このページは、『南方紀伝』手書き写本全4冊の物理的な構成、各冊の本文範囲、判読作業上の区分、巻頭・巻末資料をまとめて確認するための総合案内です。
各巻に掲載した長大な翻刻・校訂本文・現代語訳はここでは繰り返さず、どの冊に何が収められているのかを確認し、第1冊~第4冊の個別案内へ進むための索引として構成しています。
重要:今回確認した手書き写本は、物理的に全4冊です。国立公文書館から取得した公開用PDFとページ別画像は全143ページ(第1冊57、第2冊28、第3冊23、第4冊35)で、このうち判読作業の対象とした本文・系譜・書状・紀行・巻末資料は全44分割・合計134ページです。
写本本文は応永34年(1427年)まで続きます。一方、明治期活字本本文は全5巻で長禄2年(1458年)まで続くため、写本4冊と活字本5巻との関係は一致せず、現時点では未解決です。
本サイトで用いる「第1冊」~「第4冊」は、現存する写本の物理的な冊の順序を示します。公開本文の「巻一」~「巻四」とおおむね対応させていますが、写本各冊が原著の巻一~巻四にそのまま一致することを証明するものではありません。
手書き写本全4冊案内
確認した範囲
- 物理的な冊数:全4冊
- 公開用PDF・ページ別画像:PDF4冊・全143ページ(57/28/23/35ページ)
- 判読作業上の分割数:全44分割
- 判読対象ページ数:合計134ページ
- 本文の年代範囲:元弘元年(1331年)から応永34年(1427年)まで
- 本文以外の主要資料:南帝系図、北畠親房書状、宗良親王紀行、冊ごとの巻頭説明・巻末識語・後筆・蔵書印・朱印
- 判読状態:全44分割の第一次判読を完了。公開本文は第一次判読・第一次照合に基づく公開用仮本文
公開画像143ページは、表紙・裏表紙・白紙等を含む元PDFの全ページ数です。判読対象134ページは、本文・系譜・奥書等として管理した作業対象ページ数であり、両者は別の数値です。
公開画像・全ページPDF
公開画像とPDFは、国立公文書館所蔵『南方紀伝』(請求番号140-0217)のデジタルアーカイブ公開画像を基にしています。ページ別画像はウェブ閲覧用にWebP形式へ変換しています。
画像のページ番号は元PDFの通し番号です。写本本来の丁付、公開本文の巻・節番号、判読作業上のpart番号とは区別してください。
第1冊――全57ページ
第2冊――全28ページ
第3冊――全23ページ
第4冊――全35ページ
4冊の概要
第1冊――元弘の乱・親房書状・宗良親王紀行
- 作業範囲:part-2~part-19、18分割・54ページ
- 公開用PDF・ページ別画像:全57ページ
- 主な年代:元弘元年(1331年)~興国5年/康永3年(1344年)頃
- 主な内容:元弘の乱、鎌倉幕府滅亡、建武政権、南北朝分立、北畠顕家・親房の東国戦線
- 冊固有の資料:北畠親房から結城氏への書状、宗良親王の紀行と和歌、編纂説明、書写奥書、異本注記
第2冊――南帝系図・河越城・『新葉和歌集』
- 作業範囲:part-2~part-9、8分割・26ページ
- 公開用PDF・ページ別画像:全28ページ
- 主な年代:編年本文は正平22年/貞治6年(1367年)~弘和2年/永徳2年(1382年)
- 主な内容:南帝系図、河越城と平一揆、足利義満の将軍就任、南北朝和平交渉、九州外交、小山義政、『新葉和歌集』
- 冊固有の資料:後醍醐天皇から後南朝までを描く系譜、巻末後筆、大型朱印二顆
第3冊――義満政権・明徳の乱・南北朝合一
- 作業範囲:part-2~part-8、7分割・21ページ
- 公開用PDF・ページ別画像:全23ページ
- 主な年代:弘和3年/永徳3年(1383年)~応永3年(1396年)
- 主な内容:足利義満の政治的上昇、土岐康行の乱、明徳の乱、南北朝合一、義持の将軍就任、武家礼式
- 冊固有の資料:巻頭の後小松院系譜・収録範囲説明、巻末後筆・朱印
第4冊――応永の乱から応永34年の巻末まで
- 作業範囲:part-2~part-12、11分割・33ページ
- 公開用PDF・ページ別画像:全35ページ
- 主な年代:応永4年(1397年)~応永34年(1427年)
- 主な内容:応永の乱、義満の対明外交、北畠満雅の乱、上杉禅秀の乱、応永の外寇、京都・鎌倉の対立、赤松氏の内紛
- 冊の終点:赤松満祐の上洛記事で本文が終わり、大型朱印二顆が確認される
写本の冊と公開本文の巻
本サイトでは閲覧しやすさのため、第1冊~第4冊を公開本文の巻一~巻四の主要な写本基盤として整理しています。ただし、「物理的第1冊=原著巻一」というように、冊と巻の一致を確定したものではありません。
- 手書き写本 第1冊:公開本文の巻一を構成する主要資料
- 手書き写本 第2冊:公開本文の巻二を構成する主要資料
- 手書き写本 第3冊:公開本文の巻三を構成する主要資料
- 手書き写本 第4冊:公開本文の巻四を構成する主要資料
- 公開本文の巻五:手書き写本4冊には直接対応する本文が確認されていないため、活字本巻五相当部分――伝本・巻立て上の位置づけ未確定として扱う
この問題の詳細は、写本4冊・本文5巻の問題および巻五の書誌問題で整理します。
作業区分の見方
「part-2」「part-3」などの表記は、PDFを数ページずつ確認するために設けた判読作業上の便宜的な区分です。写本に記された章題、原著の巻番号、冊子本来の丁付を示すものではありません。
各partは単独で処理せず、前後partとの文章接続を確認し、明治期活字本の対応箇所を照合しました。冊をまたぐ接続についても、第3冊末尾の応永3年と第4冊冒頭の応永4年などを連続して確認しています。
写本で確認できる資料
- 編年本文:元弘の乱から応永34年までの政治・合戦・外交・災害・和歌・寺社記事
- 系譜資料:第2冊冒頭の南帝系図、第3冊巻頭の後小松院系譜・収録範囲説明
- 書状:第1冊に収められた北畠親房から結城氏への長文書状
- 紀行・和歌:宗良親王の遠江・駿河・甲斐・信濃・越中への移動と贈答歌
- 巻末資料:編纂説明、書写奥書、異本注記、後筆、蔵書印、大型朱印
- 写本独自情報:活字本に同じ配置で収録されない系譜、巻頭説明、巻末識語・後筆など
利用上の注意
本サイトの写本翻刻は第一次判読に基づくものであり、判読不能、補読、異読、日付差、人物比定、年代配置の疑問が残ります。不明な文字を一般的な歴史叙述に合わせて推測で確定することはしません。
明治期活字本は難読箇所を確認する重要な比較資料ですが、活字本の字句をそのまま写本の原文とみなすことはしません。写本にのみある資料、活字本にのみある記事、両者で異なる日付・人名・記事配置を区別します。
研究・論文・出版物などで引用する場合は、本サイトの翻刻だけでなく、原写本画像、明治期活字本、正式な校訂史料・研究文献もあわせて確認してください。