフレ抑制を重視し、利上げなどの金融引締めに積極的な立場を指す。 「インフレへの警戒を強め、追加利上げを主張するタカ派の委員が増えた」のように使う。金融市場では、中央銀行関係者の発言が利上げや金融引締めに積極的なら「タカ派的」と表現する。外交・安全保障では、軍事力や強い圧力の行使を支持する立場を表す。どちらの分野でも固定的な所属名ではなく、特定の論点や時期における相対的な姿勢を示すため、同じ人物でも状況によって評価が変わり得る。
タスク
task
米 /tæsk/
英 /tɑːsk/
達成すべき具体的な仕事・作業・課題。日本語では特にビジネスやITの分野で、プロジェクトや業務を構成する個々の作業単位を指す。「タスクを割り振る」「今日のタスクを整理する」のように使われる。単なる漠然とした仕事ではなく、担当者や期限、実施内容などを明確にして管理できる作業を指すことが多い。 「企画書の作成をタスクに分解し、それぞれに担当者と期限を設定する」のように使う。プロジェクトや日常業務で、完了したかどうかを確認できる具体的な作業単位を指す。大きな目標や成果物をそのままタスクとするのではなく、実行可能な大きさに分け、内容、担当者、期限、優先順位、依存関係を明確にすると管理しやすい。ITでは、コンピューターが実行する処理の単位を指す場合もある。
タレントマネジメント
talent management
米 /ˈtæl.ənt ˌmæn.ɪdʒ.mənt/
英 /ˈtæl.ənt ˌmæn.ɪdʒ.mənt/
従業員一人ひとりの能力・経験・適性・実績などの情報を把握し、採用、配置、育成、評価、登用などに活用して、組織に必要な人材を計画的に確保・育成する人事管理の考え方。日本では特に、人材データを一元的に管理し、適材適所の配置や後継者育成、キャリア形成などにつなげる取り組みを指すことが多い。 「社員の経験やスキル、本人のキャリア希望を把握し、適材適所の配置や育成につなげるため、全社的なタレントマネジメントを進める」のように使う。人事・人材育成などで、従業員の能力、経験、適性、実績、キャリア希望などを把握し、採用・配置・育成・評価・登用・後継者育成などへ戦略的に活用する考え方を指す。ここでの「タレント」は芸能人ではなく、人材やその人が持つ能力・可能性という意味で、企業によって全社員を対象にする場合も、幹部候補など特定の人材層を重点的に扱う場合もある。「タレントマネジメントシステム」は人材情報を管理・分析するITシステムだが、システムを導入しただけでタレントマネジメントが実現するわけではなく、得られた情報を実際の配置・育成・キャリア支援などへ生かすことが重要。
チェリーピッキング
cherry-picking
米 /ˈtʃer.i ˌpɪk.ɪŋ/
英 /ˈtʃer.i ˌpɪk.ɪŋ/
多数の情報・データ・事例などの中から、自分の主張や都合に合うものだけを選び、不都合なものを除外すること。議論、報道、政治、研究などでは、結論を支持する証拠だけを取り上げ、反対する証拠を無視することで、全体像をゆがめるような選択を批判的に指すことが多い。 「売上が伸びた月だけを取り上げて施策が成功したと主張するのは、データのチェリーピッキングである」のように使う。研究、政治、報道、ビジネス分析などで、結論に都合のよい期間・事例・指標だけを選び、反対する証拠や全体の傾向を示さない場合を批判する。目的に応じて対象を適切に選ぶこと自体が問題なのではなく、選択基準を隠したり、代表的でない情報から全体について結論を出したりすることが問題となる。
チェンジマネジメント
change management
米 /ˈtʃeɪndʒ ˌmæn.ɪdʒ.mənt/
英 /ˈtʃeɪndʒ ˌmæn.ɪdʒ.mənt/
組織の制度、業務、システム、働き方などを変更する際に、その変化を組織へ定着させるため、人や組織の移行を計画的に支援・管理すること。新しい仕組みを導入するだけでなく、変更の目的を共有し、関係者とのコミュニケーション、教育・研修、抵抗や不安への対応などを行い、実際に新しい状態へ移行できるようにする取り組みを指す。 「新しい業務システムを導入するだけでなく、社員への説明や研修、運用ルールの見直しまで含めたチェンジマネジメントを進める」のように使う。経営改革、DX、組織再編、システム導入などで、組織に変化を導入するとき、関係者がその必要性を理解し、新しい制度・業務・システムへ移行して定着できるよう計画的に支援・管理することを指す。単に変更を命令したり研修を一度行ったりするだけではなく、説明、ステークホルダーとの対話、教育、現場支援、定着状況の確認などを含む。「プロジェクトマネジメント」が期限・予算・品質などを管理して変革を実施することに重点を置くのに対し、チェンジマネジメントは人や組織が実際に新しい状態へ移行することに重点を置く。なおIT運用では change management がシステム変更を統制する「変更管理」を指す場合もあるため、文脈を確認する必要がある。
チャットボット
chatbot
米 /ˈtʃæt.bɑːt/
英 /ˈtʃæt.bɒt/
人間との会話を自動的に行うコンピュータープログラムやシステム。利用者が文字や音声で質問・指示を入力すると、それに応じた回答や案内を返す。企業の問い合わせ対応、予約受付、社内案内などに使われるほか、近年では生成AIを利用して、決められた選択肢だけでなく自然な文章で幅広い質問に答えるチャットボットも普及している。 「よくある問い合わせにはチャットボットが24時間対応し、複雑な相談は担当者へ引き継ぐ仕組みにした」のように使う。企業サイト、EC、カスタマーサポート、社内ヘルプデスクなどで、利用者と文字や音声で会話する形で、質問への回答、案内、手続きなどを自動的に行うプログラム・システムを指す。あらかじめ決められた選択肢やルールで動くものから、自然言語処理や生成AIを使って自由な質問へ回答するものまであり、「チャットボット=生成AI」ではない。また、人間の担当者が文字で応対する「有人チャット」とも異なる。AI型では誤回答が生じる可能性もあるため、元情報の更新、回答できない場合の案内、複雑な問い合わせを人へ引き継ぐ仕組み、個人情報・アクセス権限の管理などが重要になる。
チャネル
channel
米 /ˈtʃæn.əl/
英 /ˈtʃæn.əl/
商品・サービス・情報などが相手へ届く経路・手段。日本語では特にビジネスで、商品を顧客へ販売する経路を「販売チャネル」、顧客と接触する手段を「コミュニケーションチャネル」のように表す。店舗、ECサイト、代理店、電話、メール、SNSなど、目的に応じたさまざまな経路がチャネルになり得る。IT・通信では、データや信号を伝える経路・通信路という意味でも使われる。 「実店舗だけでなく、自社ECサイトや営業担当者など複数の販売チャネルを用意し、顧客が購入しやすい環境を整える」のように使う。マーケティング・営業・流通などで、商品・サービス・情報などが顧客へ届く経路・手段を指し、「販売チャネル」「流通チャネル」「広告チャネル」「コミュニケーションチャネル」のように使われる。「マルチチャネル」は複数のチャネルを利用すること、「オムニチャネル」は店舗・EC・アプリなど複数のチャネルを連携させ、チャネルをまたいでも一貫した顧客体験を作る考え方。なお「チャネル」とテレビなどで使う「チャンネル」は、どちらも英語 channel に由来する同じ原語で、日本語ではビジネス・通信分野で「チャネル」、放送分野などで「チャンネル」と表記される傾向がある。
テーパリング
tapering
米 /ˈteɪ.pɚ.ɪŋ/
英 /ˈteɪ.pə.rɪŋ/
中央銀行が、それまで行っていた国債などの資産買入れを段階的に縮小していくこと。特に量的緩和政策からの正常化過程について使われ、毎月の資産買入れ額を徐々に減らす場合などを指す。日本語では主に金融政策の用語として「量的緩和の縮小」「資産買入れの縮小」という意味で使われる。 「中央銀行が毎月の資産購入額を段階的に減らすテーパリングを発表し、市場では今後の金利動向への関心が高まった」のように使う。金融政策で、量的緩和などによって行っている国債などの資産購入額を、急に停止するのではなく徐々に減らしていくことを指す。「テーパリングを開始する」「テーパリング観測が強まる」のように使われる。購入額を減らしても新規購入を続けている間は中央銀行の保有資産が増えることもあるため、「テーパリング=保有資産の縮小」ではない。また、政策金利を引き上げる「利上げ」や、保有資産残高そのものを縮小する「量的引き締め(QT)」とも別の政策。英語 taper は本来「徐々に細くする・減らす」という意味を持つが、日本語の「テーパリング」は特に中央銀行の資産購入縮小を表す金融用語として使われることが多い。
トップダウン
top-down
米 /ˌtɑːpˈdaʊn/
英 /ˌtɒpˈdaʊn/
組織の上層部が方針や目標、意思決定を定め、それを下位の部署や現場へ伝えて実行させる進め方。企業経営や行政、組織運営などで、「経営陣が方針を決め、各部門がそれに従って動く」といった上から下への意思決定・指示の流れを指す。また、問題解決や設計では、まず全体像や大きな方針を決め、そこから細かな要素へ分解していく方法を指すこともある。 「緊急時の対応方針を経営陣がトップダウンで決定し、全社へ指示した」のように使う。組織運営では、上層部が迅速に方針を統一できる一方、現場の知識や意見が反映されにくくなる場合がある。現場から提案を積み上げる「ボトムアップ」と対比されるが、どちらか一方だけを常に用いるものではなく、全体方針はトップダウン、具体策はボトムアップというように組み合わせることもある。設計・分析では、全体から細部へ分解する方法を指す。
トランスペアレンシー
transparency
米 /trænˈsper.ən.si/
英 /trænˈspær.ən.si/
組織や制度、意思決定などについて、情報や手続きが外部から分かるように公開され、内容を確認できる状態。「透明性」と訳される。企業経営、行政、政治、金融などで、判断の根拠、手続き、資金の流れ、情報などを明らかにし、関係者が検証できる状態を指す。「経営のトランスペアレンシーを高める」のように使われる。 「審査基準と判断過程を公開し、行政のトランスペアレンシーを高める」のように使う。単に情報量が多いことではなく、意思決定の基準、根拠、手続き、責任所在などを、関係者が理解し検証できる状態を表す。個人情報、営業秘密、安全保障上の情報などは保護が必要であり、透明性は無制限の全面公開と同じではない。
トランジションファイナンス
transition finance
米 /trænˈzɪʃ.ən ˈfaɪ.næns/
英 /trænˈzɪʃ.ən ˈfaɪ.næns/
現在は温室効果ガス排出量が多く、一足飛びの脱炭素化が難しい企業・産業などが、信頼できる計画に沿って低炭素・脱炭素へ移行していくための投資を、金融面から支えること。 「製造工程で多くのCO₂を排出する企業が、長期的な脱炭素計画に沿って設備を更新するため、トランジションファイナンスによる資金調達を行った。」
トリアージ
triage
米 /ˈtriː.ɑːʒ/
英 /ˈtriː.ɑːʒ/
多数の傷病者がいる場合などに、症状の重さや治療の緊急性を評価し、診療・搬送・治療の優先度を分類すること。災害現場や救急医療では、限られた人員・設備・時間の中で、直ちに介入が必要な人と安全に待てる人を見分けるために行われる。近年は、問い合わせ、障害対応、業務課題などを緊急度や重要度で分類する比喩的な用法もある。 「救急外来で患者をトリアージし、緊急性の高い人から診療する」のように使う。到着順や単純な病名ではなく、生命の危険、症状の緊急性、介入の必要性などを評価して優先度を決める。状態は変化し得るため、一度の判定で固定せず再評価が必要である。一般業務では「通報された障害をトリアージする」のように、対応順を決める意味でも用いられる。
トレーサビリティ
traceability
米 /ˌtreɪ.səˈbɪl.ə.t̬i/
英 /ˌtreɪ.səˈbɪl.ə.ti/
製品・部品・原材料などについて、いつ、どこで、誰によって製造・加工・流通されたかといった履歴を記録し、後から追跡・確認できる状態や仕組み。「追跡可能性」と訳される。製造業、食品、医薬品、物流などで、原材料の由来、製造工程、出荷先などをたどれるようにすることで、品質管理、不具合発生時の原因究明、対象製品の回収などに役立てる。 「製品にロット番号を付け、原材料の仕入れ先から製造・検査・出荷までの記録を残すことで、問題発生時に原因を追跡できるトレーサビリティを確保した」のように使う。製造、食品、物流、品質管理などで、製品・原材料・部品について、どこから来て、いつ・どこで製造・加工され、どこへ出荷されたかという履歴を後から追跡・確認できることを指す。ロット番号、シリアル番号、バーコードなどを実物と記録に結び付けることで、問題発生時の原因調査や対象製品の回収に役立つ。「トランスペアレンシー」が情報や仕組みの「透明性」を表すのに対し、「トレーサビリティ」は履歴を「たどれること」に重点がある。またトレーサビリティが高いからといって製品品質そのものが高いとは限らず、ブロックチェーンなど特定の技術を使うこと自体を意味する語でもない
トレードオフ
trade-off / tradeoff
米 /ˈtreɪd.ɑːf/
英 /ˈtreɪd.ɒf/
一方を良くしようとすると、もう一方に不利益や悪化が生じる関係。両方の条件を同時に最大化できないため、優先順位に応じてどの利点と不利益を受け入れるかを選ぶ必要がある状態を指す。「速度と精度のトレードオフ」のように使われる。 「配送時間を短縮すると費用が増えるため、速さとコストにはトレードオフがある」のように使う。経営、政策、設計、システム開発などで、互いに競合する目標の間で選択する場面に用いる。単なる欠点や二者択一とは限らず、評価基準や条件を変えることで、不利益を小さくできる場合もある。
ダークウェブ
dark web
米 /ˌdɑːrk ˈweb/
英 /ˌdɑːk ˈweb/
通常の検索エンジンでは見つけにくく、一般的なウェブブラウザーから直接アクセスするのではなく、Torなどの専用ソフトウェアや特別な仕組みを使って利用する、匿名性の高いウェブ領域。利用者やサーバーの所在地を分かりにくくできるため、匿名での情報交換などに利用される一方、違法商品の売買、盗難データの取引、サイバー犯罪に関するサービスなどに悪用されることもある。 「漏えいした認証情報がダークウェブ上で売買されていないか調査する」のように使う。サイバーセキュリティでは、盗難データ、不正取引、犯罪サービスなどの脅威情報を論じる際に用いられる。ただし、ダークウェブの利用自体がすべて違法なのではなく、報道、内部告発、言論統制下の通信など正当な用途もある。ディープウェブ全体と同義ではない。
ダークパターン
dark pattern / dark patterns
米 /ˌdɑːrk ˈpæt̬.ɚn/
英 /ˌdɑːk ˈpæt.ən/
ウェブサイトやアプリなどで、利用者の意図に反する選択をさせたり、事業者に有利な行動へ誘導したりするように設計された画面表示や操作方法。解約方法を見つけにくくする、追加料金をあらかじめ選択する、ボタンの色や大きさで特定の選択肢を過度に目立たせるなどの例がある。 「解約ボタンを深い階層に隠す設計は、ダークパターンと批判された」のように使う。オンライン購入、定期購読、個人情報の同意などで、選択肢を隠す、誤解させる表現を使う、操作を不必要に複雑にするなどして、利用者の自律的な意思決定を妨げる設計を指す。単に使いにくい画面というだけでなく、事業者に有利な選択への誘導性が問題となる。
ダイバーシティ
diversity
米 /dɪˈvɝː.sə.t̬i/
英 /daɪˈvɜː.sə.ti/
人々や事物が、性別、年齢、国籍、人種、民族、障害の有無、性的指向・性自認、宗教、文化、経験、価値観など、さまざまな違いをもって存在していること。「多様性」と訳される。組織では、異なる背景や特性をもつ人材が参加している状態を指す。 「採用層のダイバーシティを高め、異なる経験を商品開発に生かす」のように使う。属性や背景の異なる人が組織にいるという事実や構成の多様性を表す。一方、それぞれが尊重され、意思決定や活動に実質的に参加できる状態は「インクルージョン」と呼ばれる。人数や比率だけを揃えることで多様な人材を活かせる組織になるとは限らない。
ダッシュボード
dashboard
米 /ˈdæʃ.bɔːrd/
英 /ˈdæʃ.bɔːd/
複数の重要な情報や指標を一つの画面にまとめ、現在の状況をひと目で確認できるようにした表示画面。ビジネスやITでは、売上、アクセス数、在庫、進捗、経営指標などをグラフや数値で一覧表示し、状況の把握や意思決定に役立てるものを指す。「経営ダッシュボード」「アクセス解析ダッシュボード」のように使われる。 「売上、在庫、利益率を経営ダッシュボードで毎日確認する」のように使う。目的に応じた重要指標を、数値、表、グラフなどで一画面にまとめ、現状や変化を把握する。多くの情報を詰め込めばよいのではなく、利用者、意思決定の目的、指標の定義、更新時点を明確にする必要がある。グラフの元データや注意事項にもアクセスできる設計が望ましい。
ダブルケア
日本独自の造語「ダブルケア」(double + care)
米 該当なし(カナ発音:ダブルケア)
英 該当なし(カナ発音:ダブルケア)
子育てと家族の介護など、複数のケアを同じ時期に担うこと。日本では特に、自分の子どもの育児をしながら親などの介護も同時に行う状態を指す。仕事・育児・介護を並行して担う場合もあり、時間的・身体的・精神的・経済的な負担が重なりやすいことから、仕事と家庭の両立や社会保障上の課題として扱われる。 「子育てと親の介護が重なり、ダブルケアの負担を抱えている」のように使う。育児と介護を同時期に担う状況を中心に、孤立、離職、経済的負担、健康への影響などを論じる際に用いられる。個人の努力だけで解決する問題とせず、育児・介護の各制度、職場の両立支援、複数分野をつなぐ相談支援を組み合わせて考える必要がある。
ダブルスタンダード
double standard
米 /ˌdʌb.əl ˈstæn.dɚd/
英 /ˌdʌb.əl ˈstæn.dəd/
本来は同じ基準で判断すべき人、集団、行為、状況などに対して、都合や立場によって異なる基準を適用すること。「二重基準」と訳される。自分側の同じ行為は容認する一方で相手側だけを批判する場合や、性別・所属・地位などによって不公平に扱う場合に用いられる。 「自社のミスは軽く扱うのに、取引先の同じミスは厳しく責めるのはダブルスタンダードだ」のように使う。二つの対象が実質的に同じ条件なのに、異なる原則や評価基準を適用する不公平さを批判する語である。条件や責任が実際に異なるため基準を変えることまで、自動的にダブルスタンダードになるわけではない。
ディープフェイク
deepfake
米 /ˈdiːp.feɪk/
英 /ˈdiːp.feɪk/
AIを使って生成・加工し、本物であるかのように見せた画像・映像・音声などの合成メディア。特に、実在する人物の顔や声を再現・置換して、本人が実際にはしていない発言や行動をしたように見せるものを指す。詐欺、なりすまし、偽情報などに悪用されることがある一方、映像制作や娯楽など正当な用途にも使われ得る。 「経営者の声を再現したディープフェイク音声が、送金指示を装う詐欺に悪用された」のように使う。映像・音声の不自然さだけで真偽を断定せず、発信元、原データ、作成履歴、複数の信頼できる情報源を確認する必要がある。ディープフェイクは技術・コンテンツの種類を表す語であり、それ自体が常に違法または虚偽というわけではない。
ディープラーニング
deep learning
米 /ˌdiːp ˈlɝː.nɪŋ/
英 /ˌdiːp ˈlɜː.nɪŋ/
多数の層を持つニューラルネットワークを使って、大量のデータから特徴や規則性を学習する機械学習の手法。「深層学習」ともいう。画像認識、音声認識、自然言語処理、生成AIなど幅広い分野で利用され、人間が特徴を細かく指定しなくても、学習データから必要な特徴を段階的に抽出できることが大きな特徴である。 「大量の画像から特徴を学習するディープラーニングを活用し、製品画像から不良箇所を自動検出するシステムを開発した」のように使う。AI分野で、多数の層を持つニューラルネットワークを用いて、画像・文章・音声など大量のデータから特徴やパターンを段階的に学習する機械学習の手法を指し、日本語では「深層学習」ともいう。画像認識、音声認識、自然言語処理、生成AIなど幅広い分野で利用される。「AI」が最も広い概念で、その中に「機械学習」があり、ディープラーニングはその一部と考えると分かりやすい。したがって「AI=ディープラーニング」「生成AI=ディープラーニング」ではない。また大量のデータを学習させれば自動的に正しい結果が得られるわけではなく、データの品質や偏り、評価方法、運用後の監視なども重要になる。
ディスインフォメーション
disinformation
米 /ˌdɪs.ɪn.fɚˈmeɪ.ʃən/
英 /ˌdɪs.ɪn.fəˈmeɪ.ʃən/
人を欺いたり、世論や判断を操作したりする目的で、意図的に作成・拡散される虚偽または誤解を招く情報。「偽情報」と訳されることが多い。政治、国際関係、選挙、紛争、社会問題などで、特定の認識や行動を生じさせるために組織的に流される情報について使われることがある。重要なのは、内容が誤っているだけでなく、相手を欺く意図を伴っている点である。 「候補者が実際には言っていない発言を意図的に拡散するディスインフォメーションが確認された」のように使う。虚偽や誤解を招く情報を、欺き・操作する意図をもって作成・流布する場合を指す。単なる誤りや、誤りと知らずに共有するミスインフォメーションとは、通常は意図の有無で区別される。内容だけで発信者の意図を断定せず、情報源や拡散経路も確認する。
ディスインフレ
disinflation
米 /ˌdɪs.ɪnˈfleɪ.ʃən/
英 /ˌdɪs.ɪnˈfleɪ.ʃən/
物価が上昇し続けているものの、その上昇する速さ、つまりインフレ率が低下していくこと。「インフレの鈍化」とも表現される。例えば物価上昇率が前年比6%から4%、さらに2%へ低下していく場合がディスインフレであり、物価水準そのものが下落しているわけではない。 「エネルギー価格が落ち着き、消費者物価のディスインフレが進んだ」のように使う。インフレ率がプラスのまま低下する状態であり、物価水準が持続的に下落するデフレとは区別される。「物価上昇が緩やかになった」ことであり、価格が元の水準まで下がったことを意味しない。金融政策を論じるときは、総合指数かコア指数か、前年比か前月比かなど、用いる物価指標も確認する。
ディスクロージャー
disclosure
米 /dɪˈskloʊ.ʒɚ/
英 /dɪˈskləʊ.ʒər/
企業や組織が、経営状況、財務内容、リスクなどの重要な情報を外部へ開示すること。「情報開示」と訳される。日本語では特に企業経営・証券市場の分野で、投資家や株主などが適切に判断できるよう、決算情報や事業内容、重要な経営情報などを公表することを指す。「ディスクロージャーを充実させる」のように使われる。 「投資家が事業リスクを判断できるよう、ディスクロージャーを充実させる」のように使う。財務情報だけでなく、経営戦略、リスク、ガバナンス、サステナビリティなどの記述情報も対象になり得る。単に資料を多く公開することではなく、投資判断に必要な情報を十分・正確・適時に、分かりやすく示すことが重要である。
データガバナンス
data governance
米 /ˈdeɪ.t̬ə ˌɡʌv.ɚ.nəns/
英 /ˈdeɪ.tə ˌɡʌv.ə.nəns/
組織が保有・利用するデータについて、誰が責任を持ち、どのようなルールで管理・利用するかを定め、データの品質、安全性、適切な利用などを組織全体で統制する仕組み。「データのガバナンス」ともいう。データを正確で信頼できる状態に保ち、必要な人が適切に利用できるようにするとともに、アクセス権限、セキュリティ、プライバシー、法令遵守などについて責任や意思決定のルールを明確にする。 「顧客データの定義と管理責任者を統一し、データガバナンスを強化する」のように使う。組織全体でデータの所有・責任、品質基準、アクセス権限、保存期間、利用目的、法令遵守などを決め、その実施を継続的に監督する。データを保存するシステムの導入だけではなく、意思決定権限と説明責任を含む組織的な統治の仕組みである。
データサイエンス
data science
米 /ˈdeɪ.t̬ə ˌsaɪ.əns/
英 /ˈdeɪ.tə ˌsaɪ.əns/
大量・多様なデータを収集・整理・分析し、そこから有用な知識や規則性を見つけ、予測や意思決定、課題解決などに役立てる分野。統計学、コンピューター科学、機械学習、データ処理などの手法を組み合わせ、目的に応じてデータから意味のある情報を引き出す。企業では、売上予測、需要分析、顧客行動分析、不正検知など幅広い用途に利用される。 「過去の受注データにデータサイエンスの手法を適用し、需要を予測する」のように使う。課題の設定、データの収集・整形、探索的分析、モデル作成、評価、業務への適用と監視までを含む。機械学習を使うこと自体が目的ではなく、適切なデータと方法で課題の理解や意思決定に役立つ知見を得ることが中心である。データの品質、偏り、個人情報、分析結果の不確実性にも配慮する。
データセンター
data center(英:data centre)
米 /ˈdeɪ.t̬ə ˌsen.t̬ɚ/
英 /ˈdeɪ.tə ˌsen.tə/
サーバーやネットワーク機器などのIT設備を多数設置し、データの保存・処理や各種オンラインサービスの運用を行うための専用施設。安定してシステムを稼働させるため、大容量の電力供給、通信回線、冷却設備、非常用電源、入退室管理などを備える。企業の基幹システム、クラウドサービス、ウェブサービス、AIなどの計算基盤として利用される。 「自社のサーバーを耐震性と非常用電源を備えたデータセンターに移転する」のように使う。機器を置く建物だけでなく、電力、冷却、通信、防災、物理セキュリティ、運用監視を組み合わせ、ITシステムを継続稼働させる施設である。自社専用、ハウジング、クラウド事業者用など運用形態は異なる。立地や可用性に加え、大きな電力・冷却需要と環境負荷も検討対象となる。
データドリブン
data-driven
米 /ˈdeɪ.t̬ə ˌdrɪv.ən/
英 /ˈdeɪ.tə ˌdrɪv.ən/
経験や勘だけに頼るのではなく、収集・分析したデータを根拠として、意思決定や業務改善、施策の立案などを行うこと。「データドリブン経営」「データドリブンマーケティング」のように使われる。売上、顧客行動、業務実績などのデータを分析し、その結果を実際の判断や行動に反映させる点が重要である。 「購買履歴と在庫データを分析し、データドリブンで仕入れ量を決める」のように使う。目的と指標を定め、データを収集・分析し、結果を判断と行動に反映し、その成果を再び検証する。データを見るだけではなく、意思決定の流れに組み込むことが重要である。データの品質・偏り・適用範囲を確認し、現場知識や倫理的判断を不要とする考え方ではない。
デカップリング
decoupling
米 /ˌdiːˈkʌp.lɪŋ/
英 /ˌdiːˈkʌp.lɪŋ/
互いに結び付いていた二つの事物や動きを切り離し、連動しないようにすること。国際経済・地政学では、国家間の貿易、投資、供給網、技術などの相互依存を縮小することを指す。環境政策では、経済成長を続けながら資源消費や温室効果ガス排出などの環境負荷を増やさない、または減らすことを表す。 「重要部品の調達先を分散し、特定国との経済的デカップリングを進める」のように使う。国際関係では、貿易・技術・投資・供給網の結び付きを広範に弱める意味で用いられる。環境分野の「経済成長と排出量のデカップリング」は、成長率より環境負荷の増加率が低い相対的切離と、成長しながら環境負荷が減る絶対的切離に分けられる。文脈によって対象が異なるため、何と何を切り離すのかを明示する。
デジタルツイン
digital twin
米 /ˈdɪdʒ.ɪ.t̬əl twɪn/
英 /ˈdɪdʒ.ɪ.təl twɪn/
現実に存在する機械、設備、建物、工場などをコンピューター上に仮想的に再現し、現実側から得られるデータなどを反映させながら、その状態を把握・分析・予測する仕組み。現実の対象と対応する仮想モデルを使って、故障の予測、設備の最適化、シミュレーション、保守計画などに活用される。 「センサーの稼働データをデジタルツインに反映し、設備の故障時期を予測する」のように使う。現実の対象と対応するモデルをデータで同期させ、監視、診断、予測、シミュレーション、最適化に利用する。対象の外観を表した単なる3Dモデルとは異なり、目的に応じた現実側との対応・同期が重要である。予測にはモデルやデータの誤差があるため、検証と更新も必要となる。
デジタルデバイド
digital divide
米 /ˌdɪdʒ.ɪ.t̬əl dɪˈvaɪd/
英 /ˌdɪdʒ.ɪ.təl dɪˈvaɪd/
インターネットやデジタル機器・サービスを利用できる人と利用できない人との間に生じる格差。「情報格差」とも訳される。通信網や端末の有無だけでなく、料金の負担可能性、デジタルスキル、年齢、障害、所得、教育、地域、言語などによって、情報や機会を得る能力に差が生じることを指す。 「行政手続のオンライン化にあたり、高齢者や通信環境の整っていない地域のデジタルデバイドに配慮する」のように使う。格差は回線や端末の有無だけでなく、料金、スキル、アクセシビリティ、言語、安全に利用できる環境、実際に得られる利益にも生じる。対策にはインフラ整備だけでなく、費用支援、端末、学習・相談支援、代替手段などが必要である。
デットファイナンス
debt finance / debt financing
米 /ˈdet ˌfaɪ.næns/
英 /ˈdet ˌfaɪ.næns/
銀行からの借入れや社債の発行などによって、返済義務のある資金を調達すること。「負債による資金調達」を意味する。企業が事業資金や設備投資資金などを確保する方法の一つで、調達した元本を将来返済し、通常は利息も支払う。株式を発行して資金を調達する「エクイティファイナンス」と対比して使われる。 「新工場の設備資金を、銀行借入れによるデットファイナンスで調達する」のように使う。借入れ、社債、コマーシャルペーパーなど、元本の返済や利息の支払いを伴う資金調達を指す。株式の持分比率を薄めにくい一方、返済期限、金利、担保、財務制限条項、債務返済能力などの負担・リスクを検討する必要がある。
デッドライン
deadline
米 /ˈded.laɪn/
英 /ˈded.laɪn/
仕事や提出、申請、交渉などについて、それまでに完了しなければならない最終的な期限・締切。「デッドラインを設定する」「提出のデッドラインが迫る」のように使われる。単なる予定日ではなく、それを過ぎると提出できない、計画に支障が生じるなど、実質的な限界となる日時を表すことが多い。 「入札書類の提出デッドラインは、8月31日午後5時である」のように使う。何を、いつまでに、どの時刻・タイムゾーンで完了すべきかを明確にする。内部管理上の目標日と、過ぎると受付不可・契約違反などの影響が生じる最終期限は区別する。日本語では「締切」のほうが自然な場面も多い。
デフォルト
default
米 /dɪˈfɑːlt/
英 /dɪˈfɒlt/
文脈によって大きく二つの意味を持つ。金融・経済では、借金や債券などについて、約束された元本や利息を期限どおりに支払えなくなる「債務不履行」を指す。ITでは、利用者が特に設定を変更していないときに自動的に適用される「初期設定・既定値」を指す。「国債がデフォルトに陥る」「設定をデフォルトに戻す」のように使われる。 金融では「発行体が利払いを実行できず、社債がデフォルトになった」のように、契約上の債務を履行しないことを表す。ITでは「通知はデフォルトで有効になっている」のように、利用者が選択しない場合に適用される既定の状態・値を指す。金融とITで意味が大きく異なるため、文脈を確認する。ITの既定値は中立とは限らず、利用者の選択に影響を与える。
デフレ
deflation
米 /dɪˈfleɪ.ʃən/
英 /dɪˈfleɪ.ʃən/
物価が全体として継続的に下落していく状態。「デフレーション」の略。商品やサービスの一部だけが安くなることではなく、経済全体の物価水準が持続的に下がることを指す。デフレが続くと、企業の売上や利益、賃金などが伸びにくくなり、消費や投資の停滞につながる場合がある。 「消費者物価が幅広い品目で下落し、デフレへの懸念が強まった」のように使う。個別商品の値下げ、株価や地価など資産価格の下落、景気後退そのものとは区別し、財・サービス全体の物価水準が持続的に下落しているかをみる。デフレ下では、貨幣の実質価値と債務の実質負担が高まり、支出の先送りや需要低下につながる場合がある。インフレ率が低下するだけのディスインフレとも異なる。
デバンキング
debunking
米 /ˌdiːˈbʌŋ.kɪŋ/
英 /ˌdiːˈbʌŋ.kɪŋ/
広く信じられている説、神話、誤解、誇張された評価などについて、証拠や検証によって誤り・誇張を明らかにすること。「俗説を覆す」「誤りを暴く」などと表せる。日本語の「デバンキング」は、特に偽情報対策やファクトチェックの文脈で、すでに流通している誤情報を検証し、訂正・反証する取り組みを指すことが多い。 「専門家が統計データを示し、健康食品に関する俗説をデバンキングした」のように使う。情報の真偽を確かめ、根拠を示して誤りや誇張を明らかにする場面で用いる。誤情報に触れる前に警戒点や見分け方を伝える「プレバンキング」に対し、デバンキングは主に、すでに提示・拡散された主張を事後に検証して訂正することをいう。単なる反対意見ではなく、確認可能な証拠や信頼できる資料に基づく検証を伴うという含みがある。
デューデリジェンス
due diligence
米 /ˌduː ˈdɪl.ə.dʒəns/
英 /ˌdjuː ˈdɪl.ɪ.dʒəns/
取引や投資などを行う前に、対象となる企業・事業・資産などについて、価値や問題点、リスクを詳しく調査・確認すること。「DD」と略されることもある。日本語では特にM&A(企業の合併・買収)の際に、財務、法務、税務、事業、人事、ITなどを調査し、買収価格や契約条件、買収後のリスクを判断するための事前調査を指すことが多い。 「買収後に想定外の債務や訴訟リスクが判明しないよう、契約締結前に対象企業の財務・法務・事業内容についてデューデリジェンスを実施した」のように使う。M&A、投資、融資、不動産取引などで、重要な意思決定を行う前に、対象となる企業・事業・資産について情報を収集し、価値、問題点、リスクを詳しく調査することを指す。財務、法務、税務、事業、IT、人事など対象分野によって「財務デューデリジェンス」「法務デューデリジェンス」などに分けることがあり、ビジネスでは「DD」と略されることも多い。「監査」が財務諸表などについて一定の基準に基づき確認・保証を行うのに対し、デューデリジェンスは特定の取引・投資判断に必要な事項を調査することに重点がある。調査で問題が見つかれば、取引中止だけでなく価格や契約条件を変更する材料にもなる。また、実施したからといってすべてのリスクを発見できる保証があるわけではない。
デリゲーション
delegation
米 /ˌdel.əˈɡeɪ.ʃən/
英 /ˌdel.ɪˈɡeɪ.ʃən/
上司や管理者が、自分の持つ仕事や権限の一部を部下や他の担当者に任せること。「権限委譲」と訳されることが多い。単に作業を頼むだけでなく、担当者が一定の範囲で判断・意思決定できる権限も与え、その仕事を主体的に進められるようにすることを指す。組織運営では、管理者の負担軽減だけでなく、人材育成や意思決定の迅速化にも用いられる。 「新規事業の責任者に予算執行の権限をデリゲーションした」のように使う。管理者が仕事の目的、任せる範囲、期限、利用できる資源、報告方法などを明確にしたうえで、担当者に業務と必要な権限を委ねる場面を指す。ただ作業を振るだけの「丸投げ」とは異なり、委ねる側には進捗を確認し支援する責任が残り、担当者には合意した範囲で判断して遂行する責任が生じる。なお英語の delegation には、会議などに派遣される「代表団」という別の意味もある。
デリスキング
de-risking / derisking
米 /ˌdiːˈrɪs.kɪŋ/
英 /ˌdiːˈrɪs.kɪŋ/
特定の相手・取引・供給網などとの関係を完全に断つのではなく、過度な依存や集中によって生じるリスクを減らすこと。近年の国際経済・経済安全保障では、重要物資や技術などを一国・一地域に過度に依存しないよう、調達先の多様化やサプライチェーンの強化などによってリスクを抑える考え方を指す。特に「デカップリング(関係の切り離し)」との違いを強調して、「デリスキングであってデカップリングではない」のように使われる。 「重要部品の調達先を複数国に分散し、供給網のデリスキングを進める」のように使う。経済安全保障では、調達先の多様化、在庫の確保、代替技術の開発などによって依存や途絶のリスクを抑える施策を指す。金融では、金融機関がリスクを個別に評価・管理せず、特定の顧客や業種との取引を一括して終了・制限する現象を指す場合もあるため、どの分野のリスクをどの方法で減らすのかを文脈で明示するとよい。「デカップリング」は関係の切り離しを強く示すのに対し、「デリスキング」は関係を保ちながら危険度を下げる意味で使われることが多い。
デリバティブ
derivative / derivatives
米 /dɪˈrɪv.ə.t̬ɪv/
英 /dɪˈrɪv.ə.tɪv/
株式、債券、金利、為替、商品、株価指数など、別の資産や指標の価格・値動きを基礎として価値が決まる金融商品・金融取引。「金融派生商品」ともいう。代表的なものに先物取引、オプション取引、スワップ取引などがあり、価格変動リスクを抑えるヘッジ、投資・投機、取引条件の調整などに利用される。 金融派生商品・取引について、「為替変動のリスクを抑えるためデリバティブを利用する」「デリバティブ取引による損失が発生した」のように使う。先物だけを指す言葉ではなく、オプションやスワップなども含まれる。
ドナー
donor
米 /ˈdoʊ.nɚ/
英 /ˈdəʊ.nə/
金銭や物品を寄付する人・組織、または輸血・移植・生殖医療などのために血液、臓器、組織、細胞などを提供する人。「提供者」「寄付者」「臓器提供者」などと訳される。日本語では医療分野で使われることが多いが、国際援助では資金や物資を提供する国・機関を「ドナー国」「ドナー機関」と呼ぶこともある。 「移植手術に必要な臓器のドナーが見つかった」「国際会議で主要ドナー国が追加支援を表明した」のように使う。医療では、何を提供するかに応じて「献血ドナー」「骨髄ドナー」「臓器ドナー」などと具体化する。資金援助では「匿名ドナー」「民間ドナー」のように寄付者・資金提供者を表す。臓器や血液を受け取る側は「レシピエント」といい、ドナーとは区別する。提供には本人の意思確認、適格性の審査、倫理・法令上の手続きが関わるため、単に「提供できる人」という意味だけで用いない。
ドメイン
domain
米 /doʊˈmeɪn/
英 /dəˈmeɪn/
本来は、ある人・組織が支配・活動・知識の対象とする「領域・分野」を意味する。ITでは、インターネット上の住所に当たるドメイン名、組織や管理のまとまり、システムが扱う業務領域などを指す。日本語では特に「example.com」のようなドメイン名を略して「ドメイン」と呼ぶことが多い。 「新サービス用のドメインを取得した」「その問題は法務部門のドメインに属する」のように使う。ウェブの文脈では、ドメイン名は「example.com」のように点で区切られ、ウェブサイトや電子メールなどの宛先を識別するために使われる。ただしドメイン名そのものはウェブサイトやURL全体と同じではない。IT設計では「業務ドメイン」「認証ドメイン」のように、対象となる業務・管理範囲を指すこともあるため、住所としての名称か、知識・管理の領域かを文脈で区別する。
ドラフト
draft
米 /dræft/
英 /drɑːft/
正式に決定・完成する前の案や原稿。「草案」「下書き」を意味する。ビジネスでは、契約書、企画書、報告書などの内容を検討・修正するために作った暫定版を「ドラフト」と呼ぶ。「契約書のドラフトを確認する」「まずドラフトを作る」のように使われる。またスポーツでは、新人選手などを各チームが一定のルールに従って指名・獲得する「ドラフト制度」を指す。 「契約書のドラフトを先方へ送り、内容について双方で確認したうえで最終版を作成することになった」のように使う。ビジネス、法務、行政などでは、正式に確定する前の文書・計画などの「草案」「下書き」を指し、「契約書のドラフト」「報告書のドラフトを作る」「ドラフトをレビューする」のように使う。ドラフトは修正を前提とした段階なので、そこに書かれている内容がすでに正式決定されたとは限らない。特に政策案、共同声明、契約書などでは、流出したドラフトと正式な最終版を区別することが重要。一方、スポーツでは新人選手などを制度に従って指名する「ドラフト」という別の意味があり、英語の draft にはさらに「徴兵」という意味もある。「ドラフトビール」のdraftも同じ語に由来するため、文脈による意味の判別が必要。
ナショナリズム
nationalism
米 /ˈnæʃ.ən.əl.ɪ.zəm/
英 /ˈnæʃ.ən.əl.ɪ.zəm/
民族・国民などを一つの共同体として重視し、その一体性、独立、自己決定、利益などを重んじる思想・運動。「民族主義」「国民主義」などと訳され、文脈によっては国家の独立や主権を求める運動、自国の利益や結束を重視する政治的立場などを指す。歴史的・政治的な状況によってさまざまな形があり、それ自体が必ずしも排外主義や他国への敵対を意味するわけではない。 「独立運動の背景には、その地域固有の言語と文化を重視するナショナリズムがある」のように使う。国家の主権や国民の統合を強調する場合と、民族・地域の政治的独立や自己決定を求める場合があるため、誰を一つの共同体とみなし、何を目標としているかを確かめる必要がある。「愛国心」が自国への愛着という感情を主に表すのに対し、ナショナリズムは政治的な思想・運動まで含みうる。排外的な形をとることもあるが、語だけで一律に排外主義と断定せず、具体的な主張や行動を示して用いる。
ナラティブ
narrative
米 /ˈner.ə.t̬ɪv/
英 /ˈnær.ə.tɪv/
出来事や事実を、一定の視点や因果関係によって結び付けて説明する「物語・語り・解釈の枠組み」。日本語では特に政治、報道、社会問題、経営などで、個々の事実をどのような意味付けや筋立てで理解・説明するかという意味で使われる。「政府側のナラティブ」「成長のナラティブ」のように、ある立場から提示される一貫した説明や見方を指すことが多い。 「政府は改革が成長につながったというナラティブを打ち出した」のように使う。政治・報道では、どの事実を選び、どう因果関係を組み立て、誰の視点から説明しているかを示す語として用いられる。単なる「話」よりも、複数の出来事に一貫した意味を与える説明の筋道という含みが強い。ナラティブは事実そのものではなく、その事実を理解させる枠組みなので、検証するときは個々の根拠と、説明のつながりを分けて確認する。文学では物語や語り、医療・福祉では当事者が経験を語ることを指す場合もある。
ナレッジ
knowledge
米 /ˈnɑː.lɪdʒ/
英 /ˈnɒl.ɪdʒ/
仕事や経験を通じて得られた知識・情報・ノウハウ。日本語では特にビジネスや組織運営で、個人が持つ知識や経験を組織内で共有し、業務改善や問題解決に活用する文脈で使われる。「ナレッジを共有する」「社内ナレッジを蓄積する」のように用いられる。 「問い合わせ対応で得たナレッジを社内データベースに登録する」のように使う。業務手順、失敗例、顧客対応の知見、熟練者の判断基準などを記録し、検索・再利用できる形で共有する場面を指す。「ナレッジ共有」「ナレッジベース」「ナレッジマネジメント」のような複合語でも用いる。単なるデータの保存ではなく、仕事に役立つよう整理され、他の人が活用できる知識という含みがある。個人の経験に依存する暗黙知を文章や図にして共有することも、ナレッジ化の一例である。
ネイチャーポジティブ
nature positive
米 /ˈneɪ.tʃɚ ˈpɑː.zə.t̬ɪv/
英 /ˈneɪ.tʃə ˈpɒz.ə.tɪv/
生物多様性や生態系など自然の損失を止め、その減少傾向を反転させて回復軌道へ転じさせる考え方・目標。単に「自然に優しい」活動をすることではなく、自然の状態を実際に改善していくことを重視する。 生物多様性や自然の回復を目指す政策・経営について、「企業がネイチャーポジティブへの取り組みを進める」「2030年に向けてネイチャーポジティブを目指す」のように使う。単なる環境配慮ではなく、自然の損失を止めて回復へ転じさせることが重要となる。
ネガティブキャンペーン
negative campaigning / negative campaign
米 /ˈneɡ.ə.t̬ɪv kæmˈpeɪ.nɪŋ/
英 /ˈneɡ.ə.tɪv kæmˈpeɪ.nɪŋ/
選挙や政治活動などで、自分や自陣営の政策・長所を訴えるよりも、対立候補や相手陣営の政策、発言、経歴、人物像などの問題点を取り上げ、相手への支持を低下させようとする宣伝・選挙運動。批判広告、過去の発言の追及、相手の弱点を強調する情報発信などが含まれる。「対立候補へのネガティブキャンペーンを展開する」のように使われる。 「選挙戦終盤、両陣営は相手候補の過去の発言を取り上げるネガティブキャンペーンを強めた」のように使う。政策上の違いや公職適格性に関する事実を批判する場合から、印象を悪化させるために弱点を強調する場合まで含みうる。批判内容が虚偽・中傷であることを語自体が意味するわけではないため、問題を述べるときは、事実に基づく検証可能な批判なのか、誤情報や人格攻撃なのかを分けて示す。商品や企業をおとしめる宣伝という意味で使われることもあるが、中心的な用法は政治・選挙の文脈である。
ネグレクト
neglect
米 /nɪˈɡlekt/
英 /nɪˈɡlekt/
本来必要な世話・保護・注意などを十分に行わず、相手を放置すること。「放置」「養育放棄」などと訳される。日本語では特に児童虐待の一類型として、保護者が子どもに必要な食事を与えない、著しく不潔な状態にする、長時間放置する、必要な医療を受けさせないなど、子どもの適切な養育・保護を怠ることを指す場合が多い。 「食事を十分に与えず、必要な受診もさせない行為はネグレクトに当たる」のように使う。児童福祉では、衣食住、衛生、医療、安全、教育など、子どもの成長に必要な保護や養育を怠る行為を指す。直接暴力を振るわなくても虐待に該当しうる。また、同居人による虐待を保護者が放置することも含まれる。高齢者・障害者・動物などへの世話の放棄を指す場合もあるため、対象と具体的な放置内容を明示するとよい。英語の neglect は一般に「怠る」「放置する」という広い意味を持つ。
ネットゼロ
net zero
米 /ˌnet ˈzɪr.oʊ/
英 /ˌnet ˈzɪə.rəʊ/
人間の活動によって排出される温室効果ガスを大幅に削減したうえで、どうしても残る排出量を吸収・除去する量と釣り合わせ、正味(net)の排出量をゼロにすること。「排出を完全にゼロにする」という意味ではなく、削減しても残る排出と除去を差し引いた結果をゼロにする考え方である。国、企業、産業などが気候変動対策の長期目標として「2050年ネットゼロ」のように用いる。 「政府は2050年までに温室効果ガス排出をネットゼロにする目標を掲げた」のように使う。目標を評価するときは、対象が二酸化炭素だけか全温室効果ガスか、対象範囲、期限、中間目標、削減と除去の内訳を確認する必要がある。排出削減を優先し、技術的・経済的に避けにくい残余排出を、森林などの吸収源や除去技術によって均衡させる考え方である。「カーボンニュートラル」と近い意味で使われるが、算定範囲や基準は制度・宣言ごとに異なりうるため、名称だけで達成内容を判断しない。
ノーコード
no-code / no-code development
米 /ˌnoʊˈkoʊd/
英 /ˌnəʊˈkəʊd/
プログラミングコードをほとんど、またはまったく書かずに、画面上の操作やあらかじめ用意された部品・機能を組み合わせて、ウェブサイト、アプリ、業務システム、自動化の仕組みなどを作る開発方法。専門的なプログラミング知識が少ない人でもシステムを構築しやすく、開発期間やコストを抑える手段として利用される。 「現場部門がノーコードツールで申請管理アプリを作成した」のように使う。入力フォーム、データベース、承認フローなどを視覚的な部品で組み立て、業務アプリや自動化を短期間で作る場面を指す。コードを一切使わないように見えても、基盤側ではプログラムが動作している。少量のコードを追加して拡張する「ローコード」と区別されるが、境界は製品によって異なる。導入時には、作成の容易さだけでなく、権限管理、情報セキュリティ、保守、拡張性、特定サービスへの依存も確認する必要がある。
ノーマライゼーション
normalization
米 /ˌnɔːr.mə.ləˈzeɪ.ʃən/
英 /ˌnɔː.mə.laɪˈzeɪ.ʃən/
物事を標準的・正常な状態に整えること。日本語では特に社会福祉の理念として、障害のある人もない人も、地域社会で同等に生活し活動できる社会を目指し、そのための生活条件や環境条件を整えることを指す。分野によって意味が異なり、国際関係では「関係正常化」、データ処理では値の尺度をそろえること、データベースでは重複や不整合を減らすために表を整理することもいう。 「障害の有無にかかわらず地域で共に暮らせるよう、ノーマライゼーションの理念に基づいて住環境や支援サービスを整備する」のように使う。福祉分野では、障害のある人を一方的に社会の『普通』へ合わせるという意味ではなく、誰もが市民として生活・参加できるよう社会側の条件や環境を整える理念を表す。一方、「両国関係のノーマライゼーション」「データをノーマライゼーションする」のような用法では意味が異なるため、福祉、外交、統計、データベースなどの対象分野を明示すると誤解が少ない。
ハードランディング
hard landing
米 /ˌhɑːrd ˈlæn.dɪŋ/
英 /ˌhɑːd ˈlæn.dɪŋ/
景気や物価などを調整する過程で、経済が急激に悪化し、深刻な景気後退や失業の増加などを招くこと。特に金融政策では、インフレを抑えるための急速な利上げなどによって需要が大きく落ち込み、経済が大幅に減速・後退する状態を指す。「景気がハードランディングする」のように使われる。転じて、制度変更や事業縮小などが大きな混乱や損失を伴って進む場合にも使われる。 「急速な金融引き締めが景気のハードランディングを招くとの懸念が広がった」のように使う。中央銀行がインフレ抑制のために金利を引き上げた結果、需要、投資、雇用などが急減し、景気後退に至る可能性を論じる場面でよく用いる。物価を抑えながら深刻な景気後退を避ける「ソフトランディング」と対になる。航空機の強い着陸を比喩にした表現であり、経済指標上の厳密な判定基準が一つに定まっている語ではない。政策や事業の急激な移行を指す場合は、何がどのように悪化するのかを併記するとよい。
ハイブリッド戦
hybrid warfare
米 /ˌhaɪ.brɪd ˈwɔːr.fer/
英 /ˌhaɪ.brɪd ˈwɔː.feər/
通常の軍事力だけでなく、サイバー攻撃、偽情報・情報工作、経済的圧力、秘密工作、非正規部隊など、軍事的・非軍事的なさまざまな手段を組み合わせて相手国や組織に影響・圧力を加える戦い方。「ハイブリッド戦争」ともいう。武力攻撃が始まってからだけでなく、平時と有事の境界が明確でない段階から情報戦やサイバー攻撃などが行われる場合もある。 「偽情報の拡散とサイバー攻撃を組み合わせたハイブリッド戦への備えを強化する」のように使う。国家だけでなく非国家主体が、正規軍、非正規部隊、情報操作、サイバー手段、経済的圧力などを状況に応じて組み合わせ、社会の分断や意思決定への影響を狙う場面を指す。個々の手段は新しくなくても、軍事・非軍事、公開・秘密の手段を連動させ、戦争と平時の境界を曖昧にする点が重視される。「サイバー戦」や「情報戦」はその一部になりうるが、ハイブリッド戦全体と同義ではない。具体的な行為と主体を示して用いることが望ましい。
ハクティビズム
hacktivism
米 /ˈhæk.tɪ.vɪ.zəm/
英 /ˈhæk.tɪ.vɪ.zəm/
政治的・社会的な主張や目的を実現するために、ハッキングなどのコンピューター技術を用いて行う活動。「ハッキング」と「アクティビズム(社会運動)」を組み合わせた語で、ウェブサイトの改ざん、情報の暴露、サービス妨害、オンライン上の抗議活動など、手段や違法性の程度が異なる多様な行為を含みうる。活動を行う人は「ハクティビスト」という。 「環境政策への抗議を掲げる集団が、政府機関を狙ったハクティビズムを展開した」のように使う。政治的・社会的動機を伴うサイバー行為を説明する語であり、金銭目的のサイバー犯罪とは動機の面で区別されることが多い。ただし、主張が政治的であっても、不正アクセスや業務妨害などが法的に正当化されるわけではない。報道では、実行主体、目的、用いられた手段、被害、帰属判断の確度を分けて示し、単なるオンライン上の意見表明まで一括してハクティビズムと呼ばない。
ハト派
dove / dovish
米 dove /dʌv/、dovish /ˈdʌv.ɪʃ/
英 dove /dʌv/、dovish /ˈdʌv.ɪʃ/
外交・安全保障などで、武力や強硬な対応よりも、対話・交渉・外交による平和的な問題解決を重視する立場や人物。「タカ派」の対語として使われる。金融・経済では意味が異なり、中央銀行の金融政策について、インフレ抑制だけでなく景気や雇用への影響を重視し、利上げなどの金融引き締めに慎重で、より緩和的な政策を支持する立場を「ハト派」と呼ぶ。 「委員は景気と雇用への悪影響を懸念し、追加利上げに慎重なハト派姿勢を示した」のように使う。金融政策では、利下げや金融緩和を常に主張する人という固定的な意味ではなく、物価安定と景気・雇用のどちらのリスクをより重く見るかという相対的な評価を表す。外交では「対話を重視するハト派」、金融では「利上げに慎重なハト派」のように分野を明示するとよい。対語は、強硬策や金融引き締めを重視する「タカ派」である。
ハラスメント
harassment
米 /həˈræs.mənt/
英 /ˈhær.əs.mənt/
相手に不快感や苦痛、不利益などを与える嫌がらせや迷惑行為。日本語では、職場や学校などで、立場・性別・言動などを背景として相手を傷つけたり、就業・生活環境を悪化させたりする行為を広く指す。「セクシュアルハラスメント」「パワーハラスメント」「カスタマーハラスメント」など、問題となる行為の種類を示す語と組み合わせて使われることが多い。 「職場のハラスメントを防止するため、相談窓口と対応手順を整備した」のように使う。具体的には「パワーハラスメント」「セクシュアルハラスメント」など種類を示して用いることが多い。相手が不快に感じたという点は重要だが、法令・制度上の該当性は、言動の内容、関係性、反復性、業務上の必要性、就業環境への影響などに基づいて個別に判断される。正当な指導とハラスメントの境界も状況によるため、語だけで断定せず、問題となる行為を具体的に示すことが望ましい。
ハルシネーション
hallucination
米 /həˌluː.səˈneɪ.ʃən/
英 /həˌluː.sɪˈneɪ.ʃən/
生成AIが、事実ではない内容や根拠のない情報を、あたかも正しい情報であるかのようにもっともらしく生成する現象。存在しない人物・出来事・文献を示したり、誤った数値や説明を自信ありげに回答したりする場合などがある。AIが意図的に「嘘をついている」という意味ではなく、生成した内容が事実や根拠と一致していない現象を指す。 「生成AIが実在しない判例を引用したのはハルシネーションの一例だ」のように使う。AIの回答を利用するときは、固有名詞、日付、数値、引用、出典などを一次資料や信頼できる資料で照合する必要がある。検索拡張や参照資料の指定によって発生を減らせる場合はあるが、完全に防げるとは限らない。医学・心理学では知覚上の「幻覚」を意味する語でもあるため、AIの文脈では「AIハルシネーション」と明示すると区別しやすい。内容が誤っていることと、AIが人間のように意図して虚偽を述べることは同じではない。
ヒアリング
hearing
米 /ˈhɪr.ɪŋ/
英 /ˈhɪə.rɪŋ/
相手から話を聞き、事情・意見・要望・課題などを詳しく把握すること。日本語では特にビジネスや行政で、「顧客へのヒアリング」「関係者からヒアリングを行う」のように、必要な情報を得るために質問しながら話を聞く行為を指す。単に音声を聞くことではなく、目的を持って相手から情報を聞き取るという意味で使われることが多い。 「新システムへの要望を整理するため、利用部門へのヒアリングを実施した」のように使う。事前に目的と質問項目を決め、相手の回答を掘り下げながら事実、課題、希望、判断理由などを聞き取る場面を指す。聞き取った内容は、発言者の認識や要望であって、それだけで客観的事実になるとは限らないため、必要に応じて記録やデータで確認する。英語の hearing は聴覚、公聴会、審理などを意味し、日本語の「意見・要望の聞き取り」という用法では interview などが自然な場合もある。
ファイアウォール
firewall
米 /ˈfaɪr.wɑːl/
英 /ˈfaɪə.wɔːl/
コンピューターやネットワークへの通信を監視・制御し、不正なアクセスや望ましくない通信を遮断するための仕組み。あらかじめ定めたルールに基づいて通信を許可・拒否し、外部ネットワークと内部ネットワークの間などで防御の役割を果たす。企業や家庭のネットワーク、パソコン、クラウド環境などで利用される。 「社内ネットワークの入口にファイアウォールを設置し、許可していない通信を遮断する」のように使う。送信元・宛先、ポート、通信状態、アプリケーションなどに基づく規則で、通信を許可または拒否する。ネットワークの境界に置く機器だけでなく、個々の端末やサーバーで動くソフトウェア型もある。ファイアウォールだけですべての攻撃を防げるわけではなく、更新、認証、端末保護、監視、バックアップなどと組み合わせる必要がある。設定ミスや不要な許可規則は防御効果を弱める。
ファクト
fact
米 /fækt/
英 /fækt/
実際に起きたことや、証拠・記録などによって事実として確認できること。「事実」を意味する。日本語では特にビジネス、報道、議論などで、個人の感想・意見・推測と区別して、判断の根拠となる客観的に確認可能な情報を指す。「ファクトに基づいて判断する」「ファクトと意見を分ける」のように使われる。 「売上が前年より10%減少したというファクトと、その原因についての推測を分けて議論する」のように使う。確認可能な出来事・数値・記録を、評価、解釈、予測、意見と区別する場面で用いる。ただし、数値であっても調査方法や集計範囲が不明なら、直ちに確定した事実とはいえない。出典、時点、定義、母集団などを確かめる必要がある。「ファクトベース」は、検証できる事実を判断の土台にするという意味で使われるが、どの事実を選ぶかや、その解釈には別途検討が必要である。
ファクトチェック
fact-check / fact-checking
米 /ˈfæktˌtʃek/・/ˈfæktˌtʃek.ɪŋ/
英 /ˈfæktˌtʃek/・/ˈfæktˌtʃek.ɪŋ/
公人・組織の発言や、社会に広く流通する情報に含まれる検証可能な主張について、証拠や信頼できる資料と照合し、正確性を判定して根拠とともに公表すること。「事実検証」ともいう。単なる意見の賛否や文章の校正ではなく、いつ、誰が、何を述べたかを特定し、一次資料、統計、専門家の知見などを用いて検証する作業を指す。 「候補者が示した統計値について、報道機関が公的データを用いてファクトチェックした」のように使う。検証では、主張を正確に引用し、判定基準、参照資料、調査手順を示し、立場にかかわらず同じ基準を適用することが重要である。意見、価値判断、将来予測など、事実として真偽を確定しにくい内容は対象になじまない。誤りを見つけることだけが目的ではなく、正しかった点や不確実な点も根拠に沿って示す。情報に触れる前の予防的な対策は「プレバンキング」、流通後の誤情報を反証する行為は「デバンキング」と呼ばれることがある。
ファシリテーション
facilitation
米 /fəˌsɪl.əˈteɪ.ʃən/
英 /fəˌsɪl.ɪˈteɪ.ʃən/
会議や話し合い、共同作業などで、参加者が意見を出しやすい環境と進め方を整え、相互理解、合意形成、問題解決、目標達成を促進すること。進行を支援する人を「ファシリテーター」という。単に司会として順番を管理するだけでなく、目的の確認、発言機会の調整、論点の整理、対立の扱い、結論や次の行動の確認まで含むことが多い。 「部署間の意見が対立したため、中立的な担当者が会議をファシリテーションした」のように使う。ファシリテーターは自分の結論へ誘導するのではなく、参加者が論点を理解し、自ら考えて合意や行動を生み出せるよう過程を支える。事前に目的、参加者、議題、時間配分を設計し、当日は質問、要約、可視化などを用いて議論を整える。議長や意思決定者と同一人物の場合もあるが、進行支援と最終決定の権限は区別して示すとよい。
ファンダメンタルズ
fundamentals
米 /ˌfʌn.dəˈmen.t̬əlz/
英 /ˌfʌn.dəˈmen.təlz/
企業や経済の状態を支える基礎的な条件・実力。「基礎的条件」と訳される。投資・金融では、企業については売上、利益、資産・負債、キャッシュフロー、事業内容など、国や経済については景気、物価、雇用、財政、国際収支など、その価値や経済状況を判断する基礎となる要素を指す。「企業のファンダメンタルズは良好だ」「為替相場が経済のファンダメンタルズから乖離している」のように使われる。 「一時的に株価が下落しても、収益力や財務体質など企業のファンダメンタルズは堅調だ」のように使う。企業分析では財務諸表、収益性、成長性、競争力などを、経済分析では成長率、物価、雇用、財政、経常収支などを検討する。市場価格は短期的には需給、心理、政策発表などでも動くため、「ファンダメンタルズから乖離している」と表現することがある。ただし、何を基礎的条件とみなすかは分析対象や期間によって異なるため、具体的な指標を併記するのが望ましい。
フィージビリティ
feasibility
米 /ˌfiː.zəˈbɪl.ə.t̬i/
英 /ˌfiː.zəˈbɪl.ə.ti/
計画、事業、技術、方法などが、実際に実行・実現できるかという「実現可能性」「実行可能性」。技術面だけでなく、費用、採算、期間、人員、法規制、運用体制、市場性などを含めて検討することが多い。事業を本格的に始める前に可能性を調査する作業は「フィージビリティスタディ(実現可能性調査、FS)」と呼ばれる。 「新工場建設のフィージビリティを、需要予測、建設費、法規制の面から検討する」のように使う。アイデアが理論上可能かだけでなく、限られた予算・期限・人員の中で実行でき、期待する効果を得られるかを評価する。調査では前提条件、必要資源、リスク、代替案、採算見通しなどを明らかにし、実施、修正、延期、中止の判断材料とする。「できそうだ」という感覚ではなく、判断根拠と不確実性を示すことが重要である。
フィードバック
feedback
米 /ˈfiːd.bæk/
英 /ˈfiːd.bæk/
行動、成果物、計画などに対して、評価や反応、改善に役立つ情報を返すこと。ビジネスや教育では、良かった点、問題点、期待との差、次に改善すべき点などを相手に伝えることを指す。工学・制御では、出力の一部を入力側へ戻してシステムの動作を調整する仕組みをいう。 「上司が企画書の構成について具体的なフィードバックを行った」のように使う。人格ではなく観察できる行動や成果を対象にし、事実、影響、期待する改善を具体的に伝えると活用しやすい。肯定的な点を伝えて望ましい行動を強める場合も、修正点を示す場合も含む。単なる感想や一方的な叱責とは異なり、受け手が次の行動に結び付けられる情報であることが重要である。受け取った側が質問や認識確認を行う双方向の過程として扱われることも多い。
フィックス
fix
米 /fɪks/
英 /fɪks/
日本のビジネス現場では、予定、仕様、内容、担当者などを「確定する」「最終決定する」という意味で使われることが多い。「日程をフィックスする」「この案でフィックス」のように用いる。ITでは英語の一般的な用法に近く、不具合を「修正する」、または修正プログラムを指す場合もある。 「参加者全員の都合を確認し、来週の会議日程をフィックスした」のように使う。確定の意味では、何が確定済みで、以後変更しないのかを明示するとよい。ソフトウェアでは「脆弱性をフィックスする」「バグフィックスを適用する」のように修正を表す。英語の fix は「修理する」「固定する」「解決する」「用意する」など幅広く、日本語で多い「予定を確定する」という用法をそのまま英語にすると不自然な場合があるため、finalize、confirm、set などを文脈に応じて用いる。
フィッシング
phishing
米 /ˈfɪʃ.ɪŋ/
英 /ˈfɪʃ.ɪŋ/
公的機関、金融機関、著名企業などを装ったメール、SMS、ウェブサイトなどを使い、利用者をだまして偽サイトへ誘導し、ID、パスワード、クレジットカード番号などを入力させて盗み取るサイバー犯罪の手口。悪意のある添付ファイルを開かせたり、不正なアプリを導入させたりする場合もある。 「銀行を装うSMSのリンクから偽サイトへ誘導するフィッシングが確認された」のように使う。表示された送信者名やロゴだけで本物と判断せず、メールやSMS内のリンクを直接開かずに公式アプリや登録済みのブックマークから確認する。緊急性を強調する文面、個人情報の入力要求、不自然なURLなどは注意点になるが、巧妙な例では見分けにくい。情報を入力した場合は、直ちにパスワード変更、金融機関・カード会社への連絡、利用履歴の確認などを行う。音が同じ「フィッシング(fishing、釣り)」とは綴りが異なる。
フィルターバブル
filter bubble
米 /ˈfɪl.t̬ɚ ˌbʌb.əl/
英 /ˈfɪl.tə ˌbʌb.əl/
検索エンジンやSNSなどが、利用者の閲覧履歴、検索履歴、反応などに基づいて情報を個別に選び表示する結果、その人の関心や考え方に合う情報に偏って接し、異なる意見や情報に触れにくくなる状態を表す概念。自分専用の情報の「泡(バブル)」に包まれたような状態をたとえた言葉である。 「SNSの推薦投稿ばかり見ているうちに、フィルターバブルの中で同じ立場の情報に偏っていた」のように使う。個人向けの推薦や検索結果は利便性を高める一方、表示されなかった情報に利用者が気づきにくいという問題がある。意識的に異なる媒体や立場の情報を参照し、検索語や情報源を広げることが対策になる。「エコーチェンバー」は似た意見を持つ人同士が交流して考えを強め合う現象を指し、アルゴリズムによる個別選別を中心とするフィルターバブルとは重なるが同義ではない。
フィンテック
FinTech / fintech
米 /ˈfɪn.tek/
英 /ˈfɪn.tek/
金融(finance)と技術(technology)を組み合わせた言葉で、デジタル技術を活用して金融サービスを提供・改善すること、またはそのサービスや事業分野を指す。スマートフォン決済、オンライン送金、ネット銀行、家計管理、投資サービス、融資審査など幅広い分野が含まれる。「フィンテック企業」「フィンテックサービス」のように使われる。 「スマートフォンを使った送金サービスを提供するフィンテック企業が参入した」のように使う。決済、融資、資産運用、保険、本人確認などに技術を取り入れ、利便性の向上、低コスト化、新しい事業モデルの創出を図る分野を指す。技術企業だけでなく、既存の銀行や保険会社による技術革新も含みうる。利用時には利便性だけでなく、個人情報保護、サイバーセキュリティ、システム障害、法規制、事業者の信頼性なども確認する必要がある。「金融サービスを提供する大手技術企業」を指すビッグテックとは区別される。
フェイクニュース
fake news
米 /ˌfeɪk ˈnuːz/
英 /ˌfeɪk ˈnjuːz/
事実ではない内容や大きく誤解を招く内容を、ニュースであるかのような形で伝える情報。「偽ニュース」ともいう。実在しない出来事を報道記事のように作る、事実の一部を大きくゆがめて伝えるなどの例がある。特にインターネットやSNSを通じて拡散される虚偽・誤導的な情報を指して使われることが多い。 「災害後に被害を誇張したフェイクニュースがSNSで拡散した」のように使う。情報を確認するときは、発信元、公開日時、一次資料、画像の出所、他の信頼できる報道などを照合する。誤った内容でも、発信者が誤りと知らずに共有した場合と、意図的に欺くために作成・拡散した場合は区別が必要である。また、気に入らない報道を根拠なく「フェイクニュース」と呼ぶ用法もあるため、具体的にどの主張がどの証拠と矛盾するのかを示すことが望ましい。より明確に「誤情報」「偽情報」と表す場合もある。
フェーズ
phase
米 /feɪz/
英 /feɪz/
一連の活動、計画、事業、変化などを区切った「段階」「局面」。プロジェクトでは、企画、設計、開発、試験、導入など、目的や作業内容が異なる期間を指す。科学・工学では、波の位相や物質の相など、分野固有の意味でも使われる。 「システム開発は要件定義のフェーズを終え、設計フェーズに入った」のように使う。各フェーズの目的、開始・終了条件、成果物、担当者を定めると進捗管理に役立つ。「次のフェーズへ移行する」「フェーズ1で試験導入する」のようにも用いる。単なる時期という意味だけでなく、作業や状態の性質が変わる区切りを示すことが多い。工学や物理学の「位相」と、事業上の「段階」は意味が異なるため、文脈に注意する。
フォローアップ
follow-up
米 /ˈfɑː.loʊˌʌp/
英 /ˈfɒl.əʊˌʌp/
一度行った対応・連絡・調査などについて、その後の状況を確認したり、必要な追加対応を行ったりすること。「後追い」「継続対応」などに当たる。ビジネスでは、商談後に連絡する、顧客の状況を確認する、会議で決まった事項の進捗を確認するなどの場面で、「フォローアップする」「フォローアップを行う」のように使われる。 「会議で決めた改善策が実行されたか、翌月にフォローアップする」のように使う。商談後の追加連絡、研修後の理解度確認、治療後の経過観察、監査後の是正状況確認など、最初の対応の後に継続して確認・支援する場面を指す。単に催促することではなく、結果や変化を確認し、必要なら追加対応につなげることを含む。担当者、期限、確認項目をあらかじめ決めておくと、形式的な後追いで終わりにくい。
フォワードガイダンス
forward guidance
米 /ˈfɔːr.wɚd ˌɡaɪ.dəns/
英 /ˈfɔː.wəd ˌɡaɪ.dəns/
中央銀行が、将来の政策金利や金融政策の方向性について、見通しや条件をあらかじめ示すこと。「先行き指針」などと訳される。将来の金融政策について市場や企業、家計に情報を提供することで、金利の見通しや経済主体の行動に働きかけ、金融政策の効果を高めることを目的とする。「一定の条件が続く間は低金利を維持する」といった形で示されることがある。 「中央銀行は、物価目標の達成が見通せるまで緩和策を続けるとのフォワードガイダンスを示した」のように使う。将来の政策を暦上の時期で示す方式、経済指標や条件に結び付ける方式、政策の方向性を定性的に示す方式などがある。市場参加者の金利予想を通じて長期金利や金融環境に働きかけるが、無条件の約束とは限らず、経済情勢の変化によって内容が修正される場合がある。発表を読む際は、対象期間、条件、政策委員会の予測か確約かを区別する。
フレイル
frailty
米 /ˈfreɪl.ti/
英 /ˈfreɪl.ti/
加齢などによって心身の予備能力が低下し、病気やけがなどのストレスを受けたときに健康状態を崩しやすくなった状態。日本では、高齢者が健康な状態から要介護状態へ移る途中の段階として説明されることが多い。筋力や身体機能の低下だけでなく、認知・心理面や社会とのつながりの低下なども関係する。早い段階で適切に対応することで、状態の改善や健康な状態への回復が期待できる点も重要である。 「体重減少や歩行速度の低下がみられたため、フレイルの可能性を評価した」のように使う。身体面では筋力低下や疲れやすさ、心理・認知面では意欲低下、社会面では孤立や外出機会の減少などが関連する。単なる年齢の高さや一時的な体調不良と同じではなく、複数の要素を専門的に評価する。早期に気づき、栄養、運動、口腔機能、社会参加、持病の管理などへ働きかけることで、進行予防や改善が期待される。診断や具体的対応は医療・介護の専門職に相談する。
フレーミング
framing
米 /ˈfreɪ.mɪŋ/
英 /ˈfreɪ.mɪŋ/
同じ事実や出来事でも、どの部分を強調し、どのような言葉や枠組みで示すかによって、人の受け止め方や判断に影響を与えること。「枠付け」「提示の仕方」などを意味する。政治、報道、広告、心理学などで、ある問題を「何として捉えるか」という見せ方・解釈の枠組みを設定することを指す。 「同じ税制変更を『負担増』と表すか『財源確保』と表すかで、受け手の判断が変わる可能性がある」のように使う。報道や政治では、問題の原因、責任、影響、解決策のどれを強調するかという説明の枠組みを分析する際に用いる。心理学では、同じ選択肢でも「成功率90%」と「失敗率10%」のように提示方法が変わると判断が変化する現象を「フレーミング効果」という。フレーミングが直ちに虚偽や操作を意味するわけではないが、省かれた情報や別の見方も確認することが重要である。
フレームワーク
framework
米 /ˈfreɪm.wɝːk/
英 /ˈfreɪm.wɜːk/
物事を考え、整理し、実行するための基本的な「枠組み」。目的、要素、関係、手順、判断基準などを体系的に示すものを指す。経営では分析や意思決定の型、政策では制度・規則の体系、ITでは開発に必要な共通機能や構造をあらかじめ提供するソフトウェア基盤という意味で使われる。 「顧客、競合、自社の三つの観点から市場を分析するフレームワークを使った」のように使う。複雑な問題を一定の観点で整理し、検討漏れを減らすために用いるが、枠組みに当てはめるだけで正しい結論が出るわけではない。目的や状況に合うものを選び、必要に応じて修正する。ITでは「ウェブアプリ開発フレームワーク」のように、再利用できる部品や設計規則を備えた開発基盤を指し、分析手法としての用法とは区別する。
ヘイトスピーチ
hate speech
米 /ˈheɪt ˌspiːtʃ/
英 /ˈheɪt ˌspiːtʃ/
人や集団を、人種、民族、国籍、宗教、性別、性的指向、障害などの属性・アイデンティティーに基づいて攻撃し、侮辱し、差別し、排除や敵意をあおる表現。発言だけでなく、文章、画像、動画、行動などによる表現も含みうる。国際的に一つの統一された法的定義があるわけではなく、各国の法制度や機関によって対象範囲が異なる。 「特定の民族を一括して社会から排除するよう呼び掛ける投稿は、ヘイトスピーチとして問題になった」のように使う。個人の行為や政策への批判と、属性を理由に集団全体を劣った存在として扱ったり、差別・敵意・暴力をあおったりする表現は区別する必要がある。日本のヘイトスピーチ解消法は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動を対象としており、国際機関などの一般的な用語範囲と完全には一致しない。該当性を論じる際は、対象となった属性、表現内容、文脈、法令上の定義を具体的に確認する。
ヘッジ
hedge
米 /hedʒ/
英 /hedʒ/
将来の価格・為替・金利などの変動によって生じる損失のリスクを、別の取引や手段によって小さくすること。「リスクヘッジ」「為替リスクをヘッジする」のように使われる。金融では、先物・オプション・為替予約などを利用し、一方で損失が生じたときに別の取引の利益などでその影響を相殺・軽減することを指す。転じてビジネス一般でも、予想外の事態に備えてリスクを分散・軽減することを「ヘッジする」と表現する。 「輸入代金の円安リスクをヘッジするため、為替予約を行った」のように使う。保有資産と反対方向に値動きする取引を組み合わせたり、調達先や投資先を分散したりして、損失の影響を抑える。ヘッジには手数料や、相場が有利に動いたときの利益を得にくくなるなどの代償がある。また、リスクを完全に消せるとは限らず、対象、期間、割合が合わないと十分な効果が得られない。一般の業務では、代替供給先や予備計画を用意することを「リスクヘッジ」と呼ぶ場合もある。
ヘルスリテラシー
health literacy
米 /ˈhelθ ˌlɪt̬.ɚ.ə.si/
英 /ˈhelθ ˌlɪt.ər.ə.si/
健康を保ち、適切な意思決定をするために、健康・医療に関する情報やサービスへアクセスし、内容を理解・評価して活用するための知識と能力。単に文章を読めることだけでなく、情報源の信頼性を判断する、医療者へ質問する、複数の選択肢を比較するなどの力を含む。個人の能力だけでなく、行政・医療機関などが情報を分かりやすく利用しやすい形で提供する責任も関係する。 「検査結果を理解し、治療の選択肢を医師と検討するにはヘルスリテラシーが重要だ」のように使う。ウェブ上の健康情報は、発信者、根拠、更新日、広告との関係などを確認し、必要に応じて公的機関や医療専門職へ相談する。ヘルスリテラシーが低いことを個人の責任だけにせず、専門用語を減らす、図を使う、理解を確認するなど、情報提供側の改善も含めて考える。医療知識の量だけでなく、必要な情報を見つけて判断し、行動につなげる力を指す。
バーンアウト
burnout / burn-out
米 /ˈbɝːn.aʊt/
英 /ˈbɜːn.aʊt/
適切に管理されていない慢性的な職場ストレスによって生じるとされる状態。「燃え尽き」ともいう。WHOのICD-11では病気そのものではなく職業上の現象として位置付けられ、強い消耗感、仕事への心理的距離や否定的・冷笑的な感情の増大、職業上の効力の低下という三つの側面で特徴付けられる。 「長時間労働と強い心理的負担が続き、バーンアウトの兆候がみられた」のように使う。一時的な疲労と同一視せず、仕事に関連する消耗、距離感、効力低下が持続しているかをみる。個人の気力だけの問題にせず、業務量、裁量、支援体制、役割の明確さ、休息など職場環境も検討する必要がある。WHOの定義では職業上の文脈に限られ、生活全般の疲労へ無限定に使うものではない。強い不調が続く場合は、医療・産業保健などの専門家へ相談する。
バイアス
bias
米 /ˈbaɪ.əs/
英 /ˈbaɪ.əs/
判断、認識、調査、データなどが、特定の方向へ系統的に偏ること。「偏り」「先入観」などと訳される。心理学では情報の受け取り方や意思決定に生じる認知バイアス、統計では標本の選び方や測定方法による系統的誤差、AIではデータ、設計、運用、社会制度などに由来して結果に偏りや不公平が生じることを指す。 「賛成意見ばかり集めたため、調査結果に選択バイアスが生じた」のように使う。バイアスは意図的な差別や悪意がなくても発生しうる。人の判断では、自分の考えに合う情報を重視する確証バイアスなどがあり、調査では標本、質問文、測定、欠測などを点検する。AIでは学習データだけでなく、目的設定、評価基準、利用環境、人間の判断、制度上の偏りも確認する必要がある。単に「公平でない」と述べるだけでなく、何がどの基準からどの方向へ偏っているかを示すとよい。
バイオマス
biomass
米 /ˈbaɪ.oʊˌmæs/
英 /ˈbaɪ.əʊˌmæs/
生物に由来する有機性資源、または一定の区域・生態系に存在する生物の総量。日本のエネルギー・環境政策では主に、化石資源を除く、再生可能な生物由来の有機性資源を指す。木材、農作物残さ、家畜排せつ物、食品廃棄物、下水汚泥などが例で、燃料、発電・熱利用、素材、肥料などに活用される。 「間伐材を木質バイオマス燃料として発電に利用する」のように使う。由来によって「廃棄物系バイオマス」「未利用バイオマス」「資源作物」などに分けられる。生物の成長時に二酸化炭素を吸収するためカーボンニュートラルな資源と説明されることがあるが、栽培、収集、加工、輸送、燃焼、土地利用変化まで含めた排出量や、生態系への影響は別に評価する必要がある。バイオマスの利用が常に環境負荷ゼロという意味ではない。
バックキャスティング
backcasting
米 /ˈbækˌkæs.tɪŋ/
英 /ˈbækˌkɑː.stɪŋ/
まず将来の望ましい姿や達成したい目標を設定し、そこから現在へ逆算して、目標達成のためにいつ・何を行う必要があるかを考える計画手法。現状の延長から将来を予測するのではなく、「将来こうなっていたい」というゴールを起点に、必要な政策・施策・行動などを組み立てる。環境政策、SDGs、経営戦略、地域計画など、長期的な変化が必要な分野で使われる。 「2050年の脱炭素社会を目標に置き、バックキャスティングで現在必要な政策を洗い出した」のように使う。まず望ましい将来像と達成時期を具体化し、そこから逆向きに中間目標、必要な制度・投資・技術・行動を配置する。現状の傾向を延長して将来を見積もる「フォアキャスティング」と対比される。将来像を決めれば自動的に計画ができるわけではなく、実現可能性、費用、副作用、不確実性を検討し、状況変化に応じて経路を見直す必要がある。
バックドア
backdoor / back door
米 /ˈbæk.dɔːr/
英 /ˈbæk.dɔː/
コンピューターやシステムに、通常の認証やアクセス制御を通らずに侵入・操作できるよう設けられた、秘密または通常とは異なるアクセス手段。「裏口」を意味する。サイバー攻撃では、攻撃者が一度侵入した後も再びアクセスできるようバックドアを設置したり、マルウェアによって外部から遠隔操作できる入口を作ったりする場合がある。 「攻撃者が侵入後も再びシステムへアクセスできるようバックドアを設置していたことが、セキュリティ調査で判明した」のように使う。サイバーセキュリティで秘密または通常とは異なる入口・仕組みを指す。
バッファ
buffer
米 /ˈbʌf.ɚ/
英 /ˈbʌf.ə/
衝撃、変動、遅れ、不足などの影響を和らげるために設ける余裕・緩衝部分。業務では予備の時間、資金、人員、在庫などを指す。ITでは、処理速度の違いを調整するためデータを一時的に保持する記憶領域をいう。物理的には二つのものの間で衝撃や干渉を弱める緩衝材・緩衝地帯の意味がある。 「納期遅延に備え、工程表に一週間のバッファを設けた」のように使う。予算、在庫、人員、処理能力などにも「バッファを持たせる」と表現する。余裕を無目的に増やすのではなく、どのリスクを吸収するために、どの程度必要かを決める。ITでは「動画データをバッファに一時保存する」のように、送受信や処理の速度差をならす領域を指す。単なる予備と、コンピューター上の一時記憶は文脈で区別する。
バブル
bubble
米 /ˈbʌb.əl/
英 /ˈbʌb.əl/
株式、不動産などの資産価格が、収益力や経済の基礎的条件から説明できる価値を大きく上回って上昇し、その上昇が持続するという期待によってさらに買いが集まる状態。「資産価格バブル」「投機的バブル」ともいう。やがて期待が変わると価格が急落し、金融機関、企業、家計や実体経済へ大きな影響を及ぼすことがある。 「住宅価格が所得や賃料の伸びを大きく上回り、不動産バブルへの警戒が強まった」のように使う。価格上昇だけで直ちにバブルとはいえず、供給制約、金利、収益見通しなど基礎的要因でも価格は変わる。バブルかどうかは本源的価値を正確に測りにくいため、進行中の確定判断が難しい。信用の急拡大、投機目的の取引、価格上昇を前提とした借入れなど複数の指標を確認する。バブル崩壊は価格下落だけでなく、債務負担や信用収縮を通じて景気後退につながる場合がある。
バリューチェーン
value chain
米 /ˈvæl.juː ˌtʃeɪn/
英 /ˈvæl.juː ˌtʃeɪn/
企業が製品やサービスを顧客へ提供するまでの一連の活動を、「どの工程でどのような価値が加えられているか」という視点から捉えたもの。「価値連鎖」ともいう。原材料の調達、製造、物流、販売、マーケティング、アフターサービスなどの活動がつながり、それぞれの段階で価値を生み出して最終的な商品・サービスにつながるという考え方である。企業が競争力の源泉や改善すべき工程を分析するときなどに使われる。 「自社のバリューチェーンを分析し、物流工程の費用と納期を見直す」のように使う。工程を並べるだけでなく、各活動が顧客価値、費用、差別化にどう結び付くかを確認する。自社内の活動を中心に見る場合と、供給者から最終顧客までの企業間のつながりを含める場合があるので、分析範囲を明示すると分かりやすい。「サプライチェーン」は主に供給・物流の流れを指し、「バリューチェーン」は価値が加わる活動に焦点を置く。
バリュエーション
valuation
米 /ˌvæl.juˈeɪ.ʃən/
英 /ˌvæl.juˈeɪ.ʃən/
企業、株式、不動産などの資産について、その価値を算定・評価すること。また、その評価によって算出された価値。日本語では特に投資・企業金融の分野で、企業の収益力、資産、将来の成長性、市場環境などを基に企業価値や株式価値を評価することを指す。「企業のバリュエーションを行う」「現在の株価はバリュエーションが高い」のように使われる。 「買収候補企業のバリュエーションを行う」「成長期待が高く、同業他社よりバリュエーションが高い」のように使う。前者は価値を算定する作業、後者は株価が利益や純資産などに対して割高・割安かという評価水準を表す。DCF法、類似会社比較法、純資産法など手法によって前提と結果が異なるため、基準日、対象価値、採用手法、将来予測や割引率を併記する。算定値は唯一の正解ではなく、前提に基づく推定値である。
ビジョン
vision
米 /ˈvɪʒ.ən/
英 /ˈvɪʒ.ən/
個人や組織が将来どのような状態を実現したいかを示す、長期的な目標像・将来像。企業経営では、事業を通じて目指す姿や社会におけるあり方を言葉にしたものを指す。「展望」「構想」という意味でも使われる。現在の役割や存在意義を示す「ミッション」、大切にする判断基準を示す「バリュー」と組み合わせて掲げられることが多い。 「2030年の事業ビジョンを策定する」「全社員がビジョンを共有する」のように使う。単なる標語にせず、実現したい時期や状態、顧客・社会へ与える価値を具体化し、戦略や指標へ落とし込むと行動につながりやすい。「目標」は達成時期や数値を伴う具体的な到達点を指すことが多いのに対し、「ビジョン」は複数の目標を方向付ける将来像を表す。
ビッグデータ
big data
米 /ˌbɪɡ ˈdeɪ.t̬ə/
英 /ˌbɪɡ ˈdeɪ.tə/
従来の一般的なデータ処理方法では扱いにくいほど、量が多く、種類が多様で、生成・更新の速度も速い大規模なデータ。また、それらを収集・分析して新しい知見や価値を得る取り組みまで含めて「ビッグデータ」と呼ぶことがある。購買履歴、位置情報、SNS投稿、センサー情報、ウェブサイトの利用履歴など、さまざまなデータが対象となる。 「購買履歴と閲覧履歴のビッグデータを分析し、需要を予測する」のように使う。大きさだけでなく、データの種類、生成速度、変動性や、従来手法では処理しにくいことを含めて用いられる。利用目的、収集根拠、品質、偏り、個人情報保護、アクセス権限を確認し、必要に応じて匿名化や安全管理を行う。データ量が多いだけで分析結果が正確になるとは限らず、代表性と分析方法の妥当性を検証する。
ブラッシュアップ
brush up / brush-up
米 /ˌbrʌʃ ˈʌp/
英 /ˌbrʌʃ ˈʌp/
知識や技能を学び直して磨くこと。日本語では意味が広がり、企画、文章、デザイン、製品などを見直し、修正を加えて完成度を高めることを指す。英語の brush up は、忘れかけた知識・技能を復習して向上させる意味で brush up on one’s English のように使うのが一般的であり、企画や資料を改善する意味なら refine、polish、improve などが適切な場合がある。 「提案書をブラッシュアップして、根拠と図表を追加する」「研修で英語力をブラッシュアップする」のように使う。何をどう改善するのかが曖昧になりやすいため、「構成を整理する」「数値の根拠を補う」など修正点と完了条件を具体化する。英語で相手に伝えるときは、技能の復習なら brush up on、文書や案の改善なら refine、polish、improve を文脈に応じて使い分ける。
ブランディング
branding
米 /ˈbræn.dɪŋ/
英 /ˈbræn.dɪŋ/
企業、商品、サービスなどについて、「どのような存在として認識されたいか」という価値やイメージを明確にし、それを一貫した名称、デザイン、メッセージ、顧客体験などを通じて形成・維持していく取り組み。単にロゴや広告を作ることではなく、顧客や社会から特定の特徴・価値を持つ存在として認識されるよう、ブランド全体を設計・管理することを指す。 「ブランドの約束に合わせて、店舗とウェブサイトの顧客体験を統一する」のように、認知や信頼を長期的に形成する施策について使う。対象顧客、提供価値、競合との違い、名称・デザイン・言葉遣い、実際の製品品質や接客を一貫させる。ロゴの刷新や広告だけで完結するものではない。認知率、想起率、好意度、継続利用、推奨意向など、目的に合う指標で成果を継続的に確認する。
ブリーフィング
briefing
米 /ˈbriː.fɪŋ/
英 /ˈbriː.fɪŋ/
関係者に対して、状況・方針・決定事項など、行動や判断に必要な情報を要点を整理して説明すること。また、そのための説明会。行政・報道・防衛・会社などで使われる。単なる会議ではなく、情報や指示を伝えることに重点がある。英語 briefing は、その説明で与えられる情報自体を指す場合もある。 「記者会見前に担当者へブリーフィングを行う」「出発前の安全ブリーフィングを受ける」のように使う。目的、背景、最新状況、担当、注意点、次の行動を短く整理し、質問の時間を設ける。会議全般を指す語ではなく、必要情報や指示を簡潔に共有する場である。説明後は、重要事項の理解、役割分担、機密情報の扱いを確認すると伝達漏れを防ぎやすい。
ブルーカーボン
blue carbon
米 /ˌbluː ˈkɑːr.bən/
英 /ˌbluː ˈkɑː.bən/
海草・海藻の藻場、塩性湿地・干潟、マングローブ林などの沿岸・海洋生態系が二酸化炭素(CO₂)を取り込み、海底や深海などに蓄積・貯留する炭素。「ブルーカーボン生態系」を保全・再生することで、大気中のCO₂を減らす吸収源として活用する考え方が、気候変動対策の一つとして注目されている。 「藻場を再生してブルーカーボンの吸収・貯留量を増やす」のように、沿岸生態系の保全・再生と気候変動対策を結び付ける文脈で使う。対象生態系、算定範囲、基準年、吸収・貯留量の測定方法を明示し、生態系への影響も継続的に確認する。ブルーカーボンは炭素そのものを指し、生態系や事業全体の名称と同一ではない。削減量・吸収量をクレジット化する場合は、制度ごとの算定・検証要件を確認する。
ブレインストーミング
brainstorming
米 /ˈbreɪnˌstɔːr.mɪŋ/
英 /ˈbreɪnˌstɔː.mɪŋ/
課題について多くの発想を得るため、参加者が自由にアイデアを出し合う発想法。「ブレスト」と略されることもある。アイデアを出す段階では批判や評価を控え、量を重視し、他人の案を組み合わせたり発展させたりする。案を絞り込み、実現可能性や効果を検討する評価段階とは分けて行うのが基本である。 「新商品の利用場面についてブレインストーミングを行う」のように使う。最初に課題、制限時間、進行役、記録方法を決め、発言の多い人だけに偏らないよう、付箋やオンライン文書への個別記入も組み合わせる。出された案はその場で否定せず、終了後に評価基準を設けて整理・選定する。単なる雑談や、多数決で結論を決める会議とは区別する。
ベイルアウト
bailout / bail-out
米 /ˈbeɪl.aʊt/
英 /ˈbeɪl.aʊt/
経営危機や債務不履行に陥った企業・金融機関・国などを、外部から資金を提供して救済すること。政府や中央銀行による融資、出資、債務保証、公的資金の投入などが含まれる。金融システムや経済への連鎖的な影響を防ぐ目的で行われる一方、将来も救済されるという期待が過度な危険負担を促す「モラルハザード」が問題になる。 「金融危機時に政府が銀行のベイルアウトを実施した」のように使う。誰を、どの資金と条件で救済するのか、損失を納税者・株主・債権者の誰が負担するのかを明示する。公的資金など外部資金で救済するベイルアウトに対し、株主や債権者に損失を負担させて内部的に再建する仕組みは「ベイルイン」という。破綻処理や一時的な流動性支援と同一とは限らない。
ベーシックインカム
basic income / universal basic income(UBI)
米 /ˌbeɪ.sɪk ˈɪn.kʌm/
英 /ˌbeɪ.sɪk ˈɪn.kʌm/
政府などが、所得、資産、就労の有無を条件とせず、すべての個人へ定期的に一定額の現金を給付する制度構想。「最低所得保障」と訳されることもあるが、低所得者だけを対象とする給付とは仕組みが異なる。制度の簡素化、生活保障、就労選択の自由などが利点として論じられる一方、財源、給付額、既存の社会保障との関係、所得再分配への影響が主要な論点となる。 「ベーシックインカム導入時の財政負担を試算する」のように使う。議論では、対象者、個人単位か世帯単位か、給付額、課税方法、既存給付を残すか置き換えるかを明示する。同じ名称でも制度設計によって費用や貧困削減効果、就労への影響が大きく異なる。「給付付き税額控除」や所得審査のある最低所得保障は、所得に応じて給付が変わるため、無条件・一律の制度とは区別する。
ベストプラクティス
best practice
米 /ˌbest ˈpræk.tɪs/
英 /ˌbest ˈpræk.tɪs/
特定の目的を達成するうえで、経験、実績、比較、研究などから有効性が高いと認められている方法や手順。「最良の実践」「優良事例」などと訳される。業界や組織で共有される標準的な進め方を指すが、あらゆる状況で絶対に最善という意味ではなく、技術、条件、評価結果の変化に応じて見直される。 「事故報告のベストプラクティスを各拠点で共有する」のように使う。採用するときは、目的、根拠、適用条件、成果指標を確認し、自組織の規模、法規制、利用者、費用に合わせて調整する。他社事例をそのまま模倣するだけでは成果が再現できない場合がある。「標準」や「規則」は遵守が求められることがあるのに対し、ベストプラクティスは有効な参考手法として示されることが多い。
ベンチマーク
benchmark
米 /ˈbentʃ.mɑːrk/
英 /ˈbentʃ.mɑːk/
性能、品質、価格、業績などを評価・比較するときに基準とする指標、数値、対象。また、コンピューターなどに一定の処理を行わせて性能を測る試験を指す。経営では優れた企業や業務を比較対象として改善点を探る「ベンチマーキング」、金融では運用成績を比較する市場指数などの基準という意味で使われる。 「処理速度を共通のベンチマークで比較する」「運用成績がベンチマークを上回った」のように使う。比較対象、測定条件、期間、指標の定義をそろえなければ結果を正しく比べられない。特定の試験だけを最適化すると実際の利用時の性能とずれることもあるため、目的に合う複数指標を確認する。「KPI」は自らの目標達成度を管理する指標、「ベンチマーク」は比較・評価の基準という違いがある。
ベンチャー
venture
米 /ˈven.tʃɚ/
英 /ˈven.tʃə/
成功するか不確実で危険を伴う、新しい事業・計画・試み。日本語では「ベンチャー企業」の略として、革新的な技術や事業モデルで成長を目指す新興企業を指すことが多い。ただし、英語の venture は事業や試みそのものを表し、企業を指す場合は start-up、venture-backed company などと表現するのが一般的で、「ベンチャー企業」は日本独自の用法である。 「大学発ベンチャーを設立する」「大企業とベンチャーが共同開発する」のように、日本語では主に新興企業の意味で使う。設立年、規模、革新性、成長性などに統一的な境界はないため、統計や制度では「スタートアップ」「中小企業」などの定義を確認する。英語で企業を指すときに a venture だけでは事業・企画の意味にもなるので、start-up や new venture など文脈に合う語を選ぶ。
ベンチャーキャピタル
venture capital
米 /ˈven.tʃɚ ˌkæp.ə.t̬əl/
英 /ˈven.tʃə ˌkæp.ɪ.təl/
高い成長が見込まれる未上場の新興企業などへ、株式取得等の形で供給されるリスクマネー。また、その投資を行う投資会社やファンド。投資先の成長を支援し、株式公開や企業売却などによって投資回収を目指す。銀行融資と異なり通常は元本返済や利息を前提としないが、投資家は持分を取得し、大きな損失を負う可能性もある。 新興企業への出資について、「ベンチャーキャピタルから資金を調達する」「ベンチャーキャピタルがスタートアップに出資した」のように使う。日本語では投資資金だけでなく、投資を行う会社やファンドそのものを指す場合も多い。
ベンダー
vendor
米 /ˈven.dɚ/
英 /ˈven.də/
商品やサービスを販売・提供する事業者、売り手、供給業者。日本語のビジネス用語では、特に情報システム、機器、ソフトウェアなどを顧客へ提供する企業を指すことが多い。製品を製造するメーカーと同じ場合もあれば、他社製品を販売する販売会社や、導入・保守を担う事業者を指す場合もある。 「複数のベンダーから見積もりを取る」「システムベンダーに保守を委託する」のように使う。契約では、製造元、販売元、導入担当、保守担当のどれを指すかを明確にし、責任範囲、納期、サービス水準、データの取扱い、障害時の連絡先を確認する。特定業者への依存が高まり、切替えが難しくなる状態は「ベンダーロックイン」と呼ばれる。
ボートマッチ
Vote Match
米 /ˈvoʊt ˌmætʃ/
英 /ˈvəʊt ˌmætʃ/
選挙の争点に関する質問へ利用者が回答すると、その回答と政党・候補者の政策や回答を比較し、考え方の一致度を示すオンラインサービス。英語の vote(投票)と match(一致・組合せ)を組み合わせた名称で、「投票マッチング」とも呼ばれる。投票先を自動的に決めるものではなく、政策を比較し、自分の考えを整理するための参考情報である。 「ボートマッチで各政党との政策の一致度を確認する」のように使う。結果を見る際は、設問の選び方、回答の選択肢、争点の重み付け、政党・候補者側の回答、計算方法を確認する。同じ利用者でもサービスの設計によって順位や一致度が変わり得る。候補者の経歴、政策の実現可能性、優先順位なども別に確認し、結果だけを投票判断の唯一の根拠にしない。
ボット
bot
米 /bɑːt/
英 /bɒt/
人間が毎回操作しなくても、決められた作業を自動的に実行するコンピュータープログラム。検索、情報収集、自動投稿、顧客対応などさまざまな用途があり、チャットボットもその一種。サイバー攻撃では、マルウェアに感染して攻撃者から遠隔操作される端末を「ボット」と呼ぶこともある。ボットはAIやマルウェアそのものと同義ではない。英語 bot は robot の短縮形に由来する。 「問い合わせ対応にチャットボットを導入する」「不正なボットによる大量アクセスを遮断する」のように使う。導入時は、実行する作業、判断できない場合の人への引継ぎ、誤作動時の停止方法、利用者への表示、ログや個人情報の扱いを定める。自動処理するプログラム全般を指し、AIを使うとは限らない。セキュリティの文脈では、遠隔操作される感染端末を指すことがあるため意味を確認する。
ボトムアップ
bottom-up
米 /ˌbɑː.t̬əm ˈʌp/
英 /ˌbɒt.əm ˈʌp/
組織の下位層や現場、個々の要素などを出発点として、意見・情報・提案を上位へ積み上げ、方針や意思決定につなげていく考え方や進め方。「現場の提案をボトムアップで経営に反映する」のように使われる。上層部が方針を決めて下へ伝える「トップダウン」と対になる語。 「各店舗の改善案をボトムアップで集め、全社施策に反映する」のように使う。現場の知識や多様な意見を取り込みやすい一方、意見集約に時間がかかり、部門ごとの部分最適に陥ることがある。提案の経路、判断基準、決定者、回答期限を定めると進めやすい。経営層が目的と制約をトップダウンで示し、具体策をボトムアップで作るなど、両方式を組み合わせる場合も多い。
ボトルネック
bottleneck
米 /ˈbɑː.t̬əl.nek/
英 /ˈbɒt.əl.nek/
仕事、製造、物流、ITなどの一連の流れの中で、処理能力や進行を制約し、全体を遅らせている箇所や要因。「承認作業がプロジェクトのボトルネックになっている」のように使う。単なる問題点ではなく、その部分の能力不足や停滞が全体の速度・成果を制限していることが重要。原語 bottleneck には、道路が狭くなって交通が詰まる場所や、生物学上の「ボトルネック」などの意味もある。 「検査工程が生産能力のボトルネックになっている」のように使う。工程ごとの処理量、待ち時間、滞留量を測り、全体の成果を最も強く制限する箇所を特定する。その工程の人員・設備・手順を改善すると、制約が別の工程へ移る場合があるため、改善後も流れ全体を再測定する。目立つ問題をすべてボトルネックと呼ばず、解消したときに全体性能が向上するかを確認する。
ボラティリティ
volatility
米 /ˌvɑː.ləˈtɪl.ə.t̬i/
英 /ˌvɒl.əˈtɪl.ə.ti/
価格や収益率などが一定期間にどの程度大きく変動するかを示す度合い。「変動性」「価格変動率」と訳される。金融では、過去の値動きから算出するヒストリカル・ボラティリティや、オプション価格から市場が予想する将来の変動を逆算するインプライド・ボラティリティがある。数値が高いほど値動きが大きいが、上昇・下落の方向そのものは示さない。 「相場のボラティリティが高まり、短期間の値動きが大きくなった」のように使う。比較するときは、対象資産、観測期間、データ間隔、年率換算の有無、計算方法をそろえる。ボラティリティは一般に収益率の標準偏差などで測られるが、損失確率や最大損失額を直接示すものではない。投資判断では流動性、信用リスク、投資期間など他の要因も併せて確認する。
パーソナライズ
personalize / personalise
米 /ˈpɝː.sən.əl.aɪz/
英 /ˈpɜː.sən.əl.aɪz/
利用者一人ひとりの属性、好み、行動履歴、購入履歴などに合わせて、商品、サービス、情報、広告、画面表示などの内容を個別に最適化すること。「利用者ごとに表示内容をパーソナライズする」「おすすめ商品をパーソナライズする」のように使われる。特にウェブサービス、EC、広告、マーケティングなどでよく用いられる。 「閲覧履歴に基づいておすすめ記事をパーソナライズする」のように使う。利用目的、使用するデータ、本人の同意や拒否方法、保存期間を明確にし、個人情報を適切に管理する。推定が外れる場合や、似た情報だけが表示される偏りもあるため、利用者が設定を変更・初期化できるようにする。「カスタマイズ」は利用者自身が設定を変えること、「パーソナライズ」は提供側がデータに基づいて個別化することを指す場合が多い。
パーパス
purpose
米 /ˈpɝː.pəs/
英 /ˈpɜː.pəs/
目的、意図。日本語の経営用語では、企業や組織が「何のために存在するのか」「事業を通じて社会にどのような価値をもたらすのか」という存在意義を指すことが多い。利益や個別事業の目標だけでなく、意思決定や事業活動を長期的に方向付ける考えとして掲げられる。「企業理念」「ミッション」と重なる部分があり、組織によって用語の定義は異なる。 「社会課題と自社の強みを踏まえてパーパスを定める」のように使う。抽象的な標語で終わらせず、事業、製品、人材、投資判断や評価指標と結び付け、実際の行動との一貫性を確認する。環境・社会への貢献を掲げながら活動が伴わなければ信頼を損なう。ミッション、ビジョン、バリューと併記する場合は、各語の役割と関係を組織内で明確にする。
パイプライン
pipeline
米 /ˈpaɪp.laɪn/
英 /ˈpaɪp.laɪn/
本来は石油やガスなどを輸送する管路。転じて、案件、製品、データなどを複数の段階で順番に処理し、次の段階へ受け渡す仕組みや、その途中にある候補群を指す。営業では商談の進行段階と案件群、医薬品では研究・開発中の候補、ITでは処理やデータ変換を連結した一連の工程という意味で使われる。 「営業パイプラインの各段階にある案件数を確認する」「データパイプラインで収集から分析までを自動化する」のように使う。分野によって意味が異なるため、対象と段階を明示する。営業では案件の金額、確度、次の行動、予定時期を更新し、単なる見込み客一覧と区別する。ITでは入力、処理、出力、依存関係、失敗時の再実行や監視方法を定め、途中の停滞やデータ品質を確認する。
パイロット事業
pilot project / pilot program
米 /ˈpaɪ.lət ˌprɑː.dʒekt/
英 /ˈpaɪ.lət ˌprɒdʒ.ekt/
新しい制度、サービス、技術などを本格導入する前に、対象地域、参加者、期間などを限定して試行する事業。「試行事業」「実証事業」ともいう。実際の環境で実施可能性、課題、必要な資源、利用者の反応などを確かめ、設計の修正や本格展開の判断に役立てる。小規模であるため、効果や安全性を最終的に証明できるとは限らない。 「三つの自治体でパイロット事業を実施し、全国展開の条件を検証する」のように使う。開始前に目的、対象、期間、比較基準、評価指標、責任者、本格導入・中止の判断条件を定める。終了後は成功例だけでなく、運用上の問題、費用、参加者の偏りも記録する。単なる先行導入にせず、試行から何を学び、結果を次の設計へどう反映するかを明確にする。
パッシブ運用
passive management / passive investing
米 /ˈpæs.ɪv ˈmæn.ɪdʒ.mənt/
英 /ˈpæs.ɪv ˈmæn.ɪdʒ.mənt/
市場平均を上回ることを積極的に目指すのではなく、特定の株価指数や債券指数などの値動きに連動する運用成果を目指す投資手法。「インデックス運用」とも呼ばれる。指数の構成銘柄を保有するなど、あらかじめ定めたルールに従って運用する。一般に売買頻度や運用費用を抑えやすいが、指数の下落時には同様に資産価値が下がる可能性がある。 「市場全体への分散投資を目的に、低コストのパッシブ運用商品を選ぶ」のように使う。商品を比較するときは、連動対象の指数、信託報酬などの費用、指数との差であるトラッキングエラー、資産構成、為替リスクを確認する。「パッシブ」は何もしないという意味ではなく、指数への連動を保つため売買や調整が行われる。市場平均を上回ることを目指して銘柄を選ぶ「アクティブ運用」と対比される。
パッチ
patch
米 /pætʃ/
英 /pætʃ/
ソフトウェアやシステムの不具合、セキュリティ上の弱点などを修正したり、機能を部分的に改善したりするために提供される修正プログラム。また、それを適用すること。「セキュリティパッチを適用する」「不具合修正のパッチが公開された」のように使われる。 「脆弱性を修正するセキュリティパッチを適用する」のように使う。提供元、対象製品、対応バージョン、修正内容、緊急度を確認し、重要データを保全したうえで検証環境から適用する。適用後は再起動の要否、動作、更新履歴を確認する。緊急性の高い脆弱性は迅速に対応する一方、互換性への影響も管理する。サポート終了製品はパッチが提供されない場合があるため、更新や移行を計画する。
パブリックコメント
public comment
米 /ˌpʌb.lɪk ˈkɑː.ment/
英 /ˌpʌb.lɪk ˈkɒm.ent/
行政機関が政令、省令、審査基準などを定める際、案と関連資料を事前に公示して広く意見を募集し、提出された意見を考慮して最終決定する手続。日本の行政手続法では「意見公募手続」と呼ばれる。結果の公示では、提出意見と行政機関の考え方などが示される。単純な多数決や、提出意見どおりの採用を約束する制度ではない。 「省令改正案についてパブリックコメントを募集する」「期限までに意見を提出する」のように使う。提出時は案件番号、対象箇所、賛否、理由、根拠資料、具体的な修正案を明確にする。募集期間と提出方法を確認し、個人情報や公開される情報の扱いにも注意する。意見の件数だけで結論が決まる制度ではないため、行政機関は内容を考慮し、最終案と意見への考え方を確認できる形で公示する。
パラダイムシフト
paradigm shift
米 /ˈper.ə.daɪm ˌʃɪft/
英 /ˈpær.ə.daɪm ˌʃɪft/
ある分野で当然とされてきた基本的な考え方、前提、問題の捉え方が大きく転換すること。もとは科学史家トーマス・クーンが、通常科学を支える枠組みが別の枠組みに置き換わる変化を論じるために用いた概念。現在は、技術、経営、社会制度などで、従来の延長では説明しにくい根本的な変化を表す語として広く使われる。 「所有から利用へという消費行動の変化は、業界のパラダイムシフトを促した」のように使う。単なる流行、部分的改善、製品更新ではなく、前提、価値基準、競争の仕組みなどが根本から変わった場合に用いる。何が従来の枠組みで、どの出来事により、何へ転換したのかを具体的に示すと意味が明確になる。大きな変化を強調するだけの曖昧な表現として乱用しない。
パワーハラスメント
power harassment(和製英語) / workplace bullying
米 /ˈpaʊ.ɚ həˌræs.mənt/
英 /ˈpaʊə ˈhær.əs.mənt/
職場で、優越的な関係を背景とする言動のうち、業務上必要かつ相当な範囲を超え、それによって労働者の就業環境が害されるもの。日本の法令・指針では、この三要素をすべて満たすものとされる。上司から部下だけでなく、専門知識を持つ同僚・部下や集団からの行為も該当し得る。適正な業務指示や指導は、客観的に必要かつ相当な範囲なら該当しない。 「人格を否定する叱責が繰り返され、パワーハラスメントとして相談窓口へ申し出た」のように使う。判断では、言動の目的、内容、回数、継続性、関係性、経緯、受け手への影響を総合的に確認する。相談を受けた組織は、相談者のプライバシーと不利益取扱いの防止に配慮し、双方や関係者から事実を確認して適切に対応する。英語では workplace bullying や abuse of authority など、具体的な行為に応じた表現を使う。
パンデミック
pandemic
米 /pænˈdem.ɪk/
英 /pænˈdem.ɪk/
感染症が国境を越えて世界的、または非常に広い地域に流行すること。また、そのような世界的大流行。限られた地域や集団で通常より多く発生する「エピデミック」より地理的な広がりが大きい。感染者数や重症度だけで一律に決まる語ではなく、新しい病原体の出現、免疫の状況、地域を越えた持続的な感染拡大などを踏まえて公衆衛生機関が評価する。 「感染症のパンデミックに備えて医療物資の供給計画を見直す」のように使う。病名、対象地域、期間、評価した機関を明示し、「感染拡大」「流行」「緊急事態宣言」など別の概念と混同しない。パンデミックという呼称だけから個人の重症化リスクを判断せず、病原体の特徴、年齢、基礎疾患、ワクチンや治療法の状況など、最新の公的情報を確認する。
ピアサポート
peer support
米 /ˌpɪr səˈpɔːrt/
英 /ˌpɪə səˈpɔːt/
同じ、または似た経験・立場を持つ人どうしが、経験を分かち合い、相互理解に基づいて支え合うこと。病気や障害、依存症からの回復、子育て、被災、学習など幅広い分野で行われる。共感、希望、情報、日常生活上の工夫などを提供できる一方、医師、心理職、福祉職などによる専門的な診断・治療・支援の代わりになるものではない。 「同じ病気を経験した人によるピアサポートへ参加する」のように使う。運営時は、参加の任意性、守秘、互いの尊重、助言の限界、緊急時に専門機関へつなぐ手順を明確にする。支援者自身の経験を一方的に当てはめず、相手の希望や選択を尊重する。研修を受けたピアサポーターが組織的に支援する場合と、当事者どうしが相互に支え合う場合がある。
ピッチ
pitch
米 /pɪtʃ/
英 /pɪtʃ/
商品、サービス、事業案などの価値を短時間で相手に伝え、出資、採用、購入、協力などの判断を促す簡潔な説明・提案。起業や新規事業の分野でよく使われる。「エレベーターピッチ」は、エレベーターに乗る程度の短時間で要点を伝える説明を指す。原語 pitch には、投球、音の高さ、傾斜など多くの意味もある。 「投資家向けのピッチで事業の成長性を説明する」のように使う。相手と目的に合わせ、解決する課題、対象顧客、解決策、競合との違い、実績、収益の仕組み、求める支援を簡潔に構成する。限られた時間内で重要な根拠を示し、想定質問への回答も準備する。資料を読み上げるだけでなく、相手にどの判断や行動を求めるのかを明確にする。
ピボット
pivot
米 /ˈpɪv.ət/
英 /ˈpɪv.ət/
本来は回転の軸・支点、またはそれを中心に向きを変えること。起業や新規事業では、得られた顧客反応や検証結果を基に、事業の基本的な方向、対象顧客、提供価値、販売方法、収益モデルなどを大きく変更することを指す。細かな改善ではなく、仮説の一部を根本的に見直す戦略転換である。 「個人向けサービスから法人向けへ事業をピボットする」のように使う。変更前の仮説、顧客データ、失敗・成功の基準、維持する資産や強み、新しい仮説を明示し、変更後も検証する。単に業績が悪いから思いつきで方向を変えることや、製品の小修正とは区別する。資金や時間を使い切る前に判断できるよう、あらかじめ見直しの時期と指標を定めておく。
プライオリティ
priority
米 /praɪˈɔːr.ə.t̬i/
英 /praɪˈɒr.ə.ti/
複数の課題や作業のうち、他より先に扱うべき度合い、または優先される事項。「優先順位」「優先事項」を意味する。重要度だけでなく、緊急性、期限、影響、資源、依存関係などを踏まえて決められる。日本語では「プライオリティが高い」「プライオリティを付ける」のように使われる。 「顧客データの漏えい防止を最も高いプライオリティに置く」のように使う。単に「重要」と言うだけでなく、何と比較し、誰が、どの基準で、いつまで優先するのかを明示する。優先順位を決めたら、人員、予算、時間の配分にも反映し、状況の変化に応じて見直す。すべてを最高優先度にすると順位として機能しないため、後回しにする事項も合意しておく。
プライベートエクイティ
private equity
米 /ˌpraɪ.vət ˈek.wə.t̬i/
英 /ˌpraɪ.vət ˈek.wɪ.ti/
証券取引所で公開取引されていない企業の株式・持分、またはそれらへ投資する仕組み。プライベートエクイティファンドは投資家から資金を集め、未上場企業への出資や上場企業の非公開化などを行い、経営改善や成長支援によって価値を高めた後、売却や再上場で投資回収を目指す。長期保有となりやすく、換金しにくい。 「プライベートエクイティファンドが企業を買収し、事業再編を支援する」のように使う。投資を検討するときは、投資対象、保有期間、経営への関与、借入れの利用、手数料、利益配分、利益相反、売却方針を確認する。公開市場の株式より情報開示が限られ、評価額が分かりにくく、中途換金も難しい場合がある。「ベンチャーキャピタル」は通常、成長初期の新興企業への投資に重点を置く。
プライマリケア
primary care
米 /ˌpraɪ.mer.i ˈker/
英 /ˌpraɪ.mər.i ˈkeə/
住民が健康上の問題を抱えたときに最初に接し、日常的・継続的に受ける基本的な医療。身近な場所で、予防、診断、治療、慢性疾患管理など幅広い健康上のニーズに対応し、必要に応じて専門医療や他のサービスと連携する。初診へのアクセス、継続性、包括性、調整機能、人を中心とすることが重要な特徴である。 「まず地域のプライマリケア医に相談し、必要に応じて専門医の紹介を受ける」のように使う。単に軽症だけを扱う医療ではなく、年齢や臓器を限定せず、生活背景も含めて継続的に診る役割がある。「一次医療」と訳されることがあるが、制度上の範囲は国や地域で異なる。公衆衛生や地域参加まで含む広い概念の「プライマリヘルスケア」と区別して説明する場合がある。
プラットフォーマー
platform operator / platform provider
米 /ˈplæt.fɔːrm ˌɑː.pə.reɪ.t̬ɚ/
英 /ˈplæt.fɔːm ˌɒp.ər.eɪ.tə/
商品・サービスの売り手と買い手、情報の発信者と利用者など、複数の利用者群を結び付ける基盤を提供・運営する事業者。オンラインモール、アプリストア、検索、SNS、動画共有、デジタル広告などの事業者が例として挙げられる。利用者が増えるほど他の利用者にとっての価値も高まるネットワーク効果を持ち、市場で大きな影響力を持つ場合がある。 「出店者がプラットフォーマーの取引条件変更について説明を求めた」のように使う。対象となるサービスと、出店者・消費者・広告主など結び付ける利用者群を明示する。手数料、検索順位、データ利用、アカウント停止、苦情処理などのルールが取引へ大きく影響するため、契約条件と変更手続を確認する。英語では platform operator、platform provider などが一般的で、platformer は通常この意味では用いにくい。
プラットフォーム
platform
米 /ˈplæt.fɔːrm/
英 /ˈplæt.fɔːm/
他の製品、サービス、取引、情報発信などがその上で成り立つ共通の基盤。ITでは、アプリケーションを動かすOS、クラウド、開発環境などを指す。デジタルビジネスでは、複数の利用者群を結び付け、取引や交流を可能にする市場・サービス基盤を指す。原語には駅のホーム、演壇、政策綱領などの意味もある。 「事業者と消費者を結ぶオンラインプラットフォームを構築する」「共通のクラウドプラットフォーム上でシステムを開発する」のように使う。分野によって意味が大きく異なるため、利用者、提供機能、技術範囲を明示する。導入時は、利用規約、手数料、データの権利、相互運用性、障害時の責任、他サービスへ移行できるかを確認し、一社の仕様に過度に依存するリスクも検討する。
プラネタリーバウンダリー
planetary boundaries
米 /ˌplæn.ə.ter.i ˈbaʊn.dər.iz/
英 /ˌplæn.ɪ.tər.i ˈbaʊn.dər.iz/
人類が安全に活動できる地球環境の範囲を示す科学的な枠組み。「地球の限界」とも訳される。気候変動、生物圏の一体性、土地利用の変化、淡水の変化、生物地球化学的循環、海洋酸性化、成層圏オゾン、エアロゾル、新規化学物質など、地球システムの安定性と回復力を支える九つの過程について境界を設定する。境界超過は、大規模で不可逆的な変化の危険が高まることを示す。 「事業活動による環境負荷をプラネタリーバウンダリーの観点から評価する」のように使う。九つの領域は相互に関係するため、温室効果ガスだけでなく、生物多様性、水、土地、栄養塩、化学物質などへの影響も確認する。世界全体の境界を企業や地域へ配分する方法には検討課題があるので、採用した指標、基準年、算定範囲、根拠資料を明示する。境界の最新評価は更新されるため、発表年も確認する。
プレイングマネージャー
playing manager / player-manager
米 /ˌpleɪ.ɪŋ ˈmæn.ɪ.dʒɚ/
英 /ˌpleɪ.ɪŋ ˈmæn.ɪ.dʒə/
管理職として部下の指導、評価、業務配分、目標管理などを担いながら、自らも担当者として営業、開発、制作などの現場実務を行う人。日本の企業で広く使われる。英語の playing manager、player-manager は主にスポーツで選手と監督を兼ねる人を指し、企業では manager who is also an individual contributor などと説明することがある。 「課長が主要顧客も担当するプレイングマネージャーとして働く」のように使う。管理業務と担当実務の比率、権限、評価基準を明確にし、部下の支援や育成が後回しにならないよう時間を配分する。本人に案件が集中すると、承認の遅れや属人化を招くため、委任できる仕事を整理する。現場を理解できる利点がある一方、二つの役割を同時に十分果たせる体制かを確認する。
プレゼンス
presence
米 /ˈprez.əns/
英 /ˈprez.əns/
存在、出席、居ること。日本語の政治・外交・ビジネスでは、ある国、企業、人物などが周囲に認識され、影響力や存在感を持っていることを指す用法に偏る。「市場でのプレゼンスを高める」のように使われる。英語 presence は、実際にその場にいること、気配、態度から生じる印象、特定地域での活動拠点など、より広い意味を持つ。 「海外市場で自社ブランドのプレゼンスを高める」「国際会議で日本のプレゼンスを示す」のように使う。何を高めるのかが曖昧になりやすいため、認知度、販売網、市場占有率、発言力、拠点数など具体的な指標を示す。単に参加・進出しているだけなのか、実際に影響力を持つのかも区別する。英語では physical presence、market presence など文脈を補うと意味が明確になる。
プレゼンティーイズム
presenteeism
米 /ˌprez.ənˈtiː.ɪ.zəm/
英 /ˌprez.ənˈtiː.ɪ.zəm/
心身の健康上の問題を抱えながら出勤・就業し、仕事の能率、集中力、判断力などが低下している状態。「疾病就業」と訳されることもある。病気などで欠勤する「アブセンティーイズム」と対比される。出勤しているため表面上は把握しにくいが、本人の健康悪化、安全上の問題、組織全体の生産性低下につながる場合がある。 「慢性的な睡眠不足によるプレゼンティーイズムを健康調査で把握する」のように使う。個人を責める指標にせず、長時間労働、休みにくさ、職場環境、業務量、治療との両立など背景要因を確認する。健康情報は慎重に扱い、匿名調査、産業保健職への相談、休暇、柔軟な勤務、業務調整などの支援につなげる。測定方法によって損失推計が変わるため、指標と調査期間を明示する。
プロトコル
protocol
米 /ˈproʊ.t̬ə.kɑːl/
英 /ˈprəʊ.tə.kɒl/
複数の主体が情報交換や作業を正しく進めるために共通して従う規則・手順。ITでは、通信する機器間のデータ形式、送受信の順序、エラー処理などを定めた通信規約を指す。医療・研究では試験や治療の実施計画、外交では儀礼・典礼を表す。分野によって指す内容が大きく異なる。 「通信プロトコルの仕様に従ってデータを送る」「臨床研究のプロトコルを倫理審査に提出する」のように使う。分野、名称、版、適用範囲を明示し、関係者が同じ手順を参照しているか確認する。ITでは互換性、安全性、認証、エラー時の処理を検証する。医療・研究では対象、方法、評価項目、逸脱時の対応を定め、承認された手順から変更する場合の手続を守る。
プロトタイプ
prototype
米 /ˈproʊ.t̬ə.taɪp/
英 /ˈprəʊ.tə.taɪp/
製品やサービスを本格的に完成・量産する前に、構造、機能、操作性、考え方などを確認するために作る試作品・原型。紙の画面案、模型、動作するソフトウェアなど、検証目的に応じて完成度は異なる。利用者や関係者から早期に反応を得て、問題を見つけ、設計を修正するために用いられる。 「画面遷移を確認するプロトタイプを作り、利用者テストを行う」のように使う。検証したい仮説を先に定め、それに必要な部分だけを作る。外観確認用、操作確認用、技術検証用など目的と完成度を明示し、製品版と誤認されないようにする。結果を記録して設計へ反映し、不要な試作を作り込みすぎない。安全性や耐久性は、簡易なプロトタイプだけで証明できるとは限らない。
プロファイリング
profiling
米 /ˈproʊ.faɪ.lɪŋ/
英 /ˈprəʊ.faɪ.lɪŋ/
収集した複数の情報を分析し、個人や集団の特徴、関心、行動、能力、危険度などを推定・分類すること。マーケティング、犯罪捜査、信用評価、採用、広告配信などで用いられる。個人データの自動処理によって、仕事の能力、経済状況、健康、好み、行動、位置などを評価・予測することを指す法的定義もある。 「購買履歴を用いて顧客をプロファイリングし、広告を配信する」のように使う。目的、利用データ、推定項目、保存期間、判断への影響を明確にし、適用される法令に従って本人への説明や異議申立ての方法を用意する。データの偏りや誤りにより特定の集団を不当に扱う危険があるため、精度、公平性、必要性を継続的に検証する。推定結果を確定した事実として扱わない。
プロパガンダ
propaganda
米 /ˌprɑː.pəˈɡæn.də/
英 /ˌprɒp.əˈɡæn.də/
人々の認識、感情、態度、行動を特定の方向へ導くため、情報や主張を組織的・継続的に広める活動、またはその内容。政治、戦争、思想運動などで用いられる。事実を含む場合もあるが、一面的な選択、反復、感情への訴え、敵味方の単純化などが使われることがあり、単なる誤情報と同義ではない。 「戦時中、政府が新聞やポスターをプロパガンダに利用した」のように使う。情報を検討するときは、発信主体、対象、目的、資金、提示されていない事実、使用された画像や感情表現、反復の仕方を確認し、独立した複数の資料と照合する。自分と異なる意見を一律にプロパガンダと決めつけず、意図的・組織的な影響活動である根拠を示す。「偽情報」は内容の虚偽性に焦点を置く語である。
プロンプト
prompt
米 /prɑːmpt/
英 /prɒmpt/
コンピューターに入力や処理を促す表示、指示、入力文。生成AIでは、利用者がAIシステムへ与える質問、命令、条件、文脈、例、出力形式などの入力を指す。文章だけでなく、画像、音声、コードなどを含む場合もある。出力はプロンプトだけで決まるわけではなく、モデル、設定、参照情報などにも左右される。 「目的、前提、制約、出力形式をプロンプトに記載する」のように使う。必要な背景、対象読者、実行してほしい作業、含める・除外する内容、望む形式を具体的にし、出力を確認しながら修正する。機密情報や不要な個人情報は入力せず、重要な事実、計算、引用は別途検証する。命令を詳しくすれば必ず正しい回答になるわけではなく、生成結果を最終判断なしで利用しない。
ペインポイント
pain point
米 /ˈpeɪn ˌpɔɪnt/
英 /ˈpeɪn ˌpɔɪnt/
顧客や利用者が商品・サービス、業務手順などを利用する際に感じる具体的な悩み、不便、不満、障害。直訳は「痛点」だが、ビジネスでは解決すべき課題や満たされていないニーズを指す。 「利用者への聞き取りから、申込手続きの複雑さが最大のペインポイントだと分かった」のように使う。提供側の思い込みだけで決めず、観察、問い合わせ記録、利用データ、インタビューなどの根拠から、誰が・どの場面で・何に困るのかを具体化する。「課題」全般よりも、当事者が実際に感じる負担や不都合に焦点がある。
ペルソナ
persona
米 /pɚˈsoʊ.nə/
英 /pəˈsəʊ.nə/
マーケティングや製品・サービス設計で、調査データを基に設定する代表的な顧客・利用者像。年齢や職業などの属性だけでなく、目的、行動、動機、困り事、利用状況などを具体的に描き、関係者が対象利用者への理解を共有するために用いる。英語 persona には本来「人前で見せる人格・外面的な人物像」という意味もある。 「利用者調査を基に、主なペルソナを設定して画面設計を検討する」のように使う。実在の一個人そのものではなく、複数の調査結果から構成した代表像である。担当者の想像や固定観念だけで作ると偏見を強めるため、根拠となるデータを示し、状況の変化に応じて見直す。「ターゲット」が対象となる集団を示すのに対し、ペルソナはその集団を具体的な人物像として表す。
ペンディング
pending
米 /ˈpen.dɪŋ/
英 /ˈpen.dɪŋ/
判断・決定・処理などをその場では確定せず、いったん保留・未決の状態にしておくこと。また、その状態。「この案件はペンディングにする」のように使う。中止・キャンセルとは異なり、後で再検討・決定する可能性が残っている。英語 pending は正式な語だが、基本的には「未決の・決定待ちの」という形容詞、または「~を待って」という前置詞であり、日本語のように名詞・動詞的に「ペンディングする」と使うのは日本独自の用法。英語ではさらに「まもなく起こる」という意味もある。 「法務確認が終わるまで、この契約案はペンディングにする」のように使う。単に放置せず、保留の理由、判断に必要な情報、担当者、再検討日を明確にするとよい。中止や却下を意味しないため、再開条件も共有する。英語で伝える場合、日本語式の “pendingする” を直訳せず、put … on hold、leave … pending など文脈に合う表現を選ぶ。
ポータブルスキル
portable skills
米 /ˈpɔːr.t̬ə.bəl skɪlz/
英 /ˈpɔː.tə.bəl skɪlz/
特定の企業、業種、職種だけに限定されず、環境が変わっても活用できる持ち運び可能な職務遂行能力。厚生労働省の枠組みでは、職種の専門性以外の能力として、「仕事のし方(対課題)」と「人との関わり方(対人)」の要素から捉える。 「転職に向けて、課題設定力や関係者との調整力などのポータブルスキルを棚卸しする」のように使う。「コミュニケーション力がある」のような抽象的な自己評価だけでなく、どの状況で、どのように行動し、どんな成果を上げたかという具体例で示す。専門知識や資格と対立する概念ではなく、それらを異なる環境で生かす土台となる能力として整理する。
ポートフォリオ
portfolio
米 /pɔːrtˈfoʊ.li.oʊ/
英 /pɔːtˈfəʊ.li.əʊ/
本来は書類などをまとめるケースや一式。日本語の実務では、①制作者・求職者の作品や実績をまとめた作品集、②投資家が保有する金融商品の組み合わせ、③企業が展開する事業・製品の組み合わせ、などを指す。 「応募用のポートフォリオに制作過程も載せる」「資産ポートフォリオを分散する」「事業ポートフォリオを見直す」のように使う。分野によって対象が大きく異なるため、「作品」「資産」「事業」など何の組み合わせかを明示する。単なる一覧ではなく、目的に応じて選び、構成し、全体として管理・評価するという含みがある。
ポストトゥルース
post-truth
米 /ˌpoʊstˈtruːθ/
英 /ˌpəʊstˈtruːθ/
世論や判断の形成で、客観的な事実よりも感情への訴えや個人的な信念の方が強い影響力を持つ状況を表す語。政治やメディアを論じる際に「ポストトゥルースの時代」「ポストトゥルース政治」などと使われる。 「事実確認より感情的な主張が拡散するポストトゥルース的な状況」のように使う。接頭辞 post- はここでは単純な時間上の「真実の後」ではなく、「真実が重視されなくなった」という含みを持つ。個々の虚偽情報そのものを指す語ではないため、「うそ」「誤情報」と同義にせず、事実の影響力が相対的に低下する社会状況を説明するときに用いる。
ポジション
position
米 /pəˈzɪʃ.ən/
英 /pəˈzɪʃ.ən/
位置、場所、立場、地位、役職などを表す語。ビジネスでは組織内の役割や市場での立ち位置、スポーツでは配置・役割、金融では保有している金融商品の持ち高や売買上の立場を指すなど、分野によって意味が変わる。 「チーム内でのポジションを明確にする」「市場で独自のポジションを築く」「買いポジションを解消する」のように使う。何を指すか曖昧になりやすいため、役職、競争上の立場、競技上の配置、金融上の持ち高など、対象分野を文脈で明示する。「ポスト」が役職そのものを指しやすいのに対し、ポジションは位置・立場・役割まで広く表せる。
ポジショントーク
position talk(和製英語) / self-interested statement
米 /pəˈzɪʃ.ən tɑːk/
英 /pəˈzɪʃ.ən tɔːk/
自分や所属組織の立場、利害、保有する金融上の持ち高などに有利になるように行う発言。金融分野で、自分の保有ポジションに有利な方向へ相場を動かそうとする発言を指すほか、一般に、自分の都合に合わせた主張を表す。日本語で発達した和製英語であり、この意味の position talk は英語圏で一般的な定型表現ではない。 「その予測は保有銘柄を正当化するポジショントークではないか」のように使う。発言者の立場や利益相反を検討するための語だが、立場があるという理由だけで内容を退けず、示された根拠も別に検証する。自分が発信するときは利害関係や保有状況を開示すると誤解を減らせる。英語では文脈に応じて self-interested statement、self-serving argument などと表す。
ポピュリズム
populism
米 /ˈpɑː.pjə.lɪ.zəm/
英 /ˈpɒp.jə.lɪ.zəm/
「普通の人々・人民」と「既得権を持つ、または腐敗したエリート」を対立させ、政治はエリートではなく人民の意思を直接反映すべきだと訴える政治的な考え方・運動。日本語では「大衆迎合主義」と訳され、人気取りの政策という否定的意味で使われることも多いが、それだけでは意味が狭い。政治学上も定義には議論があるが、有力な見方では「人民中心主義」と「反エリート主義」が重要な特徴とされる。右派だけの思想ではなく、左派ポピュリズムも存在し、ナショナリズム、社会主義、保守主義など別の思想と組み合わされることがある。またポピュリズムそのものを独裁・権威主義と同義にすることもできない。 「既成政党への不信を背景に、反エリートを掲げるポピュリズム政党が支持を伸ばした」のように使う。単に人気のある政策、ばらまき政策、扇動的な政治を指す悪口として使わず、誰を「人民」、誰を「エリート」と位置づけ、両者をどう対立させているかを確認する。右派・左派、民主的・権威主義的などの違いも併記すると、政治運動の特徴をより正確に説明できる。
ポリティカルコレクトネス
political correctness
米 /pəˌlɪt̬.ə.kəl kəˈrekt.nəs/
英 /pəˌlɪt.ɪ.kəl kəˈrekt.nəs/
性別、人種・民族、障害、宗教などに関して、特定の人や集団を傷つけたり不当に排除したりしないよう、言葉や表現、行動に配慮する考え方・姿勢。「政治的正しさ」と訳され、略して「PC」ともいう。一方、行き過ぎた言葉の統制や形式的な配慮だとして批判的に使われることもある。 「職業名を性別に中立な表現へ改めるのは、ポリティカルコレクトネスへの配慮の一例だ」のように使う。何が差別や排除を減らす配慮なのか、どの表現変更を問題にしているのかを具体的に示す。「ポリコレだから正しい」「ポリコレで何も言えない」のように一括りにせず、当事者への影響、表現の自由、場面や目的を分けて検討する。
ポリファーマシー
polypharmacy
米 /ˌpɑː.liˈfɑːr.mə.si/
英 /ˌpɒl.iˈfɑː.mə.si/
複数の薬を服用していることに関連して、薬物有害事象の危険増加、飲み間違い、服薬継続の困難、薬の重複や相互作用などの問題が生じる状態。厚生労働省の指針では、単に薬剤数が多い「多剤服用」と区別し、多剤服用のうち害をなすものをポリファーマシーと捉える。 「複数の医療機関から処方を受け、ポリファーマシーが疑われるため薬剤師と処方内容を確認する」のように使う。薬の数だけで機械的に判断せず、必要性、効果、副作用、重複、相互作用、本人の服薬状況を医師・薬剤師などが総合的に検討する。患者が自己判断で減薬・中止すると危険な場合があるため、気になるときはお薬手帳などで全処方を共有し、医療関係者に相談する。
マイクロアグレッション
microaggression
米 /ˌmaɪ.kroʊ.əˈɡreʃ.ən/
英 /ˌmaɪ.krəʊ.əˈɡreʃ.ən/
人種・民族、性別、性的指向、障害など、社会的に周縁化されてきた属性を持つ人に対する、日常のささいな言動や環境に現れる侮辱、否定、偏見の伝達。意図的とは限らず、一つ一つは小さく見えても、反復・蓄積によって心理的な負担や排除感を生じさせることがある。「微小な攻撃」「無意識の差別」などと説明される。 「出身を伝えた相手に繰り返し『日本語が上手ですね』と言うことが、状況によってはマイクロアグレッションと受け取られる」のように使う。発言者の意図だけでなく、文脈、相手への影響、同様の経験の蓄積を考える。直ちに悪意ある差別者と断定するための呼称ではなく、指摘されたときは意図の弁明だけで終えず、何が負担になったかを聞き、表現や行動を見直す。
マイクロマネジメント
micromanagement
米 /ˌmaɪ.kroʊˈmæn.ɪdʒ.mənt/
英 /ˌmaɪ.krəʊˈmæn.ɪdʒ.mənt/
管理者が部下の仕事について、必要以上に細かな方法・手順・進捗まで監視し、自分の判断どおりに行動するよう過度に管理・介入すること。部下に任せられる範囲まで逐一確認したり、細部の決定まで上司が行ったりする管理スタイルを指し、一般に否定的な意味で使われる。「上司のマイクロマネジメントで仕事が進めにくい」のように用いられる。 「細かな文面まで毎回上司の承認が必要で、マイクロマネジメントになっている」のように使う。必要な品質管理や新人支援まで一律に否定する語ではない。目的、成果基準、権限、報告頻度を明確にしたうえで、経験やリスクに応じて任せる範囲を広げる。問題を指摘するときは、「口を出し過ぎる」だけでなく、どの確認や介入が過剰で、仕事や成長にどう影響しているかを具体化する。
マイグレーション
migration
米 /maɪˈɡreɪ.ʃən/
英 /maɪˈɡreɪ.ʃən/
人や動物が、季節や食料などの条件に応じて、ある地域から別の地域へ移動すること。また、コンピューターシステムやデータを、別の環境・システムへ移行すること。文脈により、生物の「移動」とITの「移行」の両方を指す。 ITでは「旧システムからクラウド環境へのマイグレーションを段階的に実施する」のように使う。対象がデータ、アプリケーション、サーバー、基盤のどれかを明示し、移行方式、互換性、停止時間、バックアップ、検証、切り戻し方法を計画する。人や動物について使う場合は「移住」「移動」「渡り」などを意味するため、IT用語としての「移行」と混同しない。
マイノリティ
minority
米 /maɪˈnɔːr.ə.t̬i/
英 /maɪˈnɒr.ə.ti/
ある集団の中で人数が比較的少ない側、または社会の中で権力・資源・意思決定への影響力が弱い非支配的な立場にある集団やその構成員。「少数派」と訳される。民族、宗教、言語、性別、性的指向、障害などに関して用いられる。社会学・人権の文脈では、人数が少ないことだけでなく、社会的な力関係や不利益に注目するため、数の上では多数でもマイノリティと捉えられる場合がある。 「意思決定の場でマイノリティの意見を取り入れる」のように使う。誰がどの場面で少数または非支配的なのかを明確にし、すべての構成員が同じ経験や意見を持つと決めつけない。単に珍しい人という意味や、本人を一つの属性だけで分類する表現として安易に使わず、必要に応じて「民族的少数者」「言語的少数者」など対象を具体化する。「マイノリティ」と「社会的弱者」は重なることがあるが同義ではない。
マイルストーン
milestone
米 /ˈmaɪl.stoʊn/
英 /ˈmaɪl.stəʊn/
もとは道路上で距離を示す標石。転じて、物事の発展・歴史における重要な出来事や節目を指す。プロジェクト管理では、主要な成果物の完成、承認、工程の終了など、進捗を確認するために設定する重要な到達点をいう。 「試作品の承認を、量産開始前のマイルストーンに設定する」のように使う。日常的には大きな節目を表すが、工程表では通常、期間を持つ作業そのものではなく、完了したかどうかを判定できる到達点として置く。期日だけでなく、成果物、完了条件、責任者を明確にし、単なる予定日や途中経過の報告と区別する。
マジョリティ
majority
米 /məˈdʒɔːr.ə.t̬i/
英 /məˈdʒɒr.ə.ti/
ある集団の中で数が多い側、多数派。採決や選挙では、文脈により投票総数の半数を超える「過半数」を指す。社会については、人数だけでなく、制度、文化、資源、意思決定などで主流・優位な立場にある集団を意味することもある。反対語はマイノリティ。 「回答者のマジョリティが制度改正に賛成した」のように使う。単に最も多い選択肢を指すのか、50%を超える過半数なのかを数値で確認する。選挙では、最多票だが過半数に達しない plurality と majority を区別する。社会的マジョリティについても、人数が多いから意見が一様だと決めつけず、どの場面で優位なのかを具体化する。
マニフェスト
manifesto
米 /ˌmæn.əˈfes.toʊ/
英 /ˌmæn.ɪˈfes.təʊ/
政党、団体、芸術運動などが、自らの理念、目的、方針、計画を公に示す宣言文。日本の政治では特に、選挙で政党や候補者が掲げる、数値目標、期限、財源などを盛り込んだ政権公約・政策綱領を指すことが多い。英語 manifesto は選挙公約に限らない。 「各党のマニフェストを、財源と実施期限まで比較する」のように使う。日本語では選挙公約の意味が中心だが、英語では組織や運動の信条・政策を表明する文書にも広く用いられる。「スローガン」より体系的な方針や約束を示す語であり、評価するときは目標の具体性、実現手段、費用、達成状況を確認する。
マルウェア
malware
米 /ˈmæl.wer/
英 /ˈmæl.weə/
malicious software(悪意のあるソフトウェア)を縮めた語。コンピューターやネットワークへ不正に侵入し、情報を盗む、データを壊す、機能を妨害する、外部から操作するなど、有害・不正な目的で作られたソフトウェアの総称。ウイルス、ワーム、トロイの木馬、ランサムウェア、スパイウェアなどを含む。 「添付ファイルからマルウェアに感染し、認証情報が盗まれた」のように使う。「マルウェア」と「ウイルス」を同義にせず、ウイルスはマルウェアの一種と捉える。不審なリンクや添付を開かない、更新を適用する、多要素認証やバックアップを用意するなど複数の対策を組み合わせ、感染が疑われる場合は端末をネットワークから隔離して担当部署へ連絡する。
ミスインフォメーション
misinformation
米 /ˌmɪs.ɪn.fɚˈmeɪ.ʃən/
英 /ˌmɪs.ɪn.fəˈmeɪ.ʃən/
誤っている、または誤解を招く情報のうち、一般に、欺いたり害を与えたりする意図なしに共有されたもの。「誤情報」と訳される。虚偽・誤解を招く情報を意図的に作成・拡散するディスインフォメーション(偽情報)とは、発信者の意図の有無で区別される。ただし、用語の範囲は機関や研究者によって異なる。 「古い統計を最新情報と思い込み、ミスインフォメーションを拡散してしまった」のように使う。内容の真偽と発信者の意図を分けて検討し、意図が確認できない段階でディスインフォメーションと断定しない。共有前に発信元、日付、一次資料、画像の出所を確かめ、誤りに気づいたら元の投稿を明確に訂正し、正しい情報を同じ受け手へ届ける。
ミッション
mission
米 /ˈmɪʃ.ən/
英 /ˈmɪʃ.ən/
本来は、派遣された者が果たすべき任務や使命。ビジネスでは、組織が何のために存在し、誰にどのような価値を提供するのかを示す基本的な使命・存在意義を指す。また、個人やチームに与えられた重要な任務という意味でも使われる。 「当社のミッションは、研究者が必要な材料を少量から入手できる環境をつくることだ」「今回のチームのミッションは納期短縮である」のように使う。組織の存在意義を表す場合は、将来像を示すビジョン、行動上の価値基準を示すバリュー、数値で測る目標と区別する。抽象的な美辞麗句だけでなく、対象、提供価値、意思決定へのつながりを明確にする。
メカニズム
mechanism
米 /ˈmek.ə.nɪ.zəm/
英 /ˈmek.ə.nɪ.zəm/
機械を動かす仕組み・機構。また、自然現象、社会現象、制度などで、ある結果が生じるまでの構造、過程、因果の働きを指す。「仕組み」「作用機序」と訳されることがある。単なる原因一つではなく、複数の要素がどう関係し、結果につながるかを表す。 「価格が上昇するメカニズムを需要と供給の関係から説明する」のように使う。「詳しいメカニズムは不明」と言う場合は、観察された相関と因果関係を区別する。説明では、入力・条件、途中の作用、結果を具体的に示し、単に「そうなる仕組み」と言い換えただけで済ませない。機械なら部品の連動、医学なら作用機序など、分野に合う日本語も使う。
メディアスクラム
media scrum
米 /ˈmiː.di.ə skrʌm/
英 /ˈmiː.di.ə skrʌm/
大きな事件・事故の当事者や関係者のもとへ多数の報道機関が一斉に殺到し、取材が過熱することで、プライバシーを不当に侵害し、社会生活を妨げ、苦痛を与える状況。「集団的過熱取材」ともいう。被害者や家族、容疑者、周辺住民などが影響を受ける。 「事故現場周辺でメディアスクラムが起き、住民の生活に支障が出た」のように使う。多数の記者がいること自体ではなく、執拗な接触、包囲、騒音、私有地への立入りなどにより人権や生活を害する集団的な過熱状態を問題にする。報道機関側は代表取材、取材場所・時間の調整、責任者間の連絡などで集中を抑え、特に被害者や遺族へ二次的な苦痛を与えないよう配慮する。
メディアリテラシー
media literacy
米 /ˈmiː.di.ə ˈlɪt̬.ɚ.ə.si/
英 /ˈmiː.di.ə ˈlɪt.ər.ə.si/
新聞、テレビ、ウェブサイト、SNSなどのメディアを通じた情報について、主体的にアクセスし、発信者の意図や表現方法、根拠、偏り、社会的影響を批判的に分析・評価し、目的に応じて活用・発信する能力。単に機器を操作する技能や、情報を疑う態度だけではなく、情報を作成し社会に参加する力も含む。 「複数の報道と一次資料を比較する学習で、メディアリテラシーを高める」のように使う。情報源、作成者、公開日、証拠、資金や利害関係、画像・見出しの演出を確認し、他の信頼できる資料と照合する。自分の考えに合う情報だけを選ぶ偏りにも注意する。すべてを不信視することではなく、信頼度を根拠に基づいて判断し、著作権・プライバシー・他者への影響を考えて発信する能力を指す。
メンタルヘルス
mental health
米 /ˌmen.t̬əl ˈhelθ/
英 /ˌmen.təl ˈhelθ/
心の健康状態。WHOは、生活上のストレスに対処し、自分の能力を発揮し、学び、働き、地域社会に貢献できる精神的なウェルビーイングの状態と説明している。単に精神疾患がないことだけを意味せず、状態は個人、家庭、職場、社会など複数の要因によって変化する。 「従業員のメンタルヘルスを守るため、相談窓口と業務量の見直しを行う」のように使う。不調を本人の性格や努力不足だけに帰さず、労働時間、人間関係、ハラスメント、生活環境なども検討する。「メンタルが弱い」の言い換えとして人を評価せず、具体的な状態や支援の必要性を丁寧に表す。強い苦痛や生活への支障が続く場合は、医療・相談機関につなぐ。
メンバーシップ型雇用
membership-based employment / membership-based employment system
米 /ˈmem.bɚ.ʃɪp beɪst ɪmˈplɔɪ.mənt/
英 /ˈmem.bə.ʃɪp beɪst ɪmˈplɔɪ.mənt/
特定の職務を限定して人を採用するより、まず企業・組織の一員として人を雇い、入社後の配置転換や職務変更を通じて長期的に育成・活用する日本型雇用を説明する概念。職務、勤務地、労働時間などの範囲が明確に限定されにくく、仕事に人を割り当てるジョブ型雇用と対比される。 「新卒を一括採用し、配置転換を重ねて育成するメンバーシップ型雇用を採っている」のように使う。終身雇用、年功的処遇、企業別労働組合などと結びつくことは多いが、それらと完全な同義語ではない。企業ごとに職務限定、異動、評価、雇用保障の程度は異なるため、「メンバーシップ型かジョブ型か」の二択で断定せず、制度の具体的な要素を確認する。
モデレーター
moderator
米 /ˈmɑː.də.reɪ.t̬ɚ/
英 /ˈmɒd.ər.eɪ.tər/
討論、会議、イベントなどで、参加者の発言を調整し、論点を整理して進行する人。オンラインサービスでは、投稿や利用者の行動が規則に沿っているかを確認し、不適切な内容への対応や議論の秩序維持を行う人を指す。分野によって「進行役」「管理者」などと訳される。 「討論会ではモデレーターが質問を提示し、発言時間を調整する」「掲示板のモデレーターが規約違反の投稿を確認する」のように使う。単なる司会者に限らず、論点整理、公平な発言機会の確保、規則の適用などの役割を含む。中立性を求める場合は、権限、判断基準、利益相反、異議申立ての方法を明確にする。
モニタリング
monitoring
米 /ˈmɑː.nə.t̬ɚ.ɪŋ/
英 /ˈmɒn.ɪ.tər.ɪŋ/
対象の状態や変化を、決めた指標や方法で継続的・定期的に観察、測定、記録すること。事業や政策では進捗・成果・資金使用などを追跡し、医療では患者の状態、ITではシステムの稼働状況や異常を監視するなど、分野ごとに対象が異なる。 「応答時間とエラー率を継続的にモニタリングする」のように使う。目的、指標、基準値、測定頻度、担当者、異常時の対応をあらかじめ決める。監視して記録するだけで終えず、逸脱の検知や改善判断につなげる。一定時点で価値や効果を総合的に判断する「評価」とは区別し、個人を対象にする場合はプライバシーや利用目的にも配慮する。
モビリティ
mobility
米 /moʊˈbɪl.ə.t̬i/
英 /məʊˈbɪl.ə.ti/
人や物が移動できる能力・移動しやすさ、または社会や組織の中で地位・職業などを移る可能性。交通分野では、徒歩、自転車、自動車、公共交通、移動サービスなどを含む移動の仕組みや手段を広く指す。情報機器では、場所に縛られず利用できる移動性を意味する。 「高齢者のモビリティを確保するため、地域交通を再設計する」「人材の社内モビリティを高める」のように使う。自動車や新型車両だけを指す語ではないため、移動手段、移動能力、労働移動、社会移動など、どの意味かを明示する。交通施策では速さや便利さだけでなく、安全性、費用、利用可能性、環境負荷も合わせて検討する。
ヤングケアラー
young carer
米 /ˌjʌŋ ˈker.ɚ/
英 /ˌjʌŋ ˈkeə.rər/
家族の介護やその他の日常生活上の世話を過度に行っている子ども・若者。病気や障害のある家族の介助、幼いきょうだいの世話、家事、通訳、感情面の支援などを担い、その重い責任や負担によって、学業、就職準備、友人関係、心身の健康などに影響が生じることがある。 「家族の介護で欠席が増えた生徒をヤングケアラー支援につなぐ」のように使う。年齢相応の家事手伝いをすべて問題視する語ではなく、負担の重さや、本人の成長・生活への影響に注目する。本人や家族を責めたり、本人の同意なく家庭事情を広めたりせず、希望を聞きながら学校、福祉、医療、自治体などが連携し、家族全体を支援する。
ユースケース
use case
米 /ˈjuːs ˌkeɪs/
英 /ˈjuːs ˌkeɪs/
システムや製品を利用する主体(アクター)が、ある目的を達成するために、対象システムとどのようにやり取りするかを示した利用場面・一連の相互作用。システム開発では要求を整理するため、「誰が」「何を達成するために」「どのような流れで使うか」を記述する。 「購入者が商品を検索して注文を完了するユースケースを記述する」のように使う。機能名や技術の用途例を並べるだけでなく、アクター、目的、開始条件、基本的な手順、代替・例外の流れ、完了後の状態を明確にする。単なる利用者像であるペルソナや、画面操作の細部だけを描く手順書とは区別する。
ユーザビリティ
usability
米 /ˌjuː.zəˈbɪl.ə.t̬i/
英 /ˌjuː.zəˈbɪl.ə.ti/
特定の利用状況で、特定の利用者が、製品・システム・サービスを使って目標を達成するときの有効さ、効率、満足度の度合い。「使いやすさ」と訳されるが、見た目や操作の簡単さだけでなく、目的を正確に達成できるか、負担が適切か、利用者が受け入れられるかを含む。 「申込画面のユーザビリティを、完了率、所要時間、誤操作、利用者の満足度で評価する」のように使う。誰が、何を達成するために、どの機器・環境で使うかを定め、代表的な利用者によるテストや観察で確かめる。機能が豊富なこと、アクセシビリティ基準を満たすこと、顧客体験全体が良いこととは関連するが同義ではない。
ユニコーン
unicorn
米 /ˈjuː.nə.kɔːrn/
英 /ˈjuː.nɪ.kɔːn/
本来は、額に一本の角を持つ伝説上の動物「一角獣」。ビジネスでは一般に、企業評価額が10億米ドル以上の未上場スタートアップ企業を指す。非常に珍しい存在という比喩から名づけられた。設立後の年数を条件に含める定義もあるが、基準は資料によって異なる。 「資金調達後の評価額が10億ドルを超え、ユニコーン企業となった」のように使う。10億ドルは売上高、利益、調達額、保有現金ではなく企業評価額の基準である。上場すると通常はユニコーンとは呼ばれなくなる。法令上の企業区分ではなく、評価額は調達条件や市場環境で変わるため、社数を比較するときは基準日、未上場条件、設立年数の扱いを確認する。
ランサムウェア
ransomware
米 /ˈræn.səm.wer/
英 /ˈræn.səm.weə(r)/
コンピューター、サーバー、ファイルなどを暗号化・利用不能化し、復旧・解除などと引き換えに身代金を要求するマルウェアの一種。ransom(身代金)+software。近年は暗号化前に機密データを盗み、支払わなければ公開すると脅す『二重脅迫』も多い。暗号化しないシステムロック型も含み、侵入経路はフィッシングに限らず、脆弱性悪用・認証情報・既侵入ネットワーク等もある。 「ランサムウェア感染に備え、ネットワークから分離したバックアップを定期的に復元テストする」のように使う。対策は更新、多要素認証、権限の最小化、監視、オフラインまたは変更不能なバックアップなどを重ねる。感染が疑われた端末は速やかにネットワークから隔離し、担当部署や関係機関へ連絡する。身代金を支払っても復旧や情報非公開は保証されず、法令・制裁上の問題もあり得るため、組織だけで判断しない。
リーク
leak
米 /liːk/
英 /liːk/
本来は、液体や気体などが容器・管から漏れること。情報分野では、秘密情報や未公表情報が権限のない相手や外部へ漏れること、または内部関係者などが報道機関等へ意図的に提供することを指す。「情報漏えい」「情報の流出」「内部情報の提供」などと訳される。 「未発表の人事案が報道機関にリークされた」「設定ミスで顧客情報が漏えいした」のように使う。意図的な情報提供、過失による漏えい、攻撃によるデータ流出では原因と責任が異なるため、すべてを曖昧に「リーク」と呼ばない。内部告発については公益性や通報者保護の問題もある。組織では情報区分、アクセス権、記録、正規の通報窓口を整える。
リード
lead
米 /liːd/
英 /liːd/
英語 lead の基本義は「導くこと」「先頭」「手掛かり」など。営業・マーケティングでは、商品やサービスに関心を示し、将来顧客になる可能性がある個人・企業、またはその連絡先・問い合わせ情報を指す。「見込み客」「見込み顧客情報」と訳される。 「展示会で獲得したリードを、関心度と導入時期で分類する」のように使う。問い合わせや資料請求などで接点ができた段階を指し、商談化した案件や購入済みの顧客とは区別する。何をリードとして数えるか、重複をどう扱うか、営業へ引き渡す条件を決める。lead は文脈によって「先導」「記事の書き出し」など別の意味を持ち、金属の鉛を表す lead は発音が /led/ である。
リードタイム
lead time
米 /ˈliːd ˌtaɪm/
英 /ˈliːd ˌtaɪm/
注文・依頼・工程の開始など、ある起点から、製造・調達・納品・作業完了などの目的が達成されるまでに必要な時間・期間。製造業や物流では、発注してから納品されるまでの期間、製造を開始してから完成するまでの期間などを指す。「調達リードタイムを短縮する」「受注から出荷までのリードタイムは10日」のように使われる。何を起点・終点とするかは業務や文脈によって異なるため、期間を比較するときには範囲の確認が必要である。 「リードタイムを短縮する」「調達リードタイムを確認する」のように、製造、物流、調達、在庫管理などで使います。発注・受注・着手などの開始点から、完成・納品・結果が得られるまでにかかる期間を指します。どこを開始点・終了点にするかによって意味が変わるため、「調達リードタイム」「製造リードタイム」のように対象を明確にすることが重要です。「納期」が「いつまでに納めるか」という期限を表すのに対し、リードタイムは完了までに必要な期間を表します。また、実作業時間だけでなく、待ち時間や輸送時間などを含む場合があります。「サイクルタイム」「タクトタイム」とも異なる概念です。英語の lead time と基本的な意味は対応しています。
リカレント教育
recurrent education
米 /rɪˈkɝː.ənt ˌedʒ.əˈkeɪ.ʃən/
英 /rɪˈkʌr.ənt ˌedʒ.ʊˈkeɪ.ʃən/
社会に出た後も、仕事や生活と並行したり、一時的に教育機関へ戻ったりしながら、必要な知識・技能・教養を学び直すこと。また、その学び直しを可能にする教育・社会の仕組み。 「大学の社会人向け講座でリカレント教育を受け、専門知識を更新する」のように使う。就職・転職に直結する職業教育だけでなく、教養や生活に関する学びも含み得る。仕事と教育を人生の中で繰り返すという考え方に重点がある。特定の職務変化に必要な技能を身につけるリスキリングとは重なるが、リカレント教育の方が目的・内容・学ぶ時期を広く捉える。
リクイディティ
liquidity
米 /lɪˈkwɪd.ə.t̬i/
英 /lɪˈkwɪd.ə.ti/
資産や市場について、必要なときに大きな損失なく容易に売買・現金化できる度合い。また、企業や金融機関などが必要な資金を確保できる状態。一般に「流動性」と訳される。 「この銘柄は売買が少なく、リクイディティが低い」「短期債務の支払いに備えて十分なリクイディティを確保する」のように使う。市場の流動性では、売買の速さ、取引量、買値と売値の差、価格への影響などを見る。企業の資金繰りでは、現金や短期で換金できる資産と支払義務を確認する。利益が出ていても資金不足になることがあるため、収益性と同義にしない。
リコール
recall
米 /ˈriː.kɑːl/(/rɪˈkɔːl/ もある)
英 /ˈriː.kɔːl/(/rɪˈkɔːl/ もある)
①製品に欠陥・不具合・安全上の問題などが判明した際、メーカーなどが対象製品を回収、交換、修理するなどの是正措置を行うこと。②選挙で選ばれた首長や議員などを、任期途中に有権者の手続によって解職する制度・手続。 製品については「対象型番がリコールされたため、直ちに使用を中止してメーカーへ連絡する」のように使う。製品名、型番、製造番号、対象期間、必要な措置を公式情報で確認する。回収だけでなく、交換、無償修理、点検、注意喚起を含む場合がある。政治では「有権者が首長のリコールを請求する」のように使うため、製品回収と解職請求のどちらかを文脈で明確にする。
リスキリング
reskilling
米 /ˌriːˈskɪl.ɪŋ/
英 /ˌriːˈskɪl.ɪŋ/
仕事や職務の変化に対応するため、新しい知識・技能を身につけること。英語では特に、別の仕事・役割を担うための新しい技能習得という意味が強い。日本では、DXなどによって現在の仕事に必要な技能が大きく変わる場合の学び直しにも広く使われる。 「業務の自動化で役割が変わる従業員に、データ分析のリスキリング機会を提供する」のように使う。研修の受講自体を目的にせず、今後必要となる職務・能力を特定し、学習、実践、配置、評価までつなげる。現在の職務をさらに高度化するアップスキリングとは区別されることが多い。学習責任を個人だけに負わせず、企業側も時間、費用、実務経験、異動機会を整える。
リスクアペタイト
risk appetite
米 /ˈrɪsk ˌæp.ə.taɪt/
英 /ˈrɪsk ˌæp.ɪ.taɪt/
組織が目的や価値の実現のために、進んで引き受け、追求または保持しようとするリスクの量と種類。「リスク選好」と訳される。危険を好む性格という意味ではなく、成長機会と損失可能性を踏まえ、どの領域でどこまでリスクを取るかという経営上の基本姿勢を示す。 「新規市場への投資について、取締役会がリスクアペタイトを明文化する」のように使う。事業別・リスク種別に、許容する水準、避ける行為、指標、限度、超過時の対応を具体化し、戦略や予算に結びつける。実務上は、目標水準としてのリスクアペタイトと、そこから許される変動幅・限度を示すリスクトレランスを区別することがある。
リスクオフ
risk-off
米 /ˈrɪsk ˌɑːf/
英 /ˈrɪsk ˌɒf/
投資家が先行きへの警戒を強め、価格変動や信用などのリスクが高い資産を減らし、現金、質の高い国債など、相対的に安全とみなされる資産へ資金を移す市場環境・投資姿勢。「リスク回避局面」ともいう。 「地政学的緊張の高まりで市場がリスクオフとなり、株式が売られた」のように使う。特定の一銘柄の下落ではなく、複数市場に表れる投資家の慎重姿勢を説明する語である。ただし、安全資産とされる通貨・国債や各資産の反応は、金利、流動性、発生原因によって異なるため、「リスクオフなら必ず円高・株安」のように機械的に断定しない。
リスクオン
risk-on
米 /ˈrɪsk ˌɑːn/
英 /ˈrɪsk ˌɒn/
投資家が先行きに楽観的となり、より高い収益を求めて株式、新興国資産、低格付け債など、相対的にリスクが高い資産へ資金を振り向ける市場環境・投資姿勢。「リスク選好局面」ともいう。 「景気回復期待からリスクオンの流れが強まり、株式への資金流入が増えた」のように使う。市場全体の楽観・慎重の傾向を要約する便宜的な語であり、すべてのリスク資産が同時に上昇するという法則ではない。価格変動の理由を説明するときは、金利、企業業績、為替、需給など他の要因も確認する。
リスクコミュニケーション
risk communication
米 /ˈrɪsk kəˌmjuː.nəˈkeɪ.ʃən/
英 /ˈrɪsk kəˌmjuː.nɪˈkeɪ.ʃən/
災害、食品安全、医療、環境問題などのリスクについて、行政、専門家、企業、市民などの関係者が情報や意見を互いに交換し、リスクへの理解や認識を深めながら、より適切な判断や対応につなげていくこと。専門家が一方的に危険性を説明することではなく、関係者それぞれの立場・疑問・懸念も共有する双方向のコミュニケーションを重視する。 「健康影響について住民と専門家がリスクコミュニケーションを行う」のように使う。判明していること、分からないこと、発生可能性、影響、推奨行動を平易に伝え、質問や地域の懸念を受け取る。安心させるための一方的な広報や、合意を取り付けるだけの手続ではない。情報を早く更新し、誤りは訂正し、意思決定の理由を示して信頼を築く。
リスクプレミアム
risk premium
米 /ˈrɪsk ˌpriː.mi.əm/
英 /ˈrɪsk ˌpriː.mi.əm/
投資家が不確実な収益や損失の可能性を引き受ける代わりに、相対的に安全な資産の収益を上回って要求する追加の期待収益・利回り。株式、信用、期間、流動性など、負担するリスクに応じて複数の種類がある。リスクそのものではなく、リスク負担への上乗せ分を指す。 「信用力の低下により、社債に求められるリスクプレミアムが拡大した」のように使う。何を比較基準とし、どのリスクへの上乗せ分かを明示する。実現した利益ではなく、投資家が要求する、または価格に織り込まれた期待上の補償を指す場合が多い。数値の推計方法はモデルや期間によって異なるため、異なる資料を比較するときは定義を確認する。
リスクマネジメント
risk management
米 /ˈrɪsk ˌmæn.ɪdʒ.mənt/
英 /ˈrɪsk ˌmæn.ɪdʒ.mənt/
組織の目的に影響する不確実性について、リスクを特定・分析・評価し、回避、低減、移転、受容などの対応を選び、継続的に監視・見直す管理活動。損失の可能性だけでなく、目的達成の機会も含めて扱う考え方がある。リスクを完全になくすことではなく、許容できる水準で意思決定するための仕組みである。 「供給停止リスクを評価し、複数調達先と安全在庫で対応する」のように使う。目的と対象範囲を定め、発生可能性と影響を評価し、責任者、対策、期限、残るリスクを記録する。対策後も指標や環境変化を監視し、定期的に見直す。事故発生後の危機対応だけでなく、日常の戦略、投資、業務、法令遵守などへ組み込む。
リスケ
reschedule
米 /ˌriːˈskedʒ.uːl/
英 /ˌriːˈʃedʒ.uːl/
いったん決めた会議・打ち合わせ・納期などの日時や予定を変更し、組み直すこと。金融では、借入金の返済条件や返済計画を変更する意味でも使う。 「先方の都合で会議を来週へリスケする」のように使う。何を、いつからいつへ、誰の了承を得て変更するかを明確にする。金融では「返済をリスケする」のように、返済期間、据置期間、金利などの貸付条件変更を指すことがあり、単なる日程変更とは影響が大きく異なる。リスケは reschedule を縮めた日本語の略称なので、正式文書や英語では「日程変更」「返済条件変更」など具体的に表す。
リストラクチャリング
restructuring
米 /ˌriːˈstrʌk.tʃɚ.ɪŋ/
英 /ˌriːˈstrʌk.tʃər.ɪŋ/
企業、事業、組織、財務、債務などの構造を、環境変化への適応や経営改善のために組み直すこと。「再構築」「事業再編」などと訳される。事業の売却・統合、組織変更、業務改革、債務条件の変更、人員配置の見直しなどを含み得る。日本語の略語「リストラ」は人員削減の意味に狭まりやすい。 「不採算事業の売却と組織統合を含むリストラクチャリングを実施する」のように使う。何を再構築し、どの目的・手段・期間で行うのかを明示する。人員削減だけを意味する語ではなく、成長分野への投資や業務・財務の再設計も含む。雇用に影響する場合は、説明、法令上の手続、選定基準、再配置や支援策を具体的に示す。
リセッション
recession
米 /rɪˈseʃ.ən/
英 /rɪˈseʃ.ən/
景気が山を越え、経済活動が広い範囲で大きく低下し、その状態が数か月以上続く局面。「景気後退」と訳される。生産、雇用、所得、販売など複数の指標を総合して判断され、単に成長率が一時的に低下することとは異なる。「実質国内総生産(GDP)が2四半期連続で前期比マイナス」という基準は「テクニカル・リセッション」と呼ばれる目安の一つであり、すべての国・機関に共通する唯一の公式定義ではない。 「雇用と個人消費の悪化を受け、景気がリセッション入りした可能性が指摘された」のように使う。判断を示すときは、対象国・期間・参照した指標と、政府機関や景気循環判定機関など判断主体を明記する。成長の鈍化、特定産業だけの不振、株価の下落を直ちにリセッションと同一視せず、速報値の改定や、判断が事後的に確定する場合があることにも注意する。
リソース
resource
米 /ˈriː.sɔːrs/
英 /rɪˈzɔːs/
仕事や事業などを進めるために利用できる資源。人員、時間、資金、設備、情報などを幅広く指す。日本のビジネスでは特に人員の意味で使われることもあるが、人だけを指す語ではない。ITではCPU、メモリ、ストレージなどコンピューターが利用できる資源を指す。 「新規案件に必要な人員と予算のリソースを確保する」のように使う。何を指すか曖昧になりやすいため、人員、工数、予算、設備、情報、計算資源など種類と量、利用期間を具体的に示す。人を指す場合は、人数だけでなく技能、役割、稼働可能時間を確認し、人を交換可能な数量として扱うような表現は避ける。ITではCPU使用率、メモリ容量、保存容量など対象と上限を明示する。
リテラシー
literacy
米 /ˈlɪt̬.ɚ.ə.si/
英 /ˈlɪt.ər.ə.si/
本来は「読み書きする能力」を意味する語。日本語では意味が広がり、特定の分野について必要な情報や知識を理解し、適切に判断・活用する能力という意味でよく使われる。「情報リテラシー」「金融リテラシー」「メディアリテラシー」「ITリテラシー」のように、分野名と組み合わせて使われることが多い。単に知識を持っているだけでなく、それを実際の判断や行動に適切に生かす能力まで含む。 「社員向けに情報セキュリティーの研修を行い、デジタルリテラシーを高める」のように、対象分野を付けて使う。何を理解し、どのような情報を評価し、どのような行動ができる力なのかを具体化する。知識量、知能、人格を一括して評価する語として使ったり、「リテラシーが低い」と個人だけを責めたりせず、研修、分かりやすい情報設計、相談手段など利用環境の改善も併せて考える。
リテンション
retention
米 /rɪˈten.ʃən/
英 /rɪˈten.ʃən/
人や顧客などとの関係を維持し、離職・解約・離脱などを防いでつなぎとめること。ビジネスでは特に、従業員に長く働いてもらう『人材リテンション』や、顧客に継続して商品・サービスを利用してもらう『顧客リテンション』という意味で使われる。英語の retention は本来『保持・維持』を広く表し、情報や記憶、液体などを保持する意味にも使われる。 「入社後1年の人材リテンションを改善する」「顧客リテンションを月次で測る」のように使う。従業員か顧客かを区別し、定着率・継続率の分母、対象集団、観測期間を明示する。人材では賃金、働き方、成長機会、職場環境など離職要因を調べ、本人の意思を尊重して改善する。顧客では価値や支援を高めることを基本とし、解約を不当に困難にするなど強制的・欺瞞的な方法でつなぎとめない。
リファラル採用
employee referral / referral recruitment(日本での表現)
米 /ɪmˈplɔɪ.iː rɪˈfɝː.əl/
英 /ɪmˈplɔɪ.iː rɪˈfɜː.rəl/
企業の従業員などから、知人や元同僚といった候補者の紹介を受けて行う採用方法。「社員紹介採用」ともいう。候補者を見つける経路を表すもので、紹介された人の採用を保証する制度ではなく、通常は他の候補者と同様に選考を行う。英語では employee referral や employee referral program が一般的で、referral recruitment は主に日本で用いられる表現。 「リファラル採用制度を設け、社員から候補者の紹介を募る」のように使う。紹介できる人、謝礼の条件、選考手続を事前に明示し、紹介者の評価だけで採否を決めず、職務に関係する同じ基準で公正に審査する。候補者の同意なく個人情報を共有しない。既存社員と似た人に偏って組織の同質性が強まる可能性も確認し、通常の公募など複数の採用経路を併用する。
リベラル
liberal
米 /ˈlɪb.ər.əl/
英 /ˈlɪb.ər.əl/
個人の自由、権利、寛容、多様性、社会の改革などを重視する考え方や立場を表す語。ただし政治用語としての意味は国、時代、論点によって異なる。米国では社会的平等や政府による支援を重視する中道左派・進歩派に近い意味で使われることが多い一方、欧州や日本では、市場競争と小さな政府を重視する古典的自由主義や、立憲主義・基本的人権を重視する立場を指す場合もある。単一の左右区分だけでは定義できない。 「その政党は社会政策ではリベラルだが、経済政策では市場重視だ」のように使う。人物や政策をリベラルと呼ぶときは、どの国・時代の用法で、経済、社会、外交など何の論点を指すかを示す。賛否を決めつけるレッテルとして単独で使わず、自由、平等、市場、政府の役割など具体的な政策内容を確認する。
リマインド
remind
米 /rɪˈmaɪnd/
英 /rɪˈmaɪnd/
予定、締切、依頼事項などを忘れないように、改めて知らせること。日本のビジネスでは「リマインドする」のように名詞を動詞化して使う。英語の remind は「人に思い出させる」という動詞で、通知や思い出させる物・事を表す名詞には reminder を使う。そのため、日本語の「リマインドを送る」に対応する英語は send a reminder となる。 「提出期限が明日であることを担当者へリマインドする」のように使う。何についての連絡か、期限、必要な対応、連絡先を簡潔に示し、相手が確認・対応できる余裕のある時点で丁寧に送る。返答がない相手へ短時間に何度も送るなど、過度な催促にならないようにする。英語では remind someone to do something、send someone a reminder のように品詞を使い分ける。
ルッキズム
lookism
米 /ˈlʊk.ɪ.zəm/
英 /ˈlʊk.ɪ.zəm/
顔立ち、体形、身長、肌、年齢の見え方など、身体的な外見を基準に人の価値や能力を決めつけ、不公平に評価・扱うこと。「外見至上主義」「外見差別」などと訳される。採用、昇進、接客、教育、メディア表現などで、外見が本来関係しない判断に影響することが問題となる。身だしなみへの関心や外見についての好みがすべてルッキズムに当たるわけではなく、不当な優劣づけや待遇差が中心となる。 「採用時に容姿を重視する慣行はルッキズムにつながる」のように使う。外見と職務能力を安易に結び付けず、採用・評価では職務に必要な客観的基準、構造化した質問、複数者による審査などを用いる。外見に関する冗談や一方的な助言、写真の過度な加工基準が人へ与える影響にも注意する。問題を受けた人の外見や努力の不足に原因を求めず、制度や慣行を見直す。
レームダック
lame duck
米 /ˌleɪm ˈdʌk/
英 /ˌleɪm ˈdʌk/
選挙で後継者が決まった後や、再選されず任期満了が近づいたため、政治的な影響力や政策を実行する力が弱まった大統領・首長・議員などを指す語。そのような任期末の期間を「レームダック期間」ともいう。日本語では、任期末に限らず、党内基盤の低下などにより指導力を失った政権や指導者を広く指す場合がある。英語には、成功の見込みが乏しく支援を必要とする人・組織という別の意味もある。 「後継大統領の当選後、現職政権はレームダック化した」のように使う。選挙後の任期末なのか、議会・党内の支持を失った状態なのかを区別し、権限が法的に失われたことを意味する語ではない点に注意する。単なる不人気や一度の政策失敗だけで断定せず、任期、後継者の決定、議席構成、支持基盤など、影響力が低下した根拠を示す。
レコメンド
recommend
米 /ˌrek.əˈmend/
英 /ˌrek.əˈmend/
人や商品、サービスなどを良いもの・適したものとして勧めること。特にIT・ECでは、利用者の履歴や好みなどに応じて商品やコンテンツを推薦・表示することを指す。 「閲覧履歴を基に関連商品をレコメンドする」のように使う。誰に何を、どの情報や基準に基づいて勧めるのかを明示する。自動推薦では、広告・スポンサー枠との区別、個人情報や閲覧履歴の利用目的、推薦理由を分かる範囲で示し、利用者が設定を変更できるようにする。同じ傾向の情報だけが提示される偏りや、不適切な商品・情報が推薦される可能性も点検する。英語では recommend は動詞、recommendation は名詞である。
レガシー
legacy
米 /ˈleɡ.ə.si/
英 /ˈleɡ.ə.si/
過去から受け継がれ、後世に残る財産、業績、影響、遺産。肯定的な成果にも、解決すべき負の遺産にも使われる。ITでは、古い技術や設計に基づきながら現在も使われている「レガシーシステム」を指すことが多い。古いという理由だけで直ちに欠陥があるという意味ではないが、保守する人材の不足、他システムとの連携の難しさ、セキュリティーや更新費用などが課題になる場合がある。 「長年使ってきたレガシーシステムを段階的に更新する」のように使う。何が古く、互換性、保守性、費用、安全性など、どの点が課題なのかを具体的に示す。安定稼働している機能や蓄積データまで一律に否定せず、維持、改修、置換の費用と危険を比較する。人物・事業の評価では「大会が地域に残したレガシー」のように、受け継がれる具体的な成果や影響を明示する。
レジーム
regime
米 /reɪˈʒiːm/
英 /reɪˈʒiːm/
政治・経済・国際関係などを成り立たせている体制・制度・ルールの枠組み。文脈によっては政権や統治体制を指す。「国際レジーム」「為替レジーム」などの形でも使う。 「固定相場制から変動相場制へ為替レジームを移行した」「国際的な環境レジームを形成する」のように使う。政権そのもの、国内の統治体制、特定分野の制度・規範のどれを指すのかを明確にする。英語の regime は権威主義的・抑圧的な政権を否定的に指すことがある一方、国際関係論では合意された原則・規範・規則・手続の枠組みを指すため、文脈を確認する。
レジリエンス
resilience
米 /rɪˈzɪl.jəns/
英 /rɪˈzɪl.jəns/
困難・危機・災害・変化などに対して、耐え、適応し、機能を維持・回復する力。「回復力」「強靱性」などと訳される。単に元の状態へ戻ることだけでなく、状況に合わせて変化しながら立て直すことも含む。心理、企業経営、防災など幅広い分野で使われる。 「災害時にも事業を継続できるよう、組織のレジリエンスを高める」のように使う。心理、防災、供給網、情報システムなど対象を示し、耐える力、早く復旧する力、代替手段へ切り替える力など、必要な能力を具体化する。個人に我慢や自己責任を求める語として使わず、冗長化、備蓄、訓練、相談支援、業務分散など組織や制度側の備えも含める。復旧時間など測定可能な目標を設け、訓練や障害後に見直す。
レトリック
rhetoric
米 /ˈret̬.ɚ.ɪk/
英 /ˈret.ər.ɪk/
聞き手や読み手を効果的に説得し、印象づけるための言葉の使い方や表現技法。「修辞」「修辞法」「弁論術」などと訳される。比喩、反復、対比、問いかけなどを用いる技法を指す。本来は説得的な話し方・書き方やその研究を広く表すが、政治や報道では、内容や実行を伴わない大げさな言葉、巧みな言い回しという否定的な意味で使われることもある。 「危機を強調するレトリックで支持を集めた」「公約が単なるレトリックに終わらないか検証する」のように使う。表現技法そのものと、内容が空疎だという批判を区別する。発言を評価するときは、比喩や感情に訴える表現だけでなく、前提、根拠、反証、具体策との対応を確認する。「レトリックだ」と呼ぶだけで主張を退けず、どの表現がどのような印象や判断を導くのかを示す。
レバレッジ
leverage
米 /ˈlev.ɚ.ɪdʒ/
英 /ˈliː.vər.ɪdʒ/
小さな資金・資源・力を利用して、それより大きな効果や成果を得ること。金融では特に、借入金などの他人資本を利用して自己資金より大きな金額を投資・事業に投入することを指す。「レバレッジをかける」「レバレッジを効かせる」のように使われる。借入れによって利益を大きくできる可能性がある一方、損失も大きくなるため、利益を保証する仕組みではない。ビジネスでは、人材、技術、ブランド、データなど既存の資源を活用して大きな成果につなげるという比喩的な意味でも使われる。 「自己資金の2倍のレバレッジをかけて投資する」「既存の販売網をレバレッジとして新商品を広める」のように使う。金融では、借入額、自己資本、総投資額のどれを基準とした倍率かを示し、価格が逆方向へ動けば損失も拡大すること、金利、追加証拠金、強制決済などの危険を確認する。一般の業務では、何の資源を活用し、どの成果を増幅するのかを具体的にする。
ローカリゼーション
localization
米 /ˌloʊ.kəl.əˈzeɪ.ʃən/
英 /ˌləʊ.kəl.aɪˈzeɪ.ʃən/
製品、ソフトウェア、ウェブサイト、ゲーム、サービスなどを、特定の国・地域の言語、文化、制度、商習慣などに合わせて調整すること。「現地化」と訳される。文章を翻訳するだけでなく、日付・時刻・通貨・単位・住所表記、画像やデザイン、法制度、文化的な表現なども対象地域に適した形へ変更する。「日本市場向けにサービスをローカリゼーションする」のように使われる。 「日本向けのローカリゼーションでは、翻訳に加えて円表示と住所入力欄を変更する」のように使う。対象地域と言語を明示し、文字コード、文章量、日付・数値・通貨・単位、画像、法令、決済、アクセシビリティーなど確認項目を定める。直訳だけで完了とせず、現地の利用者や専門家による確認と実機テストを行う。国際化(internationalization)は地域ごとの調整をしやすくする設計、ローカリゼーションは特定地域向けの具体的な調整として区別される。
ローコード
low-code / low code
米 /ˌloʊ ˈkoʊd/
英 /ˌləʊ ˈkəʊd/
画面上の部品、ひな型、既成の機能などを組み合わせ、手作業で書くプログラムコードを少なくして、アプリケーションや業務システムを開発する手法。そのための基盤を「ローコード開発基盤」という。コードをまったく書かないノーコードとは区別され、必要に応じてコードを追加して複雑な処理や外部連携を実現する。専門開発者にも業務部門の利用者にも使われる。 「申請アプリをローコードで開発し、承認業務を自動化する」のように使う。開発速度だけでなく、要件への適合、拡張性、性能、セキュリティー、保守担当、利用基盤への依存や費用を確認する。「プログラミングが不要」「誰でも安全なシステムを作れる」と断定せず、複雑な設計や連携には専門知識とコードが必要な場合がある。ノーコードと同一視せず、適用範囲を定めて管理する。
ロードマップ
road map / roadmap
米 /ˈroʊd ˌmæp/
英 /ˈrəʊd ˌmæp/
目標の実現に向けて、必要な段階、主要な課題、成果、時期などを時系列に示した中長期の道筋や計画。「工程表」と訳されることもある。製品開発、技術導入、政策、事業戦略などで、現在地から将来像へどの順序で進むかを関係者間で共有するために使う。個々の作業日程を細かく管理する予定表や確定した契約とは異なる。 「脱炭素化に向けた2030年までのロードマップを策定する」のように使う。到達目標、期限、主要な節目、担当主体、前提条件、依存関係を示す。将来の方向性を示す計画であり、記載時期の実現を保証するものではないため、確定事項と構想を区別する。進捗や環境変化に応じて更新し、変更理由も共有する。詳細な日々の作業は、工程表や実施計画で補う。
ローンチ
launch
米 /lɑːntʃ/
英 /lɔːntʃ/
新しい製品・サービス・事業などを正式に開始し、市場や利用者へ送り出すこと。ITではサービスの公開・提供開始などに使われる。「リリース」と意味が重なるが、ローンチは単なる公開だけでなく、市場投入や本格的な展開開始まで含む意味が強い。英語 launch にはロケットの打ち上げ、攻撃・キャンペーンの開始などさらに広い意味がある。 「新しいサービスをローンチする」「来月アプリをローンチする」のように、商品、サービス、Webサイト、新規事業などについて使います。開発・準備してきたものを正式に世の中へ出し、提供や運用を開始することを指します。IT・スタートアップでよく使われ、「リリース」と重なるがローンチは開始の意味が強く、発売より広い。英語 launch 由来で和製英語ではない。
ログ
log
米 /lɑːɡ/
英 /lɒɡ/
出来事、操作、通信、処理結果などを、時刻や発生順とともに残した記録。ITでは、システム、アプリケーション、ネットワーク機器などが自動的に出力する記録を指し、障害調査、動作確認、セキュリティー監視、監査などに利用する。記録内容はアクセス、エラー、操作、通信など目的によって異なり、必ずしも一つの「ログファイル」に保存されるとは限らない。英語 log には航海日誌などの意味もある。 「エラー発生時刻の前後のログを確認する」「管理者操作の監査ログを保存する」のように使う。取得目的、記録項目、時刻の基準、保存期間、閲覧権限、廃棄方法を定める。個人情報、認証情報、通信内容などが含まれる場合は、必要最小限の収集、アクセス制御、暗号化やマスキングを行う。ログがないことを事象がなかった証明とせず、改ざんや欠落の可能性も考慮する。「ログイン」の略とは限らない。
ロスアンドダメージ
loss and damage
米 /lɑːs ən ˈdæm.ɪdʒ/
英 /lɒs ən ˈdæm.ɪdʒ/
気候変動の悪影響によって生じる損失と損害を指す国際的な政策用語。台風、洪水、熱波などの極端な気象現象だけでなく、海面上昇、砂漠化などゆっくり進む現象による影響も含む。建物、農作物、収入など金銭で評価しやすい経済的損失に加え、生命、健康、文化遺産、生態系、居住地など金銭だけでは評価しにくい非経済的損失も対象となる。主に、適応策を講じても回避しきれない影響への対応を議論する文脈で使われる。 「気候変動によるロスアンドダメージへの資金支援を協議する」のように使う。災害一般の損失ではなく、気候変動の悪影響との関係、対象地域、経済的・非経済的損失の別を示す。温室効果ガスを減らす緩和、被害を抑える適応、発生した損失・損害への対応を区別する。ただし国際交渉上、ロスアンドダメージの範囲や因果関係、資金負担には継続中の論点があるため、特定の定義だけを唯一の合意として示さない。
ロビーイング
lobbying
米 /ˈlɑː.bi.ɪŋ/
英 /ˈlɒb.i.ɪŋ/
企業、業界団体、市民団体、労働組合などが、法律、政策、予算、行政上の決定などへ自らの意見や専門情報を反映させるため、議員、政府職員、行政機関などの意思決定者へ働きかける活動。「ロビー活動」ともいう。陳情、面会、資料提供、意見提出などを含み得る。民主的な政治参加の一つであり、違法な贈賄や秘密工作と同じ意味ではないが、透明性や公正性が欠けると不当な影響力につながる。 「業界団体が制度改正を求めて政府へロビーイングを行った」のように使う。誰が、誰の利益を代表し、どの政策について、どの意思決定者へ働きかけたかを示す。登録、面会記録、資金源、支出、提出資料などを法令や規則に従って開示し、利益相反や贈収賄を避ける。ロビー活動というだけで不正と決めつけず、政策形成に専門知識を提供する役割と、資金力による影響の偏りの両方を検討する。
ワーキングプア
the working poor / working poor
米 /ðə ˌwɝː.kɪŋ ˈpʊr/
英 /ðə ˌwɜː.kɪŋ ˈpʊər/
仕事に就き収入を得ているにもかかわらず、本人や世帯の所得が貧困線を下回る、または生活に必要な水準へ達しない就業者・世帯。「働く貧困層」ともいう。低賃金、労働時間の不足、不安定雇用、扶養人数、社会保障や住居費など複数の要因が関係する。統計上の範囲は、個人所得か世帯所得か、就業の定義、用いる貧困線によって異なる。 「非正規雇用の増加とワーキングプアの関係を調べる」のように使う。人数や割合を示すときは、対象年、就業者・世帯の範囲、税・社会保障を反映する前後、相対的・絶対的貧困線など定義を明記する。本人の努力不足だけに原因を求めず、賃金、労働時間、雇用の安定、物価、税・社会保障、家族構成を分析する。英語では集合的に the working poor と表すことが多い。
ワークフロー
workflow
米 /ˈwɝːk.floʊ/
英 /ˈwɜːk.fləʊ/
業務を開始してから完了するまでに、作業、判断、承認、情報や文書がどの順序で誰から誰へ流れるかを表した一連の手順・流れ。「業務フロー」ともいう。また、その流れを管理・自動化する仕組みやシステムを指す場合もある。単なる作業項目の一覧ではなく、担当者、順序、条件分岐、承認、入出力などの関係を含む。 「請求書の受領から承認、支払いまでのワークフローを見直す」のように使う。開始条件、各工程、担当者、入力・出力、承認権限、分岐条件、例外時の対応を明示する。自動化する前に、不要な承認や重複入力がないかを整理する。処理時間や差戻し率などで効果を確認し、担当者不在時の代行、監査記録、権限分離も設計する。
ワークライフバランス
work-life balance
米 /ˌwɝːk.laɪf ˈbæl.əns/
英 /ˌwɜːk.laɪf ˈbæl.əns/
仕事と、家庭生活、育児・介護、休養、学習、地域活動など仕事以外の生活を、本人が望む形で調和させ、双方を充実させる考え方。「仕事と生活の調和」ともいう。仕事と私生活の時間を常に同じ割合にすることではなく、人生の段階や事情に応じて働き方を選び、健康を保ちながら責任や希望を両立できる状態を目指す。個人の時間管理だけでなく、組織の制度や職場文化も関係する。 「柔軟な勤務制度を整え、社員のワークライフバランスを支援する」のように使う。残業時間だけで評価せず、休暇の取得、勤務時間の予測可能性、育児・介護との両立、心身の健康、本人の選択などを確認する。両立できない責任を個人だけに負わせず、人員配置、業務量、評価制度、管理職の運用を改善する。短時間勤務や在宅勤務の利用者が昇進・評価で不利益を受けないよう点検する。
ワンヘルス
One Health
米 /ˌwʌn ˈhelθ/
英 /ˌwʌn ˈhelθ/
人、家畜・野生動物、植物、環境・生態系の健康は互いに密接に結び付き、依存していると捉え、それらの健康を持続可能な形で均衡させ、最適化しようとする統合的な考え方。医療、公衆衛生、獣医学、農林水産、食品、環境などの分野や、行政、研究者、地域社会などが連携して取り組む。人獣共通感染症だけでなく、薬剤耐性、食品安全、環境汚染、気候変動、生物多様性など、人・動物・生態系の境界にまたがる課題を対象とする。 「ワンヘルスを推進する」「ワンヘルスの考え方に基づいて対策する」のように、感染症対策、獣医療、公衆衛生、環境保全などで使います。人の健康、動物の健康、環境・生態系の健康は互いに密接につながっているため、それぞれを別々に考えるのではなく、関係する分野が連携して問題へ対応しようとする考え方です。人獣共通感染症への対応が代表例ですが、それだけに限らず、薬剤耐性(AMR)、食品安全、環境変化など幅広い問題で使われます。単に「人・動物・環境をすべて健康にする」という意味ではなく、医療、獣医療、環境などの専門家や行政が分野を越えて協力することが重要です。英語の One Health を用いた国際的な専門用語で、和製英語ではありません。

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